曖昧さ回避
- ワーグナー作のオペラ『ニーベルングの指環』内、第一夜「ワルキューレ」。
- ナムコのゲーム作品『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』および『ワルキューレの伝説』と、その主人公。⇒ワルキューレ(ナムコ)
- セガから発売されたゲーム『戦場のヴァルキュリア』シリーズと、作品に登場するヴァルキュリア人。ちなみに、題名は元々『戦場のワルキューレ』と付けるつもりだったが、2.のキャラがいるために変えたらしい。
- スクウェア・エニックスから発売されている『ヴァルキリープロファイル』シリーズに登場する戦乙女。
- 同じくスクウェア・エニックスから発売されている『聖剣伝説3』の登場人物リースのクラスの一つ→ワルキューレ(聖剣伝説3)。
- ヴァニラウェア制作のゲーム『オーディンスフィア』に登場する姫・グウェンドリン。
- 介錯作の漫画『円盤皇女ワるきゅーレ』。
- 『銀河英雄伝説』中の、銀河帝国軍の単座式戦闘艇の名称が「ワルキューレ」。
- 椎名高志作の漫画『GS美神』の登場人物。⇒ワルキューレ(GS美神)
- 『マクロスΔ』に登場するアイドルユニットの名称。⇒ワルキューレ(マクロスΔ)
- 『Fateシリーズ』に登場するサーヴァント。⇒ワルキューレ(Fate)
- 『バトルスピリッツ』に登場する白属性のスピリットの名前に付く…が、そのほとんどが何故か人魚のようなデザインであり、近年やっと典型的なワルキューレに近いスピリット「ワルキューレ・スリマ」が登場している。
- DeNAのソーシャルゲーム『takt op.』並びに、それを原作としたアニメ『takt op. Destiny』に登場するムジカート。⇒ワルキューレ(ムジカート)
- アドルフ・ヒトラー暗殺計画に利用された作戦。 当記事にて後述。
- トム・クルーズ主演映画、『ワルキューレ』。上記のヒトラー暗殺計画が題材となっている。
- 原作:梅村真也、作画:アジチカ、構成:フクイタクミの漫画作品。⇒終末のワルキューレ
概要
北欧神話に登場する、戦死者を天上の宮殿ヴァルハラへ導くという半神。そのドイツ語読み(Walküre)。「ヴァルキューレ」の方がドイツ語の原音に近い。
神話を始め、歌劇などの創作物においても多くのワルキューレたちが登場する。
英語読みでは「ヴァルキリー」であり、ゲーム『ヴァルキリープロファイル』はそちらに由来する。
原語、発音の違いによる表記ゆれ
ヴァルキュリア(古ノルド語読み)
ヴァルキリー(英語読み)
バルキリー(英語読み表記違い)
原義
半神の神格を持つ、美しき女戦士たち。
分かりやすく言えば、戦う天使(または天女)といったところだろうか。
甲冑に身を包み、羽飾りの兜と剣や槍、盾などを装備して武装し、天馬を駆って空を翔けるとされる。
主神オーディンの直轄部隊にして、愛と豊穣の女神フレイヤの従者であり、死した勇敢な戦士の魂を戦場からすくい上げ、『エインフェリア』と呼ばれる「神の戦士」として彼らを天上界アズガルドと招き、もてなす役割を担っている。
白鳥の羽衣を持つとされ、これを用いることで白鳥に変化して空を飛ぶともされ、これを人間に奪われてしまうなどの逸話も存在する。
全員で9人いるとされるが、伝承によって12人とも8人ともされる。
ときとして自ら戦場に赴いて戦い、ときに勇敢な戦士に恋心を抱くなど、情緒豊かに描かれることが多い存在ではあるが、原形に近い逸話では戦死者の腐肉に群がるカラスや狼に喩えられ、その扱いも冷酷な死神といった趣きが強いものであった。
彼女らが“戦う乙女”として認知されるのは、リヒャルト・ワーグナーの楽劇(オペラの一種)『ニーベルングの指環』でジークフリートとブリュンヒルデの恋物語が描かれて以降とされている。
代表的なワルキューレたち
- ブリュンヒルデ(Brynhildr)- 輝く戦い
- スクルド(Sculd)- 運命の三女神の三女で未来を司る(古エッダにおける、ワルキューレの項目に出てくるスクルドは、ノルンとは、別人であるとの説がある)。
- スケグル(Scögul)- 戦
