それは少女が " 怪物 " に至る道。
概要
漫画:久住太陽
脚本:杉浦理史&Pita(第77Rより共同脚本になった)/漫画企画構成:伊藤隼之介/原作:Cygames
『ウマ娘 シンデレラグレイ』は、週刊ヤングジャンプで2020年6月11日より連載されている、クロスメディアコンテンツ『ウマ娘プリティーダービー』のスピンオフ漫画作品。これ以前の『ウマ娘』のコミカライズは全てWeb上での掲載という形をとってきたため、いわゆる紙媒体として漫画雑誌の紙面を飾るのは本作が初となる。他のコミカライズ作品である『STARTING GATE!』『スターブロッサム』などと区別するため、公式や読者には単に「シンデレラグレイ」呼び、又は略称である「シングレ」呼びとされるのが一般的。
アニメ版『ウマ娘』ではプロデューサーとして企画に携わった伊藤、シリーズ構成を務めた杉浦がストーリーを担当している。作画担当の久住は、世界観や設定については自身の触れるところではないとしながらも、非公式のおまけという形でTwitterに小話や補足情報などを掲載している。
2021年1月19日に単行本第1巻が発売。2024年9月現在、既刊16巻。
2024年8月23日のぱかライブTVにてテレビアニメ化が発表された(詳細は後述のテレビアニメの項目)。
作風・評価
主人公にウマ娘のオグリキャップを据え、物語はデビュー直前の岐阜県のカサマツトレセン学園(笠松競馬場)から始まる。そのため本編の序章に当たる第0章(今作の2巻まで)は『ウマ娘』シリーズとしては珍しい地方競馬の描写が多いことが特徴であり、中央競馬を舞台としたアニメ版やゲーム版『ウマ娘』とはやや異なる雰囲気となっている。
対談インタビューによれば、「オグリキャップの現役時代を考えると物語として長尺であり密度が高い分アニメだと何クールも使ってしまうため、連載という形で実現した」とのこと。レースの省略表現を差し引くにしても、好敵手たちのレース模様が盛り込まれるため、全体のボリュームは減らそうにも減らせないというのが実際のところだろうだったが…(後述)。
『ウマ娘』特有の史実に沿ったギャグ描写自体は健在だが、全体としてはスポ根要素強めのシリアス寄り。アニメ版と比較すると純粋なレースは勿論、トレーナーの葛藤や出走問題を中心とした周囲のゴタゴタが描かれる場面も少なからず展開されている。
アニメ版などが「理想と希望」を描いているとするならば、この作品が描いてるのは「現実と絶望」。努力では決して超えられない残酷なほどの才能の格差、あるいは実力や強い意思があってもそれだけでは変えられない現実、そして己が身を焦がさんまでのウマ娘たちの勝利への渇望と業など、ウマ娘のシビアな勝負の世界に重きを置いた作風と言える(無論、重々しい展開ばかりという訳でもなく、一種の清涼剤としてコミカルな表現も多彩である)。
作画担当の久住氏の画力も相まってか、ウマ娘たちが繰り広げる迫力満点なレース描写も見所の一つで、彼女たちのレースにかける必死な形相は最早「バトル漫画に片足突っ込んでいる」と評され、今作が他のウマ娘関連の媒体と比べて殺伐とした雰囲気を強く醸し出している要因でもある。
久住氏も当初は「もう少し可愛い路線で描くつもりだった」ようだが、『リボンの武者』と『はねバド!』を読んでから吹っ切れて『刃牙』と『HELLSING』を読みながら連載を開始したとのこと。現に平野耕太氏が作品でよく描く「登場人物が黒塗りのシルエット多めになるが眼だけが爛々としている」構図(例:妖怪首おいてけ)に似た描写が、勝利を確信したウマ娘の背後から急速に追い上げてきたオグリが迫るシーンなどで見られる。
登場人物たちもストーリーや画風の影響からか、ゲーム版やアニメ版と性格が少なからず変化しており、タマモクロスらに至っては「お前誰だよ」「アニメでドーナツ有馬記念してたとは思えない」と専らの評判。今作にはウマ娘でお馴染みのタイトル「プリティーダービー」が省略されているのも特徴で、およそ美少女モノらしからぬ鬼気迫る表情は必見。『ウマ娘』ファン層の中では関連作に時折出てくるバトルまがいのスポ根描写を指して『シンデレラグレイ』を引き合いに出す例も少なくない。久住氏は「シングレもプリティやろがい!」と憤慨?しているが…。その後、シンデレラグレるという記事が立ってしまった。
地方を舞台に物語が始まり、「中央編」に移行してからの登場人物もオグリキャップ号が現役時代(1987年近辺)に激突した面々を中心に登場するため、今作を初出として「プリティーダービー」と共有されることになったウマ娘も多い(一部のキャラクターは権利関係で名義を変更する形で登場している)。久住氏はTwitterなどで自分は実名キャラのデザインには関わっていないと前置きしつつ、公式でデザインが存在しないキャラクターに関してはCygamesのチェックありで自らがデザインを手掛けていると説明している。
連載当初から一部の読者に根強い評価を受けていた本作だが、2020年末に開始されたアニメ版season2や、満を持してリリースされたアプリ版のヒットと連鎖する形でこちらにも注目が集まり、21年4月にはシリーズ累計35万部を突破した。同年の8月24日には次にくる漫画大賞2021のコミックス部門で第2位を受賞、偶然にも結果発表当日の24日は、ゲーム版のハーフアニバーサリーと同じ日であった。
24年3月には紙・電子合わせた累計発行部数600万部を突破したことが発表された。
こうしたメディアミックスもののコミカライズは敢えて言い方を悪くすればアニメやゲームといったメインと比べやや敷居が高く敬遠されがちという側面があるのだが、制作側は競馬ファン以外がどう感じるのかという視点の元、誰でも入りやすく、誰でも楽しめる作品にするよう心掛けたという。改めて今作の実際の反響を踏まえると、これらの試みは十二分に功を奏したと言えるだろう。
