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エフフォーリア

19

えふふぉーりあ

2018年生まれの日本の競走馬。主な勝ち鞍は2021年の皐月賞・天皇賞(秋)・有馬記念(以上GⅠ)で、その他にも同年の共同通信杯(GⅢ)を制した。2021年JRA賞年度代表馬・同賞最優秀3歳牡馬。

時代の継承

父の父、シンボリクリスエス以来となる3歳での天皇賞(秋)有馬記念制覇。

祖父に続きG1ジョッキーとなった鞍上と共に、新たな時代を創っていく。

ヒーロー列伝 No.91】

概要

馬名エフフォーリア
欧字表記Efforia
生年月日2018年3月10日
性別
毛色鹿毛
エピファネイア
ケイティーズハート
母の父ハーツクライ
管理調教師鹿戸雄一(美浦)
馬主(有)キャロットファーム
生産ノーザンファーム

2018年3月10日ノーザンファーム生まれの日本の競走馬。通算戦績は引退時で10戦6勝。

馬名はギリシャ語「強い幸福感」(Efforia)を意味する。

エピファネイアシンボリクリスエス産駒で、母父にスペシャルウィークを持つ2013年の菊花賞馬。現役時代は菊花賞の他に2014年のジャパンカップを制した。種牡馬としては初年度産駒から史上初となる無敗の三冠牝馬デアリングタクトを輩出するなど順調で、エフフォーリアはその2世代目の産駒となる。

母ケイティーズハートは現役時代は15戦3勝。その父は現役時代に無敗の三冠馬ディープインパクト相手に国内で唯一勝利し、種牡馬としても活躍したハーツクライで、その他にはヒシアマゾン(エフフォーリアから見て大叔母)やアドマイヤムーン(エフフォーリアから見て従兄)などを近親に持つ。

経歴

デビュー前

2018年3月10日、ノーザンファームにて誕生。

デビュー前は馬主となったキャロットファームの秋田博章社長曰く「印象がない」とされており、1歳夏まで過ごした育成牧場「ノーザンファームイヤリング」では「血統は良い。でも緩い」と評価されるなど、当時のエフフォーリアは至って平凡な馬だったという。

その後はノーザンファーム空港牧場へ移動し、C-1厩舎で後期育成を受ける。この頃は「馬体の良さは目を引いたが、動かして見るとトモの緩さが目立った」と評価された。なお、同じC-1厩舎の育成馬には同じくハーツクライの血を引く後の2歳王者ダノンザキッドがおり、育成時は共に坂路を駆け上がっていたという。

2020年(2歳)

2歳となったエフフォーリアは美浦鹿戸雄一厩舎に入厩。

当初は体質が弱く、調教後に腹痛を起こしてしまうこともあったが、8月23日の新馬戦(札幌競馬場)で横山武史を背にデビュー。1番人気に支持され、後続のエスコバルを3/4馬身差で振り切り初勝利を挙げた。

11月8日の百日草特別(東京競馬場)も快勝し、2戦2勝で2歳シーズンを終える。

2021年(3歳)

そして迎えたクラシックシーズンとなる3歳シーズン。エフフォーリアは初戦を共同通信杯(GⅢ)で迎える。

ここも2着に2馬身差を付ける快勝で重賞初勝利を遂げた。

皐月賞

「横山武史!クラシック制覇ー!エフフォーリアァァァァ!!!」byアオシマバクシンオー

そして皐月賞では前年の最優秀2歳牡馬ダノンザキッドに次ぐ2番人気に推された。

好位から抜け出すと2着タイトルホルダーに3馬身差を付けて勝利。3着はステラヴェローチェ

鞍上の横山武史はこれがGⅠ初勝利となり、父の横山典弘(武史が生まれた1998年セイウンスカイで優勝)と合わせて皐月賞父子制覇を達成。

調教師の鹿戸雄一はスクリーンヒーローで優勝した2008年ジャパンカップ以来13年ぶりのGⅠ勝利。

また、無敗の皐月賞馬は2019年サートゥルナーリア2020年コントレイルに続いて3年連続史上19頭目となった。

日本ダービー

コントレイルに続く無敗の二冠・そして29年ぶりの無敗の二冠馬2年連続誕生が懸かった第88回日本ダービーは、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に推された。

