概要
フォークインは、漫画『ウマ娘シンデレラグレイ』に登場するウマ娘。
作中における2回目のジャパンカップのニュージーランド代表ウマ娘。
モチーフ馬は舞台となる1989年の第9回ジャパンカップに出走した唯一のニュージーランド馬、芦毛の牝馬ホーリックスと思われる。
名前の綴りは「Folkqueen」で、直訳すると「大衆の(Folk)女王(Queen)」といった所。NZ殿堂馬となった女王ホーリックスらしい名前と言えるかもしれない。
エラズリープライドからは妹のように可愛がられており、愛用の大きな鏡がないと眠れないという子供っぽい一面もある。この鏡に関する設定は、日本遠征時に淋しがるホーリックスのため、馬房に鏡を持ち込んで落ち着かせたエピソードから来ている(後述)。
外見
出身地 | ニュージーランド |
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身長 | 150cm |
誕生日 | 10月7日 |
めちゃくちゃ可愛い小柄なウマ娘であり、オッドアイと両目下に2つずつある泣きぼくろが特徴。髪はウェービーな芦毛のロングヘア。
左耳にヒラヒラのリボンがついた動物の下顎を模した耳飾りをつけている他、後ろ髪にもリボンを、首にはチョーカーをつけている。
なお、ウマ娘としては非常に珍しい10月生まれだが、これはモチーフとみられる馬が南半球産だからである。
(※このことに関しては同様にモチーフが南半球産のエラズリープライドの記事を参照)
作中での登場
第二章
実は、初登場は第76R「おかえり」(第二章「白い稲妻篇」最終話)。エラズリーのその後を描いた1コマで、エラズリーに頭を撫でられている後ろ姿が確認できる。
連載版ではシンプルな格好だったが、単行本ではデザインが変わっており、新たに勝負服と思しき服や、特徴でもあるリボンを髪に着けている。
第三章
第113R「新たなマイル王」で、オグリキャップが温泉ランド(東京ドームシティの「スパ ラクーア」と思われる)を訪れた際、岩盤浴のマナーも知らずバスタオル姿で入ろうとしたオグリを呼び止め、温泉ランドの活用法を教えてくれた。
第114R「きっとまた」で、藤井泉助の口からJC出走馬の1頭として「ニュージーランドのフォークイン」と名前を挙げられていたが、本人はオグリとの会話の中では一切名乗っておらず、健康ランドに関する知識を滔々と語ったため、オグリからは「健康ランド師匠」と呼ばれた。
第115R「こっちじゃフェアだよ」で、エラズリープライドとのやり取りから彼女の正体が「フォークイン」と判明。鏡がないと眠れない事を心配されて赤面していたが、その鏡を前に「フォーク」と「クイン」の2人の自分を演じ、「世界で一番強いウマ娘は誰?」と問い掛けるという、自信家の顔も覗かせた。
前回のジャパンカップでエラズリープライドが惨敗したことを受けて祖国ではエラズリープライドの代わりに期待されている。自分を見てもらえないことをかなりストレスに感じている模様。
第118R「君の言葉」で、ジャパンカップの記者会見で初めてオグリに名前を明かす。自分はニュージーランドの代表であり、敵であると伝える。また、JC前回覇者のオベイユアマスターともここで対面する。
ジャパンカップ本番ではイブビンティ、シーフクローに続く形で3番手に付き、レース終盤までその位置を継続する。
それは
意識の外からやって来た
なんの前触れもなく唐突に
もう一枚の“JOKER”は躍り出た
「世界で一番強いウマ娘はだぁれ?」
競走馬『ホーリックス』
躍り出ろ。
お前を知らない者達の、隙をついて躍り出ろ。
世界を変えるのに3分もいらない。
「ワールドレコード2分22秒2」という“事件”。
その馬の名は、ホーリックス。
──世界が来る。
──JRA 2012年CM「The WINNER ジャパンカップ」より
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南半球馬のため日本の同期馬に比べて半年ほど若く、1983年10月7日に「オカウスタッド」(NZ北島東海岸の町ヘイスティングズ)で産まれた。
父はイギリスの芦毛短距離馬Three Legs(フェアウェイ系)。NZでリーディングサイアーとなり、13歳で早世するまでにDandy Andy(豪GⅠオーストラリアンカップ勝利)など活躍馬を多く輩出した。
母Maltは未出走馬だがNZの最優秀繁殖牝馬にも選ばれた曾祖母Frothの牝系に連なる良血。初仔のホーリックス以外に活躍馬はいないが、日本にもMalt産駒が7頭輸入されている(半妹ハルクザヘラルド、ハシノサライ、半弟ヒットザマーク等)。
母父Moss Trooper(トウルビヨン系)はG2ケルゴレイ賞を制したフランスのステイヤー。