90年代を軸にしたアニメ版などとのストーリーの繋がりは敢えてぼかされているが、アニメの放送と合わせて久住氏の応援イラストがいくつか公開されている。
時代設定について
なお、アニメ版もそうであったが作中世界では既にスマホなどが普及している様子(スマホは現実ではiPhoneが2007年発売)。ただ現実とは異なる歴史を辿った世界であるので、ウマ娘世界が80~90年代なのか、現実より通信関連の技術進歩が速かったのかなどは曖昧にされている。
コミックス1巻のあとがきで伊藤隼之介氏が「シンデレラグレイの劇中では時代設定的な部分をあえてファジーにしています。」と断り書きをしている。
作中のレースの記録媒体がVHSなのは作画担当の久住先生もTwitterで色々突っ込みを入れている。
また、136R(コミックス15巻収録)ではスーパークリークが某サングラスの司会者がやっているお昼の生放送番組に出演している。
導入
ウマ娘たちが速さを競うローカルシリーズ開催地の一つ、岐阜県羽島郡のカサマツレース場。牧歌的というにはのどか過ぎる、熱気に欠けたレース場に、トレーナーの北原は肩を落としていた。並居る強者が激闘を繰り広げる「中央」との温度差、心の底から応援したくなるスター走者の不在――。
そんな折、カサマツトレセン学園で競走ウマ娘としての道を歩み始めた、一人の新入生に出会った北原は、彼女の疾走に高揚を覚える。名前を尋ねる北原に、芦毛の少女は「 オグリキャップ 」と答えた。
ストーリーに関しては章ごとに区分けが細かく設定されており、今のところ序章~4章までの5つの章が展開されている。
序章「カサマツ篇」
第1巻~第2巻。
カサマツ地方が舞台となった、オグリの始まりの物語。舞台が舞台だけにオリジナルキャラクターも多く、以降の章と比べるとレース描写が控えめな部分もあるが、起承転結が少ない巻数でしっかりとまとめられた構成が魅力で、『シンデレラグレイ』人気エピソード投票でも本章のエピソードが上位に君臨した。
第一章「中央編入篇」
オグリキャップが日本ダービーの出走問題を巡りながらレースで前代未聞の活躍を始める章。
シンボリルドルフの名台詞「中央を無礼るなよ」が出てくるのもこの章。
序章と第二章の繋ぎとしての役割が大きいが、ヤエノムテキやメジロアルダン、ディクタストライカといった重要キャラクターも登場し始める。
第二章「白い稲妻篇」
中央の白い稲妻・タマモクロスとオグリの死闘を描く章。中央ダービーでの一件から目標を失っていたオグリが、現・中央最強クラスのウマ娘であるタマモをはじめ多くのライバルと戦い合う。この章から「領域」が本格的に登場し、レースごとの駆け引きなども描かれていく。
アニメ版season2やゲーム版リリースと重なった章でもあり、海外ウマ娘との対決やタマモクロスとの対決が深く掘り下げられた章。本作のイメージを固めたと同時に人気の急成長を後押しした部でもある。
第三章「永世三強篇」
最強ウマ娘の座へと登り詰めたオグリ、大井から中央へ殴り込んできた新鋭イナリワン、天才トレーナーの元で成長したスーパークリークの三名が主役として描かれる。
二章以前と比べると主役の立ち位置の変化からか他のウマ娘の描写もクローズアップされ、複数のウマ娘の心理描写や頭脳戦がメインとなる群像劇的な側面を持つ。
そしてオグリキャップには、マイル路線で頭角を現すバンブーメモリーと戦うマイルチャンピオンシップ、オベイユアマスターやまだ見ぬ海外ウマ娘との戦いが待つジャパンカップの『連闘』は可能かどうかという決断が迫られる。
第四章「芦毛の怪物篇」
オグリキャップという強大な光とそれによって出来てしまった影、そして加熱するオグリブームによって盛り上がっている群衆が及ぼすトゥインクルシリーズに対する影響など、決して明るくない話題が中心となって物語が描かれていく。
そんな中、オグリキャップは永世三強であるイナリワン、スーパークリークと戦える天皇賞春ではなく安田記念を選ぶこととなり、バンブーメモリーやヤエノムテキ、そしてとあるウマ娘と真っ向勝負をすることになる。
登場人物
※ 身長やカラーリングは久住氏の作画イメージ
メインキャラクター
(167㎝・芦毛 / cv: 高柳知葉)
「 立って走る… 私にとってはそれだけで奇跡だ 」
本作の主人公。
底抜けに純朴な芦毛の新入生。走ることと食べることに貪欲で、他のことには無頓着。母の尽力で培われた柔軟な身体が可能にする、超前傾姿勢でのスパートが持ち味。中央へ移る以前ということもあり、髪型はポニーテール。母のことが大好き。
北原の熱心なスカウトを受けて彼のチームに所属し、「レースに出してくれる人」という認識から徐々に指導者として信頼を寄せるようになり、同じ目標に向かう同志として絆を育んでいく。走ることで、勝つことで喜んでくれる誰かを思い、その期待に応えることがやがて彼女の大きな原動力となる。
(※ 146㎝・栗毛 / 茶髪・茶眼・三面図 / cv: 根本京里)
「やっぱり私 オグリちゃんのサポート続けたいなって」
引っ込み思案で小柄なウマ娘。教室ではオグリの隣席で、マイペース過ぎる彼女を何かと気にかけるうちに友人になる。オグリに対する3バカの横暴に立ち向かうなど、気弱なわけではない。
北原のスカウトに応じたオグリと連れ立つ形でチームに所属。実家がスポーツ用品店(カサマツだけでなく東京にも店舗を持つ大手)を営んでいるため、レース用具には一家言持っており、そのセンスは質実剛健。転機を迎えたオグリのため、サポート役に専念するようになる。
