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リバティアイランド

りばてぃあいらんど

2020年生まれの日本の競走馬。主な勝鞍は2022年の阪神ジュベナイルフィリーズ、2023年の牝馬三冠(桜花賞、優駿牝馬(オークス)、秋華賞)(以上GⅠ)。2023年に史上7頭目の牝馬三冠を達成した。2022年度JRA賞最優秀2歳牝馬、2023年度同賞最優秀3歳牝馬。現時点で上がり3ハロンの日本タイ記録を持つ。
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JRA広告編集

「君には冠がよく似合う。」

大外一気の桜花賞。圧勝劇を演じたオークス

大歓声に包まれ、悠々と駆け抜けた秋華賞

ターフを駆けるたびに輝きを増す彼女が、

次に掴む冠は何色の光を放つのだろうか。


プロフィール編集

生年月日2020年2月2日
欧字表記Liberty Island
香港表記自由島
馬名意味米国ニューヨーク湾の自由の女神像が建っている島(母・ヤンキーローズからの連想)
性別
毛色鹿毛
ドゥラメンテ(JPN)
ヤンキーローズ(AUS)
母の父All American(AUS)
生産者ノーザンファーム
馬主サンデーレーシング
管理調教師中内田充正(栗東)

父ドゥラメンテは優れたパフォーマンスを持ちつつも故障に悩まされた2015年のクラシック二冠馬。引退後は種牡馬入りするも産駒の活躍が期待されていた中早逝してしまうが、タイトルホルダースターズオンアースを筆頭に多くのGⅠ馬を輩出している。リバティアイランドはそのドゥラメンテの3年目産駒の一頭。


母ヤンキーローズはオーストラリアでG1を2勝し、そのうち1勝はスプリングチャンピオンステークスで、牝馬としては初制覇。引退後は日本に輸入され、リバティアイランドは第2仔である。牝系をたどるとビコーペガサスの母、Condessaにつながる。


ちなみに過去に同名の馬がいる。

こちらは2003年生まれの牡馬(父リンドシェーバー)で、中央でデビューした後に地方競馬に移籍した。


経歴編集

デビュー前編集

一口100万円で40口分募集がかかり、無事完売した。


2歳時(2022年)編集

7月30日、川田将雅騎手を鞍上に新潟の新馬戦(芝1600m)でデビュー。単勝2.1倍の1番人気に推される。道中七番手で進むと、4コーナーを回っての直線で爆発的な末脚を披露して前で粘る二頭をこともなげに追い抜き悠々とゴールイン。そこで電光掲示板に表示されたのは上がり3ハロン31.4秒と言いう数字だった。これは2022年5月の韋駄天ステークス(新潟芝直線1000m)でルッジェーロが出した記録とタイであった。ちなみに韋駄天ステークスは古馬オープン戦である。そしてリバティアイランドが走ったのは新馬戦である。もう一度言う。上がり3ハロンの日本記録が出たのは方や古馬の千直、方や新馬のマイル戦である


…おわかりいただけただろうか。距離が600m長く、カーブのあるコースを走ったとしても、格上とされる古馬の直線スプリントと同等の末脚をデビュー時点で発揮できるという驚異的な能力を有する馬だったのである。ネットは騒然となり、多くの競馬ファンからの注目を集めた。


2戦目はアルテミスステークス(東京芝1600m・GⅢ)に出走。

直線で進路を失ってしまったが、上がり33.3秒の末脚を発揮して何とか2着に入る。


そして3戦目は初GⅠとなる阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神芝1600m)に1番人気で出走。

中団の外めでレースを進め、今度は進路クリアで直線に突入。残り200mで先頭に立つと、2馬身半差で圧勝した。ドゥラメンテ産駒はこれでこの年のGI・jpnI通算6勝目となった(その後ドゥラエレーデホープフルSを勝ち7勝となる)。

当然ながらこの年の最優秀2歳牝馬を満票で受賞。すでにクラシックホースを2頭出しているドゥラメンテ産駒だけに、2023年牝馬クラシックでの活躍にも期待がかかった。


3歳時(2023年)編集

桜花賞編集

クラシックイヤーの2023年は一冠目の4月9日桜花賞へと直行。

引き続き川田騎乗のリバティアイランドは2枠3番を引き、当日は単勝1.6倍の圧倒的1番人気。

1枠2番には武豊騎乗の2番人気・ディープインパクトラストクロップ世代のライトクオンタム、3枠5番にはライバルクリストフ・ルメール騎乗の3番人気・クイーンカップ勝ち馬ハーパーとライバルに挟まれた枠となり、ルメールや武らとの激しい駆け引きも予想されていた。


