曖昧さ回避
勇往邁進。
終わらない夢。
若き日に勝ち取った称号に満足することなく、
彼の挑戦はどこまでも続く。
次の夢に向かって。栄光という名の頂に向かって。
JRAヒーロー列伝No.80「ロゴタイプ」より
概要
名前 | ロゴタイプ |
---|---|
英語表記 | Logotype |
生年月日 | 2010年3月10日 |
性別 | 牡 |
毛色 | 黒鹿毛 |
父 | ローエングリン |
母 | ステレオタイプ |
母の父 | サンデーサイレンス |
競走成績 | 30戦6勝 |
馬主 | 吉田照哉 |
生産牧場 | 社台ファーム |
管理・調教 | 田中剛厩舎(美浦) |
父ローエングリンはマイラーズカップなど重賞4勝。ロゴタイプが代表産駒である。
母父サンデーサイレンスは説明不要レベルの大種牡馬(詳しくは当該ページにて)であり、中央重賞のローズステークスを勝ったスターバレリーナとの間にロゴタイプの母ステレオタイプが生まれ、ロゴタイプへと繋がっている。
この通りさほど目立つ血統でもなかったため、社台オーナーズクラブで1000万という比較的安い価格で募集がかけられている。
現役時代
2012年(2歳)
6月24日の新馬戦(函館芝1200m)でデビュー。ここでは1着となる。
その後は函館2歳Sで4着、クローバー賞(OP)で3着、札幌2歳S(G3)7着と勝ちきれなかったが、ベゴニア賞(1勝クラス)では東京芝1600mの2歳のコースレコード(当時)で勝利。そのまま抽選を潜り抜け、初のG1タイトル朝日杯フューチュリティステークスへと臨んだ。
前走は勝利していたがここでは16頭中の7番人気と人気はそこまで高くなく、1番人気は札幌2歳Sの勝ち馬コディーノであった。
レースは比較的早いペースを前目で追走、コーナーから位置を押し上げ直線で先頭に立つと、追い上げてきたコディーノにクビ差で粘り勝ちした。タイムはレースレコードタイ記録(当時)。重賞初制覇と共にG1を初勝利、この勝利によりこの年の最優秀2歳牡馬を受賞した。
2013年(3歳)
初戦のスプリングSでは1番人気に推され、これに応えて重賞2勝。クラシック一冠目の皐月賞へ向かう。ここでも当然1番人気。
レースは最後の直線で早めに抜け出したエピファネイアを外から捉えると、そのまま後続を完封して1着。
『今日も王者の走りだロゴタイプ!』
タイムは皐月賞レコードの1:58:0であった。
この勝利であのナリタブライアン以来19年ぶりの朝日杯勝ち馬の皐月賞制覇となり、今後の活躍が更に期待されていたのだが……ここから長い長い苦闘が始まってしまうのである。
続く日本ダービーは血統から距離適性が不安視されてか2番人気となり、先行するが案の定伸びあぐねてキズナらに差され5着敗退。(実況していたフジテレビのアナウンサー曰くダービー初騎乗だったから仕方ないのかもしれない)
秋はクラシック3冠目の菊花賞には向かわず2000mの天皇賞(秋)を目標に札幌記念からスタートするが重馬場に苦しみトウケイヘイローの5着。このレースでの疲労が取れず、天皇賞もキャンセルして年内は休養することになった。
2014年(4歳)
休み明けの中山記念はジャスタウェイの3着、その後ジャスタウェイ、トウケイヘイローと共にドバイデューティーフリーに遠征するが6着。
その後も札幌記念8着、毎日王冠6着、マイルCS7着と全て掲示板を外し、この年未勝利でシーズンを終えた。
2015年(5歳)
年明け初戦は中山金杯。ここでは久々に1番人気となるがかつて朝日杯で下したラブリーデイに自身の持っていた中山芝2000mのレコードを更新され2着敗退。次走は苦戦を脱するために思い切ってダート戦の根岸ステークスに出走するが、本職のダート馬たちにはかなわず8着。芝に戻って中山記念は2着、大阪杯は5着。
秋はオールカマーから始動するが4着、富士S3着、マイルCSもモーリスが春秋マイル制覇する陰で9着と惨敗。この年も未勝利のまま終えることになってしまった。
