概要
性別 | 牡 |
---|---|
生没年 | 2020年3月15日-2023年5月28日(享年3) |
欧字表記 | Skilfing |
毛色 | 黒鹿毛 |
父 | キタサンブラック |
母 | ロスヴァイセ |
母父 | シンボリクリスエス |
生産 | ノーザンファーム(北海道安平町) |
馬主 | キャロットファーム |
調教師 | 木村哲也(美浦) |
競走成績 | 5戦3勝 |
主な勝ち鞍 | 23年青葉賞 |
父キタサンブラックはGⅠを7勝し、種牡馬としてもイクイノックスやソールオリエンスを輩出している名馬。母ロスヴァイセはダートを主に走った、24戦3勝の条件馬。母父のシンボリクリスエスは02年・03年の天皇賞(秋)と有馬記念を連覇しており、種牡馬としても成功を収めている。
3代母ソニンクを祖とする牝系からは多数の活躍馬が出ており、ディアドラ、ロジユニヴァース、ソングライン、ジューヌエコール、ランフォルセ、ノーザンリバー、フリームファクシなどが近親にあたる。
馬名の意味は、北欧神話の主神オーディンの別称。高座につくものの意。母名「ロスヴァイセ」(ワーグナーの『ニーベルングの指環』に登場するワルキューレの一人の名)より連想されている。主戦騎手はクリストフ・ルメール。
生涯
2歳シーズン
2022年10月15日、東京競馬場芝2000mの2歳新馬戦でルメールを背にデビューするものの惜しくも二着。一か月後、再びルメール鞍上で同競馬場・同距離の2歳未勝利戦に出走し、初勝利を収めた。
3歳シーズン
前走の勢いのまま2023年2月5日の1勝クラスゆりかもめ賞も勝利し、二連勝を達成。さらに初の重賞青葉賞に出走し三連勝で重賞初制覇を飾り、東京優駿の切符を手にすることとなる。
しかし、5月28日の第90回東京優駿では単勝4.5倍の2番人気に支持されるも、最後の直線で異変に気付いたルメール騎手が追うのを止め、最下位の17着に入線する(一頭落馬で競走中止)。
ゴール後にすぐ立ち止まることは馬にとって大きな負担となるため、大抵の場合は速歩や常歩などで馬を落ち着くのを待ってから検量所や観衆への挨拶に向かうのだが、同馬はゴール前の直線の段階でペースが落ち始める。鞍上のルメールは、最初は失速したと思いムチを一発入れ加速を促すが、それに何も反応しないことに異変を感じ、追加のムチを入れず、そのまま入線した。ゴール版を過ぎた直後ぐらいからふらつくような歩き方をしだしたため、ルメールも急ぎ下馬。ルメールは馬に負担がかからないように曳き運動をしようとしたが、下馬直後から異常歩様を起こし、第1コーナー付近で転倒。
ルメールは彼の身を案じるように何度も頭を撫でてやった後、駆け付けた木村調教師と悔しそうに肩を寄せ合い、その場を後にした(ルメールは第12レースに出走する予定であったため、最後まで見守る時間的余裕がなかった)。暗幕が張られ、馬運車に運び込まれたのち馬場から搬送された。その後、競走中に急性心不全を発症したことにより死去したことが発表された(3歳没)。ダービーで死去する馬が出たのは2004年の日本ダービー以来の事であった。
鞍上のルメール騎手は訃報を聞き「直線で全然反応しなかった。ゴール後はふらふらだったので早めに止めたが…。とても楽しみにしていた馬だけに、とても悲しい。残念です」と、沈痛な面持ちでコメントした。
尚、一部のメディアは「予後不良」と報道されているが、公式では「斃死(へいし)」(読んで字の如く「斃(たお)れて死ぬ」という意味)という表記となっており、厳密に言えば異なった使い方となっている。予後不良の定義に該当していた場合、JRA側も原因を記したうえで予後不良と発表されている。今回の場合は急性心不全による死亡という内容の発表が公式なものとなる。
外部リンク
馬の「急性心不全」は救えるか?【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】(中日スポーツ):スキルヴィングの悲劇的な最期に対し、Web上を飛び交った疑問の中に「馬にAEDはないのか」というものがあったが、現段階では馬用のAEDは開発可能な展望も乏しいようだ。
関連タグ
ンダホ:スキルヴィングに出資しており、追悼コメントを出した。