概要
乳房周辺はリンパ節などが多く、転移を起こしやすいのだが、早期に発見できれば割と予後は良い。
ただし、一部には非常に進行の早いタイプもあるので油断は禁物である。
また、抗がん剤を使う治療の場合治療途中の苦痛がどうしても伴うため、乳房摘出に対する恐怖心などもあり治療を躊躇していたり、周辺の人物に騙されて疑似科学系の偽医療に引っかかって時間をロスしているうちに手遅れになってしまうケースもある(著名人ではさくらももこがこの経緯で死去している)。
マンモグラフィーを用いて検診が可能であり、専用の機械なしでも直接触る事でセルフチェックも可能。
乳房を摘出しなければならない場合もあるが、近年は再建手術の技術も進歩してきており、外見が以前と大差ないほどに仕上げることも可能になってきている。
女性のみの病気と思われがちだが、男性でも罹患することがある。
癌の大半は、内臓に生じるため、近代になるまで存在そのものが不明であったが、乳癌は「しこり」という形で存在がはっきり分かるので、古代から知られていた。古代エジプトの医者が記した乳癌の記録が、現在まで残っている。
原因が腫瘍である事も経験的に分かっており、そのため乳房の一部を切開して、悪性腫瘍を取り出すという方法も、古来から実施されていた。しかし、麻酔が無い時代では非常に過酷な手術であり、患者が死ぬことも少なくなかった。日本では、この取り出した腫瘍が岩のように硬いことから、「岩」と書いて「ガン」と読むようになった。江戸時代には、「乳巖」「乳岩」とも書かれていた。
ちなみに、「癌」の漢字は、「岩山」を表す「嵒(ガン)」に、やまいだれ(疒)を付けた漢字である。