日常レベルの英会話も心得ているらしく、海外のウマ娘たちと戦うことになるジャパンカップを前に、六平の頼みを受けて人間の記者に変装して敵陣の偵察と情報収集をこなしたこともある。
髪飾りの意匠をはじめ、各描写から笠松時代のオグリと同時期に在籍していたツインビー号がモデルと思われ、史実のオグリを取り巻く人物たちの役どころも投影されている。
- 北原穣(キタハラ ジョウ)
(cv: 中村章吾)
「頂点(キャップ)…! 良い名だ!」
地方におけるスターウマ娘の不在を憂うカサマツのトレーナー。いつまでも夢を捨てられない、ちょっとロマンチストなおじさんで、レース出場者になった妄想をしながらセルフ実況付きのジョギングではしゃいでいるところをオグリに目撃されてしまう。新入生の授業を見学中にオグリの走りに魅せられ、カサマツ学園生にとっての大舞台である東海地区の最高格レース・東海ダービーへの出走を目指す。ライブについては門外漢。
一部読者の間では、笠松時代のオグリキャップ号に騎乗していた安藤勝己騎手や、東海ダービーに対する思い入れから鷲見昌勇調教師がモデルではないかと考察されている。
- 六平銀次郎(ムサカ ギンジロウ)
「それを焚き付けんのもトレーナーの仕事だろう」
中央のトレーナーで、北原の叔父。トレーナーを欲していたカサマツに、仕事を辞めて燻っていた甥を放り込んだ張本人。北原には「ろっぺいさん」と呼ばれている。サングラスを愛用しているのは昔からのようだ。
休暇中の帰省ついでにカサマツのジュニアクラウン観戦に訪れる。東海ダービーを見据えてオグリを中京盃で走らせようとする北原を言葉少なに止めようとする。後にこれがとあるイザコザの遠因になってしまうが、中央移籍を決めたオグリを「北原が中央に来るまで」とトレーナーとして引き受ける。トレーナーとしての腕も確かで、「闘い方を変える必要がある」とオグリの走り方を変えさせ中央に適した走りに変えさせる。
一方、面倒事を持ち込むマスコミは大嫌いで、特に藤井記者のことは個人的にものすごく嫌っている。
モデルは史実でのオグリの担当調教師を務めた瀬戸口勉か。
カサマツトレセン学園
(※ 170㎝・芦毛 / 薄浅葱・赤眼・三面図・ライブ衣装)
「このレベルのレースで…負けられるか!!」
カサマツの次期エースと目される芦毛の特待生であり、カサマツ篇でのオグリのライバル。
優れた瞬発力と逃げの脚質を持つ短距離向きのウマ娘で、レース勘にも秀でている。東海ダービー制覇を目標にしており、オグリの素質を認めて闘志を剥き出しにする。ストイックで無愛想なせいか、トレーナーの柴崎にコミュニケーションに難があると手を焼かれ、同室のウォークダンサーにはちょっとびびられている様子。
オグリを巡る一波乱を終えて後述の3バカとは仲良くつるむようになったらしく、第2巻のオマケページでは日和も含めた5人でレストランに行く程度には打ち解けている場面も見られる。久住氏によれば実家は個人病院らしい。
笠松時代のオグリを一度ならず下したマーチトウショウ号がモデルと思われる。
- 柴崎宏壱(シバサキ コウイチ)
(cv: 柴崎哲志)
「今は… 二人にしてやってください」
カサマツのトレーナー。北原とは先輩後輩のような間柄。マーチの実力を高く買っている一方で、指導をほとんど必要としない彼女とのコミュニケーションが課題とも考えている。地方には地方の良さがある、と語ってはいるものの、何かしらの思うところはある様子。
(※ 167㎝・鹿毛 / 薄茶・黒眼)
「一緒に走ったから分かる…アイツ…」
悪目立ちするオグリに目を付けていびる3バカのリーダー格。読モをやってそうなギャル風な容姿が特徴。寮では同室のオグリを、適当な理由をつけて物置部屋で寝起きさせていた。オグリとの直接対決で叩きつけられた異次元の実力に対する恐怖と、あまりにもひどいウイニングライブとのコンボに毒気を抜かれ、態度が軟化。ダンスの面倒を見てやるようになる…どころかオグリの大ファンとなる程入れ込んでおり、以降の悪戯は寝ぼけたオグリの髪のセットで自分の髪型とお揃いにする類に変わっている。実家はダンス教室。
ルディやミニーと同じく、モデル馬の存在しないオリジナルのキャラクターであることが明かされている。
ちなみに3バカは幼少期からの幼馴染の関係。
(※ 165㎝・月毛 / 金髪・黄眼・ライブ衣装 / cv: 西川舞)
「愛想の無ぇヤロウだな!!」
ジャージ姿でわかりやすい女ヤンキー風でガラの悪い3バカの斬り込み役。オグリへの突っかかり方はシンプルだが根はヘタレで、悪口のみで他の2人と違い手を出さずミニーの悪辣さに引く場面も。
意外にも達筆だが、絵は苦手(呪われそうとの事)。実家は呉服屋。
(※ 147㎝・青鹿毛 / 黒髪・緑眼)
「ヒヒッ いいね予定通り♪」
3バカの頭脳派。オグリの靴紐を弄ったり、公式戦での妨害策を思いついたりと、とにかく悪知恵がよく働く。身長はベルノといい勝負。その悪戯がポンポン浮かぶほどに座学成績学年2位と地頭も良いことが後に判明する。実はフジマサマーチのファンで、彼女のデビュー戦ではグッズを持って応援していた。実家は楽器店。
メガネではなくこのウマ娘同様にマスクを着けている。きたないorばっちいエルなんて言われることも…
- フェイスノーモア
「へぇ……だとしたら、今日私に勝っとかなきゃだった…かな」
第三章に登場する、柴崎のチームに加入しているウマ娘。中央からカサマツに転入してきたという経歴の持ち主で、一応マーチやルディらの先輩に当たる人。ダートをものともしない軽やかな走りを得意としている。健忘症なのか癖なのかは不明だが、かなり人を忘れっぽいのが玉にキズ。
なお、移籍したとはいえ中央には現在でも色々思う所はあるようで、劇中でもオグリやタマモの名前に少し反応する場面もあった。中央へ熱い対抗心を抱くイナリに少し興味が湧いたらしく…?
