曖昧さ回避
プロフィール
生年月日 | 2017年4月1日 |
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英字表記 | Contrail |
性別 | 牡 |
毛色 | 青鹿毛 |
父 | ディープインパクト |
母 | ロードクロサイト |
母の父 | Unbridled's Song |
競走成績 | 11戦8勝 |
管理調教師 | 矢作芳人 (栗東) |
担当調教助手 | 金羅隆、安藤貴英 |
装蹄師 | 柿元裕望 |
馬主 | ノースヒルズ→前田晋二 |
生産者 | ノースヒルズ |
空に描く衝撃の軌跡。
世界にその名を轟かせた偉大な父・ディープインパクト。そのディープ以来15年ぶり、史上3頭目となる無敗のクラシック3冠。父子無敗3冠の偉業達成で日本競馬の宝へ。
JRAヒーロー列伝No.87「コントレイル」より
2017年4月1日生まれの牡馬(20世代)。馬名は英語で「飛行機雲」(contrail)を意味する。
父ディープインパクトは日本競馬史上2頭目の無敗の三冠馬であり、種牡馬としても大活躍していたが、2019年に17歳の若さでこの世を去った。母ロードクロサイトはアメリカで生まれ、日本に輸入された外国産馬。後にコントレイルを担当することとなる栗東の矢作芳人調教師の元で2012年にデビューしたが、7戦して未勝利のまま2013年に引退・繫殖入りとなった。コントレイルは3番目の産駒に当たる。
主戦騎手は福永祐一。後述するように東京スポーツ杯2歳ステークス(ライアン・ムーア騎乗)以外、コントレイルの全レースで鞍上を務めた。
経歴
デビューまで
産まれたときから額に電話の受話器のような独特の流星があり、これがコントレイルのトレードマークとなった。牧場ではその模様から「もしもし君」のあだ名で呼ばれていた。
生後10日のころ、後に管理調教師となる栗東トレセンの矢作芳人調教師が牧場に視察に訪れており、本馬も見ているが、普通に「いい馬だな」とは思ったものの、正直、そこまで強い印象はなかったという。
その後、1歳の終わりに球節を悪くし、2歳の春までほぼ半年間馴致や調教を行えなくなった。これは大きなハンデキャップであり、8月に大山ヒルズの齋藤GMから「状態がいいので入厩させてゲート試験だけでもやりましょう」と言われた際に矢作調教師は「嘘でしょ」と思ったという。とりあえず1回追い切って様子を見ることにすると、初時計から栗東坂路53.7-12.0という3ヶ月しか乗りこまれていないとは思えないタイムを叩き出す。そのままデビューを目指すことになった。
2019年(2歳)
デビュー戦
栗東・矢作芳人厩舎に入厩し、2019年9月15日の新馬戦で福永祐一を背にデビュー戦初勝利を飾る。
重賞初制覇
元々は萩S(L)を使ってから向かう予定だったが、球節のトラブルから萩Sを使えなくなり、ぶっつけで初の重賞となる東京スポーツ杯2歳ステークス(11月16日・GⅢ)に向かうこととなる。福永がラインベックに騎乗を予定していたため、ライアン・ムーアが代理で騎乗した(結果的に騎乗停止を受けて福永はラインベックにも騎乗しなかった)。
萩S前の球節のトラブルから立て直してぶっつけの一戦とあって急仕上げであり、戦前のコメントはあまり自信のあるものではなかった。
先述のラインベックやアルジャンナといった良血馬が揃う中で単勝2.5倍の1番人気に推される。発走前に鞍上のR.ムーアを振り落とし左肩を打撲させるというアクシデントがあったが、2着アルジャンナに5馬身差をつけ、2歳レコードを1秒以上更新する圧巻の走りで重賞初勝利。この勝利で、一躍クラシック戦線の主役に名乗りを上げる。
しかし、肝心の鞍上R.ムーアは打撲した肩の手当てのためレース後医務室に直行し表彰式に出席しなかった。
なお、このレースの直前に馬主名義がノースヒルズから前田晋二に変更されているため、新馬戦と袖の図柄が異なる。
矢作師は、次走は当初は朝日杯フューチュリティステークスを予定していたが、マイラーの評価だったコントレイルをマイルで使うとマイルよりの馬になっていってしまいオーナーサイドが日本ダービーを目標にするうえで好ましくないと判断し、距離を延長してホープフルステークスへと切り替えた。
ホープフルステークス
ホープフルステークスでは福永が復帰し、単勝2.0倍の1番人気の期待に応え、GⅠ初勝利。