彼女の芦毛はオグリキャップやタマモクロスの系統(グレイソヴリン経由)ではなく、ザテトラーク(ヘロド系=バイアリーターク系。トキノミノルの高祖父)から繋がっているもの。
ただ、子供で芦毛はStella Artoisのみで彼女の産駒もスタータイクーンのみ芦毛。
そのスタータイクーンの子もアドマイヤミライのみが芦毛となっておりミライは繁殖している形跡がないため残念なことに彼女の芦毛因子は途絶えてしまった(子孫自体は今もいる)。
主戦騎手はランス・アンソニー・オサリバン。
管理調教師はランスの父デイヴィッド(デイヴ)・オサリバンと兄ポール・オサリバン。
馬主はオーナーブリーダーのグラハム・W・デ・ギルシー。
勝負服は「白に黒縦縞、赤袖に袖黄一本輪」。
通算成績40戦17勝(GⅠ6勝)。
主な勝鞍はテレビジョンニュージーランドステークス(88年&90年)、DBドラフトクラシック(89-90年)、マッキノンステークス(89年)、ジャパンカップ(89年)。
スプリントからミドルまで幅広く走っており、まんべんなく好走している。特に2000m前後で強く、勝ったGⅠはJC以外2000mか2100m。2400m戦はJCとBMWインターナショナルステークス(3着)の2回だけ。
また、繁殖牝馬として繋養されていた牧場にはあのジャパンカップの大勝利で「オグリキャップに勝った凄い馬」として知られたことで、日本人の観光客が訪れることも多かったという。
ボーンクラッシャーとの対決
1世代上のNZ王者“The Pride of Ellerslie”ボーンクラッシャーとは計4度対戦(エアーニュージーランドステークス、TVニュージーランドS、コックスプレート、DBドラフトクラシック)し、3度先着(うち2勝)した。
ホーリックスとボーンクラッシャーは2010年、2頭揃ってNZ競馬の殿堂入りを果たしている。
88年エアーニュージーランドS(ボーンクラッシャー1着、ホーリックス2着)
88年TVニュージーランドS(ホーリックス1着、ボーンクラッシャー2着)
88年コックスプレート(ホーリックス2着、ボーンクラッシャー3着、勝ち馬Our Poetic Prince)
89年DBドラフトクラシック(ホーリックス1着、ボーンクラッシャー8着)
余談
馬名の由来
ホーリックスの高祖母は「Home Brew」(ビールの自家醸造)。そこから曾祖母「Froth」(ビールの泡)、祖母「Germ」(胚芽)、母「Malt」(モルト)と、母の名前から連想した馬名がつけられてきていて、「Horlicks」という馬名も1873年発売のロングセラー麦芽飲料「ホーリック(Horlicks)」に由来している。
そして、ホーリックスの産駒にもこの伝統(?)が受け継がれ、豪G1メルボルンカップを制した97世代の騙馬「Brew」(醸造)をはじめ、「Stella Artois」(ベルギービール「ステラ・アルトワ」)や「Bubble」(泡)、「Latte」(牛乳)、「Zambuca」(アニスリキュールSambuca+父Zabeelの頭文字)、「Tipple」(強い酒、呑兵衛)と言った名前の馬がいる。
ジャパンカップと鏡
ホーリックスの関係者達はジャパンカップを最大の目標として、ホーリックスに1年以上かけて特別な訓練を施した。1つは2400mという距離に耐える為のスタミナ強化調教。
そしてもう1つが、最大のネックである日本への長距離輸送に耐える為の訓練。その為、厩舎から離れた所に専用の訓練小屋が建てられ、ホーリックスは隔絶した状態で長い間過ごすことなった。
しかし、ホーリックスは暗い中独りぼっちになる夜が怖くてたまらない様子。担当厩務員のヴァネッサ・バリーはどうにかならないものかと頭を捻り、馬房内に大きな鏡を置いてみた。すると、ホーリックスは鏡に映る自分の姿を見て「良かった、仲間がいる!」と安心したらしく、落ち着いて過ごせるようになったという。
この鏡は日本にも一緒にやってきており、寂しがり屋で臆病なホーリックスを大いに支え、慰めたという。
史実でホーリックスと対戦経験があるウマ娘
強調はホーリックスが先着したレース。◎は勝鞍。☆は勝ち馬。
・エラズリープライド(※ボーンクラッシャー)…88年エアーNZ S☆、TV NZ S◎
コックスプレート、89年DBドラフトC◎
- 86世代(同期)
・ロングリブフリー(※ランニングフリー)…89年ジャパンカップ◎
・フィリップザスノウ(※フレッシュボイス)…89年ジャパンカップ◎
・オベイユアマスター(※ペイザバトラー)…89年ジャパンカップ◎
・イブビンティ(※イブンベイ)…89年ジャパンカップ◎
・キャリーズルーム(※キャロルハウス)…89年ジャパンカップ◎
・ラントゥザトップ(※トップサンライズ)…89年ジャパンカップ◎
・サティアス(※アサティス)…89年ジャパンカップ◎
・シーフクロー(※ホークスター)…89年ジャパンカップ◎