元ネタは恐らく中央から地方競馬へと移籍後、ダートで強豪馬として名を馳せたフェートノーザン号。企画構成担当の伊藤氏によれば「フェートノーザンのことを覚えていてほしかった」という強い希望で登場したようだ。
「文句あるなら練習しなさい3バカ!!」
マーチ争奪戦に敗れて「3バカ」を引き受けた女性トレーナー。不真面目で反抗的な彼女らに手を焼いている模様。実は柴崎と幼なじみで元ヤン。カサマツトレーナー組の中では長らく本名不詳だったが、第2巻のオマケページで設定が明かされた。
- 巌唯一(イワオ ユウイチ)
角刈りに口髭の快活な男性トレーナー(名前はデビュー戦の出走者リストより)。担当するサウスヒロインの号泣を笑って受け止める鷹揚な人物。
- デビュー戦のウマ娘たち
(カサマツ同期)
サウスヒロイン、セカイトーハー、ベーテシュガー、ジョイメーカー、ウルトライチバン、オーカンメーカー、ロイヤルチェリー、ウォークダンサー。いずれも有識者によるネタ元の推定が進んでいる。
中央(トレセン学園)
(140㎝・芦毛)
「ウチも葦毛やしキャラ被るからやめてほしいねんけどなぁ~」
本作のもう一人の主人公。
「白い稲妻」。中央の制服姿の小柄な芦毛ウマ娘。関西弁で話す。レース帰りに(負けてヤケ食いしに)名古屋へ行こうとして電車を間違えカサマツへ。オグリとマーチが出走するジュニアクラウンに立ち寄る。中央所属は伊達ではなく、レースに向ける視線は玄人のそれ。オグリと共に「芦毛は走らない」というジンクスを踏み越え快進撃を始めた、もう一人の怪物である。「白い稲妻」の名に恥じぬ圧倒的な追い込みを得意とするが、レース前はナーバスになりがちで、オグリとは対照的に少食気味。
- 小宮山勝美(コミヤマ マサミ)
「フフフ…今日のタマちゃんは一味違いますよ」
タマモクロスを引き受ける女性トレーナーで、彼女のことを「タマちゃん」、タマモクロスも小宮山を「コミちゃん」と呼び合う程の信頼関係を結んでいる。パートナーに負けず劣らずノリのいい性格で、たまにタマモクロスをからかっているらしい。小柄なタマとは対照的に、身長は175cmと女性としては大柄な体格の持ち主。対戦ウマ娘以外にもトレーナーの情報に精通している描写もあるが、実は六平の一番弟子(自称)という裏設定がある。何気に勝美という名前は4巻のオマケページで初めて判明したもので、それ以前は劇中でも名字呼びしかされていなかった。
モデルは史実でのタマモクロスの主戦で、後にオグリにも騎乗した南井克己か。
「オグリキャップ…か 新しい風になってくれそうだ」
トレセン学園の生徒会長。「皇帝」の二つ名を持つGⅠ七冠の最強走者であり、作中における中央の象徴のような存在。自身が一線を退いてからシリーズにスター性が失われていることを愁えている。中京盃でのオグリの走りを目の当たりにしたことで、彼女に自身の運命を変える選択を迫る。
脳内で渾身のギャグを考案したり、北原に厳しい言葉をぶつけてしまい落ち込んだりとお茶目なシーンも健在だが、今作では近しい関係のテイオーや副会長、さらには理事長も登場しないため、学園の代表者たる生徒会長としてシリアスな描写をなされることも多い。
「まあ、勝つのはオレだけどな」
「栗毛の弾丸」。オグリ転入時点でのトレセン学園のエース。モデルはサッカーボーイか。見た目通りの勝気な性格だが、学園ではアルダン達と普通に会話するくらいには打ち解けている様子(たまにチヨノオーの髪をモフることもあるらしい)。ヤエノたちからも格上の存在として意識されているようで、第1章では怪我で戦績は振るわなかったものの、復帰後の函館記念ではメリービューティーを押さえて芝2000mの日本レコードを叩き出し大復活を遂げる。何故か勝負服にも制服にも上からフードを被るファッション(?)を貫く。
- 小内忠(コウチ タダシ)
「ツンデレというやつですか?」
ディクタストライカの担当を務める男性トレーナー。基本的に細かいことに拘る几帳面な人物で、劇中ではリンゴを一目見ただけでカロリーをその場で計算する場面もあった。パートナーとは中身が真逆な印象すら窺えるが、ディクタ側は既に彼の性格には慣れっこなのか気安く軽口を叩き合える良好なコンビ仲である。
日本人男性としては驚愕の身長約2m越えという体格の持ち主で、普段の雰囲気も相まってか話しかける度に周囲にビビられている。なお、意外にもその容姿とは裏腹に実年齢は20代の若手。モデルは恐らく史実のサッカーボーイに騎乗した河内洋騎手か。
「日本ダービーは…私が…私が勝つんだから!!!」
