アドマイヤグルーヴ
あどまいやぐるーゔ
2000年生まれ。父に言わずと知れた大種牡馬・サンデーサイレンス、母には牝馬ながら1997年の天皇賞(秋)を制し同年の年度代表馬となったエアグルーヴ、母父に凱旋門賞馬トニービンを持つとんでもない良血。
こうした血統背景からデビュー前に「エアグルーヴの2000」としてセレクトセールに出されると、スタート価格7000万円、落札時には当時牝馬としては史上最高額となる2億3000万円の値が付くなど、非常に期待されていた。
主戦騎手は武豊。
2002年・03年(2歳・3歳)
2002年11月10日、京都競馬場芝1800m新馬戦でデビュー。エアグルーヴでも主戦騎手を務めた武豊を鞍上に迎えると、圧倒的な1番人気に応えて勝利。同年の阪神ジュベナイルフィリーズへの出走を目指すも、抽選に漏れ除外。その後は2003年3月まで、オークスを見据えて出走した皐月賞トライアルである若葉ステークスを含む3連勝でオープンまで勝ち上がる。実は若葉ステークスを選択した時点では同レースで1着にならないと賞金不足のために桜花賞で出走除外となる可能性があったのだが、その心配は杞憂に終わることとなった。
結果としてトライアルを使わないまま牝馬クラシック本番へ直行することとなったが、桜花賞では先述した血統背景や牡馬相手に1着を続けたことが評価され1番人気となる。しかし、本番ではスタートで出遅れてしまい、互角の人気を集めていたスティルインラブの3着となってしまう。続いて出走したオークスでも圧倒的な1番人気に推されながら、再度出遅れたうえ激しくイレ込んだこともあって位置取りがうまくいかず、なんと7着に終わってしまう。ダイナカール・エアグルーヴと続いてきた母子3代オークス制覇の夢はここで潰えてしまった。
立て直しを図ったローズステークスではスティルインラブに1番人気を譲りながらも、末脚を伸ばし重賞初制覇、一矢報いる形となる。続く秋華賞では再びスティルインラブを2番人気に抑え込んで真っ向勝負を挑むも、直線で差を詰め切れずに2着。目の前で牝馬三冠馬の誕生の瞬間を見届けることとなってしまった。
秋華賞に次いで出走したエリザベス女王杯では、牝馬四冠を見据えるスティルインラブに1番人気を譲った。ゲートが開くとやや後方の位置取りから直線で差し脚を発揮すると、スティルインラブとの叩き合いをハナ差で制してついに史上初の母子3代GI制覇を達成した。
2004年(4歳)
古馬となった2004年は宝塚記念を見据えて大阪杯、金鯱賞に出走するもいずれも惨敗に終わる。代わって牝馬限定戦のマーメイドステークスに出走すると、のちのGI馬であるヘヴンリーロマンスなどを抑えて重賞3勝目を飾る。
秋には天皇賞(秋)に出走するも、当時圧倒的な強さを誇ったゼンノロブロイの前に3着。その後は中1週のローテでエリザベス女王杯に出走することとなる。1番人気こそ同年の秋華賞馬であったスイープトウショウに譲ったものの、前年と同じく末脚勝負に持ち込み、メジロドーベル以来となる連覇を達成する。同レースには同期の牝馬クラシック戦線でしのぎを削ったスティルインラブも出走し本馬と近い位置取りからの競馬を試みていたが、こちらは脚が全く伸びず9着に終わっている。この実績が評価され同年のJRA賞最優秀4歳以上牝馬に選定された。
2005年(5歳)
この年も前年同様大阪杯から始動するも4着。距離を延長した天皇賞(春)では持ち味を発揮できずに11着、距離を戻した金鯱賞もタップダンスシチーの4着。ここで前年度は挑戦しなかった宝塚記念へ向かうも、後輩であるスイープトウショウの史上2頭目の牝馬での優勝というドラマの脇役に甘んじる8着に沈む。続いて上村洋行への乗り替わりとなって出走した天皇賞(秋)ではキャリア最悪の17着に終わる。
次いで登録し3連覇を狙った同年のエリザベス女王杯では4番人気に推される。直線で前々回・前回同様脚を伸ばし、逃げるオースミハルカを捉えにかかるも、さらに大外から伸びてきたスイープトウショウに差し切られ3着。連覇を達成した競走馬として意地を見せた結果となったものの、陣営はここで引退を決定した。
引退レースとなった阪神牝馬ステークスでは鞍上を武豊に戻し、ラインクラフトに次ぐ2番人気で出走。桜花賞以来のマイルとなったことで距離が不安視されたものの、2着のマイネサマンサを半馬身離して1着となり、有終の美を飾った。
2006年より繁殖入りし以下の産駒を残すも、2012年10月、胸部出血によって母のエアグルーヴよりも早く、12歳という若さで急逝してしまった。実際に引退後のアドマイヤグルーヴに面会した人物によれば、「気高く、気品にあふれた雰囲気」のあった馬であったという。
生年月日 | 名前 | 性別 | 毛色 | 父 | 競走成績 |
---|---|---|---|---|---|
2007年3月23日 | アドマイヤテンバ | 牝 | 芦毛 | クロフネ | 22戦4勝 |
2008年3月14日 | アドマイヤセプター | 牝 | 栗毛 | キングカメハメハ | 27戦5勝 |
2009年3月24日 | アドマイヤトライ | 牡 | 鹿毛 | シンボリクリスエス | 13戦2勝 |
2010年 | アドマイヤグルーヴの2010 | 牡 | 鹿毛 | キングカメハメハ | 未出走 |
2011年3月12日 | ボージェスト | 牝 | 栗毛 | キングカメハメハ | 11戦2勝 |
2012年3月22日 | ドゥラメンテ | 牡 | 鹿毛 | キングカメハメハ | 9戦5勝 |
このうち、ドゥラメンテはアドマイヤグルーヴ死後の2015年に皐月賞、日本ダービーを制し、親子4代でのGI制覇を達成している。さらにドゥラメンテは種牡馬入りし、2021年の菊花賞、2022年の天皇賞(春)、宝塚記念などを逃げ切りで制したタイトルホルダー、2023年に三冠牝馬となったリバティアイランドなどを輩出している。
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