概要
生年月日 | 2020年3月13日 |
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英字表記 | Moment Catch |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | モーリス |
母 | シュシュブリーズ |
母の父 | フジキセキ |
競走成績 | 10戦0勝(2023年5月1日時点) |
管理調教師 | 武井亮 (美浦)→ 松山将樹(美浦) |
馬主 | YGGホースクラブ |
生産者 | 藤沢牧場 |
動画配信共有サイト「ニコニコ動画」の公式企画「リアルダービースタリオン」において生まれた馬である。
半姉・クールフォルテに続いて生まれた2頭目(正確には生後まもなく亡くなった長姉を含めた3頭目)の企画出身馬である。
母のシュシュブリーズはクールフォルテの記事を参照。
父モーリスは母にメジロフランシス、父にスクリーンヒーローを持つ牡馬。
当初はあまり期待されておらず、2歳10月と遅めのデビューだったが、新馬戦をレコードタイムで圧勝。しかし、その後は不振が続いてクラシックに挑むことは出来なかったが、古馬となってからはマイル距離で覚醒。
安田記念、マイルチャンピオンシップ、香港マイル、チャンピオンズマイルとマイル距離のG1を連勝し、現役終盤にはかつて敗れた中距離戦に挑戦し、天皇賞(秋)を圧巻の末脚で距離の壁を乗り越えて勝利。集大成として挑んだラストランの香港カップでは3馬身差を付ける圧勝で有終の美を飾り、香港国際競走史上初の2部門制覇で現役を終え、種牡馬入りした。
産駒は2020年からデビューし、ピクシーナイトがスプリンターズステークスを勝利し、曽祖父グラスワンダーから4代続いてのG1制覇を達成。
更にはシャトル種牡馬として向かったオーストラリアでもヒトツがG1・ヴィクトリアダービーで勝利。海外でもその強さを発揮した。
その後も大逃げ馬・ジャックドール、『鬼』婦人の子・ジェラルディーナなど、続々と重賞・G1勝利馬を輩出。ダートでもカフジオクタゴンがレパードステークスを勝利し、芝・ダートを問わず活躍馬を出している。
馬名の由来
「瞬間」+「掴む」が公の由来とされるが、
実際は幼名である「茂吉(もきち)」の韻を踏んだもの。
姉同様にニコニコ生放送にて公募された経緯があり、姉と同じく幼名に因んだ命名となった。
経歴
デビュー前
2020年3月13日に生放送にて牧場の人々や視聴者らが見守る中誕生。
父のモーリスから「茂吉」という幼名で呼ばれていた。
姉のクールフォルテに続く企画2頭目の馬だったが、どうやらモーリスを付けた時点で売却が決まっていたようで、中央競馬の馬主資格を持つYGGホースクラブが購入。
コラボレーション企画として一口馬主を募った。
「茂吉」は順調に育ち、2020年9月に離乳。
母の元を離れて育つこととなったが、すぐに適応。
隣の馬房で生まれた「はるお」こと後のハルオーブに親友として慕われ、社交的な性格で後にやってきた当歳馬たちとも打ち解け、いつの間にか放牧地のボス格となっていた様だ。
2021年の7月、生産牧場を離れ育成牧場へと移動。
かつて姉の使っていた馬房で視聴者たちに見守られながら徐々に馴致を積んでいった。
…しかし、520kgと大きく育った自分の体に気が付かないのか、しょっちゅう寝違い(※1)を起こす事が多く、毎度スタッフを困らせていた。
…が、それと同時に身体がかなり柔らかいらしく、壁を上手く蹴って自力で脱出したりすることも多く、視聴者を驚かせていた。
また、幼少期から耳を後ろに倒して喜ぶ(※2)という変な癖があり、生産牧場や育成牧場の人が勘違いすることもしばしばあった。
その後も順調に馴致調教を重ね、11月に馬名が「モーメントキャッチ」に決定。
また、所属厩舎は美浦の武井亮厩舎に決まった。
翌年の3月には一口の募集口数が満口となり、募集終了となった。クラブとしてはドライスタウト以来の満口達成であった。
そして5月、遂に育成牧場を離れ、美浦トレーニングセンターへと向かうこととなった。
奇しくも幼馴染のハルオーブも同じ厩舎の所属となり、今後は仲間兼ライバルとして切磋琢磨してゆくことになった。
(※1):寝違いは寝起きの際に発生する事故の事。馬房の壁などに足を引っ掛けて、不自然な体勢で寝てしまったときに慌ててしまうと、筋肉や骨などに損傷を負ってしまい、最悪の場合それが原因で致命的な故障を起こして亡くなってしまう事もある。
(※2):普通、馬が耳を後ろに倒すのは怒りの感情を表すサインと見られる。
2022年(新馬戦~2歳)
美浦へ向かった後は初期調教を重ね、ゲート試験に合格。
しかし、モーリス産駒の成長の遅さから判断し、デビューは9月となった。
