概要
ディクタスはフランスの競走馬であり、引退後に種牡馬として日本へ輸入された。日本ではサッカーボーイやイクノディクタスなどを輩出し、またステイゴールドの母父としても知られる。
そのディクタス産駒、および子孫だが、「大きく目を見開き、白目を剥いて相手や周囲を見つめる」という表情をする馬が多く、この特徴は俗に「ディクタスアイ」と呼ばれている。上に挙げた3頭もその特徴があった。
馬の瞳というのは黒目がちな印象があるが、この目の特徴を持つ馬は白目の部分が大きく(後述の通り、一般的には「輪眼」と呼ぶ)、目を大きく見開いて怒り・興奮・驚き・注目などの感情を表す際に白目が目立つのである。
その上白目が血走っていることも多く、人間の感覚からしてもメンチを切っているように見える。
ディクタスを繋養していた社台ファームの牧場長によると、馬群の中でそういう目をしている馬を見つけ、血統表を確認するとディクタスの子孫であることが多かったという。
代表産駒のサッカーボーイ、母父としての代表産駒であるステイゴールドもこの目の特徴があり、現在ではステイゴールドの子孫たちに多くその特徴を認めることができる。
ディクタス自身や、サッカーボーイ・ステイゴールドなど代表的な子孫が非常に気性の激しい馬であったため、この一族特有の気性難のサインのように競馬ファンからはみられている。
人間の感覚からしても睨みつけているように見えるが、怒り、興奮、驚き、興味など様々な場面でこうした目をするため、必ずしも怒っている・睨んでいるとは限らない。
(ただし耳を後ろに倒している場合は、明らかな怒りや嫌悪のサインである。いずれにせよ牧場見学などの際にそういう目をされたら、直前の行動を止め、それ以上刺激しない方が賢明である。)
このディクタスアイには遺伝性がある。
特にステイゴールドが種牡馬として大成功を収めたことで、産駒のドリームジャーニー・オルフェーヴル・ゴールドシップらにディクタスアイは受け継がれ、さらにその子孫へと遺伝は広がっている。
輪眼
人間でいうところの三白眼・四白眼のようなこの目の特徴だが、正式には輪眼(りんがん)といい、特にディクタスの子孫に限ったものではない。
馬の目は、黒目(瞳孔+虹彩)の周りにある強膜(ヒトでいう白目)にも色がついているため、通常は白目が見えない。
しかし輪眼の馬は強膜の色素がない状態で生まれるため、ヒトと同じような黒目と白目がはっきり分かれた目になる。なお、視力にはまったく影響はない。
俗に「輪眼の馬は気性が悪い」と言われて嫌われた歴史もあるが、睨みつけるような印象からのもので、医学的な根拠はないと思われる。
(もっとも、ディクタス一族の暴れ馬たちが大活躍して血統を広げている現状では説得力が皆無ではあるが…。)
ディクタスの血を受けていない輪眼の馬の例としては、1993年の牝馬クラシック二冠馬で繁殖牝馬としても功績多大のベガや、2002年の日本ダービー馬タニノギムレット(左目のみ)、最近の競走馬ではエフフォーリアやイクイノックスなどが有名である。
もちろん、これらの馬をディクタスアイと呼ぶのは誤った用法である。
魚目
特徴的な馬の目には他に魚目(さめ)というのもある。瞳孔(馬の場合は横に細長い)の周囲にある虹彩の色素が薄いために、青い目に見えるもの。これも視力に影響はない。ブチコの弟で、ソダシの叔父にあたるシロニイ(右目のみ)、ゴールドシップの白毛の産駒アオラキ(両目とも)などが知られる。
創作物
競走馬擬人化などにおいては、三白眼や四白眼として輪眼が表現される場合もある。
メディアミックス作品『ウマ娘プリティーダービー』では、ディクタスの子孫をモチーフとしたキャラクターが数名登場している。うちゴールドシップ(ウマ娘)は「白目を剥いて走ると目が乾燥する」旨の発言をアプリ版でしており、サッカーボーイを模したと思われるディクタストライカ(ウマ娘)は三白眼に描かれている。
たぬき(ウマ娘)ではゴールドシップやオルフェーヴルなどがキレた顔として表記される。まれに史実ではごく普通の黒目のシンボリルドルフやメジロマックイーンなどのウマ娘もこのような顔になる。
アニメRoad_to_the_Topではナリタトップロードがメインを張ることで注目度が上がるが、史実の実父…の擬人化こと上記ストライカよりもおっとり真面目系で皆に頼られる学級委員長のトプロは残念ながらこのような表情にはならない…なんてことはまるでなく最終直線に入った瞬間遺憾なく三白眼四白眼をバチバチに散らす展開となった。
関連タグ
ボリクリ耳:競走馬の一族で遺伝する身体的特徴の別例。シンボリクリスエスの子孫に特徴的な、大きくて先端の反り返った耳の形。