「ど根性ヒロイン」。本作が初出となる実在馬名を持つウマ娘。地方上がりのオグリへは素直に好感を持っている実直な子だが、レース前でヤエノに啖呵をきるなど根は勝気。幼少期に現役時代のマルゼンと会っていたらしく、彼女に強い憧れの感情を抱いている。
「まだ脚は残っています!ここから……!!」
「名門メジロ家令嬢」。本作が初出となる実在馬名を持つウマ娘。今作品においては(現時点では)唯一の「メジロ家」出身のウマ娘である。基本的には見た目通りのお嬢様気質だが、親戚と同じくセグウェイを笑顔で運転する姿を見るに年齢相応な活発さも持ち合わせている。当初は中央入りしたオグリの実力を「勝ったら奇跡」と懐疑的に見ていた節もあったが、無事に彼女が中央初勝利を飾った際には態度を改め、クラスメイトでも一番に祝いの言葉を送ったり彼女に率先して話しかけたりと、中央組でもオグリとは良好な関係を築いている。
「強いウマ娘は大歓迎です 闘いましょう 正々堂々と」
「剛毅木訥武道少女」。本作が初出となる実在馬名を持つウマ娘。カサマツで圧倒的な成績を残したオグリを歓迎し、(左手で)握手を求める。礼節を備えており、勝負の前に果たし状をしたためる古風なところがある。中央組ではある意味オグリの実力を最も高く評価している人物であり、彼女と自身の実力差にコンプレックスを強めている一面も。実直な印象に反してレースではオグリに内へ切り込ませず自分は大外から差し切るポジションをキープする試合巧者でもある。
実は昔は中々粗暴な性格だったらしい。勝負服は和装がモチーフ。
「喝ッ!!未だ思ひ絶ゆべからず!!」
ヤエノを引き受ける男性トレーナーであり、その風貌やガタイの良さに恥じぬ熱血漢で、メンタルで袋小路に追い込んでしまいがちな彼女に的確に活を入れている。ヤエノの礼儀正しさや少し古風な一面は彼譲りのものと思われる。六平や小宮山とはそれなりに長い付き合いらしく、特に六平は昔からの飲み友。
ちなみにヤエノムテキから師範代と呼ばれているので、この人が道場主というわけではないようだ。おそらくウマ娘公式サイトに紹介されているヤエノムテキの祖父が金剛八重垣流の師範であり、トレーナーはその高弟といったところだろうか。
見かけによらず甘い物が好きという一面も。
名前が公開されてない為モデルは不明のままだが、一部ではヤエノの主戦だった西浦勝一又は岡部幸雄と目されている。
「奇跡なら…もう起こってますよ」
同じく中央組でオグリのクラスメイトで、メジロアルダンと並んでオグリとは結構仲が良い。よくディクタストライカやヤエノらとレース観戦をしているが、彼女だけ当初は表情や心理描写が伏せられていることがあった。世間的には今一歩と見られていたウマ娘なのだが、出走枠に滑り込んだ菊花賞を契機として何かを掴んだようで…?
作中ではモノクロのためデザインやキャラクター性の近いメジロアルダンと見間違えやすいが、三つ編みの位置や微妙な髪色の違いで見分けられる。オグリの初勝利後に積極的に話しかけている方がアルダン、一歩引いた位置にいる方がクリークである。
- 奈瀬文乃(ナセ フミノ)
(基本デザイン)
「たとえ0.1%の奇跡でも起こせると信じるのが僕の役目です」
スーパークリークの担当を引き受ける若き天才トレーナー。かつて偉大なトレーナー成績を残したという父親譲りの高い指導能力を持つ。話題性も加わってファン(特に若い女性)が多く、メディアに露出する機会も少なくない様子。基本的には冷静沈着でクールな印象を受けるが、当時中々成績を伸ばせず苦労していたクリークの前で「君を主役(シンデレラ)にしてみせる」と宣言する熱い部分も。
モデルは言わずと知れた日本競馬界の名騎手こと武豊氏と思われるが、割と長身な小宮山とは対照的に身長は150cmと結構な小柄(実際の豊騎手は170cm代)である。
「大井のイナリワンたぁあたしのことでい!!」
オグリと同じく地方出身のウマ娘。本編初登場時にはモチーフ由来の狂け…江戸っ子気質と小柄ながらも恵まれた体格は読者を大いに驚かせた。ゲーム版と比べるとかなり血の気が多い人物として描かれており、オグリキャップを初め中央のウマ娘の鼻を明かそうと自身の名を轟かせることを目標にしている(このあたりはあくまで地方馬として中央に挑戦した血統上の親戚にあたる存在を彷彿とさせる)。
ちなみに体格については編集からも突っ込まれたらしい。
- 檮原龍子(ユスハラ リュウコ)
「アタシらにとっちゃ馴染みの大一番だ、そこでアンタを魅せてやんな」
