アイデンティティー
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あいてんでぃてぃー
Identityのカタカナ表記のひとつ。
⇒Identityを参照。
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人類のサイボーグ化が進んだ未来世界。 ハルナとカナは秋葉原にあるジャンク屋にパーツを買いに来た。格安で掘り出し物が見つかるらしい。 買い物の後、2人は秋葉を散策する。すると警報が出て、歩いていた通りにはシェルターが展開する。警察が犯罪者を追う現場近くに来てしまったらしい。 少し前に逃亡犯が爆発物を使い、警官を負傷させる事件があり、警報とシェルターは市民の安全確保のための措置だった。 その後何事もなく解放された2人はカナの行きつけの喫茶店で落ち着く。そこではハルナがサイボーグであることの悩みを打ち明けた。「私は本当に私なのか?」と心配するハルナにカナは「脳は取り換えることが出来ない」と指摘する。 だが、ハルナはマインド・アップロードという技術のことを口にする。それはいわば自分の精神のコピーをつくる技術。実用化されれば、サイボーグはアイデンティティーの拠り所を失うと懸念されていた。 もしマインド・アップロードが実現し、自分自身を証明することが出来なくなったら、どうするとハルナは問う。 カナは開き直ると答える。考えすぎてもキリがない、と。また、ハルナのように悩み続けるのも、ある意味自分の証明になるのではないかと指摘する。 ハルナは元気を取り戻すが、そこで動きが止まる。その時、スーツ姿の女が現れる。彼女はハルナを労い、さらにカナに向かって「お疲れ様、本当のハルナさん」と言う。そして、カナは女のことを「カナ」と呼んだ。 つまり、こういうことだ。マインド・アップロードの実現を不安視していたハルナこそが、マインド・アップロードの試験によって生まれた存在だった。彼女は元々カナ(=ハルナ)の精神をコピーしたものだった。ハルナのコピーは自分をハルナと思っているため、今日のハルナは「カナ」として試験に参加していたのだ。 そして、女(=カナ)はハルナの旧知の友人で、マインド・アップロードを開発している研究所に勤めていた。 カナは昔話を始める。かつてはこうやって2人でツルんでいた、と。 だが、ハルナはアイデンティティーの喪失を恐れるあまり、自己同一性を担保するというパーツを入手するために犯罪に手を染め、姿を消した。 そして、サイボーグの義肢の中に違法物品を隠す運び屋となり、逃亡する際に爆破事件まで起こした末、お縄になった。 存在を危険視されたハルナには終身刑が言い渡された。が、カナの勤める研究所がある事と引き換えに身柄を引き取った。それはマインド・アップロードの試験に協力することだった。彼女はもう逃げることは出来ず、生涯を研究所に利用されることを確信していた。それでもカナに会えることを救いに思った。 店を出たハルナは自分こそが偽物である可能性に思い至る。が、その考えを振り払って、開き直る。 どんなに自分が嫌だとしても、私は私であると思うことにする。10,662文字pixiv小説作品