概要
かつて熊本を中心に主に九州で活動を行っていた熊本出身の芸人。本名は「米嵜一馬」。
ばってん荒川=お米ばあさんと認知される程、お婆ちゃんキャラクターで有名であった。
熊本弁(肥後言葉)を多用する喋りで記憶に残っている人もいるだろう。
念の為に言っておくが、れっきとした男性である。日本の男性タレントが扮するお婆ちゃんキャラクターの中では吉本新喜劇のメンバー・桑原和男の「和子ばあちゃん」と並ぶキャリアと認知度を誇った。余談だが、ばってん荒川と桑原和男は同じ九州出身という共通点も持つ。
そのあまりにも板についたお婆ちゃんキャラクターゆえに、過去に老年男性からプロポーズされたという逸話がある。なお、お婆ちゃんを演じ始めたのは10代の頃からで、役になりきるために老女を観察・研究し続けていた。時には銭湯の女湯を覗いてでも(結局は覗きが見つかり怒られてしまったが)芸の肥やしにしようとした事もあったという。
ローカル主体でありながら全国的な知名度を持つ珍しいタレントであったが、本人はあくまでも地元九州での活動に拘りを持ち、滅多に東京での仕事をしなかった。ビートたけしなどからは東京を軸とした活動を勧められたが、「東京で余計な仕事はしたくない」と断ったそうである。
たけしとは一時期浅草の演劇場で接点が出来たことで縁があったようで、彼が頭を下げて挨拶をする数少ない芸人の一人だったと言われている。
九州出身の芸人達にも大きな影響を与えており、あの江頭2:50も彼に憧れて芸人を志した一人で、かつては「ばってん江頭」を名乗っていた。
晩年は病に冒されながらも、カメラやマイクの前では病体にムチ打って軽妙な動きと笑顔と喋りを貫き通した。2006年に糖尿病治療の為一旦活動を休止し、レギュラー出演していた番組に断続的に出演しつつ復帰を目指していたが、同年10月に膀胱癌による心不全で亡くなった。69歳没。
九州地方の芸能界でも大御所の芸人であるほか、戦後絶滅の危機にあった郷土芸能「肥後にわか」を再興させた功績を持つ人物でもあった。没後その長年の貢献を称えて、熊本県より「熊本県地域文化特別功労賞」が贈呈されている。