当年のJRA賞は、同じく無敗で朝日杯を優勝したサリオスとの争いを制し、最優秀2歳牡馬に輝いた。(コントレイル197票:サリオス77票)
なお、ホープフルステークスの勝馬が最優秀2歳牡馬を受賞したのはこれが初めてである。
2020年(3歳)
皐月賞
前年のサートゥルナーリア同様に、前哨戦を挟まずに皐月賞に直行した。
ここで最優秀2歳牡馬の座を争ったサリオスと初めて対決する。
折からの新型コロナウイルスの感染拡大により、皐月賞は無観客での開催となった。
稍重の最内枠ということもあってダッシュが付かずそれまでより後方からの競馬となったが、4コーナーから外からまくっていき、最後の直線で集団から抜け出すと、内から抜け出してきたサリオスとの一騎打ちとなり半馬身差で勝利。前年のサートゥルナーリアに続いての無敗の皐月賞馬で、ディープインパクト産駒としては初めてだった。
日本ダービー
続く第87回日本ダービーは、単勝オッズ1.4倍の圧倒的人気に推される。
新型コロナウイルスの影響で1944年以来76年ぶりの無観客開催となった日本ダービーは、再びサリオスとの2強対決に注目が集まった。父や先代の三冠馬と同じ3枠5番からスタートすると、最後の直線で力強く抜け出し、2着のサリオスに3馬身をつける勝利で、二冠を達成した。
無敗の二冠馬は父ディープインパクト(2005年)以来15年ぶり、さらに2歳GIを含む無敗の二冠達成はミホノブルボン(1992年)以来28年ぶりの快挙となった。
ちなみに、皐月賞と日本ダービーの1・2着馬が同じだったのは、1983年のミスターシービー・メジロモンスニー以来37年ぶり(奇しくも1着馬は後の三冠馬)で、鞍上の福永はワグネリアン(2018年)に続く2年ぶりダービー2勝目を挙げた。
神戸新聞杯
秋は神戸新聞杯で始動。菊花賞に向けて無敗を維持するというプレッシャーの中単勝1.1倍の圧倒的な支持を受ける。
道中は馬群の真ん中でじっと息を潜め、直線入り口馬なりであっという間に先頭に立つと、ほぼ追われることなく後続を完封する完勝劇を披露した。
無敗のまま本番菊花賞に向かうこととなる。
終わってみれば圧倒的な実力差を見せつけるようなレースだったが、福永は後に「神戸新聞杯が最も緊張した」と述懐している。
菊花賞
9年ぶり史上8頭目の三冠達成を懸けて菊花賞に出走。単勝オッズは1.1倍、2番人気ヴェルトライゼンデが10.3倍という圧倒的な1番人気に推される。
キメラヴェリテが引っ張るスローペースを好位で追走し、直線楽な手応えで先頭に立ったところを狙って道中ずっとコントレイルをマークしていたアリストテレスが強襲。残り300mからびっしり併せた追い比べになるが、最後まで先頭を譲ることなくクビ差で振り切り勝利。
見事、父ディープインパクト以来15年ぶり史上3頭目の無敗三冠を達成した。
また、2歳G1(朝日杯FS・阪神JF・ホープフルステークス)を制した上での無敗三冠は史上初であり、史上初の無敗四冠を成し遂げた(それまでは上述のミホノブルボンの成し遂げた「2歳G1王者からの無敗二冠」までだった。ナリタブライアンは朝日杯FSを制した上での三冠だったが、こちらは無敗三冠ではなかった。また、過去に無敗三冠を成し遂げたシンボリルドルフと父・ディープインパクトもそれぞれ次走として選んだJCおよび有馬記念にて自身初の黒星を喫して、無敗四冠は逃していたため)。
親子2代での無敗三冠達成は世界を見ても類がなく(無敗でない三冠ではアメリカのギャラントフォックス・オマハ親子がいる)、少なくともパートI国においては史上唯一である。
コントレイルの引退後、福永はこの菊花賞について「距離への適性がないと思っていたので神戸新聞杯よりリラックスして乗ることができた」とした。
ジャパンカップ
菊花賞後、陣営は次走にジャパンカップを選択。菊花賞馬が次にジャパンカップに出走するのはオウケンブルースリ(2008年)以来12年ぶり、三冠馬ではシンボリルドルフ(1984年)以来36年ぶりとなる。
- 当初矢作調教師は菊花賞のレース内容からジャパンカップを回避することを考えていたが、福永騎手とジャパンカップと有馬記念の出走について話していたところ、福永騎手から「中山の2500mというのは東京の2400mと100mしか距離が変わらないのに、急に長距離レースになる」「菊花賞で苦戦したのは適性ではなかったからで、もうそういう長距離的なレースは使ってほしくない」と有馬記念回避を要望され、矢作調教師自身も「(コントレイルも)有馬記念に適性がない」と考えていたため、ジャパンカップ出走・有馬記念回避を決断したという。