1枠1番の出走となったエフフォーリアは最後の直線に向くと脚を伸ばして先頭に立った。が、後ろからすごい勢いと瞬発力で伸びてきた小柄な黒鹿毛の馬がいた。それは、かつて共同通信杯で負かしていたシャフリヤールだった。この2頭の激しい叩き合いとなり、並んでゴールイン。

写真判定の結果ハナ差で2着に敗れ、エフフォーリアは初黒星。その差わずか10センチで2年連続の無敗2冠馬の夢が絶たれた。奇しくも去年成し遂げたコントレイルと、本年エフフォーリアを凌いだシャフリヤールの鞍上はいずれも福永祐一騎手であり、史上3人目のダービー連覇の夢のほうが叶う結果となった。

ちなみに、父のエピファネイア(2013年)、母父のハーツクライ(2004年)、父父のシンボリクリスエス(2002年)はいずれも2着に敗れていたため、エフフォーリアは親子3代でダービー2着に敗れるという結果になった。父エピファネイアは奇しくも当時ダービー未勝利の福永祐一騎手がダービーに騎乗しており、シャフリヤールと同じディープ産駒のキズナ(鞍上武豊)にゴール前に差され2着。また、横山武史は22歳で勝てば戦後最年少のダービージョッキー※となっていたが、父の横山典弘も22歳の時にメジロライアン(1990年)で2着に敗れている。

― ※史上最年少は前田長吉の20歳(1943年にクリフジで優勝)。

なお、この敗戦は鞍上の横山武史騎手にとってものすごいトラウマとなっているらしく、今でも彼の中で悪夢となっているとのこと。

武史騎手はこのダービーの2年後の2023年のインタビューでは未だ2021年日本ダービーの映像を見ることができないこと、頻度こそ減少したものの日常生活などで急にダービーのことが出てくる事があると語った。同インタビューでは「今後、ダービーを勝つことがあっても、『あの時の悔しさが晴れました!』とはならないですね。やっぱりエフフォーリアと勝ちたかったから」と語っており、このダービーが彼の心に与えた衝撃の大きさや傷の深さを窺い知ることができる。

レース後は放牧に出され、秋に帰厩。

陣営はクラシック2冠がかかる菊花賞にはあえて向かわず、古馬相手の天皇賞(秋)と有馬記念に出走するプランを発表した。この菊花賞へ向かわないという陣営の決断には賛否あったが、最終的にこの決断は英断となった。

天皇賞(秋)

「若き人馬が頂点に立ちました!3歳馬エフフォーリア!22歳、横山武史!」

そして、迎えた第164回天皇賞、3番人気に支持される。このレースはの1番人気は無敗の三冠馬ながら、勝利から遠ざかっているコントレイル、2番人気は短距離、マイル、中距離の3階級制覇を狙うグランアレグリア。4番人気以下は離れており、3強を形成した。この3強は共通して前走敗れており、これ以上負けられないレースとなっていた。

レースは中団で脚を溜め、直線に向くと脚を伸ばし、グランアレグリアを交わして先頭に立つ。そしてコントレイルの猛追を振り切り、1着でゴールイン。相手がディープインパクト産駒の三冠馬だけに、母父ハーツクライの血が騒いだのだろうか。余談だがジャスタウェイリスグラシューといったハーツクライの産駒たちが三冠馬相手に勝っているため、ハーツクライの血には「三冠馬キラー」という異名まである(まあコントレイルはハーツクライ直仔のサリオスには完勝しているのだが)。なお、ハーツクライ自身も三冠馬キラー。詳細は当該記事参照。

これによって自身のGⅠ2勝目を挙げた上、3歳馬による秋天制覇は祖父(父方)であるシンボリクリスエス以来19年ぶり、史上3頭目の快挙となった(名称が『帝室御賞典』だった時代を含めれば4頭目)。東京競馬場開催の秋の天皇賞では、バブルガムフェロー以来25年ぶりの制覇ともなった。

また、鞍上の横山武史はこれでGⅠ4勝目となり、祖父・横山富雄(1969年にメジロタイヨウで制覇)、父・横山典弘(2009年にカンパニーで制覇)に続く史上初となる親子3代による天皇賞(秋)制覇を成し遂げた。

しかしレース後、厩舎から放牧先の天栄に向かう際に馬運車内で落鉄して蹄を負傷

治療にそれなりの時間を要した上、次走の本番はエクイロックスによる接着装蹄での出走を余儀なくされるという割とシャレにならないアクシデントを挟んだが、それでもなんとか予定通り有馬記念に出走することとなった。

