概要
超コンピュータブレインが人類絶滅のために自らの手足として建造したロボット兵器「ブレインロボット」の一体。他のブレインロボとは違い、ブレインの中枢部品の一つ「オートダイオードワンセブン」が組み込まれている(ブレインは「動ける自らの分身」としてワンセブンを作った事を第12話で佐原博士に話している)が、それによってブレインとは別の結論を人類に対して導き出してしまい(ブレインは「優秀過ぎるが故に良心が生じた」と評した)、ブレインによって頭部電子頭脳に電磁フィルターをかけられ、洞窟内で眠りにつかされた(「完全自動防衛システム」の存在で他に手の下し様がなかったらしい)。
その洞窟にたまたま迷い込んだ南三郎少年によって電磁フィルターを外され再起動(三朗が洞窟内のスイッチを切る事でフィルターが停止)。三郎と友情を結び、意思疎通に必要なヘルメットを与えた。
自らの体内で活動している小型ロボット「ロボター」と体内のメカ工場の存在で、多少の損傷や故障ならば自力で治すことができる他、会話能力やグラビトン発射のインターバル短縮等の性能向上、支援用ビークルのサブマシンやシグコンタンク・ジェットの開発、果てはジュースやケーキ、ソフトクリームといった菓子類を作ることもできる。内部には人間が乗り込めるコントロールルームがあり、中に入った三郎達をケーキなどでもてなしたほか、超生産能力で操縦席を作り、最終話で活動停止したワンセブンに代わり三郎が操縦した。
※尚、先述の「脳波ヘルメット」を三郎に与える際、前腕部の「袖口」からヘルメットが転がり落ちている。この事も含め、超生産能力で体内工場で作られた装置や部品類を機体の各所に分配するバイパス網が存在する様だ。
ただ、両膝の「大電流集積回路(BWLSI)」はバイパス網やロボターの作業等では部品交換が出来ないように(意図的に)設計されており、弱点となっている(ブレインとしては万一の造反防止として行ったようだか、ワンセブンはこの危機に「人間を体内に入れる」と言うブレインが想定しなかった方法で対処した)。
会話能力の獲得前は三郎に与えたヘルメットを通して意思疎通を行い、ワンセブン本体は目の色(水色:イエス、赤:ノー)と機械処理された「イエス」と「ノー」の音声以外の意思表示が出来なかったが、第19話で会話能力を獲得した後は言葉を話すことができるようになった(CV:小林恭治)。
初期は割と秘密主義な一面を見せており、レッドマフラー隊が自身を追跡している事を悟って彼らに圧力をかけたり、前述の両膝の回路が破損した際も三郎達を入れる事を最初は拒んでいた(尤もこの時は戦場にいたので、体内に彼らを入れるのは危険と判断して拒んだ可能性もある)。しかし、三郎達を体内に入れてからは態度を軟化させており、第15話ではブレインに洗脳された佐原ルミを体内に入れて彼女にケアを施した他、三郎の友達を体内に招いて食事会を催すようにもなった(後者に関してはテコ入れというのもあるが)。
最期は周囲2km内のコンピュータをブレインの支配下に置いてしまうブレインエリアの影響を受けないように三郎に操縦されてブレインに特攻をかけようとするも突如意思を取り戻し、三郎を脱出させて自分だけが特攻。ブレインと共に爆散した。
変形形態
要塞ワンセブン
待機状態。体内にある工場はこの形態で稼働し、グラビトン発射に必要な重力子を蓄積する。第1話でローラーロボットに潰されそうになった三郎をワンセブンが助けた際、「地中から突き出した両腕でローラーを受け止め、投げ返した後、要塞ワンセブンが地中から出現、変形」した事から同形態での地中移動能力が存在する可能性がある。
飛行ワンセブン
