届いた祈り、叶った夢。
“チームJAPAN”が捧げた祈りは天に届き
砂漠の国の夜空に歴史的な勝利の星が輝いた。
世界の大舞台に、日本の馬が君臨する。
競馬を愛する人たちが抱き続けてきた世界への夢が
この日、ついに叶った。
黄金世代のエースが点した希望の光が
日本の未来を明るく照らす。
≪JRAヒーロー列伝No.71≫
勝利の方程式
息をひそめて力をためて
一瞬の機に内を突く。
勝利の方程式が完成を見た。
後にこの若武者は
ある時は外からねじ伏せるように
またある時は二段スパートと
新たな方程式を確立していく。
世界に驚嘆を与え
日本を勇気でつつむために。
概要
馬名 | ヴィクトワールピサ |
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英字表記 | Victoire Pisa |
生年月日 | 2007年3月31日 |
性別 | 牡 |
毛色 | 黒鹿毛 |
父 | ネオユニヴァース |
母 | ホワイトウォーターアフェア |
母の父 | Machiavellian |
競走成績 | 15戦8勝 |
馬主 | 市川義美・吉田照哉 |
所属 | 角居勝彦厩舎(栗東) |
生涯
父は2003年に皐月賞と日本ダービーを制した二冠馬ネオユニヴァース。デビュー前からその良血を期待されていた。
2009年10月25日の新馬戦でデビュー。ここではローズキングダムの2着に敗れる。
未勝利戦を勝ち、その後京都2歳ステークス、ラジオNIKKEI杯2歳ステークスと連勝し重賞初制覇。3歳となった2010年の初戦は弥生賞で重賞2勝目を挙げ、クラシック本番へと向かう。
皐月賞では騎手が乗り替わりとなるもローズキングダムを抑えて一番人気に支持され、その期待に応え、最内から直線で抜け出すレースでG1を初制覇する。父との二代制覇であった。
続くクラシック二冠目の日本ダービーでは超スローペースに苦戦して人気薄のエイシンフラッシュの3着に敗れた。
ダービーの後、日本の3歳馬として初めて凱旋門賞へ遠征するも前哨戦のニエル賞で4着、本番の凱旋門賞では7着と敗れた。
帰国後はジャパンカップに出走するがブエナビスタとローズキングダムに及ばず3着(ブエナビスタの降着によりローズキングダムが繰り上げ優勝した)であったが、年末の有馬記念ではブエナビスタとの2センチ差の大接戦判定を制しG1レース2勝目を飾り、この年のJRA最優秀3歳牡馬を受賞した。
古馬となった2011年では中山記念で重賞5勝目を挙げ、ブエナビスタ、トランセンドと共に招待競走のドバイワールドカップへと向かう。レース本番ではやや遅れ気味のスタートとなるが先頭のトランセンドを追う形で捲っていき、最後の直線で前に出るとそのままゴールイン。
この年は3月11日に東日本大震災が発生しており、日本が沈鬱な空気の中、日本調教馬として史上初のドバイワールドカップ優勝、さらにトランセンドとの日本馬のワンツーフィニッシュは勇気と希望をもたらす結果であった。
ドバイ後、秋シーズンは香港のクイーンエリザベス2世カップや前年のリベンジとなる凱旋門賞への挑戦が予定されていたが故障により回避。
帰国後はジャパンカップで13着。連覇の掛かる有馬記念もオルフェーヴルから大きく離された8着。有馬記念後に引退を発表した。ドバイワールドカップ勝利が評価され、この年の最優秀4歳以上牡馬に選出されている。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りし、桜花賞馬ジュエラーなどを輩出。
2020年にトルコで種牡馬入りすることが発表された。
現役時代のライバルのローズキングダムとは2勝3敗、エイシンフラッシュとは3勝3敗。ブエナビスタとは2勝3敗、ルーラーシップとは2勝1敗、トゥザグローリーとは2勝2敗であった。
兄にアサクサデンエンとスウィフトカレントがいて、母ホワイトウォータアフェアは3兄弟重賞制覇達成している。