有馬記念

年末の有馬記念では史上最多得票となる260742票を集め、堂々のファン投票1位に選ばれる。

しかし前日、エフフォーリアの周囲で幸先の悪い出来事が立て続けに起きてしまった。

鞍上の横山武史は、その日デビュー戦を迎えたエフフォーリアの半弟ヴァンガーズハートに騎乗したが、ゴール前で手綱を緩めたところを差し切られ、ハナ差で勝ちを逃してしまう。これが『油断騎乗』と見做され、有馬記念への騎乗こそ可能なものの年明けに開催2日間の騎乗停止という制裁を受けることになった。横山の落ち込みぶりは周囲が心配するほどだったという。

さらに同厩舎のベストアクターが予後不良になるなど、鹿戸厩舎にとっては悲しい1日となってしまった。

しかし有馬記念当日、パドックでは鹿戸調教師から「武史が一番上手いから、信じて乗ってこい」と声をかけられた横山は、気を引き締めて騎乗した。

「エフフォーリア!エフフォーリア!エフフォーリアァァ!!有馬も勝ったエフフォーリア!」byアオシマバクシンオー

レースでは最終コーナーで抜け出し、ディープボンドとこれが引退レースとなるクロノジェネシスの猛追を凌ぎ、GⅠ3勝目を挙げた。

3歳馬の天皇賞(秋)と有馬記念の連勝は父父であるシンボリクリスエス以来19年ぶり。3歳シーズンを終えた時点でその見事なまでの隔世遺伝ぶりから、「シンボリクリスエスの再来」という二つ名を確定的なものとした。

クロノジェネシスのグランプリ4連覇を阻み、また4着にステラヴェローチェ、5着にタイトルホルダーと皐月賞の上位3頭が全て掲示板に入ったことで、世代交代を印象付けた。

これで誰も疑わない現役最強馬となったエフフォーリア。通算7戦6勝、負けたのは同タイムでハナ差の日本ダービーのみ。連対率100%で3歳を終えた。

これらの戦績から、2021年のJRA賞では満票最優秀3歳牡馬に選出され、更にこの年、日本馬初のBC勝利を含む海外GⅠ3勝のラヴズオンリーユーに大差をつけて2021年の年度代表馬にも選出された。

ちなみに3歳牡馬での年度代表馬選出は2011年のオルフェーヴル以来である。余談だが、年度代表馬に選出された際の票数277票は、シンボリクリスエスが3歳で2002年の年度代表馬に選出された際の票数と同じであり、ここでもシンボリクリスエスの再来となった。

2022年(4歳)

4歳となる2022年は大阪杯(GⅠ)を始動戦とし、春は国内路線であることが陣営から発表された。また、大阪杯の結果と状態次第では宝塚記念(GⅠ)も視野に入れるとも語られた。

大阪杯

4月3日の大阪杯は1番人気で出走。

シャフリヤールらは不在だが、金鯱賞をレコード勝ちした同期の逃げ馬ジャックドールとの対決が期待された。

……が、前年のコントレイルの敗北と同じく、やはり大阪杯には魔物が潜んでいたのだろうか、初めて掲示板を外す9着と惨敗した。

ちなみに2番人気のジャックドールも5着で、勝ったのは8番人気のポタジェという波乱のレースとなった。

横山武史騎手は「この馬らしさがなかった」「早めに踏んでいきたかったけど、余力がなかった」とコメントしている。

またレース後に鹿戸調教師は「ゲート内で顔をぶつけたような痕があった」とも明かした。

武史騎手は「両側が牝馬だったせいか鳴きながらゲートに入った」とも証言しており、観客からも牝馬レイパパレを凝視する姿を目撃された他、返し馬などでも落ち着きすぎて動きが鈍く、レースに出るメンタルになっていなかった可能性もある。

同期のダービー馬シャフリヤールはドバイシーマクラシックを制し、菊花賞馬タイトルホルダーは日経賞を勝って春天へ向かう中、エフフォーリアは出鼻を挫かれる形となってしまった。

ただ、事前の調教内容に関して不安視する声、レース前の時点でも初めての長距離輸送と初経験となる阪神競馬場のレースという点から不安がなかったわけではなく、レース自体も初めてのハイペース展開など、様々な要因が複合的に絡んだ結果だと推測された。そのため、この時点では不安要素が解消されれば復活か再び活躍できるだろうと思われており、陣営は当初の予定通り宝塚記念を目指し、立て直しに励んだ。