既に出走を表明していた同期のデアリングタクト、そして2018年の三冠牝馬で天皇賞で芝GⅠ8勝の新記録を打ち立てたアーモンドアイが引退レースとしてジャパンカップに出ることが決まり、マスコミは「三強対決」と大いに盛り上げた。一方で、レース一週前追い切りで併せ相手に遅れをとったことで、菊花賞の疲労が懸念され、単勝オッズも生涯唯一の2番人気だった。
レースは中団から様子を窺う形で脚を溜め、最後の直線で脚を伸ばすも、先に抜け出たアーモンドアイを捉えられず、1馬身1/4離された2着となり、デアリングタクト(3着)と共に初黒星を喫した。
ジャパンカップ後
ジャパンカップ終了後は有馬記念には出走せず放牧に出され、翌年は大阪杯を目標とする予定であると発表された。
2020年のJRA賞では最優秀3歳牡馬に輝いたものの、年度代表馬は前人未踏のGI9勝を達成したアーモンドアイが選出された。
JRA発足前のセントライトを除いて、これまでの三冠馬はクラシックシーズンで年度代表馬を受賞していたが、コントレイルは初めて年度代表馬の座を逃した。
2021年(4歳)
古馬になってからの初戦、ドバイターフを使うプランもあったが、新型コロナウイルス流行などもあり遠征は白紙に。両睨みであった大阪杯から始動。単勝1.8倍に推されたが、雨によって重馬場となったことや馬体重がキャリア最高の472kgだったことも影響したか、逃げを打った上に上がり3Fは最速の36.8秒を叩き出した勝ちウマ・レイパパレから4+3/4馬身離れた3着に敗れ、初めて連対を逃した(2着に入ったのは勝ちウマと同じ上がり3F 36.8秒で駆け抜けたモズベッロだった)。
その後、宝塚記念に登録。デアリングタクトも登録しており、三冠馬対決再びと思われたが、大阪杯の疲労が抜けず、大事を取って回避した(デアリングタクトも故障によって回避している)。引退後に、この時軽度ながら繋靱帯炎を発症していたことが明かされた。
年の初めから年内引退の報道はされていたが、秋始動を前にして正式に天皇賞(秋)、ジャパンカップの2戦を以て引退することが報じられた。
秋は予定通り天皇賞(秋)から始動。矢作師は「ここを勝つためにメイチで仕上げた」とした。このレースはコントレイルの他に、ダービーのハナ差2着を除けば完璧な成績で皐月賞などを勝利しているエフフォーリア、そして大阪杯以来の対決となるグランアレグリアで三強を形成。その中でも1番人気に推される。雨が降っていた時間もあったが、レースは良馬場で行われた。
ゲートをから出て1完歩目で若干バランスを崩し、後手を踏んでしまう。その後中団に控えて脚を溜め直線の脚に賭け、上がり3F最速の33.0秒の豪脚を見せたが、エフフォーリアを差しきれず2着に終わる。
敗因について、福永はポジション、矢作師はゲート内の駐立の悪さだとした。
ジャパンカップに向けて
ゲート内での駐立の悪さという新たな問題が浮き彫りになったコントレイルに対し、矢作師はこれを解消するための策としてプール調教を実施。調教プールは馬1頭分の幅しかない狭い空間であり、その狭さに慣れさせるという狙いであった。
調教を重ねていくうちに矢作師は不思議なことに気付く。天皇賞時よりも動きが軽く、調子が上がって行っているのだ。チーム全体の認識として、天皇賞にむけてメイチで仕上げていたため、これ以上に上向くことはないと思っていたという。後述する「想像を超えてくる馬」たる一面と言えるだろう。
有終の美
宣言通り引退レースとしてジャパンカップに参戦。昨年2着に敗れ初の黒星を刻んだレースでの引退となる。このレースはダービー馬シャフリヤール(当代)、ワグネリアン(3代前)、マカヒキ(5代前)も出走を表明しており、史上初のダービー馬4頭の共演となった。
アイルランドからジャパン(武豊騎乗)とブルーム、フランスからグランドグローリーと外国馬3頭も来日し、引退レースとして恥じない相手の中、1番人気に推される。
