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アーモンドアイ

あーもんどあい

日本の競走馬・繁殖牝馬(2015~)。主な勝ち鞍は2018年の牝馬三冠(桜花賞、優駿牝馬、秋華賞)・ジャパンカップ、2019年のドバイターフ・天皇賞(秋)、2020年のヴィクトリアマイル・天皇賞(秋)・ジャパンカップ(以上GⅠ)。日本競馬史上最多となるGⅠ9勝を成し遂げた。2018年及び2020年JRA賞年度代表馬、JRA顕彰馬(2023年選出)。
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曖昧さ回避編集

  1. 」の形の一つ。アーモンドのように外側よりも中心部分がふっくらとし、横幅の広い白目が綺麗に映える、切れ長でクールな印象の目を指す。
  2. 日本の競走馬・繁殖牝馬。本項で解説。

JRA広告編集

「瞳に夢を。」

人生を結ぶ、揺るぎない信頼で、

女王の座へと駆け上がる。

勝利に愛された、澄んだ瞳。

まっすぐに、はるかな頂点を見つめて。


「美しき瞳」

かつてないほど難しい仕事

これまで以上の注目を浴びながら

やり遂げたというのに君は

「たいしたことじゃないわ」と

涼しい顔を決め込む


それでも少し自慢げなのは

この日の結果だけでなく

自分を愛してくれる人たち

共に重ねてきた一歩一歩が

きっと誇らしかったのだろう


情熱に支えられ走り続ける

君の瞳はいつも美しくて

その輝きを大切にしてきたから

誰も辿り着いたことのない地平に

いま君は立っているのだろう


概要編集

2015年生まれの日本の競走馬繁殖牝馬

主な勝ち鞍は2018年の牝馬三冠(桜花賞優駿牝馬(オークス)、秋華賞)・ジャパンカップ、2019年のドバイターフ天皇賞(秋)、2020年のヴィクトリアマイル・天皇賞(秋)・ジャパンカップ(以上GⅠ)。

現役時代は牝馬では初となる天皇賞(秋)連覇を達成した他、日本の国内外の芝G1を9勝し、日本競馬史におけるG1最多勝利記録を更新した。


主な表彰歴編集


経歴編集

2015年3月10日生まれ(18世代)。シルクレーシング所属。国枝栄厩舎。

父は短距離戦線で活躍した顕彰馬ロードカナロア、母はエリザベス女王杯優勝馬フサイチパンドラ

母の父は大種牡馬サンデーサイレンス

馬名の由来は、美人とされる瞳の形から。


2017年(2歳)編集

2017年の新馬戦ではクリストフ・ルメールを背に1番人気(1.3倍)に推されるも、ニシノウララに敗れて2着。

続く未勝利戦は1.2倍の1番人気に応えて快勝。


2018年(3歳)編集

年明け初戦のシンザン記念(GⅢ)では、ルメールが騎乗停止処分となったことで鞍上が戸崎圭太に代わったが、これも勝利。


桜花賞(GⅠ)編集

「ニューヒロインだ!アーモンドアイ!恐るべし切れ味!」

再びルメールが鞍上に戻った4月8日桜花賞(GⅠ)では前年阪神ジュベナイルフィリーズを制し、ここまで4戦無敗のラッキーライラックとの2強対決となったが、彼女を退け牝馬三冠の一冠目を手にした。


優駿牝馬(オークス)(GⅠ)編集

「横綱相撲アーモンドアイ二冠達成!!」

続く優駿牝馬(GⅠ)でもリリーノーブルの追撃を退けて二冠目を手にする。奇しくもこの日(5月20日)はルメールの39歳の誕生日でもあった。


秋華賞(GⅠ)編集

「これが、新たな歴史を作る馬!平成最後の三冠牝馬!!アーモンドアイ!!この馬には、三冠すらも通過点!」

10月14日牝馬三冠達成を賭けて秋華賞(GⅠ)に直行し。逃げるミッキーチャームを交わして1着でゴール。

ジェンティルドンナ以来6年ぶり5頭目の牝馬三冠に輝いた。


ジャパンカップ(GⅠ)編集

「強い強い!3歳牝馬!新たな栄冠を、新たな冠を手にした3歳牝馬!末恐ろしいこの馬アーモンドアイ!!何というタイム!2分20秒6!信じられないタイムで駆け抜けました!」

11月25日に開催されたジャパンカップでは、この年の大阪杯(GⅠ)を制したスワーヴリチャード、前年のジャパンカップ優勝馬シュヴァルグラン、前年の菊花賞キセキ、2年前に菊花賞と有馬記念を勝ったサトノダイヤモンドなど、実績十分の牡馬及び古馬達と初めて対決することになった。

