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アイルランド島

いわゆるブリテン諸島の一島で、英国の主島であるグレートブリテン島の西方アイリッシュ海を挟む形で位置する。北東部の一部は英国の飛び地状態となっている北アイルランドで、それ以外の大部分をアイルランド共和国が占める。

面積的には、島全体では北海道よりも若干広いが、国としては北海道よりも小さい。

アイルランド共和国

人口約459万人(2011年)
面積約7万平方km
主要民族アイルランド人
言語アイルランド語(第一公用語)、英語(第二公用語)
宗教カトリックプロテスタントなど
首都ダブリン

現地アイルランド語での国名は「エーレ」又は「エール」、古くは「エリン」とも呼ばれた。アイルランドというのは英語での国名である。

ナショナルカラーはで、国花シャムロック

地理

国土は全体的に低地が広がり、最高峰のキャラントゥール山でも1,038m。

大西洋を流れる暖流や偏西風などの影響で、緯度の割に比較的温暖な気候である。

経済

西ヨーロッパの中では経済発展が遅れていたが、1990年代から2000年代にかけて「ケルトの虎」と呼ばれる経済成長を遂げた。

現在はIT産業を主軸とし、各法人税率を低く設定し外国企業の誘致をしている。

略史

アイルランド人は長らく「島のケルト」と呼ばれてきたが、鉄器時代以降に広がった大陸のケルト語話者との遺伝的つながりはないとされる。ケルトは全体としての統一帝国を作らず一体としての民族意識もなかった。あくまで他民族からみてよく似た言葉を使う北方の諸集団がまとめてケルトと呼ばれたのである。

古代にはヒベルニアとも呼ばれ、ローマの支配下には入らず、各小王国とそれを緩やかに統合する君主がいるという形が長く残った。

クー・フーリンフィアナ騎士団といった伝説もこのような社会を背景として成立したとされる。

5世紀ごろまでのアイルランドでは、ケルト神話にてトゥアハ・デ・ダナーンと呼ばれる神々が信仰され、キリスト教もこの基盤の上に広がっていく。

10世紀~11世紀にかけてイングランドの勢力が東部のダブリンを始めとして徐々に進出。

ジョン王の時代までにはイングランド王は名目上「アイルランド卿」を名乗るようになるが、この時代は依然土着の領主の勢力が強かった。

その後ピューリタン革命による英国での内戦を機に、オリバー・クロムウェルらがカトリック派の討伐を口実にアイルランドに軍事侵攻。

地元領主の土地を取り上げるなど勢力を弱体化させると共にブリテン島からの移民を推進。

この結果アイルランドに多数の不在地主が生まれ、地元民の小作農化も進んだ。

こうして英国の支配下におかれたアイルランドでは、住民の宗教対立や不平等な扱い、さらにジャガイモ飢饉などでの対策不足から反英感情が全体的に高まっていき、米国などへの移住や独立運動に転じる者が増えていった。

1938年イギリス連邦加盟国として独立を果たし、1949年同連邦から離脱した。

ただしブリテン系住民の多い北部6州は、住民投票の結果連合王国の構成国として英国に留まる。

その後も親アイルランド派と親英派との武力抗争が近年まで長く続いた。

社会文化

現在では第二公用語とされる英語が植民地時代以降日常でも用いられている。第一公用語とされるケルト語派のアイルランド語の日常話者は10%前後ともいう。なお、アイルランド語も英語の呼び名で、ゲール語と呼ぶのが正しい。政府はゲール語の復興を教育上重視しており、放送をゲール語で流し、公務員試験の科目にもしている。若年層ではゲール語を使える者が四割前後に達しているとされる。しかし民間では国際的に通用する英語を用いる方が遥かに有利であり、日常語にまでゲール語が浸透するのは限界がある現状である。

現在は欧州各地に散らばったケルト語話者に遺伝的つながりがないとわかっているが、「ケルト人の末裔」であることが長年アイルランド人のアイデンティティーとされ、ケルト神話に登場する英雄クー・フーリンが政治闘争のシンボルにされるなど国民的な人気を誇り、中央郵便局にも彫刻が残っている。

ケルト人特有の文化、ケルト神話とされるものは、諸民族の侵攻が繰り返された積み重ねの影響で成立したものとみられている。それはちょうどケルト神話に描かれた来寇神話そのままである。アイルランドの人々にとって一番大切なのは、イングランドの征服以前のアイルランドに独自の文化があり、それが今、島のケルトと呼ばれているということであろう。

伝統的な料理として主に羊肉を使ったアイリッシュシチューがあり、ポトフ肉じゃがのような外見である。

また英国、米国、カナダ日本と並ぶ世界有数のウイスキー生産国である。

国民の約85%がカトリック教徒で保守的な風潮が強いとされてきたが、2015年に同性婚が合法化された。

(主なアイルランドの伝承関連)

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