「ドウデュース逆襲の末脚‼︎」
概要
2020年はコントレイルによる無敗の二冠達成、2021年は無敗の皐月賞優勝馬エフフォーリアと毎日杯をレコード勝ちしたシャフリヤールの2頭によるクビの上げ下げの大激闘と見どころ満載であった直近の東京優駿(日本ダービー)。
この年は皐月賞を制したジオグリフと僚馬イクイノックスとの木村哲也厩舎2頭出しに加え、皐月賞好走組のドウデュースとダノンベルーガなどが名をつらね、重賞馬でも抽選というハイレベルな面々になった。
また前年・前々年と連覇している福永祐一騎手(この年は皐月賞馬ジオグリフに騎乗)による、史上初のダービー3連覇も注目されていた。
出馬表
牝馬の出走はなかった。
性齢はすべて3歳牡馬、斤量は57キロ。
番号 | 馬名 | 騎手 |
---|---|---|
1 | アスクワイルドモア | 岩田望来(ダービー初騎乗) |
2 | セイウンハーデス | 幸英明 |
3 | アスクビクターモア | 田辺裕信 |
4 | マテンロウレオ | 横山和生(ダービー初騎乗) |
5 | ピースオブエイト | 藤岡佑介 |
6 | プラダリア | 池添謙一 |
7 | オニャンコポン | 菅原明良(ダービー初騎乗) |
8 | ビーアストニッシド | 和田竜二 |
9 | ジャスティンパレス | ミルコ・デムーロ |
10 | マテンロウオリオン | 横山典弘 |
11 | ジャスティンロック | 松山弘平 |
12 | ダノンベルーガ | 川田将雅 |
13 | ドウデュース | 武豊 |
14 | デシエルト | 岩田康誠 |
15 | ジオグリフ | 福永祐一 |
16 | キラーアビリティ | 横山武史 |
17 | ロードレゼル | ダミアン・レーン(豪州) |
18 | イクイノックス | クリストフ・ルメール |
出走馬紹介VTR
騎乗騎手入場式
展開・結果
デシエルトが速いペースで逃げる展開で、外枠の有力馬は軒並み後方待機。
直線でデシエルトのリードがなくなり、後方待機馬が一斉に襲い掛かる。
その中で早めに抜け出したドウデュースが猛然と追い込むイクイノックスをクビ差で振り切って、朝日杯フューチュリティステークスに続くGⅠ2勝目を挙げた。
着順 | 番号 | 馬 | 着差 | 人気 |
---|---|---|---|---|
1 | 13 | ドウデュース | 2:21:9 | 3 |
2 | 18 | イクイノックス | クビ | 2 |
3 | 3 | アスクビクターモア | 2 | 7 |
4 | 12 | ダノンベルーガ | クビ | 1 |
5 | 6 | プラダリア | 3 | 5 |
6 | 16 | キラーアビリティ | 3/4 | 8 |
7 | 15 | ジオグリフ | ハナ | 4 |
8 | 7 | オニャンコポン | 1/2 | 6 |
9 | 9 | ジャスティンパレス | 1+1/4 | 10 |
10 | 8 | ビーアストニッシド | 1+3/4 | 17 |
11 | 2 | セイウンハーデス | 2+1/2 | 16 |
12 | 1 | アスクワイルドモア | 3/4 | 13 |
13 | 4 | マテンロウレオ | ハナ | 18 |
14 | 17 | ロードレゼル | ハナ | 11 |
15 | 14 | デシエルト | クビ | 15 |
16 | 11 | ジャスティンロック | 4 | 14 |
17 | 10 | マテンロウオリオン | 7 | 9 |
18 | 5 | ピースオブエイト | 大差 | 12 |
その他・記録など
記録
ドウデュース鞍上の武豊は2013年(第80回)のキズナ以来9年ぶり6度目のダービー制覇。
また53歳2か月での日本ダービー勝利は、1986年(第53回)にダイナガリバーで勝利した増沢末夫の48歳7か月を抜いて史上最年長のダービー制覇となった。
