概要
生年月日 | 2019年3月28日 |
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没年月日 | 2024年10月12日 |
英字表記 | Coeur Forte |
性別 | 牝 |
毛色 | 芦毛 |
父 | クロフネ |
母 | シュシュブリーズ |
母の父 | フジキセキ |
競走成績 | 9戦2勝 |
管理調教師 | 福田真広 (大井) |
馬主 | 川上量生 |
生産者 | 藤沢牧場 |
動画配信共有サイト「ニコニコ動画」の公式企画「リアルダービースタリオン」において、視聴者たちが配合から考え、生まれた馬である。
父クロフネは武蔵野ステークス、ジャパンカップダートを大差で圧勝した優駿。現役を終えた後は種牡馬としても活躍し、カレンチャンやホエールキャプチャ、白毛馬ソダシなどを輩出している。
母シュシュブリーズは中央競馬にて2勝している馬。元々はクラブ法人のキャロットファームが保有する競走馬だったが、引退後に繁殖牝馬のセリに出され、ドワンゴ会長である川上量生が購入。当企画の基幹牝馬として子どもたちを育ててゆく事になった。
母の父フジキセキは名種牡馬サンデーサイレンスの初年度産駒として朝日杯3歳ステークスをノーステッキで勝つなど、その強さの片鱗を感じさせた「幻の三冠馬」である。
また、半弟にモーメントキャッチとレライタムとヴァンディヴェールがいる。
馬名の由来
フランス語で「強い心」を意味する言葉から。
実際の発音は「クールフォール」に近い。
また、この名前は企画の放送の中で募集され、アンケートで決められたものである。
育成牧場に居た頃はスタッフや放送の視聴者から「くぅちゃん」と呼ばれ、それがそのまま当馬の愛称となっている。
経歴
デビュー前
2019年3月18日午前12時11分。お産の時期が来たシュシュブリーズを視聴者と牧場の人々が見守る中、額にリンゴ型の星を持つ牝馬が生まれた。
その仔こそがクールフォルテである。
リアルダービースタリオン企画はシュシュブリーズの第1仔であるホッコータルマエとの子が腸炎ウイルスの転移が原因で生後1ヶ月も経たないうちに亡くなってしまい、更には即戦力の2歳馬として期待されていたオーバーザリミッツがデビュー前に重度の繋靭帯炎を発症し、未出走で無念の引退。更には同じく即戦力として独り息を吐くファニーフラッシュが念願の初勝利を掴むが、その後に鼻出血を発症し引退と不幸な出来事が続き、企画の存続も暗礁に乗り上げかけていた。
そんな中で生まれたクールフォルテはまさに待望の子であった。
クールフォルテは順調に育ち、2020年7月15日に生産牧場を離れ、育成牧場であるエクワインレーシングに移動。そこで馴致や初期調教を受けてゆき、翌年5月に大井競馬の福田真広厩舎に入厩した。
入厩後はデビューに向けて調教を受け、5月に能力試験を受けて見事に合格。
また能力試験では同じく試験を受けた42頭の中で一番速いタイムを記録し、注目を集めていた。
2021年(新馬戦~2歳)
新馬戦
遂に迎えた新馬戦。能力試験一番時計の報もあり、クールフォルテは1番人気に推された。
本番ではゲート入りが最後だった事もあってかスタートでは出遅れる。しかし、中団の後ろからレースを進め、直線で勝負を仕掛け、そのまま2着モッテルネに2馬身半の差を開いて差し切り快勝。待望の初勝利を上げた。
2歳 43.5万下
1週間後の2戦目では前走とは変わって先行策。
3・4番手を維持して追走し、最終コーナーを抜けた所で空いた内側を攻め、最後の直線で一気に突き放し見事に一着を勝ち取った。
以後は賞金を積んだこともあり出られるレースが無くなってしまい、少し早い休養に入り秋に備えることとなった。
しかし、休養明けの9月に帰厩するタイミングで脚の異常が発覚し、帰厩は取りやめとなる。
念の為、北海道の育成牧場に精密検査を行うため移動し、検査の結果、軽い捻挫を起こしていることが判明。暫くの間は治療とリハビリに費やすこととなった。
怪我は10月の終わりに完治し、11月2日に帰厩。
当面の大目標は大晦日の東京2歳優駿牝馬と想定され、叩きの1戦を踏まえて調教を再開した。
ヤマノリアル・メモリアル
そして12月2日、叩きの1戦として船橋競馬第8R JRA認定競走 ヤマノリアル・メモリアルに出走。
ここまで無敗ということもあって、単勝オッズ2.5倍の1番人気に推された。
本番では前目に出てから2,3番手でレースを進め、最後の直線で抜け出しを図る。
…が、逃げ切り体制に入ったアスミを捉えきることが出来ず、アタマ差の2着。悔しい初黒星となった。
しかし、タイム差なしのアタマ差での2着であり、「負けてなお強し」といえる内容。東京2歳優駿牝馬へ向けて望みを持てる結果となった。