レースはアリストテレスが先頭に立つ予想外の展開で、1000m通過タイム62.2秒という2400mのGⅠとは思えない超スローペース。中盤でキセキが最後方から一気にポジションを上げ、釣られて各馬がペースアップ、ロングスパートの競馬になった。先行するシャフリヤール、オーソリティといった実力馬を射程圏に捕らえ、中団で脚を溜める。そして直線入り口で追い出した。
「これが本来の姿だ!」「一筋の消えない思い出を残してターフに別れを告げます。さらば!コントレイル!」(ラジオNIKKEI 米田元気アナウンサー)
「空の彼方に最後の軌跡!コントレイル有終の美を飾ってみせました!他馬を圧倒完封です」(フジテレビ:倉田大誠アナウンサー)
出走馬中唯一の上がり3F 33秒台の末脚を見せ、2馬身差で1着。
彼自身、1年ぶりの勝利と共に鞍上の福永騎手に初のジャパンカップ勝利をプレゼントし、有終の美を飾った。
レース後、鞍上の福永祐一騎手が観客席にお辞儀をすると、まるでコントレイルもお辞儀するかのように首を振り、検量室へと向かった。
ジャパンカップ後、日の暮れた東京競馬場のパドックにて、コントレイルの引退式が行われた。
引退式ではダービーでつけたゼッケンを装着し、矢作芳人調教師を背に登場。
福永騎手や馬主の前田晋二氏などが思い出を語る中、ダービーの時とは変わって人が満員のパドックを周回。応援してきたファンに別れを告げ、ターフを去った。
通算成績11戦8勝、2着2回、3着1回。連対を外したのは太め残りかつ道悪だった大阪杯のみであり、生涯複勝圏内を逃すことは無かった。
コロナ禍で鬱屈とした時代に現れた無敗の三冠馬。その競走馬生活は、まさに青空にたなびく飛行機雲のようなものだったと言えるだろう。
2021年はジャパンカップでの勝利が大きく評価され、最優秀4歳以上牡馬に選出。しかし、年度代表馬は史上3頭目の天皇賞(秋)3歳制覇を含むGI3勝を挙げたエフフォーリアが選出。引退まで年度代表馬にはなれなかったが、彼はデビューから引退までの3年間、JRA賞を受賞した。
矢作師は一貫してコントレイルのことを「想像を超えてくる馬」と評している。デビュー前たった3ヶ月の乗り込みで素晴らしい素質を見せた追い切り、マイラーではないかという半信半疑を払拭したホープフルS、完璧に仕上げたと思っていた天皇賞(秋)の状態を上回ったジャパンカップと、何度もいい意味で予想を裏切られた。引退式で「コントレイルの子供で凱旋門賞を勝ちたい」と言ったのも、(リップサービスという側面はあるにせよ)種牡馬としても想像を超えて行って欲しいという願いから来るものだと後に語っている。
引退・種牡馬入り
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることがすでに決定されており、種付け料は受胎条件1200万円という父ディープインパクトと並ぶ初年度としての史上最高額だったが、シンジケートは種付け料発表翌日に満口になった。
そして、12月2日に住み慣れた栗東トレセンを出発し、翌3日13時半ごろに社台スタリオンステーションに到着。亡きディープインパクトの最有力後継種牡馬として期待が集まる。
引退後
花嫁候補についてノースヒルズの前田幸治代表は、スポニチアネックスのインタビューに対し、「欧米から輸入して準備している。コントレイルに負けず劣らずの馬を出して欲しい」と語っており、順調にいけば2025年夏に初年度産駒がデビューを迎える。
担当した矢作調教師もnetkeibaのコラムで「心残りを吐露させてください。それは、海外のレースに使えなかったこと。」と書き、「いつかコントレイルの子供で海外のレースに挑戦したい」と期待を寄せている。
ちなみに、種牡馬入りして社台スタリオンステーションに行ってからは、同じく種牡馬となったエピファネイアと仲がよいそう。また、父親ディープインパクトに似て種付けのセンスは良いとのこと。同じくノースヒルズ生産・前田晋二オーナーで日本ダービーを勝ったキズナの隣の馬房に入っている。無駄な動きをしないのは種牡馬入りしても変わらず、馬房の中でじっと動かずに佇んでいることが多いという。
2022年8月、コントレイルが育成・休養に利用した大山ヒルズの事務所前にブロンズ製のコントレイル像が設置された。また、2023年4月にグランドオープンした京都競馬場にはノースヒルズ代表の前田幸治オーナーから4/5サイズのブロンズ製コントレイル像が寄贈され、旧パドックと新パドックの間に設置された。