イナリワンを担当する老齢の女性トレーナー。着物を着てトレーニングする貫禄のある出で立ちでイナリたちには「姐さん」と呼び慕われている。大井では舎弟を何人か従えているが一応れっきとしたカタギの人。長くトレーナー業を務めるベテランで、熱くなりがちなイナリのストッパー役。
- 檮原太郎(ユスハラ タロウ)
龍子の息子でアメリカで勉強し帰国したイナリワンの中央におけるトレーナー。イナリから「坊(ボン)」と呼ばれている。ルー語のような奇妙な喋り方が特徴。トレーナーとしては長期的なことを考え慎重なところがある。
「マイル王!獲りに行くっスー!!」
オグリの大躍進から少し遅れて出世を遂げた超・一級のマイラー。トレセン学園の風紀委員も務める真面目な熱血ウマ娘で、同世代だが大活躍を続けるオグリのことを尊敬している。
本格的に物語に登場するのは三章からだが、実は一章でもちょっとだけ顔は出している。
- 奈瀬英人(ナセ ヒデヒト)
「彼女達の全盛期(ピーク)は短い。輝ける時に輝かせてやるのも、我々の務めだと思うがね」
バンブーメモリーのトレーナーを務める現役の男性トレーナーにして、奈瀬文乃の実の父。「魔術師」という異名を付けられた程の実力派トレーナーで、どちらかと言うとウマ娘を伸び伸び育てるタイプ。良くも悪くも人の感情の機微に疎いオグリ以上のド天然であり、長年に渡る因縁の敵である六平やマスコミをよく振り回している。娘のことは決して邪険に思っているわけではないがあまり良い父親としては振る舞えなかったらしく、文乃には「好きであの人(英人)の娘に生まれたワケじゃない」、「父とは思っていない」と関係は上手くいっていない様子。
とはいえ、第102Rでは直接文乃に会いに行ったりと不器用ながらたまに彼女と話をしようとしている。なお、ルックスは娘よろしく端正な顔立ちで、好みがお寿司なのも一緒である。モデルは武豊の実父にして騎手や調教師として活躍を続けた武邦彦氏と思われる。
「関係ねェ 田舎の砂遊びなんざノーカンだろ」
「黒い闘士」。地方から転入したオグリを見下し食ってかかる。粗暴で好戦的だがファンの前ではそうでもない。モデルはラガーブラックか。上記の台詞から始まるオグリとの会話は多くの読者に(色んな意味で)インパクトを残した。
レースでオグリとの直接対決である賭けを行い、敗北して汚い言葉遣いが出来ずにお嬢様口調で話すようになる(後にアルダンに汚い言葉を使わなければ普通に喋れるのではとツッコまれた)。
なお、アルダンやチヨノオーとはあまり会話がないのか一応同じクラス出身にもかかわらず微妙に名前を忘れられるという割と酷い目に遭っているが、ディクタとは軽口を叩き合う仲で休日は共にゲーセンへ遊びに行くことも。
本作の1話で登場したウマ娘。ゴールドシチーらとの激戦の末、2着ルナスワロー(モチーフ馬はサニースワロー)に6バ身差をつける圧勝でダービーウマ娘となった。元ネタは1987年のダービー馬メリーナイスと思われる。
なんだ 未だ健在ではないか
「マイルの帝王」。元ネタはニッポーテイオーだと思われる。勝負服はサラシに羽織を着ながら草履を履くものすごく走り辛そうな格好だが、ウマソウルパワーのお陰で特に問題なく走れているらしい。G1を3勝している強豪であり、短中距離では現役最強とも評された。宝塚記念では先手を打って勝負を仕掛けるもタマモクロスの後塵を拝むことになった。
その後オグリキャップのマイルチャンピオンシップをサッカーボーイと共に観戦。
「ハハッ!いいねぇ!!やっぱ勝負はこうでなくちゃな!!」
「唯我独尊の開拓者」。日本ダービー優勝後にヨーロッパで海外のウマ娘と渡り合った実力者で、今作では既に海外から帰国している。パドックでダンスをするなど派手好きのようだがダンス中に何人かに手足をぶつけて負傷させている(本人は気づいていなかったが)。気性も荒く、毎日王冠ではダイナムヒロインたちによるオグリの徹底マークに巻き込まれる形で進路を塞がれ「クソが!!邪魔だぞお前ら!!」と叫んでいた。
本編では言及されていないが、実は会長の幼なじみだったりする。裏設定では気の短い性格とは裏腹にビリヤードが得意という意外な特技を持つことが明かされている。
(会場の空気が変わった…)
「舞台上のお嬢様」。元ネタはダイナアクトレスと思われる。毎日王冠に出走するも、パドックでシリウスのダンスに巻き込まれて脇腹を蹴られた不憫な子。オグリの走りを真っ先に察知して進路を妨害するなど周囲への観察眼は確かだったのだが、あまりに相手が悪すぎた。
("逃げ"は孤独でいい!)