2016年(6歳)
前年2着の中山記念からスタートするがドゥラメンテの強さの前に7着惨敗。とうとう得意としていた中山競馬場で初めて掲示板を外し、さすがにもうダメかと思われたがダービー卿CTはそれでも2着と踏ん張り、安田記念へと出走する。
迎えた春のマイル王決定戦・安田記念は例年よりやや少ない12頭立てで行われた。圧倒的な1番人気は昨年度の優勝馬、G14連勝を含む7連勝中、昨年の最優秀短距離馬にして年度代表馬のマイル王・モーリス。2番人気にかつてロゴタイプが挑んで散ったドバイ遠征を勝利してやってきた4歳馬リアルスティール、3番人気は京王杯を勝ったサトノアラジンと続く中で、3年以上勝利から遠ざかっていたロゴタイプは単勝36.9倍の8番人気であった。
しかしロゴタイプ陣営は不人気にも屈さず、このレースに再起をかけ一世一代の勝負に出る。
鞍上の田辺裕信ジョッキーに導かれたロゴタイプはスタートを上手く出ると素早く先頭に立ち、逃げの手を打った。モーリスがそれを追走する2番手で進むが、ロゴタイプの作り出したスローペースに折り合いを欠き、モーリスを警戒してか後続の各馬もそのまま仕掛けてこずに最終直線へ向かうことになる。
最後の直線、有力馬が横に広がって一斉に仕掛けてくる中、最内を進んだロゴタイプはスローで進んだ分の末脚を解放。3馬身ほどのリードを取って最後の力を振り絞る。
『ロゴタイプ粘る! ロゴタイプ粘る!? ロゴタイプ粘る!!!』
まさに作戦勝ち。外から襲いかかってきたモーリスを1馬身半退け、ロゴタイプは堂々逃げ切りの1着。皐月賞以来、実に3年2ヶ月ぶりに栄光を手にした。この間隔は史上2位の記録である。昨年から破竹の勢いを見せていたモーリスの連勝を7でストップさせた(結果としてこれが国内GⅠにおけるモーリスの唯一の敗北であった)。
その後は毎日王冠を8着、天皇賞・秋はモーリスの5着、香港マイルはビューティーオンリーの5着として6歳シーズンを終えた。
2017年(7歳)
現役続行して臨んだ初戦は都合4度目となる中山記念。ここを3着とした後、フレグモーネを発症。幸い症状はすぐに治り、連覇を目指して安田記念へと出走した。
昨年同様8番人気(ただし前年とは違い18頭立てだったため評価は見直されていたともいえる)だったロゴタイプは、レースがスタートすると再び先頭に立ち、昨年とは異なりかなり早いペースでレースを引っ張った。
最後の直線で壊滅する先行勢の中、7歳となったロゴタイプは必死に粘り連覇のゴールまであと少しに迫るが、サトノアラジンに僅かにクビ差交わされ無念の2着。しかし厳しいラップを逃げて2着に粘りこむ強い内容で前年優勝馬としての意地は見せたのだった。
秋も現役予定で休養していたが、背腰の張りが回復せず、年齢も考慮されて10月27日に引退が発表された。
引退後
現役引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。同期のクラシック馬であるキズナやエピファネイアは先に種牡馬として活躍し始めており、後を追う形での繁殖デビューとなった。
2歳王者・皐月賞馬に輝いた早熟性を受け継ぐことが期待されたが、初年度から2歳時点で中央で勝ち上がった産駒が2頭しかいないなど想定以上に早く仕上がる産駒が少なく大苦戦。
それでも2頭のうちの1頭・ラブリイユアアイズ(母オープンユアアイズ・母父ヴィクトワールピサ)が、父の勝利できなかったクローバー賞で1着を取り、牝馬の2歳女王決定戦阪神ジュベナイルフィリーズでサークルオブライフの2着となったものの、翌年の桜花賞でシンガリ負けし、喉鳴りによってその直後に引退した。
2年目産駒からは園田所属のベラジオソノダラブが地方重賞を勝利したほか、2023年にはミトノオーが兵庫チャンピオンシップを制し産駒初のグレード制重賞勝利を成し遂げている。同年からは社台スタリオンステーションからレックススタッドへと繋養先が移されている。