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概要

馬に乗って(騎乗という)、馬を操縦する人。日本では一般的に競馬競走馬に乗る人を指す。

騎手、ジョッキー、J、JKなど記載されることもあり、俗称として乗り役などともいう。

英語では「Jockey(ジョッキー)」と呼ばれるが、国外で行われる「繋駕速歩(けいがそくほ)競走」で二輪馬車に乗り馬を操縦する騎手を指す場合はジョッキーではなく「Driver(ドライバー)」と呼称される。

日本では『競馬法』に基づき、国家資格として農林水産大臣の認可を受けた日本中央競馬会(JRA)と地方競馬全国協会(NAR)、及びばんえい競馬に関して帯広市(主催者)がそれぞれ試験を実施、免許を交付している。

競馬騎手

JRAならびにNARのレースや調教の際に馬に乗って、ペースを調節したりムチを打ったりしながらゴールまで走らせる。

レースに騎乗する際には、JRAでは馬主ごとに定められた服、NARでは着用騎手専用の勝負服と呼ばれる派手な服を着て、ゲートの「枠」ごとに定めた色で覆ったヘルメットを被る。そのためJRAの同一レースで同じ馬主が複数頭の馬を出走させる「多頭出し」を敢行した際は同じ勝負服の騎手が多数出走することになり、枠(ヘルメットの色)まで被ってしまった場合は2色で彩られた「染め分け帽」を被ることで差別化する措置が取られる。NARでは帽子に番号が書いてある。

騎乗する馬・レースによって馬具を含め負担重量が変わるため、騎手は常に緻密な体重管理が求められる。そのため、レース前日~当日などは食事を摂れない場合もある。

またばんえい競馬(ほぼ一律77kg)を除き負担重量が50kg〜60kg台のレースが大半のため低身長ほど体重を規定内に収めやすく、騎手の身長は150cm~160cm台がほとんど。

例としてJRA所属の騎手としてもっとも高身長だった武幸四郎(2017年2月に引退)は身長177cmで体重を52kgに保つため骨密度が70代並み※になるほど過酷な減量が必要であった(※テレビ番組の企画にて測定)。

一方で、同じく高身長176cmの松本大輝は体重46kgかつ減量にも苦労しないという例もあり、一概に身長だけが体重管理のハードルとなるわけではない。

また平地競走より障害競走の方が負担重量が大きいため、平地競走で騎乗するための体重を維持できなくなった騎手が障害専門の騎手に転向する例もある。

デビュー5年目までの「見習騎手」に該当する騎手は負担重量を一定量減らす「減量騎手」という扱いになり、その「減量騎手」指定が無くなるまでの間にいかに技量を磨き、実績を上げ、関係者とのパイプを築くかは重要とされるが、減量特典が無くなった途端に騎乗依頼がぱったり減ってしまう場合もあり、減量特典の有無の影響は大きい。

減量特典はデビュー5年未満、あるいは100勝達成までに段階的に無くなっていくが、女性騎手はその後も2kg減が続く。

また平地GⅠ騎乗は30勝以上が条件であり、GⅠや重賞を含む特別競走には騎手の減量特典はつかない。

競馬騎手になるには?

日本の場合、JRAなら競馬学校を、NARなら地方競馬教養センターを卒業し、騎手免許試験を受験するのが一般的。どちらも中学卒業後~20歳に入学資格があるが、入学試験の倍率は20倍近く、しかも退学する生徒も毎年のように出るほど厳しい(退学理由が素行や技能不足の場合もあるが、多くは身体の成長に伴って体重管理が追い付かなくなるためといわれている)。ちなみに両校とも全寮制である。

その後、騎手免許試験に合格すれば競馬騎手になれる。

免許はJRA(中央競馬)とNAR(地方競馬)、帯広市(ばんえい競馬)で交付しており、またJRAは平地競走、障害競走に免許区分が分けられている。競馬学校では平地・障害両方の免許を取得するよう指導を行い、新人騎手は平地・障害両方の免許を取得した状態でデビューする。免許期限は1年間で、更新の為の試験を受ける必要がある。

