概要
日本国内においては競馬、競輪、オートレースと同じ公営競技(合法の公営ギャンブル)でもあり、モーターボート競走法に基づいて執り行われる。
現在の所轄官庁は国土交通省海事局で、1952年4月長崎県大村市の大村競艇場で初開催。
日本で開催される競技については、法令上の正式名称は「モーターボート競走」としている。
また2010年よりイメージアップを図って営業上の公式名称が「ボートレース」(BOAT RACE)に統一変更された。
ただし、「モーターボートレース(競走)」はパワーボートなど本格的な高速艇によるレース全般を含み、「ボートレース」はオール操縦による手漕ぎボートでのレース(漕艇・競漕)という意味合いもあるため、誤用しないよう注意が必要。
なお日常生活においては現在も「競艇」を用いる場合が多い。
韓国でも同様の公営競技が2002年以降に開催されている。
競艇場
現在は全国24か所の競艇場で開催。
住之江のような完全人工のプール構造の施設や、丸亀、平和島、江戸川のように実際の海や川の一部を利用した施設もある。
出走するのは1レースに6艇までであり、国内の公営競技の中で最も少ない。
ボートにつけられる旗やマーキングの色は、
1号艇:白
2号艇:黒
3号艇:赤
4号艇:青
5号艇:黄色
6号艇:緑。
出走する選手はそれぞれのボートに合わせて対応する色のユニフォーム、救命胴衣、フルフェイスヘルメットを着用する。
2021年10月より、第1レース開始時間と最終レース時間を従来のナイター競走よりさらに各1時間ほど遅くする「ミッドナイトボートレース」が下関・若松・大村で順次開催される。
競技ルール
コースを反時計回りで3周する。
1周は600mで、折り返し点はブイ(ターンマーク)を2か所に使用している。
フライングスタートという特殊なスタート方式を使用しており、スタートする時間から1秒以内にスタートラインに入ればいいことになっている。
レース場に大時計があり、12時のところを指すとレースがスタートする。
これより0.01秒早くスタートするとフライング(F)、1秒以上遅れると出遅れ(L)となり、そのレースは欠場となるうえ、賞典除外(準優勝戦や優勝戦に出場できない)となる。但し出遅れでも待機行動中の予期せぬトラブルによるものの場合は不可抗力として賞典除外にはならない。
フライングと選手責任による出遅れは「スタート事故」と呼ばれ、その時点で斡旋済みのレースを全て消化したあと、30日間の出場停止処分を受ける。
0.05秒以上のフライングは「非常識なF」とされ、出場停止期間が5日延びる。かつては即日帰郷(その日のレースをすべて消化した後出場契約を解除される)の重い罰則を課せられていたが、番組編成上の問題(特にコロナ禍)や選手からの不満により2022年より変更された。
また同じ開催中に2回フライングをした場合は即日帰郷となる。
競技用ボート(FRP製カウリングとハンドル・スロットルレバー等の艤装品以外全て木製)、エンジン、プロペラは競艇場に常備されているものを使用。
どの機を使用するかはレース前日の前検日にくじ引きで決められる。
プロペラは、以前はレーサーの自作が許されていたが2012年4月から持ち込み禁止になり、代わりにプロペラ調整用のキットを持ち込んでの調整が認められる。
他の公営競技と同様公正確保の為、選手は集合時刻までに競艇場敷地内もしくは競艇場から少し離れた場所にある宿舎に入り、レース開催期間中はその宿舎で共同生活を送らなければならない。
競馬の騎手とは異なり、リビングと個人の寝室から成る2〜3人使用の相部屋とされる。
期間中は携帯電話等の通信機器は没収されるだけでなく手荷物検査も行われ、外部からの飲食物の持込(酒類も含む)もドーピング防止の為に禁止している(酒類の場合は宿舎の食堂にノンアルコール飲料が売られているので、それで晩酌をする選手がいたりする)。
主なレース
上から、
SG(スペシャルグレード)
PG1(プレミアムG1)
G1
G2
G3
一般戦
の格付けがされている。
この内SGとPG1は原則、各競艇場が持ち回りで開催される。
SG競走
- 鳳凰賞競走(ボートレースクラシック)
- 笹川賞競走(ボートレースオールスター)
- グランドチャンピオン決定戦競走
- オーシャンカップ競走
- モーターボート記念競走(ボートレースメモリアル)
- 全日本選手権(ボートレースダービー)
- チャレンジカップ競走
- 賞金王シリーズ戦(グランプリシリーズ戦)
- 賞金王決定戦(ボートレースグランプリ)
賞金王シリーズと賞金王決定戦は同一開催で実施される。
PG1競走
- マスターズチャンピオンシップ(名人戦)
- レディースチャンピオンシップ(女子王座決定戦)
