概要
中央競馬の牝馬限定クラシック「桜花賞」「優駿牝馬(オークス)」及びクラシックに準ずる「秋華賞」の3歳限定GⅠ3レースをすべて勝った牝馬の称号。
アメリカではクラシック三冠を「トリプルクラウン」と呼ぶのに対して、こちらは「トリプルティアラ」と呼ばれる。
牝馬三冠のレース体系の変遷
牝馬路線の三冠目は、元はクラシック三冠と共通の「菊花賞」だった。牝馬は心肺機能などの関係で距離が長くなるほど牡馬に比べて競走能力が落ちるため、菊花賞への挑戦自体が異例。
1964年の菊花賞では二冠牝馬カネケヤキが出走し、二冠馬シンザンと対決して敗れた。これが「菊花賞で三冠を賭けた二冠牡馬と二冠牝馬の直接対決」の唯一の事例となっている。
1970年に牝馬三冠の最終路線としてクラシックに準じるGⅠレース「ビクトリアカップ」が創設され、牡牝の三冠路線が完全に分かれた。
その後、1975年のエリザベス2世の来日を記念し、1976年からレース名を「エリザベス女王杯」に変更。
そして1986年にメジロラモーヌが史上初の牝馬三冠を達成。三冠目が「エリザベス女王杯」の時代の三冠牝馬はメジロラモーヌのみ。
更に、1996年から「エリザベス女王杯」が古馬も出走できる最強牝馬決定戦に変わり、新たに三冠目のレースとして「秋華賞」が創設され、現在に至る。
無敗三冠
クラシック三冠と違い、無敗で牝馬三冠を制する馬はなかなか現れなかったが、2020年にデアリングタクトが史上初めて無敗での牝馬三冠を達成した。
歴代三冠牝馬
馬の太字は顕彰馬に選出。
名前 | クラシック年 | 騎手 | 馬主 | 備考 |
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メジロラモーヌ | 1986年 | 河内洋 | メジロ牧場 | 三冠目はエリザベス女王杯。また、史上唯一各レースのトライアル競走も制覇した『完全三冠』でもある。唯一現3歳で引退。1987年顕彰馬選出。 |
スティルインラブ | 2003年 | 幸英明 | ノースヒルズ | ディープインパクトより先にサンデーサイレンス産駒で三冠達成。秋華賞勝利後は気性の荒さが目立つようになり2桁着順を喫するなど1勝もできずに引退。また、重賞勝ちはすべて牝馬三冠GⅠのみだった。引退後は繁殖入りしたもの二番仔妊娠中に病没。唯一の産駒も牡馬で尚且つ種牡馬入り出来なかったこともあり繁殖入りした三冠牝馬で唯一血統が断絶している。 |
アパパネ | 2010年 | 蛯名正義 | 金子真人 | 優駿牝馬はサンテミリオンと同着。本馬以外で阪神ジュベナイルフィリーズを勝利の上で三冠を達成したのは下記のリバティアイランドまで現れなかった。古馬でもヴィクトリアマイルを優勝。 |
ジェンティルドンナ | 2012年 | 岩田康誠 | サンデーレーシング | 優駿牝馬は川田将雅が騎乗、年度代表馬を受賞した初の三冠牝馬。古馬でもジャパンカップ連覇、ドバイシーマクラシック・有馬記念優勝。2016年顕彰馬選出。 |
アーモンドアイ | 2018年 | クリストフ・ルメール | シルクレーシング | 2018年度代表馬を満票で受賞、牝馬三冠後にジャパンカップ優勝のほか、古馬でもドバイターフ・ヴィクトリアマイル制覇・天皇賞(秋)連覇、ジャパンカップ隔年制覇と、通算G1勝利数9勝を記録した「九冠馬」。2023年顕彰馬選出。 |
デアリングタクト | 2020年 | 松山弘平 | ノルマンディーサラブレッドレーシング | 史上初となる無敗三冠牝馬、牝馬三冠達成までのキャリア5戦は史上最少。秋華賞以後は繋靭帯炎など脚部不安となり2着・3着はあれど1勝もできずに引退。スティルインラブと同じく重賞勝ちは全て牝馬三冠GⅠのみだった。 |
リバティアイランド | 2023年 | 川田将雅 | サンデーレーシング | 上記のアパパネ以来となる阪神ジュベナイルフィリーズを勝利し三冠達成。また馬主サンデーレーシング2頭目の三冠牝馬となった。なお、レースが行われた10月15日は鞍上の川田騎手の38歳の誕生日であった。古馬でドバイシーマクラシック3着後に右前種子骨靭帯炎を発症し、秋まで全休となった。 |
ダート牝馬三冠
地方競馬でダート牝馬三冠路線を確率しているのは岩手競馬と南関東公営競馬のみ。
うち、南関東牝馬三冠を達成したのは1頭のみ。
- チャームアスリープ(2006年。史上初のダート牝馬三冠馬)
また、川崎競馬所属のロジータ(89世代)は牝馬でありながらも牡馬混合の三冠に挑み、見事に三冠を達成している。(なお、浦和桜花賞にも挑み優勝しているため、変則四冠馬でもある)
関連タグ
トリプルティアラ - ゲーム「ウマ娘プリティーダービー」における三冠牝馬の呼称。