概要
1984年、JRAは欧米に倣って競走の格付けを行ったが、これは国際的な承認の得られていないJRA独自のものであった(1992年にジャパンカップが国際GⅠに認定されるなど、一部のレースは国際的にも承認されていたが、表記上の区別はなかった)。2007年に日本の競馬が国際セリ名簿基準委員会により最上級のパート1に格付けられたため、これ以降にGⅠを含めたグレード(G)がつく重賞競走は国際的にも通用するレースの格付けとなる。
なおパート1競走を開催している国で他にグレードを使用しているのはアメリカ、カナダ、南アフリカ、韓国と少数派で、欧州、南米、オセアニア、中東、香港ではGはグループの略だが、グループとグレードに関しては厳密な使い分けはなくまとめてGⅠ○勝と表現される。
一方、地方競馬場で実施されるダードグレード競走など、日本が独自の格付けを行っているレースもかつては「統一G」表記がされていたが、2007年以降は「Jpn」表記が用いられている(2007年から2009年までのJRA開催の一部重賞にも「Jpn」となっているレースがある)。また地方競馬では競馬場ごとにこれ以外の独自の格付けも実施されている。なお、地方競馬のJpn格付けは2028年から段階的に廃止、該当競走は国際グレードを取得する予定が組まれている。
格付けに使う数字の表記については、ローマ数字(Ⅰ~Ⅲ)とアラビア数字(1~3等)が混在することもある。
1984年にグレード制が導入された際にGⅠに格付けされたレースは15競走。1999年には障害競走もグレード制が導入され、2022年1月現在のJRAのGⅠレースは平地(GⅠ)24+障害(J・GⅠ)2の合計26。地方競馬である大井競馬場で開催される東京大賞典を加えて日本全体では27となる。
GⅠ競走一覧
昇格順(昇格が同年の場合は設立順)
※☆は旧八大競走。
※【木】は、木曜日に枠順が発表される競走。(通常は金曜日)
競走名 | 競馬場 | 距離 | 設立年月日 | 昇格年 | 前身・旧競走名 |
---|---|---|---|---|---|
☆東京優駿(日本ダービー)【木】 | 東京 | 芝2400 | 1932年4月24日 | 1984年 | 東京優駿大競走→東京優駿競走→優駿競走→東京優駿競走 |
☆天皇賞(秋)【木】 | 東京 | 芝2000 | 1937年12月3日 | 1984年 | エンペラーズカップ→帝室御賞典 |
☆天皇賞(春)【木】 | 京都 | 芝3200 | 1938年5月15日 | 1984年 | エンペラーズカップ→帝室御賞典→平和賞 |
☆優駿牝馬(オークス)【木】 | 東京 | 芝2400 | 1938年11月23日 | 1984年 | 阪神優駿牝馬 |
☆菊花賞【木】 | 京都 | 芝3000 | 1938年12月11日 | 1984年 | 京都農林省賞典四歳呼馬→京都農商省賞典四歳呼馬→農林省賞典四歳馬 |
☆桜花賞【木】 | 阪神 | 芝1600 | 1939年4月9日 | 1984年 | 中山四歳牝馬特別→櫻花賞 |
☆皐月賞【木】 | 中山 | 芝2000 | 1939年4月29日 | 1984年 | 横浜農林省賞典四歳呼馬→農商省賞典四歳→農林省賞典 |
朝日杯フューチュリティステークス | 阪神 | 芝1600 | 1949年12月3日 | 1984年 | 朝日盃3歳ステークス→朝日杯3歳ステークス |
阪神ジュベナイルフィリーズ | 阪神 | 芝1600 | 1949年12月18日 | 1984年 | 阪神3歳ステークス→阪神3歳牝馬ステークス |
安田記念 | 東京 | 芝1600 | 1951年4月29日 | 1984年 | 安田賞 |
☆有馬記念【木】 | 中山 | 芝2500 | 1956年12月23日 | 1984年 | 中山グランプリ |
宝塚記念【木】 | 阪神 | 芝2200 | 1960年6月26日 | 1984年 | 第1回から変更なし |
エリザベス女王杯 | 京都 | 芝2200 | 1976年4月29日 | 1984年 | ビクトリアカップ |
ジャパンカップ【木】 | 東京 | 芝2400 | 1981年4月29日 | 1984年 | 第1回から変更なし |
マイルチャンピオンシップ | 京都 | 芝1600 | 1984年11月18日 | 1984年 | 第1回から変更なし |
スプリンターズステークス | 中山 | 芝1200 | 1967年7月9日 | 1990年 | スプリンターズステークス→英国フェア開催記念→読売杯スプリンターズステークス→読売スプリンターズステークス |
高松宮記念 | 中京 | 芝1200 | 1971年6月27日 | 1996年 | 中京大賞典→高松宮杯 |
NHKマイルカップ | 東京 | 芝1600 | 1996年5月12日 | 1996年 | NHK盃→NHK杯 |
秋華賞 | 京都 | 芝2000 | 1996年10月20日 | 1996年 | 第1回から変更なし |
フェブラリーステークス | 東京 | ダート1600 | 1984年2月18日 | 1997年 | フェブラリーハンデキャップ |
中山大障害 | 中山 | 障害4100 | 1934年12月5日 | 1999年 | 大障碍特別競走→中山大障碍特別→農林省賞典障碍→中山農林省賞典障碍→農林省賞典障碍→中山大障碍 |
中山グランドジャンプ | 中山 | 障害4250 | 1999年4月1日 | 1999年 | 大障碍特別競走→中山大障碍特別→農林省賞典障碍→中山農林省賞典障碍→農林省賞典障碍→中山大障碍→中山大障害(春) |
チャンピオンズカップ【木】 | 中京 | ダート1800 | 2000年11月25日 | 2000年 | ジャパンカップダート |
ヴィクトリアマイル | 東京 | 芝1600 | 2006年5月14日 | 2006年 | 第1回から変更なし |