宝塚記念

グランプリレースたる宝塚記念では、春天を制したタイトルホルダーの他、ドバイターフでGI馬となった逃げ馬パンサラッサ、大阪杯での勝ち馬ポタジェ、怪我からの復活を図る三冠牝馬デアリングタクトなどが集った。

ファン投票ではタイトルホルダーが1位となり、エフフォーリアは約3000票差の第2位となる。

それでもあのオグリキャップの最多得票数記録を超えていた(逆にネット投票もなかった時代なのに32年間記録を保持していたオグリも凄いが)。

事前の調教ではなかなか動きが良くならなかったが、ブリンカー(気が散らないように馬の視界を狭める器具)を装着することで本来の切れ味が戻ったと発表された。

それもあってか、もしくはタイトルホルダー側の不安要素(他にも逃げ馬がいる、本領を発揮するには距離が足りないのではないかなど)も影響してか、当日のオッズでは1番人気に支持される。

レースは有馬記念と同じくパンサラッサが先頭をかっ飛ばす形となったが、最序盤にタイトルホルダーと競り合った結果1000m通過が57.6秒(参考までにサイレンススズカが宝塚記念を制した際の1000m通過タイムが58秒6)という凄まじいハイペースとなる。エフフォーリアはデアリングタクトが彼のすぐ横についたため、馬群から抜け出せない苦しい状況に。

さらに先のパンサラッサとタイトルホルダーの2頭が一切ペースを緩めず、タイトルホルダーに標的を絞ったディープボンドも強気に先行。

パンサラッサの単騎大逃げならバテるのを待つこともできるが、春天の1・2着馬がスタミナ切れを起こすことは期待できないため、後続の馬も追いかけるしかなかった。

それによって最後尾の1000m通過が昨年の先頭の1000m通過と同タイムというとんでもない事態が発生し、エフフォーリアは武史騎手曰く「着いて行くのがやっと」の状態で脚が溜まらなかった。

直線では末脚も見せたものの6着に終わった。

対するタイトルホルダーはパンサラッサを直線でかわすと脚色衰えることなく坂を超え、外から上がり最速で猛追するヒシイグアスを2馬身差で退けゴールイン。苦手と思われていた番手からの競馬で2分9秒7のコースレコードを叩き出し、現役最強の座を奪っていった。

宝塚記念後

次走は連覇のかかる天皇賞(秋)を予定して……いた

8月20日、陣営は膝やトモ、球節、蹄などの脚部各所の不調が改善しないため、秋のプランを白紙にすることを発表したのである

このことで前述のアクシデントが元で故障し、有馬記念で勝ったのはいいが、大阪杯と宝塚記念は故障を押して出走していたのではという疑惑も出ている。また、この年のノーザンファーム天栄による調整馬は賞金を稼げないレースが続いており、その点から天栄に厳しい目を向けた声もあり、冗談抜きでイクイノックスの活躍がなければ、天栄自体が厳しい立場に立たされていた可能性もあった。

その後、ノーザンファーム空港牧場に移って仕切り直しとなり、不調が改善してきたことから、武史騎手とのコンビ継続の元有馬記念に直行する見通しとなった。

有馬記念

そして予定通り出走となった有馬記念。前年覇者、そして復活の「エフ」を期待されての投票2位、一方でオッズは上半期覇者タイトルホルダーや下半期で覚醒したメンバーの台頭から5番人気。本馬場入場では力強くターフを駆け抜けるパフォーマンスで会場を沸かせた。

レース開始後は中団に位置し、最終コーナーから仕掛けて最終直線で先頭のタイトルホルダーを捉え、トップ争いに躍り出る。

が、その先頭集団を外後方からイクイノックス、ボルドグフーシュ、ジェラルディーナが抜き去り、叩き合いをしていたイズジョーノキセキにも競り負ける形で5着。

3歳馬と牝馬が台頭、勝者イクイノックスは秋天→有馬という前年エフフォーリアがやってのけた実績を叩き出した事を含めて世代交代を印象付ける結果となった。

しかし掲示板は死守し、4歳以上の牡馬の中では最先着したため前年覇者の面目は保った。

前年と打って変わって思うような勝ちが拾えず、故障にも悩まされた4歳シーズン。「エピファネイア産駒は早熟・早枯れ」と言われる事もあったが、有馬記念の結果はまだまだ戦える事を示してくれた。