- グン(Gunnr)- 戦争
- ヒルド(Hildr)- 勝利
- ゲンドゥル(Gondur/Göndul)- 魔力を持つ者
- ゲイルスケグル(Geirscögul)- 槍の戦
- フリスト(Hrist)- 轟かす者、援軍
- ミスト(Mist)- 霧
- スケッギォルド(Sceggiöld)- 斧の時代
- スルーズ(Þrúðr)- トールとシフの娘 強き者
- フレック(Hlöcc)- 武器をがちゃつかせる者
- ヘルフィヨトル(Herfiötur)- 軍勢の戒め
- ゲル(Göll)- 騒がしき者
- ゲイレルル(Geirölul)- 槍を持って進む者
- ランドグリーズ(Randgrið)- 盾を壊す者
- ラーズグリーズ(Ráðgrið)- 計画を壊す者
- レギンレイヴ(Reginleif)- 神々の残された者
- ヘルヴォル(Hervor)- 軍勢の守り手
- アルヴィト(Alvitr)- 全知
- エルルーン(Ölrun)- ビールのルーン文字に通じる者
- シグルーン(Sigrún)- 勝利のルーン
(以上、wikipediaより抜粋)
これら以外も数多くのワルキューレたちの名前が存在する。
wikipedia「北欧神話にみられるヴァルキュリヤの名前一覧」
また、『ニーベルングの指環』では神話の原典に登場しないワーグナーオリジナルのワルキューレがブリュンヒルデの妹として8人創作されている。
- ゲルヒルデ - 槍を持つ乙女
- オルトリンデ - 剣の切っ先の穏やかなる乙女
- ヴァルトラウテ - 戦場の勇気ある乙女
- シュヴェルトライテ - 剣を支配する戦いの乙女
- ヘルムヴィーゲ - 兜を揺りかごとする乙女
- ジークルーネ - 勝利の神聖文字の乙女
- グリムゲルデ - 仮面の守護の乙女
- ロスヴァイセ - 騎乗の白き乙女
ワルキューレ(実在する呼称)
一例としてはアドルフ・ヒトラー暗殺計画に利用された作戦があげられる。
ワルキューレ作戦は元々ドイツ国防軍の国内予備軍(後方での将兵教育や部隊編成を行う本国部隊)を沿岸防衛などの任務に動員するための作戦であったが、クラウス・フォン・シュタウフェンベルクやフリードリヒ・オルブリヒト、アルブレヒト・メルツ・フォン・クイルンハイムら国内予備軍内の反ヒトラー派がクーデター鎮圧のための内乱鎮圧用作戦(を逆用して反ヒトラー派によるクーデターを狙った作戦)に修正していた。
そして、シュタウフェンベルクらのグループが中心となって、1944年7月20日に暗殺計画が実行。
東プロイセン(現ポーランド領)にあるヴォルフスシャンツェ(狼の巣)で行われる会議に出席したシュタウフェンベルクが隠し持っていた時限爆弾を爆発させ、ヒトラーの暗殺を図った。4人が死亡したが幾多の要因が重なりヒトラーは軽傷で済み、暗殺は失敗した。
その後、シュタウフェンベルクらのグループは作戦発動を拒否した国内予備軍司令官のフリードリヒ・フロム上級大将を監禁(ワルキューレ作戦を発動できるのは国内予備軍司令官のみだったため)し、「親衛隊が総統の死に乗じて反乱を起こした」としてワルキューレ作戦を発動し、各軍管区に作戦実行命令を出したが、ヴォルフスシャンツェからシュタウフェンベルクらの逮捕命令が出されたことで各軍管区は混乱。最終的にクーデターが成功したのは反ヒトラー派が司令官を務めていたパリのみだった。その後ヒトラーの生存が明らかになったことによりクーデターは完全に失敗、シュタウフェンベルクら首謀者はその日のうちに解放されたフロムによって逮捕されて裁判にかけられ、7月21日未明に銃殺刑に処せられた。
シュタウフェンベルクらは、現在のドイツでは反ナチの英雄として讃えられている。なお、フロムも後に自らの行動を「シュタウフェンベルクらの口封じを目的としたもの」と見做されて逮捕され、軍を除籍させられた上で裁判にかけられ「敵に対する臆病」の罪で1945年3月に銃殺刑に処せられた。フロムの後任の国内予備軍司令官にはハインリヒ・ヒムラーが任命されている。
2008年に、この作戦を題材としたトム・クルーズ主演の映画が公開された。→ワルキューレ(映画)