「逃げのロード」。こちらも毎日王冠のパドックでシリウスのダンスに巻き込まれた結果、頭を強く打って鼻血で発走除外になるという散々な目に遭った不憫な子。所謂典型的な逃げウマ娘なのだが、天皇賞(秋)で前述のアキツテイオーに敗北を喫した苦い過去を持つ(本人曰く「惜敗」と言及しているが、一応史実を考慮すると5バ身差の惨敗である)。
元ネタ馬はレジェンドテイオーだと思われる。
- トップシュンベツ
「となるとスタートが肝心…ん?うわぁああああ!!」
ロードロイヤルと同じく逃げを得意とするウマ娘…なのだが、天皇賞(秋)では1番手になろうと集中するあまりにそもそものスタートから出遅れてしまう少し抜けた一面を見せている。
元ネタは恐らくトウショウサミット。
- ロングリヴフリー
「救護班!!救護班!!」
赤い頬とカチューシャが特徴的な先行タイプのウマ娘で、気のいい性格なのかロイヤルがパドックで怪我した際には誰よりも真っ先に救護班を呼んでいた。あまり目立たないがオグリやタマとは天皇賞(春・秋)や毎日王冠、ジャパンカップなどでちょこちょこ対戦している。元ネタは恐らくランニングフリー。
「この状況で言われると複雑な気分ね…」
「100年に一人の美少女ウマ娘」と称されているが、無論ビジュアルだけではなく実力自体もキチンと持ち合わせている。その顔立ちから学園内でもファンは非常に多く、タマモクロスとはたまに食事を共にする仲。仕事柄か美容方面にも明るいようで、あちこち髪が引っかかると呟くオグリに自分のシャンプーをあげる約束をしている(オグリ曰く「シチーの髪はサラサラだから羨ましい」とのこと)。また、ゲーム版と同じく学業も中々優秀らしく、本編ではエラズリープライドと軽く英語で会話する場面が見られる。
「大外枠だって良かったのに…」
シンボリルドルフと同じく、レースで偉大な成績を数多く残した生きる伝説の一人。本作では良くも悪くも「会長」として周囲から敬意的に扱われることの多いルドルフと対等に接することのできる数少ない人物であり、食事も共にするほど気心の知れた間柄。
本編ではマーチに興味を抱く場面があるが、史実のマルゼンスキーはマーチトウショウ号の父親・プレストウコウ号と走った日本短波賞で7馬身差の圧勝を収めたことがある。
オグリのダービー出走を巡っては、規程の壁をどうすることもできなかった自身の経験もあってか思う所があるようで…?
「まだ最後まで分からない これは日本ダービーだ」
ルドルフと同じく数々の栄誉を勝ち取ってきた三冠ウマ娘の一人であり、劇中では主にルドルフやマルゼンと共に登場している…のだが、全くと言っていい程出番がなかったアニメ版よろしく今作でも上記の台詞以外一言も喋っていなかった。第26Rに至っては上記の2人と共に日本ダービーを観戦する場面で彼女だけ吹き出しに隠れて顔が見えないという別の意味で不憫な目に遭っている(作画の久住氏にすら頑なに喋らない点をネタにされている)。なお、三章では第1Rから久しぶりに台詞を貰っている。
第119Rにて名前と後ろ姿だけ登場。過去のジャパンカップにてルドルフと並び日本ウマ娘が勝った数少ない存在として認知されているとのこと。本作の時代では既に現役は退いているのか、このシーン以外では一切登場しない。
「カイチョーみたいなすっごいウマ娘になってみせるから見ててよ!」
後にトゥインクル・シリーズに「帝王」の名を残すことになる次世代の新星。本作ではまだデビュー前の時期ではあるが、皇帝の名を持つルドルフを超えることを夢見て邁進中。こちらでも会長好きは筋金入りらしい。
トレセン学園の理事長秘書を務める温厚な女性。ウマ娘・トレーナーの双方を様々な局面で支えているが、本作においては出番は控えめ。初対面のオグリが「なんだろう…この感じ…」と引っ掛かりを覚えたり、第3巻のオマケページでは「手腕だけでなく脚力も一級品」と明確に書かれていたりもする謎多き人物。
- 担任の先生
オグリ達の担任の先生。朗らかだが気弱そうな人間の女性。若く見えるが実は40代らしい。
- スタッフ研修生
中央でのベルノのクラスメイト達。全国のダートの砂をコレクションして比較したり、謎の液体を飲ませようとしたり、坂路での走法をデータから導き出そうとしていたりと濃い上に妙に圧が強い。ベルノには元々素質を感じているらしく、研修生同士としてそれなりに仲は良い。
トレセン学園の理事長代理。海外出張中で多忙な理事長に変わり理事長代理を務めている。
トレセン学園に侵入したマスコミの対応を行った。
六平の教え子たち
チーム名は明かされていないが、オグリやベルノと同じく六平の指導を受けている中央の先輩たち。出番自体は少ないものの、本編ではちょくちょくオグリの併走トレーニング相手として後輩を支えている。なお、モデルと思われる競走馬は史実のオグリキャップ号より後の時代に活躍したものも多い。
ツカサ先輩。先輩後輩の垣根無くフレンドリーな優等生。元ネタはメイショウサムソン(?)+ツカサパワーか。前者はGⅠ4勝馬(かつ天皇賞を春秋連覇)、後者は80年代の障害馬である。
ユニヴァ先輩。片目隠れにそばかすの内気な世話焼きで、アメちゃんを持ち歩いているらしい。元ネタはラインクラフト+ネオユニヴァースか。前者は2005年の桜花賞、後者は2003年の皐月賞+ダービー勝利と両者共に輝かしい成績を残している。
なお、ラインクラフト号は僅か4歳という若さで放牧中に急性心不全で死去(なお、奇しくも命日である8月19日は祖父のサンデーサイレンスが亡くなった日でもある)。また、ゲーム版メインストーリー第2部の告知に合わせウマ娘化が発表された。詳細はラインクラフト(ウマ娘)参照。ネオユニヴァースについても連載中にウマ娘化が発表・実装されたため、詳細はネオユニヴァース(ウマ娘)参照。
ゴッド先輩。雰囲気だけミステリアスなポンコツ先輩で、切り株に刺さるのはチーム内では最早日常茶飯事らしい。ジャージとアイスを間違えて持って来たことがある。元ネタはゴッドスピード+マルカハンニバルか。なお、チームメンバーでは唯一六平のことを「銀次郎」呼びする人物であり、シリーズでも担当トレーナーを下の名前で呼ぶキャラクターはかなり珍しい。
大井所属のウマ娘
- ロマンスバブリー
(デザイン)
大井に所属する逃げウマ娘。敵のペース配分を狂わしながら逃げ切る戦法を得意としており、シービーには「生粋のトリックスター」と評価されていた。恐らく元になったのはアエロプラーヌ号と思われる。やたらとマブいネーミングが目を引くが、それもその筈史実のアエロプラーヌの父親はマルゼンスキーである(さらに言えば史実の母親はロマンギャルという名前だった)。
- フユノナカスミ
「相変わらず頭でっかちねロマンス」
大井所属の芦毛ウマ娘。見た目は落ち着いたクール形だが、中央への移籍を決めたイナリに対抗心を抱く中々の負けず嫌い。ただ、それでも本心ではイナリへ複雑な感情を抱いているようで…?