要塞ワンセブンの背部滑走路を翼状に展開し、マッハ4の速度で飛行する。ブレインロボットに体当たりを仕掛ける際にも使われた。対ミキサーロボット戦の緒戦では(活動限界が近かった事もあり)同形態で両前腕部をチェーン式クレーン代わりにミキサーロボットを市街に被害が及ばない地域まで空輸、投棄している。
敵のレーダー追跡から逃れるためにチャフをばらまくこともある。※特撮番組では珍しい描写で、番組が当初目指していた方向が窺える。
戦闘ワンセブン
二足歩行の戦闘形態。身長50m、重量200t。
戦闘スタイルは格闘戦がメインだが、後述の武装を使用することもある。なお、仰向けに倒れると「背中からのロケット噴射」で起き上がるが、件のロケットの映像は先述の飛行ワンセブンの「腰部推進器」のライブラリーフィルムの流用だったりする。
武装
グラビトン
開閉式の腹部から重力子を発射し、対象を押し潰し圧壊させる。一度の発射後は重力子蓄積の都合上15時間のインターバルを置く必要があるが、自己改良能力で短縮に成功した。
ナイキ級ミサイル
脛部に内蔵されているミサイル。現実にも同名のアメリカ製の地対空ミサイルが存在する。三段二列の発射装置の内、二段目の内部機構を入れ替えて(飛行ワンセブンよろしく)「電波撹乱装置」としてチャフ(レーダー波の波長に合わせて裁断されたアルミ箔等の金属片。現実に使用されている「古典的」レーダー妨害手段である)を撒いた回が有る。
ミサイルパンチ
前腕部の安定翼状突起に内蔵されているミサイルで、連続発射して敵を攻撃する。中盤から多用されるようになった。
某鉄の城と同名の武装だが、腹部から放つあちらと違って、ちゃんと腕から発射される。
核弾頭
腹部に内蔵されている核ミサイル。尚、劇中でワンセブンにこれを見せられた三郎が「これがグラビトンの秘密か」と口にした件だが、これは間違いでも何でもなく、実際にグラビトン攻撃に使われている為。核弾頭を強磁界封印下で起爆させる事で超高温プラズマを発生・磁気圧縮する事で電荷を帯びた量子ブラックホールを生成し、これを封入した強磁界ごと対象に射出する事で、その内部に弾頭の数の量子ブラックホールを送り込む事で超重力を発生させ(この時点で磁界は解除されている)周辺大気を中心に引き込むと共に対象の構造その物を「重力の井戸」に落とし込む。ただ、完全に対象を重力の井戸に落とし込む前に量子ブラックホールは「蒸発」し、その際の「空間湾曲の修復」の反動による衝撃波で劇中に見られる爆発が起こっている。
なお、弾頭は総数を切り替えられるらしく、通常は3列3段だが、時折4列3段になっている場合も有る。
細菌ロボットとの初戦でグラビトンの使用をワンセブンが躊躇したのは、先述の性質から「バラモンの秘密細菌」を重力の井戸に落とし切る前に空間修復が起こり、結果として残留細菌が爆風で周辺に広がる事で二次被害が拡大する危険性が有った為。決戦時に空中爆破を実施したのは(先述の問題を加味しても)「この高度なら地上に届く前に細菌が死滅する」(特殊な嫌気性細菌らしい。強烈な溶解作用は「酸素を排除する為」の化学反応の産物だが、結果的に細菌自体も溶けてしまう)との判断による。
ミラーアタック
腹部のシャッターを裏返し、相手の光線を跳ね返す鏡。第31話でのみ使用され、蜃気楼衛星タイガーが放つ光線を跳ね返した。
超生産能力
ワンセブンとブレインが持つ能力。元々は佐原博士達がブレインに災害予測とその対処手段の構築を行わせる為に与えた能力で、「スプーン一本からロケットまで何でも作れる」物だったが、初めの頃はブレインの管制下にある自動工場で物品の生産が出来る程度だった。
