概要
2007年生まれ。馬名の由来は「統治者の支配権」を意味する英単語(下記の通り、両親の名前からの連想である)。
父に2004年の日本ダービー、NHKマイルカップを制したキングカメハメハ、母には牝馬ながら1997年の天皇賞(秋)を制し牡馬の強豪と渡り合った「女帝」ことエアグルーヴを持つ内国産馬きっての良血。調教師であった角居勝彦師は引退後のコラムで、1歳馬の時点から周りの馬とは異なるオーラを持ち、人が近づいてきても知らんぷりを決め込む堂々とした存在であったと語っている。
競走馬時代
2009年(2歳)
2009年12月27日、岩田康誠を鞍上に迎えた阪神競馬場芝2000m新馬戦で1番人気となると、2着馬に3馬身差をつけて圧勝。
2010年(3歳)
3歳となった2010年では、初戦となる若駒ステークスで新馬戦の走りが評価され1番人気となるも、最後の直線で外に振られてしまいヒルノダムールの2着。条件戦を制して臨んだ初の重賞である毎日杯では、スタートで出遅れてしまい5着に終わり、皐月賞への出走を断念することとなってしまう。一転、横山典弘へと乗り替わったプリンシパルステークスでは2着のクォークスターを4馬身差でちぎって快勝し、ダービー出走枠への滑り込みを果たす。
ヴィクトワールピサに騎乗した主戦の岩田に代わって四位洋文とのタッグで臨んだダービー本番は、スローペースとなって自慢の長い末脚が発揮しきれなかったことも災いし、エイシンフラッシュの5着に終わった。
ダービー後は体調を崩し長期休養。岩田を再度鞍上に迎えて年末の鳴尾記念に出走すると、ヒルノダムールを破って重賞初制覇を果たした。クリストフ・ルメールへの乗り替わりを経た有馬記念(ファン投票23位)では向こう正面で脚を一気に伸ばすも、同期であるヴィクトワールピサの3歳でのグランプリ優勝を見届ける形で6着となった。
2011年(4歳)
古馬となった初戦・日経新春杯では、イタリア競馬で活躍したウンベルト・リスポリへと乗り替わり、同期の強豪・ヒルノダムールやローズキングダムを下して重賞2勝目を飾る。その後ドバイに遠征しドバイシーマクラシックに向かうも6着。帰国後福永祐一騎乗で臨んだ金鯱賞では、スタートで跳び上がってしまい大きく出遅れながら直線で末脚を披露し重賞の勝ち星を3つに増やす。次いで出走した宝塚記念は前走で下したアーネストリーが調子を上げており、及ばず5着。天皇賞(秋)への出走回避を経て、ファン投票14位に推され出走した有馬記念は、この年の三冠馬・オルフェーヴルやこのレースを引退レースとしたブエナビスタといったスターホース、エイシンフラッシュやローズキングダムといった同期の強豪たちが居並ぶ中で11番人気となるも、4着に入り強さを見せた。
2012年(5歳)
福永祐一とのコンビ再結成となる初戦のアメリカジョッキークラブカップでは、ゲートで危ない素振りを見せながらも悪くないスタートを切り、直線でナカヤマナイトをかわして4勝目となる重賞勝利。続く日経賞こそネコパンチに敗れるも、リスポリとタッグを再度組んだクイーンエリザベス2世カップでは、逃げ馬不在のスローペースのなか道中3番手から直線で力強い伸び脚を発揮し、2着に4馬身差をつける圧勝。香港の地で待望のGI初制覇を果たした。
帰国後は、短期免許を取得していたクレイグ・ウィリアムズとコンビを結成し、宝塚記念に挑む。香港での走りが評価され2番人気に推されるも、スタートが出遅れ気味になって脚を序盤で使ってしまったことが響き、復活を遂げた王者・オルフェーヴルの前に2着となった。
その後は秋古馬三冠路線に進んだ。しかし、初戦の天皇賞(秋)で飛び上がるようにスタートしてしまい出遅れ。エイシンフラッシュ、フェノーメノに次ぐ3着となると、ジャパンカップでも牝馬三冠を達成したジェンティルドンナを抑えて2番人気に推されながらスタートで出遅れてしまい、ジェンティルドンナとオルフェーヴルの激闘の影で3着、最終戦の有馬記念に至ってはゲートオープンと同時にフェラーリのエンブレムもかくやという立ち上がりっぷりを披露して10馬身以上も出遅れてしまう。直線で一気に伸びていくも、それを上回るまくりを見せつけたゴールドシップに届かず3着となった。
これによって史上2頭目の秋古馬三冠三連続3着を達成(?)した。有馬記念後にはゲート再審査が課され「今後納得できる形で競馬を使うのは難しい」(角居師)として、同年12月26日に現役を引退した。
同期のヴィクトワールピサとは1勝2敗、ローズキングダムとは3勝2敗、トゥザグローリーとは5勝2敗、エイシンフラッシュとは4勝4敗の結果であった。
キャリアを通してスタートに苦しむことが非常に多かった。一方で、出遅れながらも勝った、あるいは善戦したレースも少なくなかった。特に引退レースとなった2012年の有馬記念では先述したように著しい出遅れをしながら3着に収まっており、ポテンシャルは高い馬だったことは間違いない。
種牡馬時代
ダイナカールから続く親子3代GI勝利といった実績や、2019年でのキングカメハメハの種牡馬引退もあってか、2013年の種牡馬入り以降毎年100~200頭前後に種付けを行っている。2017年には初年度産駒であるキセキが菊花賞を制するなど種牡馬としても優秀な成績を残している。
一方で自身の短所であったゲート難・出遅れ癖や制御の難しさを受け継いでしまう馬も多い。最も極端なケースでは大井競馬に所属するサルダーナが出走直前に競馬場を脱走して防潮堤を越えて京浜運河に飛び込んでしまい、1年間の加療が必要となるという放馬事故を起こしたことがニュースとなっている(外部リンク)。
種牡馬成績
GI優勝馬
- キセキ(2017年菊花賞)
- メールドグラース(2019年コーフィールドカップ)
- ドルチェモア(2022年朝日杯フューチュリティステークス)
- ソウルラッシュ(2024年マイルチャンピオンシップ)
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