が、リバティアイランドはスタート後周囲と争うことをせずに手綱を抑え、後方3番手まですっと下げた。そこから直線の入り口で外に持ち出し、上がり3F32秒9の末脚でまとめて差し切った

2着コナコースト・3着ペリファーニアは道中先行グループの前が止まらない馬場の中、一頭抜けた末脚を発揮して人気に応え、一冠目を掴み取った。

鞍上の川田将雅騎手は前年のスターズオンアースに続き桜花賞2連覇。

またドゥラメンテ産駒としてもスターズオンアースに続き桜花賞2連覇かつ、ファーストクロップから3年連続で3歳クラシック競走の勝ち馬を輩出することとなった(2021年タイトルホルダー菊花賞2022年スターズオンアース:桜花賞・オークス)。

ちなみに、単勝1番人気の馬が桜花賞を勝利したのは2014年ハープスター以来9年ぶりであるが、奇しくも鞍上が同じく川田騎手で、最後方から全馬差し切るという戦法も全く同じだった。

加えて前述の32秒9という上がり3Fタイムもハープスターと同じで、桜花賞最速タイである。

また、中内田調教師は2歳GⅠを数々制していた反面3歳クラシックは長らく勝てていなかったため、今回も「中内田厩舎の馬がクラシックに出ると勝てない」といったジンクスが実しやかに囁かれていたが、今回の桜花賞によってそのジンクスを乗り越え、悲願のクラシック制覇を達成した


オークス これほどまでに強いのか編集


桜花賞後、日本ダービーへの出走をファンから期待された中、予定通りオークスへ向かった。


3枠5番に入ったリバティアイランドは、1600mでの鮮烈な勝ち方からマイラーではないかという懸念(とはいえ、この日のオークスに出走する馬は全頭が2400m未経験)、3枠から直近20年で勝ち馬が出ていないこと、さらに中内田厩舎の2400m成績が不振である(オークスまでの通算360勝中2400m以上のレースの勝ち鞍が僅か3つしかなく、G1は1600mの物だけ、重賞に範囲を広げても2000mまでが精一杯とこれまでの結果を見る限り明確に2000m以上の距離の馬の育成を苦手としていると取れてしまう)こと、そして当日のパドックでも厳しい評価が付けられたりと、不安要素は多かったものの、桜花賞での鮮烈な勝ち方が評価され、単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持された。


そして、先程挙げた9年前のハープスターはオークスで単勝1.3倍に支持されたにもかかわらず、ヌーヴォレコルトを差しきれず2着と敗れており、その再現を危惧する声もあった。


レースが始まると、中団からの競馬となった。そして4コーナーから進出を開始すると、直線では抜群の手応えを発揮。残り200mで粘りを図るラヴェルをあっという間に交わして先頭に立つと、もうそこからは後続を離す一方。レース前の全ての不安を消し飛ばす6馬身差の完勝で2冠を達成した。オークスにおいてこれだけの着差は1975年のテスコガビー(8馬身差)に次ぐ、史上2位の記録である(日本中央競馬会設立前も含めれば4位)。あまりの強さにFNN版の実況アナ(※1)がゴール後に「これほどまでに強いのか!リバティアイランド!」と、父ドゥラメンテを彷彿とさせるセリフを言うほどだった。


この勝利によって、昨年のスターズオンアースから2年連続でドゥラメンテ産駒が牝馬2冠を達成した。中内田調教師は1600m以外のGⅠ初制覇、川田騎手は5馬身差の圧勝劇を演じたジェンティルドンナ以来のオークス制覇となった。

上がり3F34.0は今回も上がり最速だった。


この勝利によって、LWBRR(ロンジンワールドベストレースホースランキング)において、本馬にこれまでのオークスの歴代最高値である115ポンド(アーモンドアイやジェンティルドンナなど)を大きく上回る120ポンドが付けられた。牝馬によるアローアンスを考えれば、あのディープインパクトの日本ダービーと同等のパフォーマンスと評価され、シーザリオのアメリカンオークスと並び、この時期としての牝馬最高タイを記録した。翌週の日本ダービーでダービー馬に輝いたタスティエーラよりも高い値が付いたことがこの馬の異質さを証明していると言える。