2023年のセレクトセール当歳セッションで上場した初年度産駒は高額落札が相次ぎ、コンヴィクションIIの2023がセレクトセール2023最高かつ歴代3位となる5億2000万円で落札されたほか、シーズアタイガーの2023が牝馬として最高額の2億8000万円で落札され、上場した20頭のうち8頭が1億円を超え、平均落札額も1億2860万円に登った。
また、コンヴィクションIIの2023はコントレイルと同じくノースヒルズが所有することとなり、コントレイルの主戦騎手であった福永祐一の厩舎に開業祝いとして預けられることも決定している。
史上初の親子二代での無敗三冠という功績から顕彰馬入りも期待されていたが顕彰馬候補入りした最初の年である2023年は選出に必要な投票数(156票)にあと一票届かず落選(選出馬アーモンドアイ)。前年のアーモンドアイ落選時と同様に選考基準や記者投票による選定方法に関して再び物議を醸した。
翌2024年に得票率86.4%(152票)を集めて顕彰馬に選出(同時にキングカメハメハも選出)、これにより父ディープインパクトとの親子顕彰馬となった。また、ディープインパクト産駒の顕彰馬は2016年選出のジェンティルドンナに続き2頭目となり、父ディープインパクトは内国産種牡馬として初めて2頭の顕彰馬を輩出することとなった(外国産種牡馬ではトウルヌソル、プリメロ、チャイナロック、キングマンボが達成している)。
種牡馬成績
種付け年 | 種付け料 | 増減 | 種付け頭数 | 産駒頭数 |
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2022 | 1200万円 | 193 | 130 | |
2023 | 1200万円 | 211 | 147 | |
2024 | 1500万円 | +300万円 | 205 | |
2025 | 1800万円 | +300万円 |
成績年 | 出走頭数 | 出走回数 | 勝利数 | 総獲得賞金 | 備考 |
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2025 |
主な産駒
2023年産
特徴/強み
脚質は先行~差し。レース中は中団付近で脚を溜め、終盤に差し切る展開を得意としていた。一方で道悪での2戦ではスタート直後のダッシュが鈍り、後方からの競馬になっていた。(福永も大阪杯の敗因に「位置取りが後ろになった」ことを挙げている)
距離適性について、担当していた矢作調教師は「作り方ひとつでは、マイラーになっていただろうなと今でも思います」と語っており、本質的にはマイルから中距離が適性距離で、その高い能力で本来合っていない長距離もこなせたのだろうと推測している。
実際、コントレイルは菊花賞後に目に見えるほど疲弊しきっており、福永騎手は陣営に「長距離は使わないでほしい」と直訴した他、矢作調教師も菊花賞後「もう3000mは走らせるつもりはない」としていた。
馬体重は460kg前後で父よりは一回り大きいがサラブレッドの平均よりは小柄だった(464kgを超えたレースでは2戦2敗だった)。
体の柔らかさを強調されることが多い。ネコ科動物のような伸びをしたり、後肢で項を掻いてみせたりと他の馬はできない(やらない)ようなことを器用にやってのける。
また、種牡馬入り後の住みかとなる社台スタリオンステーションの徳武英介氏は、日刊スポーツの取材に対し「ディープとサンデーのいいとこ取りです。体の柔らかさはサンデーで、気持ちの優しさや立ち振る舞いはディープです」とコントレイルを評価している。
なお、妙に可愛らしいエピソードが多く残されている。例えば人参はすりおろした物しか食べず(4歳頭ごろから輪切りのものも食べるようになったとのこと)、他にも注射が大嫌い(担当した金羅調教助手曰く「子供が嫌がる感じ」)などといったエピソードが知られている。
メディアで使われた写真に「写真は本人提供」と注釈が入れられたこともあったり(!?)。「受話器」と評される星も印象的。無敗の三冠を達成しながら苦戦を強いられた現役時代もあって、「一番かわいい三冠馬」と言われることも(他の三冠馬が威厳あるエピソードが多かったり現役時から暴れ馬として知られていたりだったり愛嬌とは程遠いケースが多いのも一因だろうが)。
実際、何かとアレなエピソードが多くなりがちなサンデー系にしては珍しく、上記にもあるように気性について問題になることは殆ど無かった。
