基本データ
概要
毎年5月(慣例として東京優駿(日本ダービー)の前週)に東京競馬場芝2,400mコースで開催される、3歳牝馬限定のGⅠ競走。
旧八大競走の一つとしても扱われ、桜花賞・秋華賞(1996年以降)と共に3歳クラシック牝馬三冠を構成する(1995年以前はビクトリアカップ(1970年~1975年)とその後身のエリザベス女王杯(1976年~現在も開催)が組み込まれていた)。
1938年(昭和13年)、英国のオークスステークスを模範として「阪神優駿牝馬」の名称で創設され、その名の通り当初は旧阪神競馬場(鳴尾競馬場)での芝2,700m戦として設定。
開催時期も創設当初は秋季開催(10月~11月)であったが、1952年より春季に変更し以降毎年5月に開催されるようになった。
1940年に芝2,450m、1943年に芝2,400mに変更され、第二次世界大戦後の1946年に東京競馬場での開催と「優駿牝馬」の名称となる。
公式副称の「オークス」は1965年に追加設定されたもので、元々の意味が樹木の「樫」である事から優勝馬は「樫の女王」とも呼ばれる。
一冠目の桜花賞が1,600mのマイル戦なのに対し、優駿牝馬は2,400mの中長距離戦であるため、両レースに出走する場合は約1ヶ月で800m分の距離延長となり、この距離に泣いた馬も多いといわれる。
また、マイルではあまり活躍できない中距離適性を持っている馬がここで才能を開花し、GⅠ初制覇を果たしたケースも少なくない。
過去の優勝馬
馬の太字は最優秀3歳牝馬(2000年までは最優秀4歳牝馬)受賞馬、また勝利騎手の太字はJRA騎手・調教師顕彰者
☆は牝馬三冠達成。またクリフジのみ変則三冠。
★は二冠達成(「桜」は桜花賞、「菊」は菊花賞、「VC」はビクトリアカップ、「エ」はエリザベス女王杯、「秋」は秋華賞との二冠を表す。「皐」は皐月賞、「ダ」は日本ダービーとの変則二冠。)
回 | 年度 | 馬名 | 冠 | 騎手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
昭和時代 | |||||
第1回 | 1938年 | アステリモア | 保田隆芳 | 記念すべき第1回の勝ち馬、阪神(鳴尾)競馬場芝2700mで施行。鞍上の保田は当時18歳8か月で、現在も八大競走・GⅠ史上最年少勝利。 | |
第2回 | 1939年 | ホシホマレ | 佐々木猛 | この年より芝2450mで施行。1着入線はヒサヨシだが、レース後に興奮剤を使用していたことで失格、2着ホシホマレが繰り上げ優勝となる。この事件はヒサヨシ鞍上の武田文吾が猛抗議し競馬会に大きな波紋を起こした。 | |
第3回 | 1940年 | ルーネラ | 近藤貞男 | ||
第4回 | 1941年 | テツバンザイ | 稲葉幸夫 | 鞍上の稲葉は優駿牝馬では唯一の騎手兼調教師で勝利を挙げた。 | |
第5回 | 1942年 | ロツクステーツ | 玉谷敬治 | 阪神(鳴尾)競馬場最後のオークス馬。 | |
第6回 | 1943年 | クリフジ | ☆(ダ、菊) | 前田長吉 | この年より芝2400mで施行。制覇時はダービーとの二冠。その後菊花賞を制し唯一の変則三冠となる。また、この年に鳴尾競馬場が閉鎖されたため京都競馬場で施行され、京都競馬場唯一のオークスでもある。顕彰馬。 |
施行場を東京競馬場に変更 | |||||
第7回 | 1946年 | ミツマサ | 新屋幸吉 | この年より東京競馬場で施行。 | |
第8回 | 1947年 | トキツカゼ | ★(皐) | 佐藤嘉秋 | 皐月賞との変則二冠。繁殖入り後もダービー馬オートキツ、天皇賞(春)・有馬記念馬オンワードゼアを産む。オークス史上最大着差である大差勝ちで勝利。同日に行われた菊花賞ではブラウニーが勝利。同日に二冠牝馬が誕生する唯一の例となった。顕彰馬。 |
第9回 | 1948年 | ヤシマヒメ | 佐藤嘉秋 | 鞍上の佐藤は初の騎手としての連覇。 | |
