概要
カトリックの布教を目的として、聖パウロ修道会が1951年に開局した「財団法人日本文化放送協会」が前身。
開局時にNHKからレッドパージされた職員を採用したために労働争議が発生。宗教色の強さによる警戒感、娯楽番組の少なさによる聴取率低迷、放送地域の狭さなどで経営が悪化、放送内容も共産主義に偏向的なものとなったため、反米化した日本労働組合総評議会(総評)に乗っ取られるうわさが絶えなかった。
これに危機感を抱いた財界は旺文社、講談社等の出版社などと協力して対抗策をとった。これにより聖パウロ修道会と聖パウロ女子修道会は放送局の運営からの撤退を余儀なくされ、財団法人日本文化放送協会は解散した。しかし2019年現在も聖パウロ修道会は筆頭株主であり、役員を送り込んでいる。
東京急行電鉄、旺文社、講談社、大日本印刷、小学館、東映など出版界や財界の出資により、1956年2月13日に株式会社文化放送が設立、2月14日には無線局免許が引き継がれた。
文化放送は財団法人時代からテレビ放送免許を申請したが、周波数が足りないため実現しなかった。1957年にニッポン放送と共同でフジテレビを設立したため、フジサンケイグループの一員で、フジ・メディア・ホールディングスの株主となっているが、他のフジサンケイグループとの関わりは薄く、フジサンケイグループ共通の目玉マークは採用していない。
プロ野球中継は在京ラジオ局としては珍しく読売ジャイアンツ戦を取り上げず、一貫して埼玉西武ライオンズ戦に特化している。ただし日曜日のプロ野球中継は2012年限りで、土曜日のプロ野球中継は2018年限りで、それぞれ廃止された。
また、放送エリア内の箱根はもちろん、出雲、全日本も含めて三大大学駅伝をすべて中継する。
株式会社設立時から旺文社が株主であり、民間放送教育協会に加盟。夜や深夜時間帯には教育・教養番組が多かったが、1995年に編成を転換、現在はアニメ分野に特化している。
土居まさる、みのもんた、梶原しげる、吉田照美、小俣雅子と言った名ラジオパーソナリティーを次々と輩出したラジオ局である。また、小説家の落合恵子もアナウンサーとして在籍した事がある。
さらに、三島由紀夫防衛庁立てこもり事件の全てを伝えたラジオ局であるが、これは当時の本社スタジオが事件が発生した防衛庁市ヶ谷庁舎の近所だったため。しかもこの時木にマイクロフォンをくくりつけて三島の肉声をキャッチすることに成功した報道記者は、のちに社長に就任している。さらにNHK総合の番組「アナザーストーリー」でこの事件が取り上げられた際には証言者として出演している。
野坂昭如作詞、いずみたく作曲という「ラジオ大阪の歌」と同じ豪華コンビで1961年から2015年まで使われていた初代QRソングは「文化放送♪、文化放送♪、JOQR♪」と歌っており、JOQRは放送や電波にあまり興味がない一般リスナーに最も有名なコールサインであろう。
古くはザ・ピーナッツが歌唱を担当、その後キャンディーズや尾崎亜美、西村知美を始めとする女性アイドル、後述の関係もあり水樹奈々などが歌っていた。
2015年のワイドFM開始にあわせて一旦使用を停止、新たなステーションサウンド(歌うのは声優の山村響)を導入したが、2022年の開局70周年にあわせて2021年4月よりQRソングの使用を再開(こちらも山村バージョンが作られている)。今ではQRソングと新ステーションサウンドが併用されている。
…が、関東一円に住むPixivユーザーにとっては、抱くイメージが全く異なるはずである。
随一のアニメ分野特化局
「超!A&G」と銘打つほどに、アニメやゲームなどのサブカルに特化した番組を多数擁しており、特に1990年代以降に高校生だった人たちは、週末どのラジオ局を聴いているかでその人のなりがバレるほどであった。
テレビ東京グループのアニメ専門チャンネルAT-Xに出資している。
文化放送の主な番組(現行番組・過去に放送された番組含む。ただし、いわゆる「アニラジ」は除く)
超!A&Gの主な番組は「超!A&G」の記事を参照。
- 武田鉄矢・今朝の三枚おろし
- 大竹まこと ゴールデンラジオ!
- スパカン!
- リッスン? 〜Live 4 Life〜
- レコメン!