秋華賞 圧巻の三冠天井知らずのポテンシャル編集

オークスの後は秋華賞に直行し、来年には海外遠征も視野に入れている様子が後に発表された。

思えば父ドゥラメンテも、同父の先輩スターズオンアースも、2冠制覇から怪我を発症し、三冠はならなかった(後者は秋華賞で三冠に挑戦したが3着。)。その無念を越え、天にいる父に三冠を届けることは出来るかどうか。

競馬ファンからは、そうした期待もあり、今後の活躍が注目されていた。


そして秋華賞当日、最高のポテンシャルで挑んだリバティアイランドは3枠6番、鞍上に川田騎手を乗せて出走。オークスの勝ちっぷりから、単勝オッズ1.1倍、単勝支持率67.3%の圧倒的1番人気に支持された。


序盤及び中盤は馬群の中で様子見つつ、第3コーナーの途中から外に寄り、第4コーナーで仕掛け始めてコーナーを抜けると同時に先頭に立ち、最終直線を駆け抜けていく。

そこに大外から岩田望来が駆るローズステークス勝ち馬・マスクトディーヴァが猛追するも、リバティアイランドが一馬身差で押し切り、父・ドゥラメンテが怪我で、そして同じドゥラメンテ産駒のスターズオンアースが果たせなかった三冠を獲得した。

尚、阪神JF勝利馬による牝馬三冠達成は2010年アパパネ以来13年ぶり史上2頭目となる

奇しくもこの日は川田騎手の38歳の誕生日であり、この秋華賞の勝利により川田騎手は史上4人目(他3人は武豊福永祐一クリストフ・ルメール)となるJRAの3歳限定GI完全制覇、及び福永祐一に続く史上2人目の世代限定GⅠ(2歳限定・3歳限定GⅠ全10競走)完全制覇を達成。

普段は感情を表に出さない川田騎手も今回ばかりは嬉し涙を流し、「ジョッキー生活20年目で競馬の神様がくれた最大のプレゼントだなと思ってます」とコメントした。その川田騎手の嬉しさは普段ガッツポーズをしない彼がゴールイン直後に三本指を立てながら小さくガッツポーズをするという珍しい光景にも示された。


ジャパンカップ 世界最強を追え編集

次走はジャパンカップに決定。初の牡馬混合戦にして古馬混合戦となる。

今年のジャパンカップには国内からは世界最強馬・イクイノックスや前年のダービー馬・ドウデュース、同父のGⅠ3勝馬・タイトルホルダー、同じく前年の二冠牝馬・スターズオンアースといった有力馬が出走を予定している他、更には海外からも今年の英セントレジャーステークスを制したコンティニュアス(※)などが遠征予定であるというハイレベルなメンバーが集う見通しで、史上7頭目の三冠牝馬としてこれらの強豪メンバーに挑むこととなった。

なお「選択肢を残すため」として、12月に香港シャティン競馬場で行われる香港カップへの予備登録を行っていた。


そしてジャパンカップ当日、リバティアイランドは1枠1番、川田騎手を鞍上に単勝オッズは3.7倍、イクイノックスに次ぐ2番人気と、仕方ないとはいえ初めて2番人気以下となった。


落ち着いたスタートを切ると道中1番人気イクイノックスを見るようにスターズオンアースと並んで前から4、5番手の位置をキープ。

そのまま最後の直線に入るとそこから脚を伸ばし、残り150m辺りで2番手まで上がるも、先に抜け出していたイクイノックスを捉えきれず、イクイノックスから4馬身離され2着。前年のアルテミスステークス以来の敗戦、GI連勝記録は4でストップ、GⅠ初黒星となった(それでも連対率100%はキープしている)。


レース後、川田騎手は、「全力で挑ませていただいて素晴らしい走りをしてくれた中で、やっぱり世界一の馬はさすが世界一だなという感じですごく強かったです。ただ、リバティアイランドにとっても素晴らしい経験になったことが今後に必ず生きてくると思います」とコメント、この敗戦を前向きに捉えており、レース後には川田騎手とイクイノックス鞍上のルメール騎手が握手を交わす姿が見られた。


そして年内の残りは休養に充てることが発表された。翌年は本格的に古馬戦線へ挑むことになるだろう。2023年のJRA賞では牝馬三冠達成の実績が評価され、最優秀3歳牝馬に選出されている。


※…直前の調教にて歩様に乱れが出た為出走回避となった。


4歳時(2024年)編集

2024年を迎え、古馬として新たなシーズンに挑むリバティアイランド。サンデーレーシングから発表された通り、初戦は初の海外遠征となるドバイシーマクラシックで幕を開けた。