第10回 | 1949年 | キングナイト | 高橋英夫 | ||
第11回 | 1950年 | コマミノル | 渡辺正人 | ||
第12回 | 1951年 | キヨフジ | 阿部正太郎 | 史上初の地方競馬(川崎競馬)出身馬による中央競馬クラシック優勝、その後も初代川崎記念優勝馬となる。引退後に功績を称えられ、キヨフジ記念(現・エンプレス杯)が川崎に創設された。 | |
春季施行に変更 | |||||
第13回 | 1952年 | スウヰイスー | ★(桜) | 八木沢勝美 | この年より春季施行。初の桜花賞との二冠馬で、古馬になってからも安田賞連覇を果たす。女優・高峰三枝子の所有馬で知られる。 |
第14回 | 1953年 | ジツホマレ | 杉村一馬 | ||
最優秀3歳牝馬設置 | |||||
第15回 | 1954年 | ヤマイチ | ★(桜) | 八木沢勝美 | 第6回優勝のクリフジ産駒で初の母子オークス制覇。また馬主はトキノミノルを所有した永田雅一。 |
第16回 | 1955年 | ヒロイチ | 岩下密政 | ||
第17回 | 1956年 | フエアマンナ | 佐藤嘉秋 | ||
第18回 | 1957年 | ミスオンワード | ★(桜) | 栗田勝 | 初の無敗での牝馬二冠馬。 |
第19回 | 1958年 | ミスマルサ | 八木沢勝美 | ||
第20回 | 1959年 | オーカン | 清田十一 | ||
第21回 | 1960年 | スターロツチ | 高松三太 | 同年の有馬記念を4歳(現3歳)牝馬として史上唯一の優勝を挙げる。 | |
第22回 | 1961年 | チトセホープ | 伊藤修司 | ||
第23回 | 1962年 | オーハヤブサ | 藤本勝彦 | ||
第24回 | 1963年 | アイテイオー | 伊藤竹男 | ||
第25回 | 1964年 | カネケヤキ | ★(桜) | 野平祐二 | 三冠目の菊花賞はシンザンとの対決となったが敗れている(5着)。 |
第26回 | 1965年 | ベロナ | 加賀武見 | 鞍上の加賀は桜花賞をハツユキで制し、初の違う馬での牝馬二冠ジョッキーとなった。 | |
第27回 | 1966年 | ヒロヨシ | 古山良司 | ||
第28回 | 1967年 | ヤマピット | 保田隆芳 | 保田は代打騎乗で優勝。 | |
第29回 | 1968年 | ルピナス | 中野渡清一 | 初の抽選優勝馬。 | |
第30回 | 1969年 | シャダイターキン | 森安重勝 | 馬主社台ファーム初のクラシック優勝。 | |
第31回 | 1970年 | ジュピック | 森安重勝 | 鞍上の森安は2人目の騎手連覇。 | |
第32回 | 1971年 | カネヒムロ | 岡部幸雄 | 岡部初の八大競走優勝。産駒が有馬記念優勝馬カネミノブ。 | |
第33回 | 1972年 | タケフブキ | 嶋田功 | タケホープの半姉。二冠馬アチーブスターは未出走。 | |
第34回 | 1973年 | ナスノチグサ | 嶋田功 | 嶋田は3人目のオークス連覇。二冠牝馬ニットウチドリを破る。 | |
第35回 | 1974年 | トウコウエルザ | ★(VC) | 嶋田功 | 鞍上・嶋田は史上唯一のオークス三連覇、秋にビクトリアカップを勝ち二冠牝馬となる。 |
第36回 | 1975年 | テスコガビー | ★(桜) | 菅原泰夫 | 優駿牝馬後に故障。 |
第37回 | 1976年 | テイタニヤ | ★(桜) | 嶋田功 | アローエクスプレスの代表産駒。 |
第38回 | 1977年 | リニアクイン | 松田幸春 | 二冠牝馬インターグロリアを破る。 | |
第39回 | 1978年 | ファイブホープ | 横山富雄 | 2頭目の抽選優勝。 | |
第40回 | 1979年 | アグネスレディー | 河内洋 | 河内初の八大競走優勝。 | |
