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経歴

1968年生まれ、愛知県刈谷市出身。戸籍上の表記は旧字体の「熊澤」であるが、JRAでは旧字体の関係者登録が禁止されている為、新字体の「熊沢」に修正して登録、引退後の活動も新字体で行う。

小・中学校の先輩に、熊沢の在学中には既に騎手としてデビューしていた南井克巳がいる。熊沢が中学生の頃、父が入院した際たまたま同じ病室に南井の父も入院していたことをきっかけに南井との面識を得て、騎手の道を志すようになった。

1986年JRA競馬学校騎手課程を第2期生として卒業。同期には横山典弘松永幹夫などがいる。

所属は栗東トレーニングセンター内藤繁春厩舎、のち1996年途中からフリー。

3年目の1988年オークスを10番人気のコスモドリームで制しGⅠ初制覇。斤量軽減措置がまだ取れていない身であり、かつ20歳3ヶ月でのGⅠ制覇は当時の最年少記録というスピード制覇だった。

(GⅠの最年少制覇記録は、同年の秋に19歳8ヶ月で武豊菊花賞スーパークリークで制して更新したが、オークスの最年少制覇記録は現在も熊沢が保持している。)

1991年有馬記念では、14番人気・単勝137.9倍のダイユウサクでレースレコードで優勝。有馬記念での単勝万馬券はこれ以外に例がなく、ダイユウサクは後年「世紀の一発屋」と呼ばれることになる。

2005年には8番人気のテイエムプリキュア阪神ジュベナイルフィリーズを制してGⅠ3勝目。

平地と障害競走の両方にコンスタントに騎乗する二刀流騎手でもあり、2012年にはマーベラスカイザー中山大障害を制覇。JRA史上初の平地・障害の二刀流GⅠを達成した(ちなみにこの記録を達成するまでは平地GⅠ騎手にもかかわらず「今年の目標は中山大障害制覇」と語っていた事もある)。

その他の主な騎乗馬には、エイシンワシントンステイゴールド(キャリア前半)など。

2022年2月、春麗ジャンプS(OP)の騎乗中に落馬、第二頸椎骨折の重傷を負う。入院は3ヶ月におよび、医師からは騎手としては再起不能と診断された。懸命のリハビリにより2023年2月19日に1年ぶりの実戦復帰を果たしたが、同年10月30日に熊沢本人から騎手免許取消の申請があり、11月11日付で騎手免許取消を行う(=引退する)ことになったとJRAが発表した。

「頚椎が元どおりくっつかず、次は普段の生活で転んだだけでも危ないとドクターストップがかかった」とのことである。

2023年11月13日、京都競馬場にて引退式が挙行された。熊沢騎手はダイユウサクの勝負服で登壇し、37年8ヶ月、通算1051勝(平地794勝、障害257勝)の戦績で騎手生活を終えた。12月24日の第68回有馬記念ではNHKからの招きを受けゲスト解説者として出演。当面は解説者として活動する。

人物・エピソード

愛称

愛称は「クマ」「熊ちゃん」。騎乗時のズボンにはのマークがついている。

上述のコスモドリーム、ダイユウサク、テイエムプリキュアと、平地GⅠを人気薄の穴馬で挙げており、穴馬券を生み出した時は「熊が出たぞ!」などと新聞などで評されていた。

50代に入っても中央競馬で騎乗し続けているベテランの一人であり、武豊からは「5爺」(柴田善臣小牧太横山典弘・熊沢・武)の一角に数えられている。

記録

2021年10月、障害競走で通算255勝目を挙げ、障害競走の歴代最多勝記録保持者となった。また、平地と障害の両方でGⅠを制覇した騎手でもある。

昭和平成の2元号にわたりGⅠを制覇した騎手の中では、武豊とともに令和でも現役を続けた数少ない騎手である。

人物

若手時代は関西での騎乗が主であったために、1988年のオークス騎乗のために関東に向かった際は、東京競馬場への経路が分からず迷子になった。1991年の有馬記念の際も中山競馬場に行くのに道に迷っている。このような状態であり、コスモドリーム・ダイユウサクとも人気薄の存在であったため、気楽に乗れたのがかえって好結果につながったと熊沢自身は分析している。

古馬王道路線で2着・3着を連発し、通算5億円以上の賞金を稼ぎながらも重賞制覇を達成できずにいた、いわゆる「阿寒湖特別」とあだ名されていた頃のステイゴールドの主戦騎手としても知られる。

ついに武豊に鞍上交代となった2000年の目黒記念でステイゴールドは初重賞制覇を果たしたものの、武はこれまで何とかステイを勝たせようと努力を続けてきた熊沢の心情を思い、気まずい気持ちもあったという。しかし熊沢からは屈託なく勝利を祝福され、武は心が軽くなったという。

パドックでは験担ぎ・安全祈願のために、自分の騎乗馬の尻の上に盛り塩をすることがある。

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