単勝オッズ1.4倍に支持されたアーモンドアイは、先頭を走るキセキを2番手~4番手の当たりで窺うと、最後の直線200mでキセキをかわして一気に先頭に立ち、そのままゴールイン。

なおこの時のタイムは2分20秒6、ジャパンカップどころか世界の2400mの記録を更新するワールドレコードを叩き出している。


この年は牝馬三冠に加え、上記のジャパンカップの世界記録を含む無敗の成績が評価され、平成最後の最優秀3歳牝馬と年度代表馬を両方とも満票で受賞している。

年度代表馬の満票は2000年テイエムオペラオー以来18年ぶり5頭目であるが、去の4頭はいずれも牡馬だったため、牝馬としては初の快挙となった。


2019年(4歳)編集

ドバイターフ(G1)編集

緒戦としてドバイに渡り、3月30日に開催されるドバイターフに出走し1番人気で快勝。ヴィブロスとの日本馬1,2フィニッシュを決めた。


当初の予定では凱旋門賞を目標としていたが、陣営はドバイターフの後に様々な面から判断して中止した。

これについて世間からは批判もあったが、アーモンドアイはその圧倒的なスピードに対して体質が弱いこともすでに知られていたため、世間の声に流されず中止を決断した陣営を賞賛する競馬ファンもいた。


安田記念(GⅠ)編集

ジャパンカップ以来の国内復帰となったアーモンドアイの次走は安田記念に決まった。

しかし、スタート直後に外枠の馬が内に斜行してしまい、致命的な不利を受けた。そのため追い込みが僅かに届かず、同じくシルクレーシング所属馬のインディチャンプの3着に敗れた。安田記念レコード1分30秒9での決着であった。


天皇賞・秋(GⅠ)編集

「これがアーモンドアイです!!」

秋シーズンの初戦は前哨戦を挟まずに天皇賞(秋)に挑んだ。

3歳皐月賞サートゥルナーリアダービーワグネリアンマカヒキ、他にもアルアイン・スワーヴリチャードなどGⅠ馬が10頭も集う超豪華な顔触れとなった。

好スタートを切ると道中6番手辺りに付けて、直線に向くと最内を選択しそのまま加速。2着のダノンプレミアム以下を置き去りにしてGⅠ6勝目(令和になってからは初めて)を飾った。

単勝オッズ1倍台で天皇賞(秋)を勝利したのは、三冠馬ミスターシービー(1984年)以来35年ぶり、タイムは1分56秒2でトーセンジョーダン(2011年)のレコードにミドルペースながらコンマ1秒迫った。


有馬記念(GⅠ)編集

天皇賞の次走は、香港カップを予定していたが、発熱により回避。

有馬記念のファン投票で1位に選ばれたこともあり、12月10日にルメールを背に出走することを表明した。(当初ルメールが騎乗予定だったフィエールマン池添謙一が代わりに騎乗。)


レースは中団から外側を通り先行馬の様子を窺う形になり、最後の直線で一瞬先頭に立つも、最後は伸びを欠き、最初で最後の対決となったリスグラシューに大きく突き放されて、まさかの9着に沈み、初めて掲示板からも外れる結果となってしまった。

敗因としては、後述。


2020年(5歳)編集

ドバイターフ(中止)編集

仕切り直しを図る陣営は、昨年勝利したドバイターフに照準を定め、3月18日に日本を起ち、ドバイへと向かった。

しかし、折からの新型コロナウイルスの流行によって、3月22日に競走そのものが中止となってしまい、走ることのないまま日本に帰国することとなった。

なお、コロナで強化された検疫の関係により、ルメールは帰国から2週間の騎乗停止措置となっている。


ヴィクトリアマイル(GⅠ)編集

「現役最強馬アーモンドアイ、ここにあり!!」


アーモンドアイの5歳初戦はヴィクトリアマイルに決まった。

迎えた本番では新型コロナウイルスにより無観客開催となったが、前走で大敗しながらも単勝1.4倍に支持された。

迎え撃つは昨年の優勝馬でレコードホルダーのノームコア、昨年のオークス馬ラヴズオンリーユー、同世代で出遅れながらも直近の重賞を3連勝と波に乗るサウンドキアラなどのメンバーが顔を揃えている。


レースは中団より前めで陣取ると、最後の直線で4番手から逃げを打ったトロワゼトワルを一気にかわし、ノーステッキのまま2着のサウンドキアラに4馬身差を付ける圧勝。ついに芝GⅠ最多の7勝目を飾った。

