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すぎやまこういち

すぎやまこういち

日本の作曲家。故人。CM音楽・歌謡曲・アニメソング・ゲーム音楽界の大家として知られた。
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概要編集

作曲家。本名:椙山浩一(読み同じ)。


昭和6年(1931年)4月11日生まれ、O型。東京都出身。

ドラゴンクエストシリーズの作曲担当として知られているが、一般の歌謡曲やアニメソングも手掛けており、70年代のグループサウンズブームの担い手であった。

強硬な保守思想の持ち主であり、政治的活動もしている。著作権保護の取り組みにも熱心である。


令和3年(2021年)9月30日、敗血症性ショックのため亡くなった。享年90歳。訃報を掲載したスクウェア・エニックスのページには堀井雄二鳥山明からのコメントも掲載された。



経歴編集

東京大学教育学部教育心理学科卒業。


若い頃から音楽好きで学生時代から作曲をしていたが、そのキャリアの出発点は作曲家ではなく、放送ディレクターとしてでであった。大学卒業後、文化放送に入社。報道部へ配属、番組で使用する曲の選定等を担当。のちに希望であった芸能部に勤務。


1958年、これからはテレビの時代と感じ開局前年のフジテレビへ移籍。ディレクターとしての仕事をつとめるかたわら副業としてCMソングの作曲を手がけていたが、その後CMソング以外の曲も手掛けるようになっていくと自分の作った曲を自分が手掛けた番組で取り上げられるときに何かと不都合が生じてしまった。また、著作権料をめぐってJASRACとフジテレビが対立したこともあり、その結果フジテレビを退職、フリーディレクター時代を経て、1968年から本格的に作曲家専業となった。多くの歌謡曲、競馬場のファンファーレを手がけ、ヒット曲も多い。


1978年、『科学忍者隊ガッチャマン』の音楽を担当し、これをきっかけにアニメ作品のBGMを手がけるようになる。

このガッチャマンでは曲の使われ方が酷かったという理由で一つの楽曲を買い戻している。後に『ドラゴンクエストⅥ』で使われる事となる『時の子守唄』がソレである。


ドラゴンクエストシリーズをはじめゲーム音楽家としても名高いが、初代『ドラゴンクエスト』の音楽を手がけた時点ですぎやまは既に押しも押されもせぬ有名作曲家であった。すぎやまがパソコンソフトの森田将棋のアンケートを送ったことがきっかけで、エニックスの上部だった千田幸信(後のスクウェア・エニックス取締役)の紹介で起用が決まった。

しかし、当時のゲームは、大学生のサークルの延長のノリで作られており、そこに途中から外部の人間、それも50代の大人を入れることに、制作チームから強い反発があった。特に、プログラマーの中村光一は「いくら有名な作曲家でも、ゲームのわからない人を雇ってもいい作品ができるわけがない」と猛反対していた。※参加時点で作曲をしていたのが中村だったのも理由の一つ。

説得のため、千田同伴で中村の下を訪れたところ、最初は警戒されていたが、当時からゲーマーだったすぎやまが自身のゲーム造詣の深さを話すと次第に中村らチュンソフトのスタッフと打ち解けるようになっていき、正式に依頼を受けることとなった。

当時ファミリーコンピュータは最大3音源、効果音が加わると実質2音源しか使えないと言う制約があったことから、プロの作曲家は難色を示すに違いないという開発陣の懸念に対しても、すぎやまはバッハフルートソロのための組曲を書き上げたことを引き合いに出して 、「音源が少ないから作曲できないなんていうのはプロではない」と言い切ったという。

マスターアップまで残り一週間しかない中、8曲作り上げた。メインテーマである「序曲」に至ってはわずか5分で仕上げたと語る。

1986年当時54歳のベテラン作曲家のすぎやまが、若者の娯楽にすぎず、文化として認められていなかったコンピュータゲームの地位向上に果たした役割は大きい。

その後もドラゴンクエストシリーズの曲を手掛けることになるのだが、それだけでなくすぎやま本人がデバッガーの1人として参加していると言えるくらいには製作中のゲームに意見を出していた模様。


後に若者に気取らずにオーケストラを視聴する機会を持ってもらいたい、とのことから

渋谷公会堂で自ら指揮棒を振るってNHK交響楽団を率いたドラゴンクエストコンサートをはじめ

各地でゲームミュージックのオーケストラ演奏会を行っていた。


2016年9月、85歳にして「世界最高年齢でゲーム音楽を作曲した作曲家」としてギネス世界記録に登録された。

また2020年には同年度の文化功労者に三枝成彰らと共に選出されている。


JASRAC等にも影響を与えており、著作権保護に関しても積極的な姿勢を持っている。


2021年9月30日、敗血症性ショックにより死去。享年90歳。

その死を追悼し、同年10月10日に東京競馬場で実施された中央競馬の重賞競走「毎日王冠(GⅡ)」では、同氏が作曲を手掛けた、本来GⅠレース用の本馬場入場曲「グレード・エクウス・マーチ」と、同じくGⅠレース用ファンファーレが演奏された。