迎えたデビュー戦は中山競馬場の芝2000m。鞍上は丹内祐次騎手。
パドックではオートバイの音に驚くなど精神的な幼さが目立ったが、本番では出遅れてしまうが上手く出足を付けて先行。5番手に位置を付けるが、加速が付かずワンペース。更に終盤では進路をカットされた影響もあって失速。6着に終わった。
この結果を見て2戦目はダート1800mの変更。同じ中山での連闘となったが、出走頭数が多くなったため、急遽中京競馬場のダート1800mに変更となった。
連闘、しかも急な輸送と不利な条件が重なったが、鞍上には飛ぶ鳥を落とす勢いの新人・今村聖奈騎手を確保。
本番では出遅れてしまうが、大外をぶん回す大胆な競馬で徐々に位置取りを上げてゆく。
だが、ハイペースの展開と大外を回した不利が重なり、1着のツウカイリアルからは3馬身離された2着。しかし、3着には10馬身近く離していたため、能力を感じさせる結果となった。
3戦目は放牧を挟んで新潟競馬場のダート1800m。鞍上は今村騎手で継続。
本番では上手くスタートは切れたものの、行き足がつかず後方からの競馬となった。
しかし1000mを超えた時点で大外を回し、先団を追走。最後の直線ではメンバー最速の上がり3ハロン39.1の末脚を見せたものの、1着馬サノノエスポを捉えきれず2着に終わった。
4戦目も同じく新潟ダート1800m。鞍上も今村騎手で継続。
本番ではスタートで躓き、致命的な出遅れとなってしまう。出遅れを挽回すべく、前回と同じく大外を回す競馬で進めてゆくが、最終コーナーで先団を捉えようとしたところで内側から膨れた馬から玉突き状に寄られる致命的な不利を受けてしまう。しかし、モーメントキャッチは不利をはねのけて上がり最速の上がり3ハロン40.3の末脚で迫るが、受けた不利の大きさは完全に覆らず、1着シリンガバルガリスから3馬身を開いた2着に終わった。
不運が重なった前走だったが、手応えは確かなものがあり、今度こそ未勝利脱出に期待がかかるモーメントキャッチだったが、5戦目を迎える少し前に姉のクールフォルテが屈腱炎を発症し、僅か3歳で無念の現役引退となってしまった。
先に退いた姉の分の期待も背負って走ることとなったモーメントキャッチ。
迎えた5戦目は2戦目同様の中京ダート1800m。鞍上も同じく今村騎手。
本番では今までで最高のスタートを切り、積極的に前目につける競馬となった。ベストな形の展開となり、中団前方から逃げる2頭を見据える。直線では4番手で外から上がり最速タイの上がり3ハロン38.4の豪脚で同じく抜け出した大外枠のグランデスフィーダに迫る。
しかし、枠の差の影響か僅かに届かずクビ差での2着。だが、今まででベストの競馬が出来たため未勝利脱出も時間の問題だろう。
年内最終戦はホープフルステークスが行われる中山のダート1800m。
鞍上は当初は変更の予定があったが、ホープフルSに騎乗予定があったため今村騎手で継続された。しかし、今村騎手は中山では初騎乗。形状な特殊な中山ということもあり、「経験の差が如実に現れてしまうのでは…?」という心配の声もあった。
レース本番では奇数番で待たされてしまったことからか、スタートで待たされてしまい地団駄を踏んだ瞬間にゲートが開き若干出遅れ。しかし上手くカバーして中団の後ろにつける展開となった。
レースはこのまま進み、3コーナーからまくりに行くところでポジションを確保することが出来ず、直線にさしかかるまで後方のまま。中山の短い直線では挽回することは難しく、このまま沈むかに思われたモーメントキャッチだったが、なんと直線で大外から急加速。一気にごぼう抜きしてゆくが、流石に短い直線では加速しきれずエッグスラットの3着に終わった。
騎乗後、今村騎手は「やりたいレースができなかった。結果が出せず申し訳ない。」と自身の騎乗を悔やむコメントを残しており、鞍上の経験の差という不安が的中してしまう形となった。
しかし、308mしかない直線「のみ」であれだけの追い込みができたモーメントキャッチの能力は素晴らしいと言っても良いため、未勝利脱出間近であることは変わりないだろう。
翌年からはなんと再びの連闘で同じ中山ダート1800mに挑む。
…と、思いきやまたもや急遽、中京のダート1900mに変更された。
相変わらずのタフさとその潜在能力で上を目指せるか期待がかかる。
2023年(3歳)
3歳となった初戦は1月7日の中京競馬場・ダート1900m。
鞍上は短期免許で来日している外国人騎手のデヴィッド・イーガン騎手となった。
レースはスタートで遅れることなく中団に取り付く。しかし、4コーナー終盤で外を併せていた馬と抜け出しを巡り接触、その馬が内側にもたれる形で不利を受けてしまい、懸命に追ったもののロスが響き、クビ差の2着となった。