(デビュー後に平地、障害どちらか一方の免許を自ら返上する場合もある)

一方NARは平地免許のみの取得となる(地方では現在は障害競走を行っていないため)が、ばんえい競走区分の免許を交付していないため現在は帯広市が独自に交付している(しかしばんえい競走免許は受験の前提として厩務員経験なども求められ、試験の難易度も高いため平地以上に狭き門となっている)。

また稀有な例ではあるが、海外で騎手免許取得後にJRAの騎手免許を取得した例もある(横山賀一藤井勘一郎)。

2022年度にはJRA競馬学校設立以降初めて競馬学校にも他の競馬機関にも所属したことのない人物がJRAの障害免許試験に合格し、JRA所属騎手となった(小牧加矢太)例に続いて、競馬学校に通わず調教助手などが障害免許取得を目指す例が続いている。

また外国人騎手によるJRAでの騎乗は短期騎手免許という短期間(1ヶ月単位、年間最大3ヶ月)の有効期限を持つ免許によって可能になるが、2014年度からは外国人騎手には英語による一次試験(筆記)と、技術試験の免除などが行われるようになり(面接試験は日本語で行われるため、日本語の習得は必須)、2015年度からミルコ・デムーロクリストフ・ルメールがJRAの通年騎手免許を取得した。

同じく地方競馬所属の騎手もJRAで騎乗すること自体は可能だが、JRA所属となるにはJRAの免許試験に合格しなければならず、また現在JRAと地方の両方の免許を同時に持つことはできないため一方の免許を返上しなければならない。安藤勝己岩田康誠内田博幸小牧太などがこの例にあたり、地方所属からJRA所属へ移籍した。

後年、小牧太はJRAでの成績低迷をきっかけに再度地方競馬の騎手免許試験を受けて合格し、JRAから地方へ出戻ったという逆の例もある。

騎手の生活

これは、JRAに所属する一般的な騎手の1週間のスケジュールである。中央競馬はほぼ土日に開催される為、このようなスケジュールになる場合が多い。

月曜日

 全休日のためオフ

火曜日~木曜日

 朝4時~10時:調教(水曜、木曜はレース前の「追い切り」が多い)

 10時以降:厩舎作業やトレーニングなど

金曜日

 朝4時~10時:調教

 10時以降:厩舎作業やトレーニングなど

 21時:競馬場へ移動し、調整ルームに入室。ここから「軟禁生活」となる。

土曜日

 終日:レース

 レース終了後:再び調整ルームへ

日曜日

 終日:レース

 レース終了後:オフ

上記はおおよその例であり、厩舎に所属しないフリー騎手、また土日も調教に騎乗する若手騎手など個々人でスケジュールは異なる。トップジョッキーともなると追い切りのある日しかトレセンに来ないこともある。

地方では平日開催、ナイター開催などの存在や、騎手が中央以上に厩舎の縛りを受けることが多いためまた異なったスケジュールとなっている。

調整ルームとは?

八百長防止などの公正確保のために外部との接触を断ち、騎手のコンディションを調整するための宿泊施設で、各競馬場に設けられている。入室後~開催中の外出はもちろん、電話・ネットなどの外部との通信も禁止されており、これに違反した場合は騎乗停止となる。またJRAでは現在は金曜21時までの入室を定められ、交通機関のトラブルなど特別な事情が無い限り遅刻も制裁の対象となる。

居室はおよそ6畳一間の個室で、騎手の希望に応じて禁煙と喫煙・和室と洋室が選択可能。いずれも布団(ベッド)とテレビ付きで、部屋で過ごすためにゲーム機(ネットに接続していない事が条件だが過去にはニンテンドースイッチも許可を受けた例もある)や漫画などの娯楽品を持ち込む者もいる。現在はJRAがiPadを支給しているためレース動画の視聴、入室前にダウンロードした映画を視聴することも可能。