東京2歳優駿牝馬
ついに迎えた大晦日、S1 東京2歳優駿牝馬。
クールフォルテは状態は完璧だったものの、門別競馬からの移籍馬やJRAからの移籍馬などの強豪が揃い、人気は14.1倍の7番人気となっていた。
本番は上手くスタートを切り、前目の中団につけてレースを進め、最後の直線で抜け出しにかかる。
しかし、後方から迫るスピーディキックの上がり3ハロン38.9の凄まじい豪脚にまとめて撫で切られ、前を行くヒストリックノヴァへ追いすがるものの3着に終わった。
だが、低人気でありながら3着に食い込めたのは上々で、3歳シーズンにも期待が持てる結果となった。
2022年(3歳)
桃花賞
年が明けて3歳となり、初戦は準重賞の桃花賞となった。
桃花賞は南関東牝馬三冠への登竜門と言えるレースで、ここを勝てば三冠の1冠目である浦和桜花賞への優先出走権が、2,3着にはその前哨戦のユングフラウ賞(ダート1400m)への優先出走権が付与される。
クールフォルテは獲得賞金によるハンデで+1kgの斤量を負わされるが、前走の内容や大井1600mの経験を評価され、単勝2.9倍の1番人気に推された。
レースはスタートと同時に門別からの移籍馬ラインブレイカーが逃げを打ち、それに追走する形で3番手をキープしながらレースを進める。
だが、ラインブレイカーは脚が止まらず、鞍上の笹川騎手は早めのスパートで勝負を仕掛けた。…が、結局クビ差まで追い詰めたものの、捉えきることは出来ず2着に終わった。
1キロの斤量差に泣いたレースだったが、3着馬リンカイテンからは3馬身引き離しており、実力を示すことが出来たため上々と言える結果だろう。
また、この結果でユングフラウ賞の優先出走権を得たが、ユングフラウ賞は距離適性の関係でクールフォルテには合わないため行使せず、浦和桜花賞へ直行することとなった。
浦和桜花賞
2週の短期放牧を挟み、ついにやってきたクラシック1冠目、S1 浦和桜花賞。
枠順は2枠と内側有利な浦和競馬場1600mでは絶好の枠を取ることが出来たが、周りを逃げと先行脚質の馬に囲まれたため、沈んでしまうことも一部危惧されていた。
オッズは3番人気に推され、更にはクールフォルテを含む上位陣5頭が10倍以内という混戦の様相となった。
レースでは序盤は先団より少し後ろの5番手を追走。ポジショニングは良かったものの、中盤は前と横を囲まれてしまい、終盤には横に居たスティールルージュに詰められてしまう。
そのまま最終コーナーへ突入するが、鞍上の笹川騎手はやや強引ではあるものの僅かな隙間を狙って前進。スティールルージュ鞍上の張田騎手が手綱を引いた際に肘を顔面に受けてしまったが、それでも怯まず辛うじてこじ開けた。
しかし、時既に遅し。大外からスピーディキックと大穴ティーズハクアが並んできており、先行勢を差し切る体制に入っていた。
クールフォルテは追いすがるものの、ロス無く競馬を進められた2頭にはおいつけず、猛追をかけてきたトキノゴールドに迫られるもののなんとか粘って3着に入った。
展開に嫌われた形となってしまったが、それでも崩れた先行勢の中から抜け出しての3着であり、複勝率100%をキープしているのは評価するべきだろう。
また、3着に入着したため、クラシック第2戦の東京プリンセス賞(大井競馬場 SI・1800m)の優先出走権を獲得。放牧を挟んでから直行することとなった。
東京プリンセス賞
そして迎えたクラシック2戦目、東京プリンセス賞。
人気は、浦和桜花賞を制した7枠13番スピーディキックが単勝1.4倍の圧倒的1番人気となり、クールフォルテは6.9倍の3番人気となった。
レースでは良いスタートを切ったものの、先行勢が殺到。道中は常にハロン13秒を切る緩みない展開となり、クールフォルテは中団前目の7番手最内を追走し、徐々に位置を上げ4・5番手の位置で3コーナーに入る。前の逃げ3頭を躱すためやや外に出し追い始めたが反応が鈍く、4コーナーに入りようやく3番手2番ラインブレイカーを躱した。
しかし、すぐ外には宿敵・スピーディキックが迫り、並ぶことなく悠々と躱し、そのまま怒涛の末脚で差し切って1着。クールフォルテは垂れてきた1頭を交わして伸びを見せたものの、前三頭のスピードの前に屈して4着だった。
初めて複勝を外してしまう悔しい敗戦となったが、上がり3Fのタイムは38.5と過去最速であった。走破タイムも昨年の優勝馬に並んでおり、そんなタイムを出しながらも勝てないという同世代の熾烈さを痛感出来たであろう。
この結果を受け、陣営は「これが現時点での限界」と判断し、3冠目の関東オークスは回避。クラシック戦線を離脱し、秋からの巻き返しを図るために長期の放牧に入った。
クイーンズオーディション