勝ちタイム2分21秒9は、前年のシャフリヤールが記録した2分22秒5を0.6秒更新する新記録であった。
イクイノックスは皐月賞に続いて日本ダービーでも2着に終わり、皐月賞と日本ダービーで連続2着を記録したのは2020年のサリオス以来2年ぶりとなった。
観客動員
観客動員数は約6万人。
過去2年は新型コロナウイルスの影響で2020年は無観客、2021年は約5,000人と制限されていたが、本年は入場制限が少し緩和されていた。
未だ歓声などは憚られる状況ではあったが、ダービー最年長制覇記録を更新した武を讃え、レース後には「ユタカコール」も沸き起こった。
故障の続発
ダービーウィークの週末、5月27日(金)の東京はまとまった雨に見舞われたが、一転して28日(土)・29日(日)は晴天に恵まれた。
ダービー当日の朝5:00、東京競馬場の芝クッション値・含水率は標準的な良馬場の値であったが、この日の東京は最高気温31.2度という早い真夏日で馬場は徐々に乾燥、高速馬場の様相を強めていった。
この状況の中ドウデュースはレコード勝ちを収めたが、6月1日には本戦7着の皐月賞優勝馬ジオグリフの右前脚第一指骨骨折(全治3ヶ月)、13着できさらぎ賞優勝馬マテンロウレオの左橈骨遠位端骨折(全治未定)が判明。
さらに6月2日には2着イクイノックスも左前脚腱損傷が判明し、秋まで放牧休養が決定した。
2023年10月20日にはジャスティンロックが屈腱炎によりダービー以降長期休養に入ったまま引退。
2024年1月18日、ロードレゼルも屈腱炎により引退した。
一方勝ち馬であるドウデュースは、レース翌日に平然と調教メニューをこなす謎の頑丈さを見せていた。
出走馬ほぼ全て重賞ウィナーのレース
14着に敗れたロードレゼルはダービー後一度も出走できないまま屈腱炎が原因で引退。
一方で、デシエルトが2024年12月にGⅢ中日新聞杯に勝利したことで、ロードレゼルを除いた本レース出走馬17頭全馬が重賞馬となった。
ロードレゼルについても青葉賞二着で重賞制覇が期待されていたこともあり、世代上位を決めるどころか近年でも稀に見る高レベルのダービーだったとの指摘がある。
また、ダービーを最後に引退した2頭だが、ロードレゼルは相馬野馬追の甲冑競馬へ、ジャスティンロックは去勢された後に乗馬へと転向している。
それ以外も古馬になってから勝鞍に恵まれない馬が多いものの掲示板入りで善戦している馬も少なからず存在している。猛暑とハイペースなレースで死のダービー化を危惧された本レースの後もほぼ全ての馬が競走馬として走り続けてるというのも驚異的である。
仮にドウデュースが年度代表馬に選出された場合、JRA賞となってから初の年度代表馬二頭を輩出したダービーということになりうる。同世代から複数の年度代表馬が選ばれるケースはあるものの、1頭以外はクラシック三冠とは別路線を進んでいるケースばかりであった(路線がまるで異なる3頭の87世代、サクラローレルが三冠に乗り遅れた94世代、三冠馬の暴君と短距離覇者の龍王が共存した11世代)。
関連動画
NHK版
実況:高木修平
ラジオNIKKEI版(JRA公式)
実況:小塚歩
実況:倉田大誠
JRA公式英語実況
CX公式ch こっそり裏実況
※声優の高橋ミナミ(『ウマ娘プリティーダービー』・エルコンドルパサー役)が当てに来て失敗。
関連項目
2022年クラシック競走
第89回東京優駿:ドウデュース
今回と同じく優勝ジョッキーの中野栄治騎手(アイネスフウジンの鞍上)を称えて「ナカノコール」が湧き上がった。
勝ち馬であるキングカメハメハを始め10着までが従来のレースレコードを塗り替える驚異的な高速決着となった。
その一方で、レース中の故障で一頭が予後不良、その他多くの馬が故障を発症したため死のダービーと称された回であり、今回のダービーもこれの再来という呼び声があった。
なおドウデュースの父馬ハーツクライはこのレースで2着に入り、その後長いスランプには陥ったものの古馬になってから覚醒し数少ない生き残りとも言われた。