世界がくる。
2012年JRA CM「ジャパンカップ」編より
- メイン画像は2018年・2020年のJRA・ジャパンカップの優勝馬であるアーモンドアイ(クリストフ・ルメール騎乗)。特に2018年のジャパンカップではレース・コース双方のレコードを記録した。
曖昧さ回避
- 日本の中央競馬(JRA)の国際GⅠレース
- ロードレース(自転車競技)の「ジャパンカップサイクルロードレース」の略称
- ミニ四駆の「ミニ四駆全日本選手権ジャパンカップ」の略称
その他多数あるが、本項は競馬のレースについて述べる
競馬
11月下旬に開催されるJRAの国際GⅠレース。東京競馬場の芝2400m(※1)で争われる。
日本競馬において1970年代後半から唱えられていた「世界に通用する強い馬づくり」のスローガンを実現する一環として、1981年、日本初の国際招待競走としてスタート。
創設当初より八大競走と同格のレースとして扱われており、1984年のグレード制導入に伴いGⅠに格付けされた他、さらに1992年には日本競馬初の国際GⅠレースに指定された。
2000年からは秋古馬三冠競走の2戦目として位置づけられている他、2008年からスタートした国際競走シリーズ『ジャパン・オータムインターナショナル』の第3戦に指定されている(他の指定競走はエリザベス女王杯・マイルチャンピオンシップ・チャンピオンズカップ)。
なお、本競走は2014年にスイス発祥の世界大手時計メーカー・ロンジンとパートナーシップを締結した。公式計時もロンジンがサポートしており、2022年現在の正式名称も「ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 ジャパンカップ」となっている。
秋の天皇賞は1番人気が12連敗(88~99年 ※2)していた事で有名だが、実はジャパンカップもそれを上回る14連敗を記録(86年~99年)していた。秋の天皇賞同様テイエムオペラオーがそれを止めてから1番人気馬も勝つようになっていった。
- ※1 2002年の第22回のみ東京競馬場改修工事のため、中山競馬場の芝2200mで行われた。
- ※2 グレード制導入後の記録。最長は17連敗(66~83年)。
競走条件
出走資格:サラ系3歳以上(出走可能頭数:最大18頭)
JRA所属馬
地方競馬所属馬(選定馬のみ)
本競走に出走登録した外国馬(優先出走)
負担重量:定量(3歳56kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減)
日本馬の出走権
レーティング110(牝馬は106)以上の上位5頭に優先出走権が与えられる(レーティングが同じ値の場合は「近走成績や距離実績などを総合的に勘案して」順位をつけているとしている)。
その他は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI競走の収得賞金」の総計が多い順に出走できる。
外国馬の出走権
編集
出馬投票を行った外国馬は、優先出走が認められている。
また、JRAが指定した競走(下表参照)の上位馬に対し優先出走権を与えている。
開催国・競走名 | 格 | 競馬場 | 距離 | 優先出走権対象馬 | 付与年 |
---|---|---|---|---|---|
イギリスキングジョージ6世&QES | GⅠ | アスコット | 芝2406m | 1着馬・2着馬 | 2008年 |
フランス凱旋門賞 | GⅠ | パリロンシャン | 芝2400m | 1着馬・2着馬 | 2008年 |
アイルランドチャンピオンS | GⅠ | レパーズタウン | 芝2011m | 1着馬 | 2008年 |
ドイツバーデン大賞 | GⅠ | バーデンバーデン | 芝2400m | 1着馬 | 2008年 |
アメリカ合衆国アーリントンミリオンS | GⅠ | アーリントンパーク | 芝2011m | 1着馬 | 2009年 |
アメリカ合衆国ブリーダーズCターフ | GⅠ | 持ち回り | 芝2414m | 1着馬 | 2009年 |
近年の動向と褒賞金制度
創設時から国内の最高賞金レースであり、現在も有馬記念と並んでその地位を維持しているが、近年は日本馬の成績向上に加え、外国馬の受け入れ体制の煩雑さや帯同馬の出走可能レースの少なさ、同時期に開催される香港国際競走の存在もあって海外有力馬の参戦は減少傾向にある。
この対策として2021年からジャパンカップ前日と当日の東京競馬場で行われる2勝クラス戦・3勝クラス戦からそれぞれ2レース(施工条件はダート1400m戦と芝2000m戦)・計4レースを国際競走に指定した他、2022年の秋競馬より東京競馬場内に建設した国際厩舎の運用を開始。
