概要
1925年8月19日生まれ。本名の読みは「わたなべ みちあき」。
日本のアニメおよび特撮音楽の礎を築いてきた巨匠の一人である。
特徴的なメロディーの節回しや派手なブラス編成に、マイナーペンタトニック、ブルーノートの使用など、渡辺貞夫の影響によりそのややジャズテイストの作風は、宙明サウンド若しくは宙明節と呼ばれ、担当した各作品に準拠するファンに留まらず、多くの熱狂的なファンから支持を獲得している。
息子の渡辺俊幸もまた作曲家で、映画・ドラマ・アニメの音楽やさだまさしのアレンジャーとして知られる。
芸術家アイドルとして活動するマコ・プリンシパル(渡辺真子)は俊幸の娘で彼の孫にあたる。
キャリア
1950年代より新東宝(倒産後は大映・日活・東映等の映画に携わる)の映画音楽を手がけていたが、作曲家人生の指針になった新東宝の『スーパージャイアンツ』シリーズと新東宝の分離組織である国際放映の『忍者部隊月光』(東映制作の劇場版を含む)を経て、作曲家運命を変えた東映児童路線へ進出し、決定打となる1972年に担当した特撮作品『人造人間キカイダー』と続くTVアニメ『マジンガーZ』の楽曲で人気を呼び、菊池俊輔と共に「双璧のWフォワード」として君臨していく。
なお、当初は子供向け作品に関わる事に難色を示したものの、逆に東映の制作部長から「何言ってんだ、子供の方がいいんだよ」と諭されたそうである。
以降、漫画家の石森章太郎(当時)が原作を担当する1975年に開始された『秘密戦隊ゴレンジャー』に1977年の『ジャッカー電撃隊』を併せた二作品を担当し、1979年の『バトルフィーバーJ』から連続して1982年の『大戦隊ゴーグルファイブ』まで主題歌・挿入歌・劇伴のほぼ音楽全般を手がけ、現在(2022年)まで間断なく継続しているスーパー戦隊シリーズの黎明期に於いて音楽面でシリーズの基礎を構築する。
その後も、2011年の『海賊戦隊ゴーカイジャー』まで合体ロボのテーマ等挿入歌の曲単体にて作曲を担当し、シリーズに参加し続けた。
他にも、1982年の『宇宙刑事ギャバン』から始まるメタルヒーローシリーズでは、特に宇宙刑事3部作が代表作となり、2012年公開の劇場用作品『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』に於いて『宇宙刑事ギャバン』関連の劇伴を新たに書き下ろすと云う快挙を成した。
また、特撮ファンにとって国宝級の作曲家である事は勿論、アニメの分野でも先述の『マジンガーZ』に続き1974年の『グレートマジンガー』、1975年の『鋼鉄ジーグ』へとその楽曲製作の手腕をふるうフィールドを広げていった。
近年では、テレビゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』のオリジナルソングや、NHKFMの番組『アニソンアカデミー』の校歌等を作曲している。
2020年8月19日、95歳の誕生日にアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージのイベント内で、氏の作曲による「ヒーローヴァーサスレイナンジョー」が公開され、特撮ファンとアイマスPの度肝を抜いた。
2021年には『機界戦隊ゼンカイジャー』で39年ぶりに(大石憲一郎と共同で)スーパー戦隊シリーズの劇伴を担当。90代で特撮の音楽を手掛けるというギネス級の偉業を成し遂げた。
2022年6月23日午前、心不全で東京都内の病院で死去。享年96歳。生涯現役の人生を全うした。
ちなみにその1ヶ月半後には『マジンガーZ』に出演した声優の大竹宏が、さらにその4ヶ月後には主題歌を担当した歌手の水木一郎も亡くなっている。
なお、生前最後のTV出演となった『クラシックTV』(2022年5月放送)にて「作曲家として、今後目指すところを教えてください」という質問をされた際には「もう、やる事やったし、とりあえず一休みしようかなと。過去の作品がたくさんありますから、印税はクッと入ってくるし」と、約70年のキャリアを誇る氏らしいユーモアのある発言をしていた。
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