- ヤングダービー
- ボートレースバトルチャンピオントーナメント
- クイーンズクライマックス(賞金女王決定戦)
国内の競艇場
競艇場 | 地区 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|---|
桐生 | 関東 | 群馬県みどり市 | 日本最北の競艇場。競艇界初のナイター競走を開催。 |
戸田 | 関東 | 埼玉県戸田市 | TBSラジオの送信所に隣接。戸田公園大橋から1マークが眺められる。 |
江戸川 | 関東 | 東京都江戸川区 | 唯一、一級河川(中川)を競走水面としている競艇場、全国屈指の特殊水面で強風の影響を受けやすく、度々開催が中止になる。公式配信がYouTubeの銀盾を獲得。 |
平和島 | 関東 | 東京都大田区 | 2012年からニコ生無料配信を実施。MCは「デス神」と称される。 |
多摩川 | 関東 | 東京都府中市 | 風の影響が少ない「日本一の静水面」 |
浜名湖 | 東海 | 静岡県湖西市 | 唯一の汽水水面。東海道新幹線からも見える |
蒲郡 | 東海 | 愛知県蒲郡市 | ナイターレース開催。児島と並ぶクセの強い実況は必聴 |
常滑 | 東海 | 愛知県常滑市 | 中部国際空港の近く |
津 | 東海 | 三重県津市 | 鈴鹿山脈からの強風が強く吹き付ける。 |
三国 | 近畿 | 福井県坂井市 | 日本海側唯一の競艇場。モーニング競走開催 |
びわこ | 近畿 | 滋賀県大津市 | |
住之江 | 近畿 | 大阪府大阪市住之江区 | 「ボートレースのメッカ」SG開催数最多。ナイターレース開催 |
尼崎 | 近畿 | 兵庫県尼崎市 | 最寄りの阪神電車の駅名「センタープール」の名でも有名 |
鳴門 | 四国 | 徳島県鳴門市 | |
丸亀 | 四国 | 香川県丸亀市 | ナイターレース開催 |
児島 | 中国 | 岡山県倉敷市 | 「競艇で最もクセの強い実況」椛島健一アナで有名 |
宮島 | 中国 | 広島県廿日市市 | 路面電車(広島電鉄)の駅(臨時駅)の目の前 |
徳山 | 中国 | 山口県周南市 | モーニング競走開催 |
下関 | 中国 | 山口県下関市 | ナイター・ミッドナイトレース開催 |
若松 | 九州 | 福岡県北九州市若松区 | ナイター・ミッドナイトレース開催。芦屋競艇場とほど近く、かつては宿舎も共用で併催できなかった |
芦屋 | 九州 | 福岡県遠賀郡芦屋町 | 若松に近く、同町内にある航空自衛隊基地の見返りとして扱われることも多い。公営競技初のモーニング競走開催 |
福岡 | 九州 | 福岡県福岡市中央区 | 天神駅から歩いて10分の超好立地にある都市型競艇場 |
唐津 | 九州 | 佐賀県唐津市 | 平和島競艇と同様ニコ生無料配信。ゾンビランドサガリベンジでも登場。モーニング競走開催 |
大村 | 九州 | 長崎県大村市 | ボートレース発祥の地。ナイター・ミッドナイトレース開催 |
投票券
投票券の正式名称は勝舟投票券(かちふねとうひょうけん)で、通称は舟券(ふなけん)。
1枚100円より購入可能。
モーターボート競走法第10条の、「施行者は券面金額10円の舟券を発売でき、その舟券10枚分以上を1枚に代表して発売できる」が1枚100円の根拠である。10円単位での発売は行われていない。
オッズが100倍を超える舟券は100円に対しての払戻額が1万円を超えるため万舟(まんしゅう)と呼ばれる(競馬で言う万馬券)。
投票券は、競艇場(本場)、外向け発売所、場外発売所の他、電話投票、インターネット投票でも購入ができる。
2020年のCOVID-19新型コロナウイルス)感染拡大時の2月29日から7月上旬にかけて、24か所全ての競艇場が閉鎖されて無観客開催となった。
この期間中は外向け発売所等も閉鎖された為、電話・ネット投票に限定して発売されている。
基本的には競馬の馬券とほぼ同じシステムだが、前述の通り1レース6艇なので他の公営ギャンブルよりは当たりやすい傾向にある。
但し水面や風など各競艇場ごとに癖がある為、それぞれの競艇場に応じた買い目の見極めも必要になってくる。
以下の7種類の舟券を購入できる。
- 単勝式(たんしょうしき/Win): 1着になる艇を当てる。的中率は1/6。
- 複勝式(ふくしょうしき/Place): 2着までに入る艇を当てる。的中率は1/3。
- 普通2連勝複式(ふつうにれんしょうふくしき/Quinella): 2連複(にれんぷく)。1着と2着になる2艇の組み合わせを当てる。的中率は1/15。
