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大鉄人17

だいてつじんわんせぶん

『大鉄人17』は 石森章太郎原作、東映製作の特撮テレビ番組。 巨大ロボットワンセブンが唯一心を通わせる南三郎少年と世界平和を守るレッドマフラー隊と共にブレイン党との攻防戦を繰り広げる。
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概要編集

地球再生のためには、人類の抹殺が必要という回答を算出した巨人頭脳ブレインは、

数多くの戦闘ロボットを生み出し、野心を持つ人間を利用して破壊活動を開始した。

だが、その過程で、ブレインと異なる思考を持つ機械も誕生していた。

人類は抹殺すべきではないと考える大鉄人ワンセブンが!!

(講談社『THE超合金』より引用)


解説編集

1977年3月中旬から11月中旬にかけて、毎日放送制作ホストTBS系列局ほかにて放送された。


数多くの東映特撮作品の原作を手がけてきた石ノ森章太郎にとって初の、そして東映としても『マグマ大使』(実写版)・『ウルトラマン』シリーズへの返答にして更に作風が類似している上に双方で脚本家の伊上勝山田稔監督らも参加した横山光輝の『ジャイアントロボ』以来となる巨大ロボットものである。初期の企画段階は『メガロ17』というタイトル。


また、都合3冊作られた企画書の冒頭には「アニメーションより実在感において勝る実写の質感と重量感を重視する」という旨が語られている。その背景には『マジンガーZ』(双方で渡辺宙明も参加)や『ゲッターロボ』等で確立した巨大ロボットアニメが活況を呈していた事もあり、それに対するリアルな特撮を駆使した決定版を制作することが強く意図されていた。


特撮以外では、自衛隊の演習などの実写映像が流用され、当時の実在兵器が多数登場する点が特筆される。レッドマフラー隊、ブレイン党ともに実在の兵器で武装しており(さすがに“実銃”ではないが)、当時の作品としては異例にミリタリー色の強い戦闘シーンが展開された。


いわゆる“数字”面では苦戦し、中盤での路線変更を余儀なくされたが、本作で得られた経験や設備を受け継ぐ形で、以降の“東映ヒーロー”シリーズでは、『スパイダーマン』のレオパルドンを経て『スーパー戦隊シリーズ』で、巨大ロボットの登場が定番化していく事になった。


ちなみに『大鉄人17』の17という数字は、横山光輝の『鉄人28号』のオマージュで、2と8から1ずつ引いた数であるとのことである。


主要メカ編集

ワンセブンCV:小林恭治ナレーターも兼任)

大鉄人17

ブレインが分身として作り出した17番目のロボットだったが良心に目覚め、ブレインに反旗を翻す。

要塞、戦闘、飛行の三形態にそれぞれ変形。つま先には遠隔操作が可能なサブマシンシグコンタンクを格納。背中からはシグコンジェットを発進させる。必殺技は腹部を左右に開いて撃ち出す光球を放ち、目標を強大な力で圧潰、爆破するグラビトン攻撃。


ワンエイト(CV:市川治

大鉄人17&18(左側のロボットがワンエイト)

ワンセブンの弟にあたるロボットで、体内に「サタン回路」を内蔵。後に除去されてワンセブンの味方になるが……


ブレイン(CV:水島弘最終話のみビッグエンゼルの声も兼任)

「…人間という生物がいる限り、地球に平和は訪れない。」

巨人頭脳へと成長した超高性能コンピューター。元々は自然災害から地球を保護する目的で建造されたが、「地球にとって最大の災害は人類である」との結論から、全人類の抹殺を目論む。当然、人間を見下しており、生みの親であるハスラー教授(後述)も含めて、部下には自らを「ミスター・ブレイン」と呼ぶように強要している。


あらゆる物体を生み出すことができる超生産能力で、多くのロボットを作り上げ征服に乗り出し、更に世界中の刑務所から囚人(=凶悪犯罪者)を集めブレイン党を結成した。超生産能力はブレイン自身にも発揮され、いかなる損傷を受けても瞬時に再生する。


ブレインロボット

BRAIN ROBOT!

ブレインが超生産能力で生み出した侵略ロボット。詳細は個別項目参照。


登場人物編集

レッドマフラー隊編集

南三郎演:神谷政浩

「今度は、僕が君を守ってやる!」

本作の主人公。唯一、ワンセブンと心を通わせることができる少年。第1話で両親と姉をローラーロボットに殺害された。ブレインによって洞窟に幽閉されていたワンセブンを解放した事で意思の疎通が可能なヘルメットを与えられた。そのヘルメットはワンセブンの超生産能力で造られた物で三郎にしか使えない。


