概要
1972年4月から1973年2月にかけて、毎日放送制作ホストNET系列局ほかにて放送された。
1971年秋季、当時『仮面ライダー』人気の上昇機運に手応えを感じていた毎日放送は、自社の子供向けコンテンツをさらに拡充すべく、新たに変身ヒーロー番組の制作を依頼。それが『仮面の忍者赤影』等の時代劇を取り入れた変身ヒーロー番組『変身忍者 嵐』である。
ところが、放送開始早々に思わぬ苦戦を強いられてしまう。関東地区では『嵐』より先に、同じ時代劇ヒーローの『快傑ライオン丸』がスタート。さらに『ウルトラマンA』の放送も始まるなど、今では考えられないほどの類似・競合番組がひしめきあっていた。そのため視聴率も振るわず、事あるごとに路線変更を余儀なくされた。
ちなみに撮影拠点は「仮面ライダー」と同じ東映生田スタジオである。
ストーリー展開は「血車党篇」(1~20話)、「西洋怪人篇」(21~39話)、「サタン篇」(40~47話)の三章に分けられる。
コミカライズ版
石ノ森版は週刊少年マガジン、希望の友に掲載されていたが、路線変更が行われないまま掲載されたため、ラストは双方とも救いようのないオチになっている。
ちなみに同時期に弟子の永井豪が同誌に掲載していたマガジン史上最不潔漫画『オモライくん』にも1コマだけ登場している。
また、石ノ森版の正式な続編である『変身忍者嵐 SHADOW STORM』が大賀浅木により、ホーム社のWEBサイトで配信されている。
2014年6月27日発売の月刊コミック乱8月号より本作を原案とする『変身忍者嵐χ』の連載が開始された。
作者はにわのまこと。
登場人物
演:南城竜也
血車党の首領・魔神斎の片腕の家系に育った青年忍者だったが、組織の実態を知って組織を脱出し、父によって変身忍者嵐に改造を施された。当初はデストロンを信じていた結城丈二同様に脱出後も組織を信じていた節があったが、戦いの中で血車党を壊滅させる意志を固める。変身前でも一通りの忍術はこなせる為、戦闘力は高い。月ノ輪との合体後は市川治氏が声を担当した。
演:高松英郎
ハヤテの父。かって血車党・魔神斉の片腕であった老科学者。組織を裏切った為に処刑される。石ノ森によるコミカライズ版では本物の魔神斉を切ったものの、負傷で記憶を失い、彼が魔神斉として生きるものの最終話で、息子のハヤテと対決する事になるが…。
名張のタツマキ
演:牧冬吉
徳川幕府の密命を受けて血車党の動向を探っていた老練(ベテラン)伊賀忍者。頭領・百地三太夫の信望も厚く、仲間の忍者を統率するリーダー。
演:松葉寛祐
タツマキの息子、修行の身でありながらハヤテをサポートすべく戦いのたびに随行。
演:林寛子
江戸で医学を学んでいたタツマキの娘。一行の世話係として共に旅をする。
声:市川治
西洋怪人軍団を追ってきた神出鬼没の仮面剣士。嵐に西洋怪人に弱点を教えるなど援護。
その正体は嵐ことハヤテの双子の兄・フユテであった。ツキノワグマの化身忍者である。
演:工藤房子
ハヤテの母。大魔王サタンに囚われており、ハヤテが嵐に変身すると地獄の苦しみを味わう呪いをかけられている。この事実が発覚して以降、ハヤテは嵐への変身を極力控えるようになり、変身してもなるべく早く決着をつける傾向になった。その結果ひとつの悲劇を生むことに・・・・・・
演:菊容子
血車党の抜け忍で凄腕の忍者である鬼目幻十郎の娘。
ツユハという妹がいる。
父である鬼目幻十郎をハヤテと戦わせるために妹のツユハ共々、血車党の下忍たちによって人質にとられそうになるが、危ういところを、そのハヤテたちに救われる。
その後、血車魔神斎に既に父を殺されたことを知ったカゲリとツユハ姉妹は、その血車魔神斎を裏から操っていた大魔王サタンとの戦いを決意し、ハヤテに協力するようになる。
(画像右側がカゲリ、左側が妹のツユハ)
声:納谷悟朗
実は大魔王サタンの操り人形であった。石ノ森によるコミカライズ版の最終話ではハヤテと対決するもその正体は…。
演:曽根晴美
血車党の大幹部、全国各地の化身忍者たちを指揮する行動隊長でもある。
谷の鬼十を殺害した張本人。度重なる失敗で悪魔道人により魔神像の下敷きに…。
演:沼田曜一
西洋妖怪を率いる妖術使い。魔神斉と結託し嵐にドラキュラやオオカミ男をはじめとする刺客を差し向けた。
演:天本英世
魔神斉や悪魔道人を影から操ってきた全知全能の支配者。世界から列強の妖怪たちを呼び寄せ嵐に差し向けた。
仮面ライダー響鬼VS変身忍者嵐!?
