秋古馬三冠
あきこばさんかん
日本の中央競馬(JRA)における特別報奨金の対象レースに対する俗称。
JRAが秋に開催する下記の古馬王道GⅠ3レースを同一年に全て勝利した馬に対して、JRAからクラシック三冠と同様に特別褒賞金が交付される。この為、クラシック三冠になぞらえてこの3レースを「秋古馬三冠競走」、3レース全制覇を「秋古馬三冠(JRA秋古馬三冠)」と呼ぶ。
あくまでもこれは俗称であり、JRAの正式呼称ではないが、JRAの子会社が運営する情報サービス「JRA-VAN」が「秋古馬三冠路線」という言葉を使ってアナウンスをしており、ほぼ半公式用語に近い。
この褒賞金制度が始まったのは2000年からで、支給される褒賞金の額は内国産馬が2億円、外国産馬は1億円となっている。
対象となるレースは以下の通り。
春古馬三冠と比べ、歴史が非常に長いにもかかわらず、達成馬は2頭しかいない(下記参照)。その理由として以下のことが考えられる。
・対象レースを見ればわかるが、秋古馬三冠路線は中3週から中3週のローテであり、なるべくレース間の間隔を空ける現代のローテから敬遠される点。春古馬三冠もローテ的には甘くないが、大阪杯から天皇賞(春)は中3週だが、天皇賞(春)から宝塚記念は日程が変更された2025年でも中5週の間隔があり、その前までは中7週前後なため、秋古馬三冠のローテよりは余裕がある。
・この時期には、10月は凱旋門賞、11月はブリーダーズカップ、12月は香港国際競走があるため、海外遠征を希望する陣営からすれば、秋古馬三冠の対象レースに出走という選択肢自体が外れてしまうため、皆勤そのものが珍しい事態と化している。
・仮に秋古馬三冠を皆勤したとしても次に襲い掛かるのは豪華なメンツである。そもそも、上半期はクラシック期と古馬、性別と距離で分かれる形でGIが設定され、香港とドバイなどの距離別の海外戦もあるため、春古馬三冠のレースがその時期と被る影響もあり、有力馬が結果的に分散している傾向がある。それに対し、秋古馬三冠が開催される下半期は、天皇賞(秋)の場合は中距離路線、残り2つはそれにプラスして中長距離路線のトップ層が集まりやすいという背景もあるが、菊花賞と秋華賞以外が古馬混合GIとして開催される関係上、上半期で結果を残してきた馬が下半期のGI挑戦として秋古馬三冠のレースのどれかを選ぶ形となるため、単純に有力馬が集結しやすいがゆえに勝利が難しいという一面もある。
・故に秋古馬三冠のどれかを勝つだけでも非常に難しく、実際、2005年以降で三冠を皆勤しつつどれかで1勝したことのある馬は12頭。2勝を記録したのは2017年のキタサンブラックのみ。その13頭中、3頭が年度代表馬になっており、なれなかった年の馬の内容を見ると同年に3冠以外でGⅠ3勝を記録している馬ばかりである。
・同年に対象レースを2勝以上して、年度代表馬を受賞できなかったのは1999年のスペシャルウィークのみである。
2024年11月現在、達成した馬は以下の通り。
同一年に2勝している馬
※1981年以降。×は未出走。
年 | 馬名 | 天皇賞(秋) | ジャパンカップ | 有馬記念 |
---|---|---|---|---|
1985年 | シンボリルドルフ | 2 | 1 | 1 |
1999年 | スペシャルウィーク | 1 | 1 | 2 |
2002年 | シンボリクリスエス | 1 | 3 | 1 |
2003年 | シンボリクリスエス | 1 | 3 | 1 |
2006年 | ディープインパクト | × | 1 | 1 |
2017年 | キタサンブラック | 1 | 3 | 1 |
2020年 | アーモンドアイ | 1 | 1 | × |
2021年 | エフフォーリア | 1 | × | 1 |
2022年 | イクイノックス | 1 | × | 1 |
2023年 | イクイノックス | 1 | 1 | × |
2024年 | ドウデュース | 1 | 1 | × |
※このうちキタサンブラックは2016年にジャパンカップを勝利しているため、対象の3レースそのものは全て勝利している。イクイノックスも年跨ぎでの3レース勝利は達成済。ドウデュースも2023年に有馬記念を勝利しているため対象の3レースそのものは全て勝利している。
※2010年のブエナビスタは記録上は3戦中1勝だが、これはジャパンカップが1位入線するも、斜行で他馬を妨害をしたと判断され、2位降着となっており、1位入線という点で見れば、2010年のブエナビスタも該当する。