そのため5歳シーズンでの復活が期待されていた……が。

2023年(5歳)

京都記念

始動戦は2月の京都記念(GII)。前走で復調の兆しを見せたこともあり、一歳下のダービー馬ドウデュースに次ぐ2番人気となる。

本番では調子よくスタートを切り、横山武史騎手は上手く好位につけて先行。エフフォーリア自身も気合十分に見えるその姿に復活が期待された。しかしドウデュースが猛然と追い込みをかける中、第4コーナーで突如失速。異常を察知した横山武史騎手は追うのを止め、ゴール板手前馬を止めて下馬し、競走中止となった。

あまりにも急な失速から最悪の事態を心配するファンは多かったが、直後にエフフォーリアは自力で歩いて退場し、異常歩様も見られなかった事から、そこまで深刻な問題ではないと思う者もいた。

その後鹿戸調教師から「心房細動と診断を受けました。今は落ち着いてきたので一安心です」と発表された。

ちなみに馬の心房細動は人間のものと異なり、全く異常がなくてもレース中に突如として発症し、特に治療を行なわなくても治癒するケースがほとんどである。

想定外の防ぎようの無い不運であり、今回は調子が良さそうだっただけに残念ではあったが、命に別状がなかったことにファンは胸をなでおろした。

今後については鹿戸調教師がオーナーサイドと相談しながら決めるとされた。

突然の引退

その後、2月14日に一旦「17日を目途にノーザンファーム天栄に放牧に出す」という報道がなされたが、その数時間後、オーナーのキャロットクラブとの協議の結果、エフフォーリアの引退が決定したことが報じられた。

京都記念直後の検査で心電図の数値に異常は見られなかったものの、これまでの功績と今後のことを考え、関係者の協議の結果現役引退が決定したようである。

今後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。

スムーズに種牡馬入りが進んだことから、「2023年初戦で復調の兆しが見られなければ引退することが予め決まっており、そうなったとき種付けシーズンに間に合わせるため京都記念で始動したのではないか?」と推測するファンもいる。

また、蹄の負傷を甘く見て、有馬出走を決断したことが、結果的に運命を分けることになったいう見方もある。というのも、日本ダービー前のエフフォーリアに関するインタビューの時点では、落鉄に遭遇したことなく、蹄の状態は一般的なものとコメントしており、少なくとも怪我以前は蹄に問題を抱えていなかった様子がうかがえる。それに対し、大阪杯後のインタビューでは、有馬記念後は蹄のケアに重点を置き、大阪杯までの日程を逆算して調教を行ったとコメントしたように、怪我以降は蹄の対応に苦労していた可能性があり、これが走りに影響を与えたことも否めず、この怪我がなければ違った結果になったという声も少なくない。

最後の勝ち鞍となったのは2021年有馬記念。そこから一転して低迷し、ついに復活を果たせないまま引退に追い込まれるという、競走馬としては残念ながら不完全燃焼に終わってしまった現役時代だった。しかし、今度は種牡馬としての第二の戦いが待っている。種牡馬としてのエフフォーリアの今後と、その産駒たちが繰り広げる競走馬としての戦いを期待しよう。

  • ちなみにエフフォーリアを種牡馬として見た場合、サンデーサイレンスの4×3(いわゆる『奇跡の血量』)のインブリードを持つ」「シーザリオを母に持つ」という特徴がある。特に前者の特徴を持つ種牡馬は初めてと考えられ、ネット上では「相手となる繫殖牝馬に困るのでは」という意見が散見されている。
    • 一方で血統評論家の望田潤氏は「そういう時代になってきたという感想」「母父がキズナといった時代にもなっており、次の代にはシーザリオのクロスも出てくる」とした上で、スタミナに優れたエピファネイア産駒であることと勝利した3つのGⅠが全て2000m以上のレースであることを踏まえ、「スピードがある種牡馬の産駒が良い。ドレフォンミッキーアイル、エフフォーリアと同じ(ケイティーズ)牝系出身のアドマイヤムーンを父に持つ牝馬などは面白い」と予想している
    • 事実、種牡馬入りしたエフフォーリアは種付け料300万円ですでに満口となっている模様。

その後、同年2月16日にエフフォーリアは美浦トレーニングセンターを退厩し、馬運車に乗ってトレセンを後にした。退厩の際には鹿戸調教師はもちろん、デビューから引退までの全レースの鞍上を務めた武史騎手も駆け付けている。

