概要
本作は同年にスタートした『秘密戦隊ゴレンジャー』のヒットに触発されて制作されたいわゆる「集団ヒーローもの」である。本作の特徴としては主人公達が人間形態を持たない、すなわち”変身”しないという点が挙げられる。主人公が人間の姿をしていないという形式は『ロボット刑事』でも行われているが、ロボット刑事が戦闘シーンでは服を脱いで一応”変身”するのに対し本作の主人公3人は最初から最後まで異形の姿のままなのである。
主人公達のイメージは小説『三銃士』から得ているなど、日本特撮でありながらかなり変わった雰囲気の作品となっている。
この背景には役者の人数を減らして番組制作費を軽くしようという思惑があった。しかし、スーツアクターの熱演や脚本へのこだわり、主人公達の凝った描写などに力が注がれたためか、作品そのものは好評であっても制作側は甚だしく苦労した。
そのためか途中から(一人だけながら)人間態を獲得させたり、次作『超神ビビューン』では従来の変身ヒーローものに回帰している。
序盤は人間の為に戦うも、その異形ゆえに人間からは恐れられるという悲哀を含んでおり、助けた子供の親に銃撃されることさえあった。
ただし中盤からは人間達には普通に受け入れられており、小学校の前に立っていても特に気にされる様子もなかった。アクマイザー3としての活動が実を結び信用を得たのか、単にテコ入れなのかは不明。またキャラクターの言動や作風も中盤からコミカルな部分が増えている。
ストーリー
地底世界ダウンワールドにはアクマ族と呼ばれるサイボーグ民族が暮らしていた。彼らは地上人類を奴隷にすべく地上侵略作戦を開始した。だがそれに立ちはだかる戦士がいた!。彼はアクマ族と人間のハーフ:ザビタン。かくしてザビタンと彼の男気に惚れた二人の仲間・イビルとガブラ三人の、アクマ族との戦いが始まった!!
登場キャラクター
アクマイザー3
アクマ族に反旗を翻したザビタンと、その漢気に惹かれ仲間となったイビル、ガブラの三銃士。
CV:井上真樹夫
アクマ族の父と人間の母を持つハーフの戦士。地上人類を奴隷にしようとするアクマ族に反感を抱き、彼らを裏切って人間の側に付くことを決意した正義の戦士である。
基本的に真面目だが、意外と茶目っ気のある面白い性格の人物である。中盤からは「変わるんだら~」で南雲健二(演:滝沢双)に変身する。
CV:矢田耕司
アクマ族の戦士でザビタンの仲間。かつてはザビタンの敵だったがその正々堂々とした態度に感じ入り、彼の味方になった。古風な性格で口調もどこか時代がかっている。ダイヤンガーという恋人がいた。
CV:八奈見乗児
イビルと同じくかつてはザビタンの敵だったアクマ族の戦士。怪力が自慢の戦士だが頭の回転が鈍いためかギャグ担当のポジション。気は優しくて力持ちを地でいく性格の持ち主。「変わるんだら〜」でガブラッチョに変身できる。
アクマイザー3の協力者
CV:吉田理保子
アクマ族の女戦士でアクマイザーの味方。人間と同じような優しい心を育むためアクマ族を裏切った。ザビタンに想いを寄せている。アクマイザーの三人と比べてかなり人間に近い姿をしており、人間社会に何事もなく生活している。
平和党四人衆
アクマイザーと同じく平和を望む四人のアクマ族。元々はアクマ族の隊長怪人だったが、アクマイザーによって説得され改心した。バスカル(CV:神谷明)、ナメナメーダ(CV:八代駿)、ノッペラー(CV:永井一郎)、ノッペラーJr.(CV:古川さとし)の四人で構成されている。
島一平
演:千葉二郎
東都タイムズの記者でアクマイザーの理解者。記者として実力はあるのだが、少々ドジをやらかすうっかり者。口癖は『俺って未熟なんだよなあ』。アグマーを丸腰のまま倒すなど腕っぷしはやや強め。
千葉二郎氏は仮面ライダーの滝和也、ロボット刑事の新條強など、他にもヒーローをサポートする生身の人間を演じている。
渚ジュン
演:早田みゆき
東都タイムズの女性カメラマン。アクマ族に襲われそうになったところをザビタンに助けられた。第27話を最後に登場しなくなる。
島光彦
演:小塙謙二
一平の弟。「どうして?」が口癖。
秋田源作
演:岩田和男
東都タイムズの編集長。非現実な事を一切信じないリアリストで、一平の報告をほとんど聞いていない。実際にアクマ族の被害に遭うことも多いのだが、それでもである。
白鷺千代