第41回 | 1980年 | ケイキロク | 岡部幸雄 | 二冠牝馬ハギノトップレディを破る。 | |
第42回 | 1981年 | テンモン | 嶋田功 | 優駿牝馬後に放牧先で台風に被災し重傷、引退を余儀なくされる。また、鞍上嶋田も史上最多の5勝目を挙げた。 | |
第43回 | 1982年 | シャダイアイバー | 加藤和宏 | デビュー78日目での史上最短制覇。 | |
第44回 | 1983年 | ダイナカール | 岡部幸雄 | 5頭接戦で勝利。繁殖入り後にエアグルーヴを産む。 | |
第45回 | 1984年 | トウカイローマン | 岡冨俊一 | この後長い低迷があるが、1987年、7歳時に京都大賞典を制し新人の武豊に重賞初制覇をもたらす。 | |
第46回 | 1985年 | ノアノハコブネ | 音無秀孝 | 単勝6270円の低人気勝利。同年末の阪神大賞典で予後不良となった。 | |
第47回 | 1986年 | メジロラモーヌ | ☆ | 河内洋 | 初の牝馬三冠馬。顕彰馬。 |
第48回 | 1987年 | マックスビューティ | ★(桜) | 田原成貴 | エリザベス女王杯ではタレンティドガールに敗れて牝馬三冠ならず。 |
第49回 | 1988年 | コスモドリーム | 熊沢重文 | 鞍上の熊沢の初重賞制覇かつ、オークス史上最年少制覇。フジテレビで実況した堺正幸アナウンサーが優勝馬を間違え、進退伺を提出したレースでもある。昭和最後のオークス。 | |
平成時代 | |||||
第50回 | 1989年 | ライトカラー | 田島良保 | 桜花賞馬シャダイカグラを破る。管理する清田十一はオークスを騎手・調教師として制覇を果たす。 | |
第51回 | 1990年 | エイシンサニー | 岸滋彦 | 34歳での大往生。 | |
第52回 | 1991年 | イソノルーブル | 松永幹夫 | ||
第53回 | 1992年 | アドラーブル | 村本善之 | ノーザンテースト産駒最後の平地GⅠ勝利。 | |
第54回 | 1993年 | ベガ | 武豊 | 武豊初のオークス制覇。エリザベス女王杯はホクトベガに敗れて三冠ならず。 | |
第55回 | 1994年 | チョウカイキャロル | 小島貞博 | 同期のヒシアマゾンは外国産馬の出走資格締め出しにより出走せず。 | |
第56回 | 1995年 | ダンスパートナー | 武豊 | 三冠目は菊花賞に挑戦した。 | |
第57回 | 1996年 | エアグルーヴ | 武豊 | 第44回優勝のダイナカール産駒で、二例目のオークス母子制覇。武豊は4人目のオークス連覇。 | |
第58回 | 1997年 | メジロドーベル | ★(秋) | 吉田豊 | 秋に秋華賞を制して二冠牝馬となり、古馬でもエリザベス女王杯連覇も果たす。 |
第59回 | 1998年 | エリモエクセル | 的場均 | 二冠牝馬ファレノプシスを破る。 | |
第60回 | 1999年 | ウメノファイバー | 蛯名正義 | ||
第61回 | 2000年 | シルクプリマドンナ | 藤田伸二 | ||
第62回 | 2001年 | レディパステル | ケント・デザーモ | 二冠牝馬テイエムオーシャンを破る。また鞍上のデザーモは子息の治療のために来日・珍しい春から夏期の短期免許で騎乗した。 | |
第63回 | 2002年 | スマイルトゥモロー | 吉田豊 | 馬主は初のGⅠ制覇。 | |
第64回 | 2003年 | スティルインラブ | ☆ | 幸英明 | 同年牝馬三冠馬。 |
第65回 | 2004年 | ダイワエルシエーロ | 福永祐一 | 2着スイープトウショウ。福永祐一の好騎乗と呼ばれる。 | |
第66回 | 2005年 | シーザリオ | 福永祐一 | 福永は史上5人目の連覇、かつ1965年の加賀武見以来となる別々の牝馬で二冠を制した。 | |
