データ
性別 | 牡 |
---|---|
生年月日 | 2017年1月19日 |
欧字表記 | Vela Azul |
父 | エイシンフラッシュ(JPN) |
母 | ヴェラブランカ(JPN) |
母の父 | クロフネ(USA) |
毛色 | 青毛 |
生産者 | 白老ファーム(北海道白老町) |
馬主 | キャロットファーム |
調教師 | 渡辺薫彦(栗東) |
母ヴェラブランカは2007年生まれで、父エイシンフラッシュと同世代。自身は7戦2勝の戦績で引退したものの、半兄フサイチホウオー(共同通信杯など重賞3勝)・半姉トールポピー(阪神JF、優駿牝馬)・半妹アヴェンチュラ(秋華賞、クイーンS)と、ヴェラアズールの祖母アドマイヤサンデーから生まれたきょうだいに3頭の重賞馬がいる血統を持つ。
馬名意味はスペイン語で「青い帆」。母ヴェラブランカ(「白い帆」を意味し、芦毛馬である)からの連想で、青毛の毛色にちなんだ命名。
経歴
デビュー前
キャロットクラブで1口4万円×400口、計1600万円という平均的な額で募集される。
順調な成長を見せていたが、1歳時の2018年9月6日、北海道胆振東部地震に被災。当時安平町の白老ファームYearlingにおり、早朝放牧に出されていたところ大地震が発生。すぐさま安否確認が行われた時には、左後脚の球節を骨折していた。
程度によっては予後不良の診断が下る可能性すらある重い負傷である。一時は馬主のキャロットファームから、一口馬主の出資者たちに出資キャンセルするかを問う案内が届き、競走馬としてのデビューすら危ぶまれる状況に陥った。
その後も骨折の回復と大きな馬体に伴う脚部不安に悩まされ、デビューが3歳の3月までずれ込むことになる。
3歳時(2020年)~4歳時(2021年)
脚部不安ということもあり、脚元への負担が少ないダートでのデビュー。初戦を2着に敗れるとそこから2着2着3着と来て5戦目でようやく勝ち上がる。
その後もダート戦を使い続け、2勝目は挙げたものの勝てず、2勝クラスで掲示板に入ったり入らなかったりを繰り返していた。
5歳時(2022年)
初戦の濃尾特別(2勝・ダ1800m)を7着に敗れる。
しかしここで脚部不安が改善されてきたことから芝への転向を決断。淡路特別(2勝・芝2600m)に出走する。道中は最後方待機から4コーナーで進出。直線内の狭いところを捌いて抜け出し1年2か月ぶりの勝利を挙げた。
その後サンシャインS(3勝・芝2500m)、緑風S(3勝・芝2400m)と2連続で3着に敗れるが、昇級3戦目のジューンS(3勝・芝2400m)で中団から鋭い差し脚を披露しOP入りを決めた。
その後、休養を挟んで秋初戦は京都大賞典。
中団後方からレースを進め、直線大外に持ち出して追い込みの体勢。直線半ばまでじりじりとした伸び脚だったが、200mを切ったあたりで急加速。粘るボッケリーニを並ぶ間もなく交わし去り重賞初挑戦勝利。
ジャパンカップ
そして重賞勝利の勢いに乗りGⅠ初挑戦となるジャパンカップへ。短期免許で来日していたR.ムーアを鞍上に迎え、単勝オッズはダノンベルーガ、シャフリヤールとの3つ巴の構図から僅かに下がる4.5倍の3番人気。
まずまずのスタートからヴェルトライゼンデを前に見る形で馬群の真っただ中を中団から進める。直線、何度も進路を変更しながらじっくり脚を溜め、300m付近で本格的に追い出されるとハーツイストワールとダノンベルーガの間隙を突いて差し脚炸裂、外から脚を伸ばすシャフリヤール、内で粘るヴェルトライゼンデを一気の脚で交わし去りGⅠ初挑戦で戴冠した。エイシンフラッシュ産駒はGⅠ初勝利、管理する渡辺薫彦調教師も嬉しいGI初勝利であった。
なお、2着となったシャフリヤールの管理調教師は、かつてエイシンフラッシュを管理した藤原英昭調教師。かつて自身の初ダービー制覇を成し遂げた愛馬の産駒に敗北する結果となったことについて、インタビューにおいて「エイシンフラッシュ(産駒)に負けたな。負けるならこの馬(ヴェラアズール)だけだと思っていた」と複雑な心境を覗かせるコメントを残している。
JC後、キャロットクラブの秋田代表は有馬記念参戦の是非についてJC直後の会見では「中山は向かないので次走はこれから考える」と発言。休養も兼ねて放牧に出す意向を示し、一応調整が上手くいけば参戦したいと含みは持たせていたものの、参戦しないだろうと思われいた。ところが、放牧先に到着後、一転して有馬記念参戦を表明。陣営からは中山もこなせるとのコメントもあったが、鋭い差し脚が短い直線で不発に終わるとの見方が勝ってか、前走GI勝ち馬でありながら単勝10.0倍の4番人気人気に甘んじる。五分のスタートからイクイノックスを見る位置で進めたが、序盤にやや折り合いを欠いた影響か向こう正面で手応えが怪しくなり、3,4コーナー中間から追い出されるも脚を伸ばせず10着に大敗した。
6歳時(2023年)
初戦は海外に遠征しドバイワールドカップに出走するも13着と大敗。
帰国後は宝塚記念に出走し8着。
秋は連覇をかけてジャパンカップに出走。前年覇者にもかかわらず9番人気なうえ、7着。
その後、12月に屈腱炎を発症していることが判明し、引退・種牡馬入りすることになった。
余談
ヴェラアズールの父エイシンフラッシュは純正ドイツ血統であり、「ヴェラアズール」がスペイン語で「青い帆」という意味であること、日本馬であること、コスタリカの国章に「帆」船の紋章が使われていることから当時開催していたサッカーワールドカップ予選のEグループの4か国に縁のある馬としてワールドカップサイン馬券説も囁かれた。
同様にサイン馬券という意味では「その年の後半に重賞を初制覇するなど頭角を現し、その勢いのまま一気にジャパンカップを制する馬」となると、1994年のマーベラスクラウン、2008年のスクリーンヒーローに続きちょうど14年間隔で該当馬が出現することとなったことも一種のサインではないかと見られている。
また、エイシンフラッシュはメディアミックスプロジェクト『ウマ娘 プリティーダービー』にもウマ娘の一人として登場している。
そして、ヴェラアズールが制したジャパンカップ当時、ウマ娘のアプリ版ではエイシンフラッシュとナリタトップロードがサポートカードガチャのピックアップの対象となっていた。
エイシンフラッシュもさることながら、ナリタトップロードもモチーフ元はヴェラアズールの管理調教師である渡邊薫彦調教師が騎手時代に主戦騎手を務めた馬であり、ここからもサイン馬券説が囁かれている。