東京大賞典※ | 大井 | ダート2000 | 1955年10月16日 | 2011年 | 秋の鞍 |
大阪杯 | 阪神 | 芝2000 | 1957年3月17日 | 2017年 | 大阪盃競走→サンケイ大阪盃→サンケイ大阪杯→産経大阪杯 |
ホープフルステークス | 中山 | 芝2000 | 1984年12月9日 | 2017年 | ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス→ラジオたんぱ杯3歳ステークス→ラジオたんぱ杯2歳ステークス→ラジオNIKKEI杯2歳ステークス |
※東京大賞典は国際格付けGⅠ競走で唯一、地方競馬(大井競馬場)で実施される競走である。
開催順
※2024年時点
2月
フェブラリーステークス
3月
高松宮記念→大阪杯
4月
桜花賞→中山グランドジャンプ→皐月賞→天皇賞(春)
5月
NHKマイルカップ→ヴィクトリアマイル→優駿牝馬(オークス)→東京優駿(日本ダービー)
6月
安田記念→宝塚記念
9月
スプリンターズステークス
10月
秋華賞→菊花賞→天皇賞(秋)
11月
エリザベス女王杯→マイルチャンピオンシップ→ジャパンカップ
12月
チャンピオンズカップ→阪神ジュベナイルフィリーズ→朝日杯フューチュリティステークス→
中山大障害→有馬記念→ホープフルステークス→東京大賞典
国際GⅠ指定年
国際セリ名簿基準委員会(ICSC)により国際GⅠに指定された年。国内の格付けの変更ではないが、日本では国内の格付けと食い違う国際グレード(国内ではGⅠ級競走だが国際レーティングではGⅡ相当である等)を取得しない傾向にある。
- 1992年
ジャパンカップ
- 2001年
宝塚記念
- 2004年
安田記念、マイルチャンピオンシップ
- 2005年
スプリンターズステークス
- 2007年
フェブラリーステークス、高松宮記念、天皇賞(春)、天皇賞(秋)、エリザベス女王杯、ジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)、有馬記念
- 2009年
NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイル、秋華賞
- 2010年
桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティステークス
- 2011年
東京大賞典
- 2017年
大阪杯、ホープフルステークス
JpnⅠ競走
1995年にJRAとNAR(地方競馬全国協会)の交流が始まった。
創設順
競走名 | 設立年月日 | 昇格年 | 前身・旧競走名 | 施行競馬場・距離 |
---|---|---|---|---|
全日本2歳優駿 | 1950年8月13日 | 2002年 | 全日本三才優駿→全日本3歳優駿 | 川崎 ダート1600 |
川崎記念 | 1951年1月21日 | 1998年 | 開設記念 | 川崎 ダート2100 |
帝王賞 | 1978年4月27日 | 1997年 | 第1回から変更なし | 大井 ダート2000 |
マイルチャンピオンシップ南部杯 | 1988年10月9日 | 1997年 | 北日本マイルチャンピオンシップ南部杯 | 盛岡 ダート1600 |
かしわ記念 | 1989年5月17日 | 2005年 | 第1回から変更なし | 船橋 ダート1600 |
ジャパンダートクラシック | 1999年7月8日 | 1999年 | スーパーダートダービー→ジャパンダートダービー | 大井 ダート2000 |
JBCクラシック | 2001年10月31日 | 2001年 | 第1回から変更なし | 変動(持ち回り) ダート2000※ |
JBCスプリント | 2001年10月31日 | 2001年 | 第1回から変更なし | 変動(持ち回り) ダート1200※ |
JBCレディスクラシック | 2011年11月3日 | 2011年 | 第1回から変更なし | 変動(持ち回り) ダート1800※ |
東京ダービー | 1955年5月15日 | 2024年 | 春の鞍→東京都ダービー | 大井 ダート2000 |
羽田盃 | 1956年4月18日 | 2024年 | 大井盃 | 大井 ダート1800 |
さきたま杯 | 1997年9月15日 | 2024年 | 第1回から変更なし | 浦和 ダート1400 |
※JBC3競走は開催地によって距離が若干変動する。
また、2011年のマイルチャンピオンシップ南部杯は東日本大震災の影響で盛岡競馬場が使用不能となってしまったため、姉妹提携を結んでいるJRAの東京競馬場にてJRA主催の競走として実施された。この場合でも京都競馬場で行われたJBC同様、格付けはGⅠではなくJpnⅠとなっていた。
開催順
※2024年時点
4月
川崎記念→羽田盃
5月
かしわ記念
6月
東京ダービー→さきたま杯→帝王賞
10月
ジャパンダートクラシック→マイルチャンピオンシップ南部杯
11月
JBC3競走
12月
全日本2歳優駿
かつて存在したGⅠ競走
ダートグレード競走
2007年にダートグレードを返上、2008年から休止。2010年に地方全国交流競走として復活。2024年度より不来方賞に併合される形で廃止。
その他の公営競技におけるGⅠ
競馬以外の公営競技では、GⅠは最高グレードの競走とはなっていない。
競艇
上から、SG(スペシャルグレード)→PG1(プレミアムG1)→G1→G2→G3→一般戦 となっている。この内SGとPG1は毎年開催場は代わる(持ち回り)。また各競艇場では毎年最低1回はG1が行われる形になっている。
競輪
上から、GP→G1→G2→G3→F1→F2 となっている。F1とF2が一般戦にあたる。
オートレース
上から、SG→特別G1→G2→普通開催 となっている。かつてはG3もあったが廃止されている。