概要
ケルト神話に登場する騎士団。アイルランドの伝説でフィオナ騎士団(フィアナ騎士団)といえばエリン(アイルランドの古い呼び名)の上王コーマック・マック・アートに仕えたフィアナ・フィン、すなわちフィン・マックールが団長を務めた集団を指す。「フィアナ」とはアイルランド語で「兵士」を意味する。
クー・フーリンが活躍したアルスター伝説のさらに300年後の伝説と、フィン物語群では語られている。
フランスの武勲詩ローランの歌など「シャルルマーニュ伝説」に登場するシャルルマーニュ十二勇士、「アーサー王伝説」に登場するアーサー王率いる円卓の騎士の原型であるとされる。
入団方法
フィアナ騎士団は世襲制ではなく、入団する資格は誰にでもあったが、フィアナ騎士になるには以下のような厳しい試験を合格する必要があった。
1.
下半身を地面に埋めてハシバミの枝と盾を持ち、四方八方から攻撃を仕掛ける九人の騎士達を相手に身を守らなければならない。
騎士達の槍が少しでも皮膚を掠めれば不合格。
2.
全裸で髪を二十本の三つ編みに編まれ、森の中を武装した騎士達に一本分の木の長さの距離から駆り立てられる。
怪我をするか捕縛された場合、三つ編みが一束でもほつれた場合、走っている最中に小枝を踏み折って音を立てた場合、
試験が終わって槍を握る手が震えた場合は不合格となる。
3.
自分の背と同じ高さの枝を飛び越え、膝と同じ高さの枝を潜り抜け(または膝と同じ高さに身を屈めて坂を駆け抜ける)、
足裏に刺さった茨の棘を走る速度を落とさず抜かなければならない。
4.
詩篇十二冊とエリンに伝わる古来の物語を二十以上暗記しなければならない。
試験を合格した者には、次の様な誓いを立てさせる。
•妻を得るときは持参金を受け取らないこと。
•不正に対する報復以外では、他人の牛を略奪しないこと。
•助けを乞われたら、誰であろうと拒まないこと。
•どれだけ劣勢になっても、仲間が九人居る内は退却しないこと。
•エリンの上王と騎士団長に忠誠を誓うこと。
これらを全うして、初めてフィアナ騎士になれるのである。
アニオタwikiより抜粋
何故九人か?
ケルトにおいて3は聖なる数字とされており、3という数字には力が宿るとされている。ケルト神話に出てくる数字に3の倍数が多いのはこのため(アーサー王物語でも3が多く登場するがこれはケルト神話の影響)。3の倍数である9は「3」の「3」倍でより強力であるとされることがあり、「九人居るうちは退却しない」というのは9という数字への信頼からと思われる。
団員
騎士団長。ヌアザの孫娘マーナと先代のフィアナ騎士団長クールの息子。生来の名はディムナだったが、金髪で肌が美しいことからフィン(「金色の髪」の意)と称されるようになった。
フィンの息子。優れた狩人にして天賦の才に恵まれた詩人。その名は「若鹿」を意味する。常若の楽園(ティル・ナ・ノーグ)へと赴き、異界の王として3年を過ごす。だが、その間に地上では300年の月日が流れていたため、彼は帰郷した途端に朽ちた老人になってしまった。
オシーンの息子。勇猛果敢で知られる戦士。ディルムッドとは固い友情で結ばれており、彼を見殺しにしたフィンを非難する。ガウラの戦いでケルブレを討ち取るが、同時にその時の傷が致命傷となり命を落とす。
隻眼の戦士。ゴルは一つ眼の意。フィンの父であるクールを討ち取り、団長の座に座るが、コーマック王の命令によりフィンに座を譲る。フィンにとっては仇であるが、当の本人は彼を配下として重用した。
ゴルの兄弟。別名のマウルは禿頭の意。皮肉屋で肥満体、さらに貪欲な男だが、戦いからは決して逃走しなかったという。フィンへの忠誠心も高く、識者としてフィンに的確な助言をする側近として仕えた。
騎士団最強の戦士。美貌の持ち主で、愛と美を司る神にして妖精王オェングスを育ての親に持つ。最期はフィンに殺されたも同然の悲劇的な死を迎える。
フィンの甥。俊足の持ち主で竪琴の名手。動物と心を通わせることができ、雄弁に優れていたとされる。最期はガブラの戦いで戦死した。
フィンとディルムッドの親友。予知や千里眼の能力を持つ。その秀でた力はフィンとディルムッドの仲違いを招いてしまった。
強き手の異名を持つ魔術師にして戦士。フィンの甥。海神マナナン・マクリルの娘オイフェの恋人。
アイルランド語で灰色の蜥蜴(Gray of Luachair)の意。見るもおぞましい巨体の戦士。騎士団の出納係で宝物庫を預かる番人。彼の蛮行に耐えかねたフィンによって殺された。
関連タグ
ナイツ・オブ・フィアナ(「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のアプリゲーム「メモリア・フレーゼ」のイベント。本編で名前が登場する「フィアナ騎士団」の軌跡を描いた物語)