更には賞金面も、2014年時点で1着賞金が2億5000万円だったのを2015年から3億円に、2021年には4億円に引き上げた他、2023年からは5億円へ増額される予定である。
なお賞金とは別に、出走馬のうち指定する外国競走24レース(下表)のいずれかを当年に優勝した馬には褒賞金が交付されることになっている。 褒賞金の金額は下表を参照のこと。
褒賞金の額
本競走1着馬 | 本競走2着馬 | 本競走3着馬 | 左記以外 | |
---|---|---|---|---|
外国調教馬 | 300万米ドル | 120万米ドル | 75万米ドル | 20万米ドル |
日本調教馬 | 200万米ドル | 40万米ドル | 25万米ドル | 10万米ドル |
指定外国競走
開催国・競走名 | 格 | 競馬場 | 距離 |
---|---|---|---|
イギリスキングジョージ6世&QES | GⅠ | アスコット | 芝2406m |
フランス凱旋門賞 | GⅠ | パリロンシャン | 芝2400m |
アイルランドチャンピオンS | GⅠ | レパーズタウン | 芝2011m |
ドイツバーデン大賞 | GⅠ | バーデンバーデン | 芝2400m |
アメリカ合衆国アーリントンミリオンS | GⅠ | アーリントンパーク | 芝2011m |
アメリカ合衆国ブリーダーズCターフ | GⅠ | 持ち回り | 芝2414m |
イギリス英ダービー | GⅠ | エプソム | 芝2420m |
フランス仏ダービー | GⅠ | シャンティイ | 芝2100m |
アイルランド愛ダービー | GⅠ | カラ | 芝12f |
カナダカナディアンインターナショナルS | GⅠ | ウッドバイン | 芝2414m |
オーストラリアコックスプレート | GⅠ | ムーニーヴァレー | 芝2040m |
フランスパリ大賞 | GⅠ | パリロンシャン | 芝2400m |
イギリスインターナショナルS | GⅠ | ヨーク | 芝2063m |
フランスサンクルー大賞 | GⅠ | サンクルー | 芝2400m |
アラブ首長国連邦ドバイシーマクラシック | GⅠ | メイダン | 芝2410m |
イギリスチャンピオンS | GⅠ | アスコット | 芝2004m |
イギリスプリンスオブウェールズS | GⅠ | アスコット | 芝2004m |
イギリスエクリプスS | GⅠ | サンダウン | 芝2004m |
アメリカ合衆国ソードダンサーS | GⅠ | サラトガ | 芝2414m |
アメリカ合衆国ジョーハーシュターフクラシック | GⅠ | ベルモントパーク | 芝2414m |
オーストラリアコーフィールドC | GⅠ | コーフィールド | 芝2400m |
オーストラリアメルボルンC | GⅠ | フレミントン | 芝3200m |
アメリカ合衆国マンハッタンS | GⅠ | ベルモントパーク | 芝2011m |
オーストラリアタンクレッドS | GⅠ | ローズヒルガーデンズ | 芝2400m |
2023年、当年のドバイシーマクラシックを勝利した日本馬イクイノックスがジャパンカップにも勝利したため、褒賞金200万ドルを手にした。
歴代優勝馬
※外国調教馬のみ生産国を記載。特に記載がないのは日本調教馬。馬齢は現表記。海外所属の外国人騎手のみ所属国を記載。特に記載がないのは日本・JRA所属。
回次 | 開催年 | 優勝馬 | 性齢 | 国 | 騎手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
昭和時代 | ||||||
第1回 | 1981年 | メアジードーツ | 牝5 | アメリカ | C.アスムッセン<アメリカ> | 基準タイム2:25:3。当時の芝2400の日本レコード及びコースレコードを更新。 |
第2回 | 1982年 | ハーフアイスト | 牡3 | アメリカ | D.マクベス<アメリカ> | 初の3歳制覇。上位3頭がクビ差の接戦。 |
第3回 | 1983年 | スタネーラ | 牝5 | アイルランド | B.ラウス<アイルランド> | アイルランド産馬初のJC優勝。2着のキョウエイプロミスはレース後に故障し引退。 |
グレード制導入 | ||||||
第4回 | 1984年 | カツラギエース | 牡4 | 西浦勝一 | 日本調教馬&日本人騎手初制覇。初の三冠馬同士の対決として注目されていた同年の無敗三冠馬シンボリルドルフは3着でキャリア初の敗戦、前年の三冠馬ミスターシービーは10着と大敗。 | |
第5回 | 1985年 | シンボリルドルフ | 牡4 | 岡部幸雄 | 2着に地方所属のロッキータイガーが入線し日本勢初のワンツーフィニッシュ。 | |