タイムは昨年のノームコアが記録した1分30秒5にコンマ1秒差の1分30秒6だった。ちなみに世界レコード1分30秒3であり、このタイムにもコンマ3秒迫っていた。


安田記念(GⅠ)編集

5月23日、アーモンドアイの疲労が少なかったことから、陣営は中2週という短い間隔ながら安田記念への参戦した。

日本馬として史上初のGⅠ8勝(中央・海外)への挑戦、前年三着のリベンジが期待された同レースには前年春秋マイル覇者インディチャンプ、前年桜花賞馬グランアレグリア、前年香港マイルの勝者アドマイヤマーズといったマイルのトップクラスやセイウンコウセイミスターメロディなとといったスプリントGⅠ馬などが参戦した。


遅れてのスタートとなったアーモンドアイは、スプリンター中心の先団から離れるように走っていたグランアレグリアの後方につく。

やがて外に追い出して最後の直線に勝負を掛けるも、先団を躱すようにトップに立ったグランアレグリアには及ばず2着となった。


天皇賞・秋(GⅠ)編集

皇帝ルドルフの壁を越えた!GⅠ8勝目!」

「歴史に残る、見事な偉業達成です」

この年のクラシック戦線ではデアリングタクトが無敗の三冠牝馬となり、コントレイルが令和初の三冠馬にして史上3頭目の無敗の三冠馬になるという偉業ラッシュが続いていた。そんな中、アーモンドアイは芝GⅠ最多の8勝目を賭けて天皇賞秋に出走する。


前年の秋華賞馬で当年の宝塚記念を勝ったクロノジェネシス、春の覇者で同一年春秋連覇を狙うフィエールマン、グランプリホースのブラストワンピース、アーモンドアイと何度も戦っているキセキなど好メンバーが揃う中でアーモンドアイは7枠9番に入った。


レースはダノンプレミアムがハナを奪う中でアーモンドアイは前から4・5番手を窺う位置に付け、残り200mで先頭に立つと、後ろから迫ってきたフィエールマンとクロノジェネシスを抑え込み、1着でゴールイン。

この瞬間、シンボリルドルフ以来長きに渡って名馬たちを阻んできたGⅠ7勝の壁が遂に破られた。

また、天皇賞秋の連覇はシンボリクリスエス以来17年ぶり、そして牝馬では初めてであった。


ジャパンカップ(GⅠ)編集

「最後も飾りました! 最強のまま、ターフに別れを告げます!」

「最後まで、最強女王は最強でした。」

三冠牝馬デアリングタクトと三冠馬コントレイルがジャパンカップ参戦を表明すると、アーモンドアイもジャパンカップに参戦を表明、同時にこの競走をラストランとして引退することを発表した。


出走馬には上記のコントレイルとデアリングタクトの他、厩舎の後輩カレンブーケドールやグローリーヴェイズ、前年の菊花賞馬ワールドプレミア、4年前のダービー馬マカヒキなどが顔を揃えた。


レースはキセキが果敢に大逃げを打つ中でアーモンドアイは前から4番手の位置に付けると、最後の直線で足が一杯になったキセキを一気に捕らえ、迫ってくるコントレイルとデアリングタクトなど4頭を抑え込んで1着でゴール。2年ぶりとなるジャパンカップ勝利を挙げると共に、新記録の芝GⅠ9勝目を挙げて有終の美を飾った。

ちなみにこの後に2着にコントレイル、3着にデアリングタクトが入り、上位3頭を三冠馬で独占する結果となっている。なお、この2頭は共に無敗三冠を前戦までに成し遂げており、本レースの勝敗にはシンボリルドルフやディープインパクトもなし得なかった史上初の無敗四冠がかかっていたが、結果としてアーモンドアイの勝利で幕を閉じたため、頓挫となった。



生涯成績は15戦11勝。(11-2-1-1)。獲得賞金は総額で19億1526万3900円となり、それまで獲得賞金総額でトップだったキタサンブラックの記録を更新して歴代1位、また日本調教馬として史上初となる獲得賞金19億円越えを達成した。

2023年にイクイノックスが更新したことで1位の座から降りることとなり、その後更にウシュバテソーロに上回られることとなり現在は歴代3位。


その強さは誰もが認めるところである。特に府中の中距離でめっぽう強く、デビューから引退まで無敗を誇った。また府中のマイル戦においても、展開の不利や痛恨の出遅れなどによる敗戦ありながらもヴィクトリアマイルで勝利するなど1600m~2400mという幅広い距離適性を示した。