このドバイシーマクラシックは、父ドゥラメンテが2016年に挑みながら惜しくも2着に終わった因縁の舞台。牝馬三冠を制覇し、更なる成長を遂げたリバティアイランドが亡き父の果たせなかった夢を引き継ぐことに期待が高まった。


迎えたレース本番では、地元UAEのレベルスロマンスの3着と、日本勢ではシャフリヤール(2着)に次ぐ結果となり、初の海外レースで初めて連対を逃すこととなった(複勝率100%は維持している)。


次走の予定は未定であったが、ドバイでの負荷が集ったか右前種子骨靭帯炎を発症してしまい、療養のために春は全休となってしまった。


夏になり脚の状態も良化したためか、秋の天皇賞で復帰。


迎えた秋の天皇賞では復帰初戦ながら単勝2.3倍の1番人気に支持される。レース本番では好位の外めを追走するも直線で手応えが悪くなりズルズルと後退し13着とキャリア初の着外・二桁着順の大敗という結果に終わる。JRA所属の三冠牝馬が国内GⅠで二桁着順に敗れるのは史上初の事であった。鞍上の川田騎手は、「返し馬の雰囲気も良く、4コーナーまで抜群の手応えで回ってきたけど、これだけ動けなかったのは初めて」と語った。


次走は状態次第でジャパンカップに出走を予定していたが、レース間隔と距離を鑑みて香港カップへ出走することになった。


香港カップ本番ではロマンチックウォリアーの2着と敗れはしたものの前走の大敗から巻き返しての健闘を見せた。






特徴・エピソードなど編集

ハープスターの再来編集

上述の通り、新馬戦で上がり3ハロン31秒4の日本タイ記録を記録した末脚が武器であり、それを活かした差し~追い込みが基本戦法。桜花賞制覇時には、あまりの強さに同じく川田騎手の追い込み戦法で桜花賞を勝った「ハープスター」を彷彿とさせるとして名が挙がっている。

それゆえに、オークスでは差し届かずで敗れてしまうのではないかという不安もあった。なお、結果は経歴の通りである。


リバティアイランドミスド構文編集

この記事の関連イラストでリバティアイランドとポンデリングが一緒に描かれているが、これには元ネタがある。

netkeiba.comの競走馬データベースには一頭ごとに「掲示板」があるのだが、2023年1月3日にこんな文書がファンにより投稿された。


阪神JFを制し、もはや牝馬クラシック路線の主役は間違いなしの中、もし桜花賞でリバティアイランドが負けるなら...と考えてしまい正月から不安…という内容なのだが、そこで挙げられた敗因が

  • ゲートトラブルでリバティアイランドのゲートだけ1分間開かない
  • 馬運車の運転手が間違って阪神ではなく福島に運んでしまう
  • ミスド好きの装蹄師が蹄鉄と間違えてポンデリングを蹄に打つ
  • メンコの代わりにオールドファッションをつける
  • 甘いもの好きな川田騎手鞭と間違えてチュロスを持って騎乗してしまう

というものであり、多くの競馬ファンの腹筋にダメージを与えた。なお、実際の結果は経歴の通りである。

また、一部のファンからは「蹄鉄がポンデリングになったり鞭がチュロスになったくらいでは負けない」という声もある。


お嬢さん編集

2023年春より、JRAはレースの際、一部の騎手の頭部にカメラを取り付けて映像を撮影する「ジョッキーカメラ」を投入しており、大迫力の映像や騎手と馬のやり取りなどで人気を博している。

リバティアイランドは牝馬三冠の全てでジョッキーカメラを装着しているのだが、桜花賞の映像でのゴール後、川田騎手がリバティアイランドに呼びかける声が注目を集めた。

大外一気で突き抜けてのゴール後、この動画の2:10あたりで「お嬢さん、終わりです」と手綱を引きながら声をかけている様子が収録されている。

普段からクールなイメージのある川田騎手がお手馬をお嬢さんと呼んでいるということがギャップ萌え的に人気を博した。


その後も、川田騎手はリバティアイランドに騎乗した際

  • オークス:「これが東京だ。お嬢さん
  • 秋華賞:「ありがとうお嬢さん。素晴らしい走りだ、よくやった

とゴール後に呼びかけており、リバティアイランドのことをお嬢さんと呼ぶ競馬ファンも出てきている。


注釈編集

※1:フジテレビ・立本信吾アナ。よほど興奮していたのか、実況席の机をバンバンと叩く音もマイクに乗ってしまっていた。


関連イラスト編集

リバティアイランド無題


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競走馬

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