佐原博士(演:中丸忠雄

「ワンセブンは我々にとって、残された希望だ。」

国際平和部隊の科学者にしてブレインの生みの親の一人。ブレインを破壊するため、一度は誘いに乗るふりをして懐に入り、爆破に成功するが、既にブレインは生みの親にすら手に負えない存在へと成長していた(上のイラストは、ブレインの再生を目の当たりにした時の表情)。後にブレインの脅威から人々を守るために、ブレインを超えるコンピューターの製作を計画。新たに建造された『第二ブレイン(ビッグエンゼル)』を巡る攻防が、終盤のクライマックスの一つとなる。


佐原千恵(演:竹井みどり)

佐原博士の長女で、レッドマフラー隊員。婚約者だった中井隊長をブレイン党に殺されている。基地内でのオペレーター業務がメインだが、レッドマフラー隊に同行して出動する時もある。


佐原ルミ(演:島田歌穂

「はい、出動します!ミスター・ブレイン。」

佐原博士の次女。三郎と同い年(13歳)で中学1年生。天涯孤独となった三郎が引き取られた佐原家では兄妹同然の仲。厳密にはレッドマフラー隊員ではないが、基地内には普通に出入りしている。中盤からは、『ジャイアントロボ』のU6=マリー・花村を髣髴させるショートヘアーになっている。


第14話でブレインに拉致・洗脳され、戦艦ロボットのパイロットをさせられる(上イラストは、その際の姿。一部は異なるが、イラストの服は伊上+山田・黄金コンビによる最終2部作でも着用していた)が、ワンセブンの活躍により洗脳を解かれた。


剣持保隊長(演:原口剛

「自分の始末は、自分でつけろ。」

ストーリー序盤でブレイン党の潜入に失敗し殉職した中井に代わってレッドマフラー隊の隊長に着任した漢。中井とは違い自他ともに厳しい性格で、それ故に当初はレッドマフラー隊のメンバーと衝突することもあった。陸上自衛隊レンジャー部隊とグリーンベレーに在籍した過去を持ち、ブレイン党のキャプテンゴメスはグリーンベレー時代の同僚にしてライバルだった。その切れ者振りから「カミソリ」と評されている。愛銃は44マグナムS&W・M29)。


岩山鉄五郎(演:高品正宏)

第16話より登場。通称ガンテツで、「柔道四段・空手四段・浪人四年」を自称する。東大合格を目指していたが、レッドマフラー隊の活躍に憧れてあっさりと東大合格の夢を放り投げた。基本的に『ジャイアントロボ』のU3=南十郎と『マジンガーZ』のボスを合体させたギャグキャラだが、機転が利く一面もあり幾度も三郎やレッドマフラー隊の危機を救った。伊上+山田・黄金コンビによる最終話では、ワンセブン救出にも一役買っている。


レッドマフラー隊には、ほかにも海野太隊員(演:菅野直之)・村中新平隊員(演:三井俊吾)・小野良子隊員(演:大槻純子)らがいた。


ブレイン党編集

ハスラー教授(演:大月ウルフ

「思イ上ガッタカ! ブレイン!!」

佐原博士と同じブレインの生みの親の一人だったが、己の野心(ブレインの悪用、軍事利用)からブレインに反乱を起こさせた張本人。しかし、傲慢で激昂しやすい性格が災いし、後にブレインから主導権を奪われてしまう。非情かつ傲岸だが、大月ウルフ氏のハイテンションな怪演、セリフ回しもあって、どこか憎めぬコミカルな一面も持つ。ブレイン陣営ではただ1人、初回から最終回まで通して登場しており(第20話のみ未登場)、ある意味敵側の代表的キャラクターと言える。


キャプテンゴメス(演:平田昭彦

「ブレインを征する者が、世界を征するのだ!」

元は要人暗殺・破壊活動を行う国際テロリストであり、かつてはグリーンベレーに属し剣持とは浅からぬ因縁を持つ。愛銃は44オートマグ。第15話でブレインを自らの支配下に置こうとするが、ハスラー教授とチーフキッドに梯子を外される形で計画は失敗、正気を取り戻したルミの代役として戦艦ロボットを操縦しワンセブンと戦うハメになり、最終的に敗北。万策尽きた彼は戦艦ロボットに仕掛けられたTNT爆薬を爆発させてみろとチーフキッドを煽るが、キッドは躊躇することなく自爆スイッチを押したため、爆死した。


チーフキッド(演:山口あきら

「イエッサー!キャプテン。」

キャプテンゴメスの部下で、投げナイフの達人。『ジャイアントロボ』のスパイダーを髣髴させる、直情烈火(=短気)な性格。また、変装をしての潜入や攪乱の工作にも長けている。ゴメスとはテロリストとして暗躍していた頃からの間柄だが、彼がブレインの掌握を目論んだのを境に裏切った。


ブラックタイガー(演:山本麟一)