第67回 | 2006年 | カワカミプリンセス | ★(秋) | 本田優 | スイートピーステークス優勝馬から初のオークス制覇。秋に秋華賞も制して二冠牝馬となる。 |
第68回 | 2007年 | ローブデコルテ | 福永祐一 | 二冠牝馬ダイワスカーレットは熱発で出走回避。また史上唯一の外国産馬によるクラシック制覇となる。 | |
第69回 | 2008年 | トールポピー | 池添謙一 | ||
第70回 | 2009年 | ブエナビスタ | ★(桜) | 安藤勝己 | 三冠目の秋華賞はレッドディザイアに敗れて三冠ならなかったが、古馬で天皇賞(秋)・ジャパンカップを制している。 |
第71回 | 2010年 |
|
| 史上初、旧八大競走で同着の決着。アパパネは秋華賞を制して三冠牝馬となり、またサンテミリオン鞍上の横山典弘は1978年優勝の横山富雄と親子二代でオークス制覇。 | |
第72回 | 2011年 | エリンコート | 後藤浩輝 | ||
第73回 | 2012年 | ジェンティルドンナ | ☆ | 川田将雅 | 主戦の岩田康誠が騎乗停止を受けたため、川田が代打騎乗で優勝。牝馬三冠のほかジャパンカップ連覇・有馬記念を制した。顕彰馬。 |
第74回 | 2013年 | メイショウマンボ | ★(秋) | 武幸四郎 | 桜花賞10着からの巻き返しで、秋に秋華賞・エリザベス女王杯を優勝。 |
第75回 | 2014年 | ヌーヴォレコルト | 岩田康誠 | ハープスターを抑えての勝利。 | |
第76回 | 2015年 | ミッキークイーン | ★(秋) | 浜中俊 | 桜花賞は抽選漏れで出走できず。秋に秋華賞を優勝。 |
第77回 | 2016年 | シンハライト | 池添謙一 | 母父シングスピール。 | |
第78回 | 2017年 | ソウルスターリング | クリストフ・ルメール | ||
第79回 | 2018年 | アーモンドアイ | ☆ | クリストフ・ルメール | 牝馬三冠のほか、ジャパンカップ2勝、天皇賞(秋)、有馬記念、ヴィクトリアマイル、ドバイターフを優勝。平成最後のオークス馬。鞍上のルメールは6人目の騎手連覇。顕彰馬。 |
令和時代 | |||||
第80回 | 2019年 | ラヴズオンリーユー | ミルコ・デムーロ | 令和初のオークス馬。古馬になってからはアメリカGⅠブリーダーズカップのひとつ・BCフィリー&メアターフを日本馬として初めて優勝した。 | |
第81回 | 2020年 | デアリングタクト | ☆ | 松山弘平 | のちに史上初の無敗の牝馬三冠を達成。 |
第82回 | 2021年 | ユーバーレーベン | ミルコ・デムーロ | 桜花賞馬ソダシを破る。また生産したマイネルの岡田繁幸生涯最後のGⅠ馬となった。 | |
第83回 | 2022年 | スターズオンアース | ★(桜) | クリストフ・ルメール | 秋華賞はスタニングローズに敗れて三冠ならず。またオークスでは放馬によりGⅠではもっとも遅い時間に発走し、物議を醸した。 |
第84回 | 2023年 | リバティアイランド | ☆ | 川田将雅 | 後に秋華賞を勝利し牝馬三冠を達成。2着ハーパーとの着差6馬身はグレード制導入後のオークス最大着差記録。グレード制以前ではトキツカゼ、クリフジ、ヒロヨシ、テスコガビー、ミツマサ、ルーネラら6頭に次ぐ着差。ヤマイチと同着差。これによりドゥラメンテ産駒は2年連続オークス制覇となり、管理する中内田充正調教師はこれが中距離GⅠ初制覇となった。 |
第85回 | 2024年 | チェルヴィニア | クリストフ・ルメール | 桜花賞馬ステレンボッシュへのリベンジ。また母チェッキーノは2016年の2着馬であり、8年越しに母の無念を晴らした。 | |
第86回 | 2025年 |
関連項目
3歳クラシック牝馬三冠レース
3歳クラシック三冠レース
牝馬限定G1