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イクイノックス

いくいのっくす

2019年生まれの日本の競走馬。主な勝ち鞍は2022年の天皇賞(秋)・有馬記念、2023年のドバイシーマクラシック(以上GⅠ)で、その他にも2021年の東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)を制した。キタサンブラック産駒初のGⅠ馬である。2022年JRA賞最優秀3歳牡馬・年度代表馬。
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概要

性別
生没年2019年3月23日-(3歳)
血統父:キタサンブラック/母:シャトーブランシュ/母父:キングヘイロー
毛色青鹿毛
馬主シルクレーシング
厩舎木村哲也(美浦)※2021年7月29日から10月31日までは岩戸孝樹厩舎


イクイノックス(Equinox)は、2019年生まれの日本の競走馬22世代)。父キタサンブラック、母シャトーブランシュ、母父キングヘイローという血統を持つ青鹿毛の牡馬。本馬は母シャトーブランシュの3番仔で、父のキタサンブラックにとっては初年度産駒にあたる。

1歳上の半兄にヴァイスメテオール(父:キングカメハメハ、馬名はドイツ語で「白い流星」の意)がいる。ヴァイスメテオールは弟と同じ木村哲也厩舎に所属し、2021年のラジオNIKKEI賞GⅢ)及び2022年のメトロポリタンステークス(リステッド競走)を制したが、2022年6月1日の調教中に跛行を発症。右前球節部分の開放骨折と診断され、予後不良となるという非業の最期を遂げた。

イクイノックスは青鹿毛だが、デビュー時点では黒鹿毛で登録されていた。入厩後の馬体検査時に青鹿毛であると判断され、2021年11月26日に毛色登録が変更された。

彼の名前は天文学用語の「分点」を意味し、「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」を指す。つまり日本で言えば春分の日秋分の日のことである(なお、彼の誕生日は春分の日から少しだけずれている)。父の名にブラック(黒)、母の名にブランシュ(白)があることからその中間という意味合いが込められている。

イクノディクタスなどイクノ冠名の馬と字面が似ているため、よくイクノイックスと間違われる(実況にまで間違われたことがある)が、イクイノックスなので注意。

戦績


2歳(2021年)

8月28日、新潟競馬場の新馬戦(芝1800m戦)でクリストフ・ルメールを鞍上に迎えてデビュー。後の2歳女王サークルオブライフなどを相手に2着に6馬身差を付ける圧勝劇を飾る。
なお、この時は管理調教師の木村哲也が自厩舎所属騎手だった大塚海渡に対する暴言・暴行等のパワーハラスメント事件を起こしたことにより裁判所から罰金の略式命令を受けており、JRAから調教停止処分を受けた為、10月31日まで岩戸孝樹厩舎が管理を代行していた。
木村調教師の調教処分が明けた後、イクイノックスは木村厩舎に戻り、続いて東スポ杯2歳Sに出走してこれを勝利。キタサンブラック産駒初の重賞勝利となった。

3歳(2022年)

届かぬ冠、枠の不運

その後は虚弱体質を考慮し長期休養に入ると、前哨戦を一切挟まずに皐月賞へ出走。近年では前哨戦を使わないことも多いが、東スポ杯2歳Sからの直行は異例のローテであり、実力を測りにくいため馬券師たちを悩ませた。レースでは大外枠になってしまい、前に馬がいて我慢が効かなくなるなどのアクシデントもあったが、ジオグリフの2着に入った。

続く東京優駿日本ダービー)ではまたも大外枠となり、進路を思うように定められなかったのか、内と外を行ったり来たりするレースを展開。それでもレコード決着の中強烈な追い込みを見せ、ドウデュースの2着に入った。

ここまで4戦中4連対、内1着が2回と安定した成績を保っており、また敗れた2戦も「負けて強し」の印象が残る内容だった。
しかしダービーでのレコード決着が響いたのか左前脚の腱にダメージを負ってしまい、夏場は休養。秋初戦は体質面を考慮して菊花賞を回避し、古馬との対決となる天皇賞(秋)へ出走することになった。