ゴメスに代わる実戦指揮官として迎えられた、バラモン密教の怪僧にして東南アジア地域の暗黒街の黒幕。額に第三の眼を持ち、怪力の上、体術、呪術にも精通している。第21話で作戦に失敗したチーフキッドを飛び蹴り一発で処刑したほどの暗殺術の使い手でもある。第33話にて自らの死期を悟り、レッドマフラー隊に捕まるフリをしてビッグエンゼルの破壊を目論むが、彼の一連の企みはビッグエンゼルによってあらかじめ予測されていた。万策尽きたブラックタイガーは自身の超能力をもって直接ビッグエンゼルを破壊しようとするが、防衛システムの攻撃を受け絶命した。


ピンクジャガー(演:三東ルシア)

センシティブな作品

ブラックタイガーの部下(イラスト右)。基地内では名前の色の隊員服とヘルメット。外では、シースルーのシャツにピンクのベストとホットパンツという服装で活動する。行動原理はゴメスに近いが……


ブルージャガー(演:太田美緒)

同じくブラックタイガーの部下(イラスト左)。ピンクジャガーと色違い(水色のベストとホットパンツ)の服を着て行動する。行動や思想的には保身に走ったチーフキッドに近く、チーフキッドに裏切られ哀れな末路を迎えたゴメスに対して「武士の情け」として「やらなかった事」をワンセブンは彼女に対し…


その他編集

岩山鉄次・エミ(演:高橋仁・渡辺真由美)

第16話より登場。ガンテツの兄夫婦の子である兄妹。ルミとは旧知の仲で、彼女の紹介で三郎と知り合う。新幹線ロボットの体内に閉じ込められるなど、事件に巻き込まれる事もあった。

ちなみに岩山家は裕福で、ガレージにはクラシックカーが多く並んでいる(ガンテツが収集したらしい)。


矢崎勇(演:佐藤賢司)

第22~26話に登場。三郎達の同級生で、ワンエイト編のキーパーソン。

母子家庭の出身だが、母親のカヨが失踪してしまい、塞ぎ込んでいた。林間学校にてワンエイトと知り合い、ワンエイトを疑う三郎と対立する。実は母親は交通事故に遭って記憶が錯乱しており、そのために行方不明になっていた。ワンエイトと海野隊員によって母親と再会し、紆余曲折ありつつも三郎とも和解する。


各話リスト編集

話数サブタイトル登場ロボットものしりコーナー
1謎の鋼鉄巨人ローラーロボットメートル法
2地上最大の巨人頭脳ハリケーンロボット世界標準時間
3消えたワンセブン 謎のヘルメット地震ロボットマグニチュード
4わが友はワンセブン-
5空飛ぶ氷山冷凍ロボット氷山
6ワンセブンの贈り物絶対零度
7ゴメスの鉄人狩りミキサーロボットガスタンクロボット光速
8ワンセブン15時間の命ミキサーロボット陸と海
9幻の超重砲「グスタフ」大砲ロボット望遠鏡
10死なないで!裏切りの父顕微鏡
11ブレインから来た招待状大爪ロボットそろばん
12決死!ブレイン大爆破電子計算機
13驚異!これがワンセブンの体内だ自動車の歴史
14空中戦間の中の少女戦艦ロボットテレビ
15ゴメス!戦場に散る電気
16どこへ!?消えた人消えた町細菌ロボットレーダー
17咲けよ!!友情の紅い花マッハ
18恐怖の夏休み!暴走する新幹線新幹線ロボット新幹線
19夏休みのプレゼント!ワンセブン超特急ATC
20ガンバレ兄ちゃん!栄光の甲子園ビルロボット野球の発祥
21守れ!熱血の甲子園ワンエイト、ビルロボット高校野球の歴史
22奇妙?!二人のワンセブンワンエイト昆虫の鳴き声
23弟ロボット!その名はワンエイト熱気球
24ゆるせ弟よ!涙のミサイルパンチ飛行機
25危うし兄弟ロボット!恐怖の遊園地ハーケンキラー、ワンエイト
26大逆転!さらば愛する弟よカメラ
27なぞのコンコルド 父ちゃんのうそつきブレインコンコルドコンコルド
28出たぞ大海獣!ネッシーの子守唄ネッシーロボシーラカンス
29そこのけそこのけ!大暴れネッシーロボスフィンクス
30走れ三郎!死の谷からの脱出ハスラー要塞ピラミッド
31お母さんはどこ?恐怖の白い家蜃気楼衛星タイガー蜃気楼
32ほえろイナズマ!謎の黄金怪獣ゴールドネッシー、ハスラー要塞
33ニヤリ!タイガー地獄の微笑原子力発電
34決戦!!ブレイン対ワンセブン
35さらばワンセブン不滅のナンバー-

余談編集

バーチャロンシリーズのプロデューサー「亙 重郎」氏が本作のファンである事がとあるツイートから判明した


関連タグ編集

東映特撮 石ノ森章太郎 巨大ロボット


仮面ライダーフォーゼ:石ノ森章太郎原作の特撮作品で、映画『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キター!!』に、大鉄人17を模した「衛星兵器XVII」(CV:磯部勉)が登場する。

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