勝ち馬はマサハヤウォルズ。奇しくも鞍上は前走までの主戦の今村聖奈騎手であった。
これで5度目の2着となり、未勝利ながら獲得賞金が1000万円を超えた。
なかなか勝ちきれないモーメントキャッチだったが、陣営は次走を東京競馬場ダート2100mに定め、鞍上には昨年リーディングジョッキーである川田将雅騎手を招致。必勝を期した策で挑むこととなった。
しかし、東京ダート2100mという距離はダートに変わった芝の馬が挑むベストな距離であり、そこまで切れる脚がないモーメントキャッチはキレの差で負けてしまうのでは…?という懸念があった。
そして迎えた本番。前走同様スタートを上手く決め、先頭から4番手につけて終盤に抜け出しを図ったが、終盤の直線でメイテソーロが上がり3ハロン36.9という抜群の末脚で強襲。直線一気で3馬身近くを差し切られてしまい、またもや2着。懸念通りキレの差が如実に出てしまう結果となった。しかし、モーメントキャッチも37.5という上がりの脚を記録しており、言うほどキレが無いわけではない様だ。
次戦は再び府中ダート2100m。鞍上は川田騎手で継続となった。
スタートはまずまず。道中は今回は前に出ず中団につける形を取った。終盤はやや早めに仕掛けて抜け出しを図ったが伸びきれず、先行した伏兵のダスクに逃げ粘られて3着に終わった。しかし、上がりは38.9で最速を記録しており、何故か勝てない事にますます首を捻る結果となった。
レース後、川田騎手は「走りのバランスが悪い」と指摘。直線での微妙な伸びの悪さはこのバランスの悪さにあるのかもしれないとされたが、馬体には問題がないため、どうやらメンタルの問題のようだった。加えて川田騎手は「優先権を確保して無駄にしたくないのは分かるが、リセットのために少し間隔を取った方がいい」と進言し、陣営はこれを受けてモーメントキャッチを暫く放牧に出すことを決めた。
モーメントキャッチは暫くの放牧を経てから帰厩し、4月30日の東京ダート2100mで復帰。
鞍上は戸崎圭太騎手に乗り替わりとなった。
本番では単勝1.7倍の1番人気に支持され、相手関係からしても一強の様相となっていた。
モーメントキャッチはスタートを上手く切り、中団に付ける展開となる。レースはそのまま進み、第3コーナーの手前で仕掛けようとするが、運悪く前を走る馬が突然に失速。その影響をモロに受けてしまったモーメントキャッチは、戸崎騎手の判断で垂れ馬を避けるためスピードを落とした。
完全に仕掛けどころを失ってしまったモーメントキャッチは、直線で外から果敢に追い込むも、不利は覆らず4着。デビュー戦以来の複勝圏外となってしまったが、それでも掲示板を確保する辺りは流石と言えるだろう。
また、親友のハルオーブも直後の未勝利戦に出走しており、僅かハナ差の激戦の末3着。親友共々悔しい結果となった。
長期離脱へ
その後は日本ダービーデイの未勝利戦を予定していたが、5月頭の調教中に右前脚に違和感が出てしまい、検査の結果、浅屈腱炎を起こしていることが判明した。
屈腱炎の治療にはおおよそ半年~1年近くはかかってしまう事が多く、本来ならば引退や地方転厩でもおかしくはない。しかし、モーメントキャッチはこれまでの成績を鑑みて地方転厩はせず、中央在籍のまま復帰を目指す事となった。
また、馬房数の問題で武井厩舎から転厩する事となり、復帰してからは同じく美浦に厩舎を構える松山将樹調教師の厩舎に所属する。
余談
米三冠登録…!?
2022年の2月の初頭、アメリカの三冠競走に予備登録した馬が発表されたが、その中にモーメントキャッチの名前があり、一時騒然となった。
ただし、この時点ではモーメントキャッチは未勝利であり、加えて第1戦のケンタッキーダービーの優先出走を確実にするためには特定のレースで優先出走のポイントが加算される4着内に入らなければならない。
…とはいえ、3競走の間隔が中2週、中3週とかなり過酷なことで知られるトリプルクラウンの日程は、「いきなりの遠征と連闘をこなしたモーメントキャッチなら問題ないのでは?」「ラニの再来になるかも…?」などとファンの間で意見が上がり、僅かながら期待する声も上がっていた。
…しかし、今年のケンタッキーダービーは出走枠争いが激戦の様相となっており、サンタアニタダービーを2着に好走し、本来ならば出走可能なポイントを稼いだ大井競馬のマンダリンヒーローすら出走が危ぶまれるレベル。仮に未勝利を抜けたとしても、出走は厳しい展開となっただろう。
関連リンク
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ロイスアンドロイス:未勝利時点の7戦ですべて複勝内という、かなり似た成績を持っている馬。(93世代)新馬戦以降の善戦ぶりがあまりに似ているため、一時期話題となった。