天皇賞(秋)~天才の一撃~

そして迎えた10月の天皇賞(秋)
同期の皐月賞馬ジオグリフの他、前年のダービー馬シャフリヤールやオークス馬ユーバーレーベン、さらにパンサラッサジャックドールといった錚々たるメンバーの中で1番人気に推される。イクイノックスは父が同レースを勝った時と同じ7番となった。


「届くのか、届くのか、逃げ切るのかパンサラッサ(鞍上:吉田豊)!外からイクイノックス、イクイノックス届くか!そして、ダノンベルーガ(鞍上:川田将雅)届くのか!イクイノックス、届いた届いた!最後は、『天才の一撃』!!」
「大逃げパンサラッサを、ここで捉えた!クラシックの悔しさは、ここで晴らした天才の一撃!!」

猛烈な大逃げを打つパンサラッサに観客が「サイレンススズカかよ!?」とどよめく中、イクイノックスは冷静に中団から追走。後半に馬群の外へ持ち出したところで、ルメール騎手はパンサラッサが遥か彼方にいることに気づき(馬群の影にパンサラッサが隠れた結果直線まで見えなかったらしい)、大急ぎで追い出す。
最後は逃げ続けるパンサラッサを2番手集団からジャックドール、後方は外からイクイノックス、内からダノンベルーガの3頭が追撃する構図に。
パンサラッサはしぶとく粘るが、イクイノックスだけは上がり3ハロン32秒7という凄まじい末脚で差しきり、見事に1着。
キタサンブラック初年度産駒にして初のGI制覇を成し遂げ、同時に平地G1での1番人気敗北の連続を16でストップさせた。
3歳馬の秋天制覇は前年のエフフォーリアに続き史上5頭目、またキャリア5戦での秋天制覇は史上最短である。

この勝利もあって父キタサンブラックの種牡馬価値は上がり、種付け料は500万円→1000万円と倍増。
また父の馬主たる北島三郎氏からも祝福のコメントが寄せられた。

次走は体調を見ながらジャパンカップ有馬記念を、と発表された。

有馬記念~現役最強の証明~


その後はジャパンカップを回避する一方、馬主から発表されていた通り有馬記念に出走。
ファン投票ではクラシックの健闘と天皇賞の覚醒ぶりから、春秋グランプリ制覇を狙うタイトルホルダーに次ぐ2番人気、オッズでは天皇賞に続いて1番人気を背負った。
また今回初対決となるタイトルホルダーは、父キタサンブラックが一度も先着できなかったドゥラメンテの産駒であり、世代を超える対決も注目された。
クリスマス12月25日に開催された本番ではタイトルホルダーが引っ張る展開になったが、本調子でなかったのか最終直線でいつもの粘りを欠いていた。イクイノックスは道中掛かったもののルメール騎手は上手く手綱を操り、第3コーナーを大外から一気に捲ったかと思うと、後続を突き放して堂々の1着。父子での秋天・有馬制覇、それも前年の年度代表馬エフフォーリアと同じく3歳で勝利と相成った。
父子での有馬制覇は5例目(シンボリルドルフトウカイテイオーハーツクライリスグラシューディープインパクトジェンティルドンナ&サトノダイヤモンド)だが、イクイノックスの場合父親が引退間際に獲ったタイトルを初年度産駒が3歳で獲ったため、史上最速の父子制覇である。
そして秋天のシャフリヤールに続いてエフフォーリア、タイトルホルダーに先着したことで前年クラシック馬全頭に対して先着という結果も出した。
鞍上のルメール騎手はこれが有馬記念3勝目。なお、この前に制した2回の有馬記念(2005年ハーツクライ2016年サトノダイヤモンド)もクリスマス開催であり、勝利インタビューでは満面の笑みと共にこの事実に触れて「二度あることは三度ある」とコメントしている。

なお、イクイノックスはゴール後も掛かっていたらしく、ルメール騎手はボルドグフーシュ(2着)を駆る福永祐一に握手を求められたが、「ゴメン今無理!この馬止まらない!」と答えたという。その後何とかイクイノックスは落ち着きを取り戻したようで、馬上で握手を交わす2人の姿が写真に捉えられている。
ちなみに余談だが、福永はイクイノックスの母父であるキングヘイローの主戦騎手を務めた人物(クラシック期まで。古馬戦線以降は柴田善臣に交代)で、調教師試験合格に伴い2023年2月末で引退予定となったことから、この有馬記念が騎手として現役最後のグランプリ制覇及び旧八大競走完全制覇のチャンスだった。
しかし、キングヘイローが勝った2000年の高松宮記念よろしく(このレースでは福永は2着のディヴァインライトに騎乗)、キングヘイローの血を引く馬にそれを阻まれることとなった。これも何かの因果だろうか。