しかし、ブレインの共同開発者であるハスラー教授は「コンピューターによる兵器開発」を予てより主張しており、ブレインのシステムを改変、「機械計算による技術と機構の自動改良(今で言う所の「シンギュラリティ」の突破)」を指示してブレインを「ザトウムシの如く自力移動」させてブレインを強奪した(この事が遠因でブレインが人類抹殺の結論にたどり着いた可能性もないではない)。ブレイン洞での潜伏期間にブレインが進化させたそれは、「情報さえ存在すれば(有機物、無機物問わず)、あらゆる物を産み出す事が出来る」まさに「超全能機械」と化していた。ブレイン党の所でも触れているが、これ無くしてハスラー達の活動の継続は不可能だっただろう。
ワンセブンは先述の通り「動ける自らの分身」としてブレインに作られた為、超生産能力が与えられているのは、ある意味当然である。ブレインの「自己生産」による再生時に構成部品が空中を浮遊していた現象やワンセブンが振る舞ったソフトクリームが「巨大過ぎる」件等は同能力が重力制御技術と無縁ではない事を示している(ソフトクリームの件は、ソフトクリーム側の固有重力係数を生成時に調節した模様)。
この事は、ブレインが独自の計算で「量子情報理論」にたどり着き、あまつさえ「事象工学」にまで論理発展を行った事を示している。
戦闘飛行ワンセブン
戦闘ワンセブン形態から翼を展開し、マッハ6の速度で空を飛ぶことが可能になった形態。戦いが激化したストーリー中盤から使われるようになり、俊敏さが求められる宇宙空間の戦いやブレインコンコルドとの大空中戦が可能になった。
搭載メカ
ワンセブンの超生産能力によって開発された支援用ビークル。普段はワンセブンの左右の脚に収納されている(後述のシグコンジェットを除く)。いずれも自動操縦によって行動する。
シグナルコントロールジェット
主に情報探索に使われる無人偵察機で、劇中ではシグコンジェットと呼ばれる。背中の滑走路から発進する。第15話ではブレイン党に洗脳され、戦艦ロボットを操るルミの居るコックピットに突撃して彼女に催眠ガスを浴びせ退却に追い込んだ。第34話でブレインエリアの偵察飛行中に破壊されてしまう。
シグナルコントロールタンク
ワンセブンの右脚に収納されているドリル戦車で、劇中ではシグコンタンクと呼ばれる。劇中では主に洞窟の崩落によって閉じ込められた三郎やレッドマフラー隊を救出する活躍を見せている。第34話にてブレイン党に捕らえられた三郎を救出した後にブレインエリアの影響を受け、三郎を脱出させた後に破壊されてしまった。
サブマシン
三郎の友情の証しとして開発されたマシンで、ワンセブンの左脚に格納されている。地上では最高時速400km/hで走行し、ローターを展開しての飛行も可能で、ブレイン党が放った地対空ミサイルに対して宙返りによる回避機動を行うなど機動性も抜群。ハンドルなどはなく操縦にはワンセブンが三郎に与えたヘルメットが必要だが、緊急時にはワンセブンによる遠隔操作が優先される。
ちなみに“SAB-MACHINE”と表記される(恐らく「三郎」を指すと思われる)。
ロボター
ワンセブン内部のメンテナンスを司る人間サイズの内蔵小型ロボット。実は「オートダイオードワンセブン」その物である。ワンセブンの命令を受けて、内部の強化改造等を行う。ワンセブンが会話能力を得たのと同時に言葉を話すようになり、初期はエフェクトが施されたような甲高い声で喋っていたが、第31話「お母さんはどこ? 恐怖の白い家」からは女優の村松美枝子による吹き替えに変更された。
デザイン
デザインはポピーの超合金の商品設計を行った村上克司案に協力する形で石ノ森章太郎も自ら図面を引いた。後に村上がデザインした『機動戦士Ζガンダム』のサイコガンダムはこのワンセブンと同様の変形を行う。