ザビタンの実母。アクマ族の男性との間にザビタンを儲けたが、生まれてすぐ息子との別離を余儀なくされ、表向きは死んだ事になっていた。第2話でなおもアクマ族に反抗しようとするザビタンを懐柔しようとしたメザロードによって檻に入れられたままザビタンと面会するが、息子を励ました事でメザロードの逆鱗に触れ、メザロードの光線を受けてドレスを残して消滅した。
劇中ではザビタンの父との馴れ初めは語られなかったが、『HEROSAGA』にてその詳細が語られている。
アクマ族
およそ2万年前、悪化していた地球環境から身を守るために地球内部の空洞である地下世界『ダウンワールド』に移住して生活するようになった人類。地底下の苛酷な環境に適応するために自らの身体を改造して、数々の特殊能力を身につけている。またその異形から地上の人間から『悪魔』と恐れられ、彼らも自身を『アクマ族』と呼ぶようになった。
ダウンワールドの環境が悪化したため地上への侵略を開始する。しかし全てのアクマ族が侵略を望んでいるわけではなく、終盤では平和党四人衆率いる平和勢力により、侵略を狙う勢力はメザロードとゲベルの部隊のみとなった。
メザロードの命令の下、兵士アグマーを率いて作戦行動を行なう指揮官たち。
アクマイザー3の友人、恋人などが送り込まれることも多く。悲劇的な結末を迎えることもあった。
本作における戦闘員。黒覆面に軍服を纏い、顔からは耳代わりなのか突起物が生えている。頭部の形状が異なるメザロード、ゲベル直属の親衛隊も存在する。
御多分に漏れず扱いは悪い。
CV:辻村真人
アクマ族の警備連隊長であり、幹部ボス的な存在。アクマイザーの因縁の相手でザビタンの両親や友人、ダルニアの姉マジョルカの命を奪った張本人。非常に冷酷な性格で仲間のアクマ族も容赦無く処刑するほどの卑劣漢である。
何度倒されてもアクマ力「メザロード再生」で何度でも復活できるためメザロードを完全に倒すことは不可能。
アクマ族総師団長で、大魔王ガルバーの右腕的存在。大魔王ガルバーから与えられた「不滅の盾」でアクマイザー3を苦しめた。
作中では大魔王ガルバーが直接アクマイザー3と対峙することは無いため、実質本作におけるラスボスとなっている。
アクマ族を陰で操る謎の存在。その正体は続編で明らかになる。
余談
- ザビダンの中の人(声)は別作品の何でも斬っちゃう怒らせると怖い人(2代目)だったり、イビルの中の人(声)はレッドリボン軍のマッドサイエンティストだったり、ガブラの中の人(声)は某シリーズの鼻や出っ歯が目立つキャラクター役だったりする。
- 役者の人数を減らして番組制作費を軽くしようとしたのは、実際に予算が当時の仮面ライダーシリーズより半分以下だった為であると、プロデューサーを務めた東映の鈴木武幸が雑誌のインタビューにて答えている。
- 鈴木武幸は後にスーパー戦隊シリーズの多くのプロデューサーを務め、特に『超力戦隊オーレンジャー』でプロデューサーを務めた際、上記の経験を反映し、敵側のマシン帝国バラノイアにおいて顔出し幹部を一切出さなかった事で、とりあえず「戦隊メンバー以外のレギュラー俳優を起用する予算を制約する」事に成功したそうだ。
- 尤も、近年のスーパー戦隊シリーズにおいては昔はよく出てきた顔出し幹部が存在しない作品が増えつつある。その背景には「演じた役者が役と混同される」・「世間の風当たりが強くなった」という説もあるが、鈴木は最近、「ミニチェアの制作とそれに伴う特撮でお金と手間がかかる」とインタビューで答えており、そのために前述の通り「戦隊メンバー以外のレギュラー俳優を起用する予算を制約する」方針をとるようにしているらしい。
MOVIE大戦アルティメイタム
2012年公開の劇場作品『仮面ライダー×仮面ライダーウィザード&フォーゼMOVIE大戦アルティメイタム』にて衝撃の復活を遂げた。
今回は”もしアクマイザー達がアクマ族のままであったなら”という設定の元、仮面ライダー達の前に立ちはだかる強敵であり、本家とは別人としての登場。そのためかアクマイザーの後ろに”3”が付かず、メンバーの名前もザタン・イール・ガーラと変更されている。
ちなみにザタンの声を当てているのは本物の悪魔であるデーモン閣下である。
関連タグ
超神ビビューン(続編)
仮面ライダーリバイス:同じく悪魔をテーマとした石ノ森作品。