概要
別の言い方として「剣と魔法(Sword and Sorcery)」という別名もあり、一般にはこちらの方が通りがよい。
おおよそはハイファンタジーと同じ括りに入るが、特に主人公が英雄的・ヒロイックな活躍を果たすもの。いわゆる「英雄譚」のこと(今風に言えば、いわゆる「変身ヒーロー」「少年漫画」である)。
変身ヒロイン、男装麗人が活躍する少女漫画も(萌えより燃えが強いものに限り)こう呼ばれるようになっているとか?
恐らくほとんどの人が「ファンタジー物」という響きに抱くイメージに最もぴったりなジャンル。他にも「ビキニアーマー」や「ドラゴンスレイヤー」など、ファンタジー物の定番の多くはここから生まれた偉大なジャンルである。
ヒロイックファンタジーの歴史/狭義のヒロイックファンタジー
歴史的には19世紀後半から20世紀初頭にかけて、特にアメリカで発達したジャンルである。
ヒロイックファンタジーの舞台は、大昔の地球、あるいは遠未来、あるいは別の惑星など、現実離れしていれば何でもよい。これにより「現実」や「リアル」の煩わしい制約を取り払い、自由気ままな想像力の羽ばたく、破天荒な物語を生み出す土壌となるのである。
ヒロイックファンタジーという言葉の発案者であるスプレイグ・ディ=キャンプ(アメリカの作家/Lyon Sprague de Camp)の言葉を借りれば、
「言うなれば、この世の煩わしさを忘れ去れてくれる読物。そこでは全ての男が強く、全ての女が美しく、全ての生活は冒険であり、全ての問題が単純といえる。そして、誰一人、所得税、学業放棄、社会医療制度について語ることのない世界である。」
こうしたヒロイックファンタジー作品のほとんどは、低所得者向けのパルプ雑誌に発表された。そのため、短く単純な構造がもとめられ、エロスとバイオレンスがふんだんに盛り込まれていた。
そのため文壇畑からは「低俗な人間の読物」「ご都合主義の俺TUEEEEE物」などと言われ、低い評価を受けてきた。
しかし20世紀後半のハイカルチャーの没落を受けて立場は逆転、遠く日本でもこれが正統的ファンタジーという誤解(?)をもって受容され、JRPGなどを通じて拡大され現在に至る。
逆に日本側から見ても時代劇が黒澤明等一部を除きほとんど伝わらず和風ファンタジーの日本像のほうが受容されており国際的な現象といえるだろう。