参加作品編集

アニメ編集


※1)実際に作編曲を担当したのは松尾早人

※2)編曲は松尾早人・武内基朗両名によるもの。


特撮編集


ゲーム編集


※)新曲提供は2まで。以降は既存曲の流用に留まり、3~5は松尾早人、6はノイジークロークが新曲を担当している。


楽曲提供編集


逸話編集

  • 最終学歴を見ればわかるように、音楽に関して専門教育を受けたことはなく、もっぱら独学であった。もともとは音大志望であったが、学費が払えなかったため、一般の大学に進学したという(音大受験に必須のピアノが弾けなかったから、とも)。
  • 『ドラゴンクエスト』のメインテーマである『序曲』を5分で書き上げたという逸話が有名だが、これに関しては「今までの人生があったからこそ5分でできた。だから正確には54年+5分かかっている」と語っている。この言葉はピカソのエピソード(30秒で描き上げた絵に100万ドルの値段をつけ、「この作品は30年と30秒かかっている」と語った)からの引用である。
  • 名義は当初、本名の「椙山浩一」を用いていたが、「椙山」を「まさやま」と誤読されることが多かったため、ひらがな表記に改めた。このせいで、ゲームのアンケートはがきを送った時に、小学生だと思われたことも。
  • ハードウェアの進歩と共にゲーム音楽の音数の制限の枷が無くなった事について「三音だった頃からするとものすごく贅沢になりました。あの頃できなかった音も使える」といった事をNHK-FMの「今日は一日ゲーム音楽三昧Ⅱ(ツヴァイ)」での特別出演の際に語っている。
  • 強い保守思想の持ち主であり、2006年に『週刊金曜日』と永六輔が主催した演劇が皇室を揶揄するような内容であったことに激怒。「普段は人権、人権と言うくせに、実はそれが彼らの正体なんですよ」と厳しく批判した。
  • また、永六輔が、 童謡七つの子』など野口雨情の名作を根拠もなく「強制連行された朝鮮人の歌」などといったことに関しても激怒している。
  • 桑田佳祐はすぎやまの才能への敬意を語っており「君だけに愛を」「学生街の喫茶店」「恋のフーガ」「銀河のロマンス」を『ひとり紅白歌合戦』でカバーしている。特に「学生街の喫茶店」に関しては「ものの見事に完成されたプログレッシブ・ロックなんだよね」とNHKの特番で高く評価している。また、学生時代に茅ヶ崎の床屋で当時すぎやまがパーソナリティを担当していた『日立 サウンド・イン・ナウ』(FM東京)を聴いていたという思い出話を自身のラジオ番組で語っており、作曲家としてだけでなくラジオパーソナリティ及び一人の人間としてのすぎやまへの敬意と思い入れの深さが窺える発言を度々行っている。
  • 精神科医の香山リカドラゴンクエストシリーズのファンであるものの、すぎやまの政治思想が嫌いなため、音を消してプレイしている事を明かしている。一方ですぎやまが死去した際には「私がつらく厳しい研修医生活を乗り切れたのは、夜にドラクエをプレイできたからです。すぎやま先生には感謝しており、ご冥福を心より祈っております」とTwitterでコメントした。
  • かなりの愛煙家であり、「喫煙文化研究会」のトップを、亡くなるまで務めていた。
  • 楽曲を提供するゲームは必ず自らテストプレイをしていたが、その内容は全てレベルカンスト、隠し要素までコンプリートするという見事なまでの廃人プレイである。この「自らプレイする」というこだわりは、逆に言えば「プレイできないゲームには楽曲提供をしない」ということでもあり、『ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』はコントローラーを振るというプレイスタイルが体力的にしんどいという理由で作曲を辞退し、代理に松前真奈美を推薦している。
  • 大のゲーム好きとしても有名で、古典ゲームやモノポリー等のボードゲームなど世界中のあらゆるゲームを収集していた。また、コンピューターゲームが登場する1980年代まで六本木のゲームセンターに通い詰めていたといい、パソコンゲームや家庭用ゲームも多数所有していた。この収集癖に奥様が苦言を呈したところ、「浮気するよりいいだろ」と返したほどゲームへの興味は一際に強かった。

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