9月、クールフォルテが帰厩。陣営はJpn3・クイーン賞トライアルの準重賞クイーンズオーディション(ダート1600m・船橋)を目標と定める。
しかし、それと同時に登録していたJpn1・JBCレディスクラシックに本選出された事が判明し、まさかの選出に一時騒然となった。
企画放送のリスナーの間でも「G1級に出られる千載一遇の好機を逃すべきでは無い」「古馬の超一流馬相手に勝てる見込みはあるのか…?」などと意見が分かれ、参戦の是非を問うため急遽行われたアンケートの結果、反対約70%、賛成約30%という結果で否決。従来通りクイーンズオーディションを目指す事となり、JBCへの挑戦は来年以降へ持ち越しとなった。
そして迎えたクイーンズオーディション。クールフォルテにとっては初の古馬戦となる。
レースでは好スタートを切ることが出来たが、序盤は出足が付かずに囲まれてしまう。外側も塞がれてしまい、外を回す事もできない状態だったが徐々に順位を上げ、最終コーナーを回った時点で4番手につけた。
最後の直線で外に出し、一気に追い込み3頭をかわすが、その外から更に足を伸ばしてきたロカマドールにかわされてしまい、何とか追いすがるものの、クビ差の2着。
またもや惜しい競馬が続くが、休み明け初の古馬戦でこの結果は上々な結果と言えるだろう。
2着となったため、クイーン賞への優先出走権を手にしたが、陣営は「この結果ならば2000m戦でも戦える」と判断し、次走を川崎競馬場で行われるS1・ロジータ記念に定めた。
ロジータ記念
迎えたロジータ記念。世代牝馬限定戦の最終戦となる。
レースはレディオガガが先頭を行き、その後を5頭が追う展開となる。クールフォルテはその後方に位置を付ける。2周目の第3コーナーを過ぎたところでティーズハクアとスピーディキックが進出を開始。2頭の一騎打ちになるかと思いきやスピーディキックが一気に突き放す。クールフォルテは3番手につけて追うものの、圧倒的な実力差に為す術もなく、1800mを越えたあたりで足が止まってしまう。足が止まってしまったクールフォルテはゴール直前に追い込んできたコスモポポラリタに差し切られて4着。距離適性の限界を思い知る結果となった。
突然の引退
その後も在厩したまま調教を受けていたが、11月22日の調教後に歩様が乱れ、検査を行った結果、右前脚屈腱炎、全治9か月以上との診断が下った。
陣営は検討の結果、同月24日の緊急生放送にて引退が決定した。
屈腱炎は再発率が高く、治ったとしても9ヶ月後はピークアウトする可能性が高く、競走能力の劣化も懸念されたことが引退の理由だった。
総合成績は9戦2勝。2着3回、3着2回。出走した全てのレースで掲示板を外さなかった。
引退後は生まれ育った藤沢牧場に戻り、繁殖牝馬となる模様である。
初年度はチュウワウィザードを付け、難産ではあったものの無事に出産した。しかし…
別れも突然に…
クールフォルテは難産の影響で腸に穴が空いてしまっており、2024年の種付けは中止に。離乳後は手術のため療養に入る事となった。
手術は10月11日に行われ、無事に成功した。
…しかし術後に容体が急変し、翌日15時14分に肺水腫で亡くなった事が公式放送にて報じられた。享年5歳。
あまりにも早すぎる最期に放送の視聴者は動揺が隠せず、企画担当者ですらも頭が真っ白になっていたほど唐突の出来事であった。
また、死後に実施された病理解剖でクールフォルテは通常のサラブレッドよりも大きい心臓を持っていた事が明らかとなった。
名は体を表す。まさしく「強い心」の持ち主であった。
クールフォルテの馬生はわずか5年で幕を下ろした。
しかし、たった一頭だけでも子を成せた事は幸運であったと信じたい。
残していった一頭の子に、その「強い心」は受け継がれている。そう思わずには居られない。
繁殖成績(括弧内は幼名)
生年月日 | 名前 | 性別 | 毛色 | 父 | 競走成績 | 現在 |
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2024年3月12日 | クールフォルテの2024(あたる) | 牡 | - | チュウワウィザード | 未出走 | 幼駒 |
繁殖入り初年度はチュウワウィザードを種付け。チュウワウィザードはクールフォルテと同じオータムブリーズの牝系に属しており、かなり珍しいオータムブリーズの牝馬クロスが発生する強気な配合という事もあり、にわかに注目を集めていた。
3月12日に出産するが、かなりの難産となってしまい、一時は母体も危ういと判断されて放送が中断されたほどだった。それでもクールフォルテは耐え抜き無事に出産。元気な牡馬が産まれた。
しかし、同年にクールフォルテが死去し、残念ながらも第一仔がラストクロップとなってしまった。