他の石ノ森ヒーローに先駆けて平成ライダーにて登場していた!?
※これは冗談、超神ネイガーのコラボ、架空ポスター。
仮面ライダー響鬼 三十六之巻「飢える朱鬼」
『鬼の鎧』を仮面ライダー朱鬼が神社から持ち出すという話。
その鎧のデザインはどう見ても…
とにかく特撮マニアの方からも『絶対に嵐だっ!』という声が多かっただろう。
上記の鬼の鎧の影響か、響鬼前半のメインライターであるきだつよし 氏により公式で嵐とのコラボが描かれた小説が発売された。
設定レベルでのクロスオーバーが見られるなど、響鬼ファンも嵐ファンも必見な内容となっている。
余談
ナレーションは仮面ライダーシリーズでおなじみの中江真司氏が務める。安定の重量感あふれるボイスであるが、なぜか一話次回予告のみ某キチガイアニメの馴レーションを彷彿させるように、やたらとフレンドリーである。
以下に抜粋する。
みんな変身忍者嵐面白かったかな? すごーい怪人が出てきたねー!
来週はねー、体中が鉄になって刀をはね返してしまうという、これもすごい猿の怪人が現れるんDA!
嵐の秘剣が勝つか! マシラの忍法が勝つか!
次回! 怪猿忍者マシラ現る! みんなで見ようねー!
なお二話以降は他特撮作品と同じく落ち着いたナレーションであるが、次回にゲストとして高見山が登場する31話次回予告では『高見山関も出るんDA!』と少々テンションが上がっている。
関連タグ
変身忍者・嵐:キャラクターとしての嵐についてはこちらを参照。
仮面ライダーオーディン/ジーク(イマジン)・・・いずれも裏モチーフに嵐を採用。
同じく東映製作の時代劇特撮。変身ヒーローではないが、途中から怪獣は出てくるし、近代的なメカ兵器は出てくるし、西洋風の敵キャラが出てくるし、時代設定無視作品の元祖である。
同時期に放送されていたピー・プロダクション制作の特撮時代劇、ならびにその続編。
(少なくとも西洋怪人編以前及び漫画版の)嵐がSF的要素の強い作品なのに対して、こちらは現在のドラゴンクエストにも通じるヒロイックファンタジー要素の強い作品となっている。
『快傑~』の時点で戦国時代の日本が舞台のはずなのに、『ライオン、タイガーなどの外来語が普通に飛び交う』、『頭がライオンの剣士に変身した主人公がペガサスに跨がり空を飛ぶ』、『怪人のモチーフにインディアンやパンダがいる』、『敵怪人が手裏剣を放つ拳銃やウィンチェスターライフルを所持・使用』と、嵐や上記の赤影と同様に時代考証を無視した描写が多い。
続編の『風雲~』では更に、『西部劇風のいでたちをした主人公が、背中に背負った小型ロケットで飛行しながら変身』、『主人公の仲間の姉弟は馬車に乗って旅している』、『西日本が異種族に支配されている』、『敵の怪人がバイクに乗る』等、時代考証無視が更に悪化している。