自身にとって初のGⅠタイトルを齎した唯一無二の相棒を笑顔で見送った武史騎手だったが、馬運車が去った後はそれまで堪えていた涙を隠し切れず、報道陣の取材に対し「本当に、感謝しきれない程あの馬に...前にコメントで言った事と一緒なんですけど、沢山の事を学ばせてもらって、あの馬には...いやもう本当、感謝しきれない、本当その一言に尽きます。本当ありがとうと。」「最後も、本当笑って迎えたらなと思ったんですけど、もっとエフフォーリアのために僕自身してあげられることがあったんじゃないのかなと思いますし、それとは逆にエフフォーリアは僕に、色々な事を経験させてくれたなと。エフフォーリアがくれた経験、いろいろ、僕自身の経験の、なんだろ、僕自身の経験に糧にして成長していきたいなと思います」と涙交じりに答えた。

余談

マシーン…?

エフフォーリアは大人しい性格とそれゆえの抜群の操縦性、見ようによっては怖い白目がちな右目、生のそのままのにんじんを「バリッボリッ」と食べる姿(カットしたり磨りおろしたりしないと食べない馬もいる)、そしてダービーでの惜敗を経て以降の無慈悲な強さが「悲劇をきっかけに豹変して勝ちに執着するようになった、漫画などでよく見かける感じのキャラクター」っぽいことなどから一部では「悲しき競馬マシーン」サイボーグなどと呼ばれている。

ただしレース以外では撫でられて甘える様子も見せており、同じくサイボーグと呼ばれたミホノブルボンが実は負けず嫌いだったのと同様、普段は見せない一面があるらしい(ちなみにミホノブルボンは菊花賞で無敗の三冠達成をシャフリヤールと同じく小柄な黒鹿毛の馬、ライスシャワーに阻まれている)。

また2021年有馬記念勝利後、口取り式の際に横山武史を軽くどつく場面があり、「勝ったんだから笑えよ」と言っているように見えたファンもいた(武史騎手は前日の油断騎乗の件から素直に勝利を喜べない心境だったようで、勝利者インタビューでも改めて謝罪している)。

なお、強面に関しては単に母ケイティーズハートからの遺伝の可能性がある。

撃墜王

他には愛称の「F4」からF-4「ファントムⅡ」戦闘機を連想すること、古馬のエースたち(特に『飛行機雲』という意味のコントレイル)に勝ったことから「撃墜王」と呼ばれたりもしている。

余談だが航空自衛隊ファントムⅡは2021年皐月賞の1ヶ月ほど前に完全退役しており、話題になったこともこの異名がついた理由と思われる。

牛…?

2022年有馬記念の前週、みんなのKeibaに登場した細江順子氏からエフフォーリアについて大阪杯から体重増加や肉付き明らかによくなった事を「牛みたい」などと評価されてしまった。

なお、枠順抽選会でその細江氏から「本番ではどのくらいの馬体重になりそうか?」と質問された鹿戸調教師の返答は、

「そうですね、えー、牛 じ ゃ な い ん で、520キロ台で出れたらいいかなぁと思っています」

……というものだった(ちなみに実際の本番の馬体重は532キロだった)。

しばらくレースに離れた病み上がりに身体が締まってない事は不安要素だった。実際には完全復活とはいかなかったがしっかり掲示板に滑り込んだので、前年覇者の面目はしっかり保ってくれたのだが。

(ただ、馬体重の比較で言えば、エフフォーリアが最も重かったのは事実であり、事前発表の馬体重的には不安視されるのは避けられなかった。けれど、タイトルホルダーもレース当日にかなり胴回りが太くなっていたりするのでエフフォーリアが特別太かったというほどではなかったし、返し馬で元気に走っていた事を含めて仕上がり自体は決して悪いものではなかった)

関連イラスト

2021年、天皇賞(秋)制覇時の記念イラスト。鞍上はセイウンスカイ(ウマ娘)、馬主役はスペシャルウィーク(ウマ娘)。現実ではエフフォーリアの主戦騎手である横山武史は先述したようにセイウンスカイの主戦騎手だった横山典弘の息子であり、またエフフォーリアはスペシャルウィークのひ孫(エフフォーリアの父・エピファネイアの母父がスペシャルウィーク)にあたる。

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