- 拡大2連勝複式(かくだいにれんしょうふくしき/Quinella Place): 拡連複(かくれんぷく)。競馬で言う「ワイド」馬券だが、こちらが正式名称。3着までに入る2艇を当てる。的中率は1/5。3着が2艇以上同着の場合、3着同士の組み合わせを除く。
- 2連勝単式(にれんしょうたんしき/Exacta): 2連単(にれんたん)。1着と2着に入る2艇を着順通りに当てる。着順通りにならないと外れとなるが、2連複より高い配当が見込まれる。的中率は1/30。
- 3連勝複式(さんれんしょうふくしき/Trio): 3連複(さんれんぷく)。1着、2着、3着になる3艇の組み合わせを当てる。的中率は1/20。
- 3連勝単式(さんれんしょうたんしき/Trifecta): 3連単(さんれんたん)。1着、2着、3着になる3艇を着順通りに当てる。2連単より予想が難しいものの、当たればかなり高い配当が見込まれる。的中率は1/120。
他の公営競技に比べて出走数が少ないため単勝、複勝はオッズの旨みが少なく殆ど売れない(「投票なし」「特払い」などが頻発する)。
競艇場のマークカードでも「単勝・複勝」を扱うマークカードは通常のマークカードと別であったりする。
一方3連単は組み合わせが限定されるため買いやすく、現在の舟券の花形である。
単勝が売れない関係で場内放送などでは「一番人気」という言い方をせず、3連単の人気上位で軸になっている艇を指して「人気の中心」とするのが一般的となっている。
連勝式舟券の買い方にはいろいろなものがあり、1艇もしくは2艇を軸にして幅広く買う「ながし」と、選んだ艇のすべての組み合わせを買う「ボックス」、各着順ごとに艇番を1~複数指定して、それぞれの組みあわせを買う「フォーメーション」もある。
- ながしの例: 3連複で1号艇と3号艇を軸に3艇目に全通りを選ぶ。これで合計4点となり、100円ずつかける場合は合計400円となる。
- ボックスの例: 3連単で3艇を選ぶと合計6点となり、100円ずつかける場合は合計600円となる。奇数・偶数・同一支部・猪木(123)・語呂合わせ・その競艇場でよく出る出目など、パターンは様々。
- フォーメーションの例: 3連単で1着に1と3、2着に1と3と5、3着に2と4を選ぶと、合計8点となり、100円ずつかける場合は合計800円となる。
その他
競艇のCMが別路線へ向かっているような気配があったのだが、それ以上にやってしまった競艇場が現れた。
ボートレース徳山
目立つ形で先陣を切ったのは徳山競艇だった。
周年記念競走の徳山クラウン争奪戦が2008年から突然様変わりしたのである。
この路線は数年続き、詳しくは個別記事を参照。
ボートレース多摩川
イメージキャラに萌えキャラ静波まつりを立ち上げ、更にはC88へ出展。
販売したグッズは単にカワイイ姿ばかりでなく「またFかよ」とゲンナリしている自虐的なイラストも…見られた(多摩川競艇場はスタート事故がそこそこ発生しがちな水面である)。
公式が病気の度が過ぎたのか、この絵柄だけは多摩川競艇場本場では発売を控えた模様。
ボートレース多摩川、今年も萌える 「静波まつり」の抱き枕などのグッズ販売も(ねとらぼ)
ボートレースびわこ
こちらでは『船国バトル そうだつまいぞうキン』というタイトルのキャンペーンを展開。
多摩川に負けない程の萌えキャラが登場する。
従来の客層と違うかもしれないが、大丈夫だ、問題ない(来場者特典もあった)。
ギャルゲーっぽい「船国バトル」キャンペーン ボートレースびわこが開催(ねとらぼ)
ボートレース平和島
『モータークイーン』と題し、こちらも既存の展開に負けない萌えキャラを6人登場させている。
BOATRACE平和島 PROJECT『モータークイーン』SEASON2
ボートレースからつ
佐賀県ががっつりと言ってもいいほど関係しているゾンビランドサガの第2期であるゾンビランドサガリベンジで登場。
しかもロケ地協力としてもクレジットされているだけでなく、本編で登場した観覧席はアニメ本編放送時段階では工事中だったものを先取りしていた。
2021年11月末にリニューアルオープン予定。
また、これにちなんで当地出身のボートレーサー・峰竜太選手が劇中に登場した「ワラスボターン」を再現するという謎映像が公開された。
SG優勝5回、賞金王2回というトップレーサーである峰選手の怪演も見所。
ボートレース若松
冠レースのタイアップとしてマギアレコードとコラボを行うことになった。
開催は11月24日~27日と単純な冠レース方式ではない模様。
コラボは2022年1月まで行われる予定で、詳細も10月に発表される。
ボートレース若松と「マギレコ」がコラボ 冠レース「マギアレコード杯」11月開催(ねとらぼ)
関連イラスト
関連項目
『モンキーターン』
ボートレーサーの養成機関