概要
何らかの原因で肝臓が障害され、肝細胞が壊れると、肝臓に繊維が増えて堅くなる。この際、肝細胞の構成が変化し、ごつごつした「しこり」ができるようになる。
この状態が進むと、肝臓に血液が流れにくくなるため、酸素や栄養が不足し、肝臓の機能が低下する。
原因
日本で発生する肝硬変のほとんどはC型肝炎が原因である。
他に多い原因としてはB型肝炎(特にD型肝炎を併発した場合)、酒(アルコール)の飲み過ぎがある。
他にも、脂肪肝、薬の副作用、寄生虫などが原因となることもある。
症状
早期からだるさを感じる人もいるが、ほとんどは自覚症状がない。肝細胞が壊れていっても、残った細胞がカバーしてくれるからである(代償能)。検診で初めて肝硬変が見つかることも多い。
そして肝硬変が進行し、肝細胞を代償しきれなくなると、黄疸(皮膚が黄色くなる)や出血症状(鼻血、歯茎の出血、あざなど)、貧血などが見られるようになる。
肝硬変によって脳がやられる場合もあり(肝性脳症)、興奮・異常行動・意識障害・昏睡などが起こることもある。
また、男性は乳房が女性のように膨らむこともある(女性化乳房)。
肝硬変になると、高確率で癌(がん)に進行する。肝臓の機能が著しく低下すると(肝不全)、消化管出血、播種性血管内凝固症候群(DIC)、腎不全(尿毒症)などを引き起こすことがある。
合併症
肝硬変の合併症として、食道静脈瘤がある。
肝硬変になると肝臓に血液が流れにくくなり、代わりに食道の静脈の血流が増える。
それによって食道の静脈が破裂しやすくなり、最悪の場合、大量の吐血や黒い血便(タール便)などの症状が現れる。
食道静脈瘤は肝性脳症や癌と並び肝硬変の死因の一つである。
治療
一度本格的な肝硬変になると、完全に治すことはできない。
日常生活をコントロールしながら、代償期(症状がない期間)の状態に戻すことが肝硬変の治療の主流である。
生活上の注意
バランスのとれた食事を心がけること。症状が出ている場合はタンパク質や塩分を制限する必要がある。