この年は古馬GⅠを2勝したのがイクイノックスとタイトルホルダー2頭のみで、かつ直接対決でタイトルホルダーを下したこと、クラシック二冠で連続2着、連対率100%という実績も評価されてか、2022年JRA賞においては、最優秀3歳牡馬及び年度代表馬に選出された。

4歳(2023年)

ドバイシーマクラシック~怪物、ここにあり

4歳を迎え古馬となったイクイノックスは、初戦としてドバイ・メイダン競馬場で開かれるドバイワールドカップデーの競走群の一つ・ドバイシーマクラシック(GⅠ・芝2410m戦)を選択、予定通りドバイに到着して調教を行い、日本時間3月26日深夜の本番へ向かう。

レース本番では惜敗続きから香港ヴァーズを勝ってGⅠホースの仲間入りを果たしたウインマリリン、連覇を狙う前年覇者シャフリヤール、昨年のBCターフ覇者レベルスロマンスなどが出走。一方で出走馬には明確な逃げ馬がおらず、先行争いが注目されていた。
そんな中、好スタートを切ったイクイノックスは押し出されるようになんと先頭に立つ。1000m通過1:01.2(日本式ではほぼ1分フラット)のミドルペースで後続を引っ張り、余裕たっぷりに直線に入ると、ルメール騎手が肩ムチを軽く入れた程度で後続をぐんぐんと突き放し、追い込んできたウエストオーバーに3.1/2馬身の差を付けて逃げ切り1着でゴールイン。ルメール騎手はほとんど追わず、ゴール前に馬の首を撫でてガッツポーズを決めるという余裕っぷり。勝ちタイムは2:25.65。2年前にミシュリフが記録したコースレコード及びレースレコードを1秒も縮めるという、異次元のパフォーマンスをやってのけた。
「逃げたというより差し馬のまま先頭を走った」「公開調教かよ」などと言われるほどの圧勝劇である。
また今まで「キタサンブラック産駒なのにドゥラメンテに似ている」と言われていたが、これによりファンには「やっぱキタサンブラックの子」という印象を与えることになった。

また、それまでの戦法から一転して逃げ切り勝ちを決めるというのは、2006年のドバイシーマクラシック覇者で今年死亡したハーツクライを彷彿とさせる。「ルメール騎手が主戦」「日本がWBC優勝を飾った年」「3月25日」「有馬記念優勝」と共通点も多い。
ルメール騎手自身も勝利後のインタビューで「ハーツクライから自分の第2の騎手人生が始まったと思っています」とコメントし、「今回の相手でこんな競馬ができてうれしく思います」と勝利を喜んだ。

父キタサンブラック、母の父キングヘイローともに成長力に溢れた馬で、木村哲也調教師をして「どこまで強くなるのか分からない」と言わしめる計り知れない神の器が、どれほど強くなっていくのか、どれほどの活躍を見せてくれるのかに期待せざるを得ない。

余談

逃げ・先行型の父・キタサンブラックと違い凄まじい末脚で一気に抜き去る差し馬なので、「キタサンブラック産駒なのに(同期の二冠馬で差し馬だった)ドゥラメンテに似ている」と言われることもある。
とはいえイクイノックスの母父キングヘイローも(気性難のせいでなかなか実力を発揮できなかったが)凄まじい切れ味の持ち主だったため、その影響が強いのかもしれない。
逆にドゥラメンテの代表産駒であるタイトルホルダーも、差し馬だった父と違って優れたスタミナとスピードを活用した逃げ戦法を得意とするので「ドゥラメンテ産駒なのにキタサンブラックに似ている」と言われることもある。
そうかと思えばイクノックスはドバイSCでまさかの逃げ切り勝ちを決めたため、今後は多様な戦法を取れるようになるのかもしれない。


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