唯一掲示板を外した有馬記念は適性距離よりもやや長かったかもしれないが、スタートからコーナーを挟んだ後にスタンド前を2度通過するレースがこのレースだけであったことから、1周目でゴールと勘違いしてかかってしまったことによるスタミナ切れがあったのではないか、と語られている。(府中2400mも最初にスタンド前を通るが、直線からスタンド前を通るのでまだゴールではないと認識していたと考えられる。頭の良さが裏目に出たということか)。そもそも香港カップ(芝2000m)の計画が頓挫しての有馬記念出走なので調教の予定が狂っていたが故の可能性がある。


シンザン記念を除く全ての競走で手綱を握ったルメールは何度も「ありがとう」とアーモンドアイへと感謝を込めた。




引退式編集

「彼女は、私たちの記憶に永遠に残ります。」

12月19日に中山競馬場にて引退式が開催され、今後は繁殖牝馬となることが発表された。

交配相手はデアリングタクトを輩出したエピファネイアが挙げられている。


余談ではあるが、この日「ウマ娘プリティーダービー」のアプリ配信日が発表され、新規ウマ娘にツインターボが登場することが判明すると、twitterでは主役である筈のアーモンドアイを差し置いてツインターボが長くトレンド入りすることになった。


繁殖入り後編集

繁殖牝馬となった後は予定通りエピファネイアを種付けして受胎。

受胎後は順調に経過し、2022年1月に額に特徴的な星を持つ鹿毛の牡馬が生まれた。母仔ともに産後の経過は順調で、早ければ2024年にデビューするという。

この一報を受けて、現役時代の相棒と言えるルメール騎手や管理調教師だった国枝調教師から祝福のコメントが寄せられた。

また、Yahoo!リアルタイム検索でも「アーモンドアイ」がトレンド入りし、ネットからも歓喜や祝福の嵐となっている。


その成績から早くも顕彰馬入りが確実されていたのだが、顕彰馬候補入りした最初の年である2022年は選出に必要な投票数を規定以上集められずになんと落選(選出馬なし)。理由としては、祖父であるキングカメハメハと票を食い合ってしまったことなどが挙げられるが、この時はJRA及び選出に当たった競馬記者共々ファンから猛烈な批判を浴びる事態となった。

翌2023年には打って変わって得票率96.6%(200票)を集めて顕彰馬に選出、これにより父ロードカナロアとの親子顕彰馬となった。更に翌2024年には、祖父キングカメハメハが選出されたことで史上初の親子三代顕彰馬となった。


繁殖成績編集

生まれ年順番名前性別
2022第1仔アロンズロッドエピファネイア
2023第2仔アーモンドアイの2023モーリス
2024第3仔アーモンドアイの2024キタサンブラック
2025第4仔--イクイノックス


余談編集

  • 実は桜花賞の勝利後、ルメールはアーモンドアイについて、国枝調教師に「東京優駿(日本ダービー)でも通用する」と進言していた。ダービートレーナーとなることを夢の一つとしていた国枝調教師も「自分で決められるなら、(参戦に必要な追加登録料)すぐに払っちゃうけどなあ」と乗り気だったが、結局は優駿牝馬への参戦を選択している。
    • なお国枝厩舎は、その日本ダービーにはアーモンドアイと調教を共にするコズミックフォースを参戦させた。そのコズミックフォースは本番では18頭中16番人気の低評価ながら好位からの追い上げを見せ、勝利したワグネリアンに半馬身とクビ差の3着と大健闘した。ただ、コズミックフォースは調教では全くアーモンドアイに敵わなかったそうで、この結果の前に国枝調教師は「コズミックが3着という事は、アーモンドアイなら勝てたかな?」と思ったとのこと。
  • この馬がデビューする約4年前、ばんえい競馬アアモンドアイという競走馬が存在した。重賞勝ちはなくBクラス止まりの成績に留まり、アーモンドアイがデビューした2ヶ月後に地方競馬登録を抹消された。


関連イラスト編集


アーモンドアイ




関連タグ編集

競走馬

アーモンドアイ(競走馬)※表記ゆれ


歴代の三冠牝馬編集


※メジロラモーヌのみ、三冠目はエリザベス女王杯である(当時は秋華賞が存在せず、エリザベス女王杯は3才牝馬限定だった)。


オジュウチョウサン:アーモンドアイと同じく、G19勝を達成した競走馬(こちらは障害競走で活躍)。現役期間は被っている。

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