第6回 | 1986年 | ジュピターアイランド | 牡7 | イギリス | P.エデリー<アイルランド> | レコード2:25:0。JC最高齢優勝(7歳)。ラストラン。 |
第7回 | 1987年 | ルグロリュー | 牡3 | フランス | A.ルクー<フランス> | レコード2:24:9。 |
第8回 | 1988年 | ペイザバトラー | 牡4 | アメリカ | C.マッキャロン<アメリカ> | 当時の日本の芦毛二強を下し優勝。凱旋門賞馬トニービンはレース中に骨折を発症。 |
平成時代 | ||||||
第9回 | 1989年 | ホーリックス | 牝6 | ニュージーランド | L.オサリバン<ニュージーランド> | 2:22:2は当時の世界レコード。南半球産馬初のJC優勝。オグリキャップとの接戦を制する。 |
第10回 | 1990年 | ベタールースンアップ | 騙5 | オーストラリア | M.クラーク<オーストラリア> | 2年連続で南半球勢が優勝。オグリキャップは11着と大敗。 |
第11回 | 1991年 | ゴールデンフェザント | 牡5 | アメリカ | G.スティーヴンス<アメリカ> | 1番人気メジロマックイーンは4着に敗れる。 |
第12回 | 1992年 | トウカイテイオー | 牡4 | 岡部幸雄 | 父シンボリルドルフとの史上初の父子制覇にして7年ぶりの日本馬優勝。鞍上の岡部は史上初のJC2勝目。 | |
第13回 | 1993年 | レガシーワールド | 騙4 | 河内洋 | 日本勢2年連続制覇。コタシャーン<フランス>鞍上のK.デザーモ騎手<アメリカ>が残り100mを示すハロン棒をゴール板と誤認するという事態があった。 | |
第14回 | 1994年 | マーベラスクラウン | 騙4 | 南井克巳 | 2年連続で騙馬が優勝。日本勢3年連続制覇。 | |
第15回 | 1995年 | ランド | 牡5 | ドイツ | M.ロバーツ<イギリス> | ラストラン。三冠馬ナリタブライアンは6着に敗れる。 |
第16回 | 1996年 | シングスピール | 牡4 | イギリス | L.デットーリ<イギリス> | 日本到着直後、発熱し状態が不安視されながらも優勝。 |
第17回 | 1997年 | ピルサドスキー | 牡5 | アイルランド | M.キネーン<アイルランド> | ラストラン。パドックにて激しく馬っ気を出した姿が競馬場の大型モニターやテレビで放映されてしまった。 |
第18回 | 1998年 | エルコンドルパサー | 牡3 | 蛯名正義 | 3歳制覇。国内ラストラン。日本勢が上位3着(2着エアグルーヴ・3着スペシャルウィーク)を独占。 | |
第19回 | 1999年 | スペシャルウィーク | 牡4 | 武豊 | 凱旋門賞馬モンジューらを破り優勝。 | |
第20回 | 2000年 | テイエムオペラオー | 牡4 | 和田竜二 | 後に有馬記念を勝利し史上初の秋古馬三冠&年間全勝を達成。 | |
第21回 | 2001年 | ジャングルポケット | 牡3 | O.ペリエ<フランス> | 3歳制覇。テイエムオペラオーの連覇を阻む。2024年現在唯一のダービー&JC同一年制覇。 | |
第22回 | 2002年 | ファルブラヴ | 牡4 | イタリア | L.デットーリ | 中山競馬場芝2200mで開催。 |
第23回 | 2003年 | タップダンスシチー | 牡6 | 佐藤哲三 | 19年ぶり2頭目の逃げ切り勝ち。JRAGⅠ史上最大着差(9馬身)。※1 | |
第24回 | 2004年 | ゼンノロブロイ | 牡4 | O.ペリエ | 後に有馬記念を勝利し秋古馬三冠を達成。 | |
第25回 | 2005年 | アルカセット | 牡5 | イギリス | L.デットーリ | レコード2:22:1。鞍上のデットーリは史上初のJC3勝目。2023年現在JCを勝利した最後の海外調教馬。 |
第26回 | 2006年 | ディープインパクト | 牡4 | 武豊 | 21年ぶりにクラシック三冠馬が優勝。 | |
第27回 | 2007年 | アドマイヤムーン | 牡4 | 岩田康誠 | ラストラン。 | |
第28回 | 2008年 | スクリーンヒーロー | 牡4 | M.デムーロ<イタリア※2> | 単勝配当がJC史上最高記録。 | |
第29回 | 2009年 | ウオッカ | 牝5 | C.ルメール<フランス※2> | 20年ぶり牝馬制覇。GⅠ最多タイ(当時)の7勝目を挙げる。 | |
第30回 | 2010年 | ローズキングダム | 牡3 | 武豊 | 1位入線のブエナビスタが本馬の進路妨害で降着となり、2位入線の本馬が繰り上げ優勝。 | |
第31回 | 2011年 | ブエナビスタ | 牝5 | 岩田康誠 | 前年降着からの父スペシャルウィークとの史上初の父娘制覇。 | |