- 嵐・相葉雅紀のレコメン!アラシリミックス
- 走れ!歌謡曲
- みのもんたのウィークエンドをつかまえろ
- 録音風物誌
- 大学受験ラジオ講座
- 百万人の英語
- セイ!ヤング
- 全国歌謡ベストテン
- 青春大通り
- ミスDJリクエストパレード
- 川中美幸 人・うた・心
- 吉田照美のてるてるワイド
- 青春キャンパス
- 吉田照美のやる気MANMAN!
- 伊東四朗吉田照美 親父・熱愛
- 純喫茶 谷村新司
- Come on FUNKY Lips!→LIPS PARTY 21.jp
- 氷川きよし節→氷川きよし 限界突破RADIO
- ニュース・パレード
- 野村邦丸の気分はZUNZUN!→ごきげん!二重丸◎→くにまるワイド ごぜんさま〜→くにまるジャパン→くにまるジャパン 極→くにまる食堂
- おとなりさん
- おはよう寺ちゃん
- ロンドンブーツ1号2号 田村淳のNewsCLUB
- 鷲崎健のヒマからぼたもち
ただし『Come on FUNKY Lips!』では一時期國府田マリ子が月曜日のパーソナリティを、『走れ!歌謡曲』では冨永みーなや新山志保や千本木彩花がパーソナリティを、それぞれ務めた事があった。さらに『走れ!歌謡曲』の後継番組である『ヴァイナル・ミュージック〜歌謡曲2.0〜』では、豊田萌絵が火曜日のパーソナリティを務めた。
送信所
川口送信所
送信所所在地 | 埼玉県川口市赤井3丁目9番16号 |
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送信空中線 | 136.69m支線式円管柱 |
周波数 | 1134KHz |
出力 | 100kw |
1937年までは現在のNHK東京放送センターにあたる東京中央放送局(コールサイン:JOAK)が新郷放送所として使用しており、当時の局舎も残されていたが、2010年に取り壊された。
敷地内には桜が多数植えられており、春は「川口桜まつり」会場として花見客向けに一般開放される。また新入局員の研修にもこの送信所を用いる。
新宿予備送信所
送信所所在地 | 新宿区若葉1丁目5番地 |
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送信空中線 | 短縮変形モノポール |
出力 | 1kw |
この新宿予備送信所はかつての文化放送本社屋上にあり、日曜深夜に頻繁に試験放送を実施していた。浜松町移転後、旧本社は取り壊され文化放送が施主の賃貸マンション「ランテンヌ四谷」が落成。その屋上には引き続き予備送信所が置かれている。
墨田FM補完中継局
送信所所在地 | 墨田区押上一丁目1番13号(東京スカイツリー) |
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送信空中線 | 不明 |
周波数 | 91.6MHz |
出力 | 7kw |
川口送信所が災害等により放送継続ができなくなった場合の対策、都市化による難聴取対策などを目的としてFMで送信を行う中継局。文化放送にとっては初めての中継局となる。アンテナは同じ在京中波放送局であるTBSラジオ、ニッポン放送と共同で東京スカイツリーに設置。受信にはかつてアナログテレビ放送が行われていた頃に販売されていたテレビVHF1ch-3chも受信できるラジオか、FM補完中継局(ワイドFM)対応ラジオが必要。
なお、ワイドFM開始後、前述のQRソング(初代)は使用停止となり、2代目となるステーションサウンドが使われるようになった。そちらではAM・1134、FM・916が歌詞に織り込まれている。
QRソングも2022年3月末の開局70周年記念企画としてリニューアルバージョンを制作し2021年4月改編より用いている。
ちなみに新ステーションサウンド・QRソングリニューアルバージョン、いずれも歌唱は歌手としても活動している声優の山村響が担当している。
ちなみに
韓国にも「株式会社文化放送」は存在する。略称はMBC。韓国政府の影響を強く受けた放送局である一方で、日本のフジテレビやFM福岡と提携しており、MBC本社にフジテレビソウル支局、フジテレビ本社にMBC東京支局がある。また、日本の文化放送とも交流し、2002年にはFIFAワールドカップを記念して両局のラジオで同時放送が行われた。
韓国の文化放送(読みは「ムナほうそう」)については→文化放送(韓国)を参照のこと。
関連タグ
東京ヤクルトスワローズ - 国鉄スワローズがフジサンケイグループと提携した背景として、セントポール放送協会と国鉄が設立を進めていたラジオ東都が免許を一本化し日本文化放送協会を設立した歴史的経緯がある。