基本的にマイペースで鷹揚な性格らしく、厩舎内での壁ドン常習犯のキズナや、かまってちゃんで他馬に喧嘩を売りまくって父ディープインパクトとも犬猿の仲だったエピファネイアに挟まれても特にストレス無く過ごしているとのこと。
その様子について、関係者曰く「草食動物の自覚が無い」。
注意書き(ジャパンカップまでの古馬における評価について)
戦歴を見ればわかる通り、生涯馬券圏内を外すことは無かった。しかし、彼は三冠達成後、古馬になってからの勝利は引退レースとなるジャパンカップまで遠ざかることとなった。
さらには3歳時に対戦したライバルが、尽く古馬になってから不調に苦しむ、同期の無敗三冠牝馬であるデアリングタクトも海外G1出走後に故障が見つかり1年以上の休養を強いられた。
そのようなことがあり、2021年時には2020年クラシック世代の強さに疑いを持つ人が多くなった(大阪杯やエリザベス女王杯では同期のレイパパレやアカイイトが勝利している)。更に、世代筆頭と見做されていた本馬が怪我をきっかけにした不調に苦しみ、全盛期のキレを発揮できない状態が続いた事もその論調を助長したのは否めない。また、一世代上にアーモンドアイがおり、最強牝馬の称号を欲しいままにしていた事も『親子二代の無敗三冠』のインパクトの薄さに繋がったのは否めない。
世間的に三冠馬というと、往年のシンボリルドルフ、本馬の父・ディープインパクトや先代の三冠馬のオルフェーヴル、90年代のナリタブライアン(※全盛期)のような圧倒的強さで他をねじ伏せるイメージが強い。三冠馬でなくとも、キャリア全盛期のテイエムオペラオーのように最強格は連戦連勝の印象がある。本馬の評価が厳しいのは、最初のジャパンカップでアーモンドアイに敗れて後、引退レースまで勝利から遠ざかった事、同期が古馬戦線で苦戦し、その印象が強かった、一世代上の三冠牝馬であったアーモンドアイが最強馬のイメージを崩さず、有馬記念以外の全レースを勝利した状態で現役から去っていった事が原因であろうか。特にコロナ禍ゆえに無観客開催となり三冠達成の熱狂を一般の競馬ファンが味わうことができなかったことも無関係ではないだろう。
更に、三冠獲得直後に現役時代のディープインパクトの正統後継者というイメージが押し出された事で、父・ディープインパクトの最強格としてのイメージをそのまま当てはめられ、常に現役期の父の輝きと比較されていた事も本馬の最大の不幸と言えるだろう。
関連イラスト
オリジナルウマ娘
関連タグ
ディープインパクト:父親。史上2頭目の無敗の三冠馬。
デアリングタクト:同世代の無敗三冠牝馬。直接対決は2020年のジャパンカップのみ。こちらは奇しくもコントレイルが引退した翌年のジャパンカップ2022が結果としてラストランになった。
シンボリルドルフ:史上初の無敗三冠馬。歴代3頭いる無敗三冠馬の中で唯一5歳時(当時表記6歳)まで現役だった(ただし、一回出走して直ぐに怪我で引退になったが)。
トウカイテイオー:上記シンボリルドルフを父に持ち無敗で二冠を達成したが、故障し菊花賞は回避。親子でジャパンカップを制したことや、ラストランで劇的な復活を遂げたことも共通し、また注射嫌いという性格も共通している。そのためコントレイルはテイオーのif扱いされることも。
ナリタブライアン:2歳GⅠを勝利して三冠馬になった。なお、菊花賞に勝利した最優秀2歳牡馬としても26年ぶりだった(ナリタブライアンの時点で20年ぶりだった)。
ミスターシービー:史上3頭目の三冠馬。強烈な追い込み、まくりで三冠を獲るも蹄の薄さに悩まされ1年の休養をするなど苦労した。
エアシャカール:二冠馬になったものの、壮絶な気性難のためかその後は勝利することができなかった。主戦の武豊が離れていたのもあった。このことからコントレイルは一時期「エアシャカールが三冠馬になったif」と揶揄されていた。
ロゴタイプ・ドウデュース:2歳GⅠ・3歳クラシックを勝利したうえで古馬になってからGⅠを制した牡馬はコントレイルの他にこの2頭のみ(ロゴタイプは朝日杯FS、皐月賞、安田記念、ドウデュースは朝日杯FS、日本ダービー、有馬記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ)。
タイキシャトル:母の母の母の名前が「コントレイル」。