第32回 | 2012年 | ジェンティルドンナ | 牝3 | 岩田康誠 | 父ディープインパクトとの父娘制覇。3歳牝馬初制覇。牡馬三冠馬オルフェーヴルとの三冠馬対決を制する。鞍上の岩田は騎手として初のJC連覇達成。 | |
第33回 | 2013年 | ジェンティルドンナ | 牝4 | R.ムーア<イギリス> | JC史上初の連覇。 | |
第34回 | 2014年 | エピファネイア | 牡4 | C.スミヨン<ベルギー> | ジェンティルドンナの3連覇を阻む。 | |
第35回 | 2015年 | ショウナンパンドラ | 牝4 | 池添謙一 | 父ディープインパクトとの父娘制覇。 | |
第36回 | 2016年 | キタサンブラック | 牡4 | 武豊 | 史上3頭目の逃げ切り勝ち。鞍上の武は史上初のJC4勝目。 | |
第37回 | 2017年 | シュヴァルグラン | 牡5 | H.ボウマン<オーストラリア> | キタサンブラックの連覇を阻み初にして唯一のGⅠ勝利となった。 | |
第38回 | 2018年 | アーモンドアイ | 牝3 | C.ルメール | レコード2:20:6。3歳牝馬制覇。 | |
令和時代 | ||||||
第39回 | 2019年 | スワーヴリチャード | 牡5 | O.マーフィー | 史上初めて外国馬が不在となった。 | |
第40回 | 2020年 | アーモンドアイ | 牝5 | C.ルメール | 史上初の隔年制覇。JRA史上最多のGⅠ9勝を達成。ラストラン。同年の牝牡無敗三冠馬コントレイルとデアリングタクトとの三冠馬対決を制する。 | |
第41回 | 2021年 | コントレイル | 牡4 | 福永祐一 | 父ディープインパクトとの29年ぶりの父子制覇。ラストラン。本馬を初め当時の現役ダービー馬が集結。この内ワグネリアンはレースから2ヶ月後に多臓器不全により急逝。 | |
第42回 | 2022年 | ヴェラアズール | 牡5 | R.ムーア | 前年のダービー馬シャフリヤールらを破り、ダートから芝に転向してからのGⅠ初制覇。 | |
第43回 | 2023年 | イクイノックス | 牡4 | C.ルメール | 父キタサンブラックとの父子制覇。ラストラン。同年の三冠牝馬リバティアイランドとの牝牡の現役最強馬対決、同年の世界最高賞金レース・サウジカップに優勝した同じくラストランの大逃げ馬パンサラッサとの賞金記録をかけた対決を制する。また、2023年度のロンジンワールドベストホースレースに選出。連覇をかけたヴェラアズールは事実上のラストラン。 | |
第44回 | 2024年 | ドウデュース | 牡5 | 武豊 | 鞍上の武は史上初のJC5勝目。本レース初の2着同着(シンエンペラー・ドゥレッツァ)。オーギュストロダン<アイルランド>及びファンタスティックムーン<ドイツ>はラストラン。また、有馬記念出走予定であったドウデュースは枠順確定翌日に右前肢跛行により出走取消・引退したため、事実上のラストラン。 |
※1 2003年のJCの後に開催された有馬記念にてシンボリクリスエス(JC3着)が2着に9馬身の差をつけて勝利し、最大着差タイ記録を樹立した。
※2 レース当時。共に現在はJRA所属。
主な記録
レースレコード |
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騎手の勝利数 |
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馬の親子・父娘制覇 |
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関連動画
この年の三冠牝馬・アーモンドアイがアルカセットの記録を1秒5も更新する2分20秒6という衝撃のレコードタイムを叩き出した。
引退レースとなったアーモンドアイと、史上三頭目の無敗のクラシック三冠馬・コントレイル、日本競馬史上初となる無敗の三冠牝馬・デアリングタクトが直接対決し、「世紀の一戦」と呼ばれた。
JRA「ジャパンカップ」関連項目
:ジャパンカップと合わせられる「秋古馬三冠競走」。
同一年に3戦全て勝つと特別褒賞金が支給される。2022年2月現在の達成馬は2000年のテイエムオペラオーと2004年のゼンノロブロイの2頭。
ジャパンカップダート:2000年にダートレース版ジャパンカップ「ジャパンカップダート」が創設された。しかし、2014年に国際招待を廃止した「チャンピオンズカップ」に変更されている。
:12000年発売のオリジナルアルバム「ELEVEN」のジャケットに、マーベラスクラウンが優勝した1994年のジャパンカップの写真が使われている。