共用設備も充実しており、食堂兼娯楽スペースや、トレーニングルーム、サウナ付き大浴場も備わる。サウナはここで体重を調整する騎手が利用する。

美浦・栗東のトレーニングセンターにも同様に調整ルームがあり、美浦所属騎手が府中中山で、栗東所属騎手が阪神京都中京で騎乗予定がある場合、こちらを利用する事も出来る(美浦所属が栗東トレセンの施設を利用する事、あるいはその逆も可能)。この場合、早朝の調教・厩舎作業のみ宿舎からの外出が許され、作業終了後、マイカーもしくはJRAが手配したタクシーで競馬場へ移動する(携帯電話は預けているが、トレセン出発時に返却を受け、競馬場に到着後に再度預ける)。

地方でも調整ルームはあるが、連日開催となることも多い南関東競馬では、自宅待機した上で競馬場が手配したタクシーに乗って競馬場に移動すれば可というルールもある。他の公営競技でも調整ルームは「宿舎」として存在し、また前検制度が存在するため前日の昼から夕方にかけてを到着時刻としている。部屋の構造は競技によって様々(競艇の場合はリビングと個人の寝室から成る1部屋2~3人程度の半個室型)。やはり全ての公営競技で体重管理は必須の為、どの宿舎にもサウナが付いているそうだ。

2023年、レース開催中に騎手が調整ルームやジョッキールームにてスマートフォンでの通信をおこなっていたことが発覚し、6人の若手騎手が1ヶ月の騎乗停止処分を受けた。それまではプライバシーなどを理由に居室内での自己管理が許されていた携帯電話もこれを機に居室内への持ち込み自体も禁止になり、騎手会でも再度規則の確認と意識の徹底を呼びかけた。しかし翌年も若手騎手による調整ルーム内での通信の発覚は相次ぎ、騎手として重大な非行とみなされ裁定委員の議定があるまで騎乗停止の処分が下されている。

騎手の収入

騎手の収入は

  1. レースの賞金
  2. 騎乗手当
  3. 調教手当
  4. 厩舎での業務に対する収入

の概ね4種類がある。

1.はレースに出走して騎乗した馬が賞金獲得圏内に入線すれば貰える。平地競走では賞金の5%、障害競走では7%。

2.はレースの結果に関係なく支給されるもので、中央では2万円から6万円、地方では数千円程度が1レースごとに支給される。騎乗回数が増えれば増えるほど騎乗手当も多くもらえる。

3.は追い切り等の調教に騎乗する際の手当。1頭1000円固定。

4.は所属厩舎での馬の餌付けや寝藁の交換などの業務に対する報酬。

なおJRAジョッキーは世界的に見ても高収入で、2021年の獲得賞金ランキングのトップ3が1位武豊、2位横山典弘、3位蛯名正義と全員日本騎手で、トップ10に範囲を広げても日本のジョッキーが8人を占めた。

調騎分離の原則

現在、日本の中央競馬・地方競馬共に騎手が調教師を兼ねる事は出来ない。騎手から調教師に転向する場合、騎手免許を返上しなければならない。

その逆も同じだが、中央競馬では調教師が騎手になった事例はゼロ(調教師定年後に騎手免許を受験した例はある)、地方競馬ではごく例外的な僅かなケースが存在するのみである。

また調教師試験は難関として知られている。

JRA騎手

※五十音順、表記は戸籍上の本名ではなく登録名(戸籍上の本名に旧字体または常用外漢字が含まれている場合でも、JRAでの登録が認められない為、常用漢字に修正して登録している騎手がいるため)

JRA

現役騎手(2024年現在)

※♀️は女性騎手

※■は障害免許のみの騎手

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら・わ行

JRAの引退騎手(一部のみ)

※■は調教師に転身した人物。

※†は故人。

※☆はJRA殿堂入りの人物。

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や・ら・わ行

地方競馬の主な騎手と引退騎手

海外のおもな日本人騎手

など

特にオーストラリアでは日本人騎手が多数活躍している

外国人騎手(引退騎手含)

※国籍別に記載

中国(香港)

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