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89年、ジャパンカップ

躍り出ろ。

お前を知らない者達の、隙を突いて躍り出ろ。

『世界を変えるのに3分もいらない。』

「ワールドレコード2分22秒2」という“事件”。

その馬の名は…

――2012年JRA CM「The WINNER ジャパンカップ」より


データ編集

馬名Horlicks
日本語名ホーリックス
生誕国ニュージーランド
生年月日1983年10月7日
性別牝馬
毛色葦毛
スリーレッグス(Three Legs)
モルト(Molt)
母の父モストルーパー(Moss Trooper)
競走成績40戦17勝(GⅠ6勝)
主な勝鞍ジャパンカップ、DBドラフトC(連覇)、TVニュージーランドS(2勝)、マッキノンS
没年月日2011年8月24日(馬齢28)

概要編集

86世代の葦毛牝馬。南半球の馬の為、日本の同世代の馬より半年ほど若い。


1983年10月7日、ニュージーランド・ヘイスティングズのオカウ・スタッド生まれ。

父はイギリス馬のスリーレッグス(Three Legs)。母モルト(molt)は不出走馬だが、曾祖母・フロス(Froth)の近親には数々の活躍馬がいた。


管理調教師はデイヴィッド(デイヴ)・オサリバンと息子のポール・オサリバン、主戦騎手はポールの弟ランス・アンソニー・オサリバン

戦績編集

2歳になって厩舎への入厩当初は、標準以下のタイムしか出せず、お世辞にも芳しい評価ではなかった。

しかし1986年12月の未勝利戦でデビューし2着、翌1987年の2戦目に初勝利を挙げた後は、この年は8戦4勝と予想以上の好成績で才能の片鱗を見せ始める。

1988年には重賞戦線に挑むようになり、G2アワプニゴールドカップで重賞初勝利。その勢いで次走のTVニュージーランドステークスでG1も初制覇した。


1989年はDBドラフトクラシックとマッキノンステークスをいずれもコースレコードで勝利、ジャパンカップでは当時の世界レコードで優勝した(後述)。


1990年にはDBドラフトクラシックを、昨年の自己記録を0.1秒更新して勝利。TVニュージーランドステークスを制した後、同年10月のG1コックスプレート8着を最後に引退した。


第9回ジャパンカップ編集

1989年の早い段階から、ホーリックス陣営はジャパンカップに目標を定めており、2400mを走るためのスタミナ育成、検疫対策などの綿密な下準備を整えた上で、上記のG1連勝という手土産を引っ提げて日本に乗り込んだ。

しかし人気は日本のスーパークリークオグリキャップに集中。外国馬も、同年の凱旋門賞馬キャロルハウス、オークツリー招待ハンデキャップで12ハロン(≒2400m)の世界レコードを記録したホークスター、前年の覇者ペイザバトラーなどがおり、過去にジャパンカップに出走したオセアニアの馬が不振だった事から、ホーリックスも9番人気という前評判であった。


レースはイブンベイとホークスターが競り合った事から、驚異的なハイペースになる。1800m及び2200mの地点では当時の日本レコードを上回るタイムが記録される中、ホーリックスは道中3番手を追走し、残り400mで先頭に立つ。待機策を取っていた後続馬はもはや間に合わず、追ってきたのは4番手にいたオグリキャップ。激しい叩き合いの末、ホーリックスがオグリキャップを頭差押さえて栄冠を手にした。

優勝タイムは2分22秒2。世界レコードによる決着であった。

勝利したランス・オサリバン騎手は、「オーストラリアやニュージーランドの馬のレベルが低いと言われていたので、この1戦にニュージーランドの、オセアニアの威信を賭けていた。こんな感激は初めてだ」と語ったという。

なお、このとんでもない高速レースにおける最下位は2分26秒9のロジータであったが、その数字でさえ同年のオークスの優勝タイム2分29秒0よりも、2秒以上速いものだった。



引退後編集

第3仔バブルがG2アヴォンデイルギニーを勝利、第4仔・ブリューがメルボルンカップを制している。

また第1仔・ステラアルトワは重賞3勝のタスカーを、第6仔・ラテはAJCオーストラリアンダービーなどG12勝のフィウミシノを産んでおり、繁殖牝馬としても成功を収めた。

2010年3月にはニュージーランド競馬の殿堂入りした。

2011年8月24日、繋養先のケンブリッジ・スタッドにて28歳で死亡。死因は不明との事。


エピソード編集

名前の由来編集

馬名の由来は麦芽飲料「ホーリック(Horlicks)」からで、母Molt(=麦芽)に倣ったもの。

この名前の連想は牝系の高祖母Home Brew(=自家醸造)に始まっており、曾祖母Froth(=泡)や半妹Lager Lady(Lager=下面発酵ビール)などがいる。


ホーリックスの産駒達の名前にも受け継がれていて、Latte(=ラテ)、Brew(=醸造)やBubble(=泡)、Tipple(=呑兵衛)、Stella Artois(=ステラ・アルトワ。ベルギービールのブランド)などがいる。


ジャパンカップ勝利の余波編集

後に母モルトの産駒は7頭輸入されている。牝馬ではハシノサライ(父・サートリストラム)の系統が細々とではあるが現在まで残っている。牡馬では1993年の札幌記念で2着に入ったヒットザマーク(父・ストレートストライク)が種牡馬入りしたが2007年2月に用途変更となっている。


関連タグ編集

競走馬 86世代 ジャパンカップ オグリキャップ

第9回ジャパンカップ JRAの本気(CM) ペイザバトラー


フォークイン:ホーリックスをモチーフにしたウマ娘シンデレラグレイウマ娘

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