元ネタは恐らくアラナスモンタ号。史実のアラナスモンタの母親であるフユノアダルトが由来か。
海外ウマ娘(身長一覧)
(勝負服デザイン)
「Vincerò e basta. Solo questo le dico.(勝って示す。それだけ)」
「欧州王者」の異名を持つイタリア代表のウマ娘で、26戦15勝(GⅠ6勝)の好成績を残してきた歴戦の猛者。自らの実力に絶対的な自信を持っており、良くも悪くも他人へは無関心な面が強い。ジャパンカップ海外勢の大本命として日本へ来日する。
イタリアの騎士やら貴族やらを連想させる威厳のある風貌(髪や尻尾の縦ロールは毎朝早起きして自分で拵えているらしい)だが、これでもれっきとした学生。
元ネタ馬は恐らくトニービン号。引退後はウイニングチケットやエアグルーヴ、ジャングルポケットなど多くの名馬を輩出し、日本競馬に大きな影響を残した(『ウマ娘』シリーズでは史実の親子関係が反映されない場合も多いので、この辺りはほぼ言及されていないが)。
「You're as inelegant as always(相変わらずエレガントじゃないわね)」
「英国の貴婦人」。英仏のGⅠで2勝しており、昨年度に出走したジャパンカップでは5着の敗退(本人もそれなりに気にしているらしい)。イギリス代表のウマ娘として、去年に引き続きジャパンカップに出走する。そのお家柄故か、日本のコンビニおにぎりは新鮮な体験だったようだ。
"貴婦人"の二つ名に相応しく、私服や勝負服は共にドレスを強くイメージしたセレブ感のある衣装。(敵のサポーターであると知らなかったとはいえ)ベルノの取材にもきっちり付き合ってくれたり、一度会っただけの藤井記者の名を覚えていたりする義理堅い一面もある(ベルノも調査結果にたぶん良い人と書くくらいには好感を持った様子)。モデルはムーンマッドネス号か。
トニビアンカの数少ない友人でもあり、彼女のことを「気負いすぎ」と心配している。なお、ジャパンカップの決着後にはトニビアンカを誘って日本の買い食いをドヤ顔で教える可愛らしい姿も見せた。
「鬼にcan not bowデーース!!!」
三章のジャパンカップに登場する、イギリス代表ウマ娘。「自己肯定感の化物」と揶揄される程の超・ポジティブ思考の持ち主。ルナシーとは以前対戦したことがあるようで、古くからの顔馴染み。家柄はとてつもないセレブなので日本語も喋れる…のだが、微妙に日本語が間違っているのでこいつら並みに言葉遣いがエキセントリックになっている。なんならあのカワカミプリンセスよりもエセお嬢様っぽいとすら言われるレベルである。
勝負服・私服共に服装は
花を基調とした優雅なデザインとなっている(よく見ると本人の目も花を模している)。胸にはカサブランカの花を付けているが、花言葉は「純粋」「無垢」「壮大な美しさ」「高貴」などの意味がある。オリジナルはイブンベイ号と思われる。
「I'm not good at interviews.Sorry,sis.(取材は苦手なんだ、ごめんねお姉さん)」
凱旋門賞を制したことのあるイギリス出身の強豪。「メディア露出の少ないミステリアスな王子様」と説明されているが、どうやら人見知りで取材が嫌いなタチらしい。本人はのんびり日向ぼっこを楽しむ庶民的な所がある。
勝負服も王子様染みた高貴な衣装であり、私服にも勝負服にもサングラスは欠かさない。元ネタはキャロルハウス号ではないかと言われている。
- シャーリースカイ
(勝負服デザイン)
(元ネタを考慮すると)ルナシーと同じイギリス出身の海外ウマ娘の一人。モデルは恐らくシェイディハイツで、シャーリーという名の由来は史実のシェイディハイツの父親であるシャーリーハイツからと思われる。史実のシェイディハイツは生国のイギリスをはじめアイルランド、フランス、ドイツ、アメリカ、そして日本といった実に6ヵ国ものレースに出走している。
「About this perfect!(これぐらい絶好調さ!)」
「アメリカの巨神」の異名に恥じない巨体と鍛えられた肉体が持ち味であり、レースでは強引にぶつかってでも自分の得意なポジションを力技でキープする。その身長は実に195cm。爽やかで常にハイな性格もあってか根っからのアウトドア派のようで、来日した後にバスケを楽しんでいる場面も。本業は競走ウマ娘だが、やろうと思えばスリーポイントラインからのダンクも軽くこなせるらしい。元ネタはマイビッグボーイ号と思われる。
(金髪+毛先は青 / 勝負服)
「 ンー…ロックじゃないねぇ 」
「WILD JOKER」。ミシェルと同じくアメリカ代表ウマ娘の一人で、ジャパンカップに出走すべく来日。性格はミシェル以上に砕けており、記者団を「ニッポンのパパラッチちゃん達」と呼んでいたりと日本語もペラペラな様子。元ネタはペイザバトラー号と思われる。
日本のウマ娘に無頓着なトニビアンカらとは対照的に、タマモとオグリの実力を高く評価しているようで、二人のことを相当に研究していた模様、驚くことにオグリのカサマツ在籍時代のことやサポーターであるベルノの存在まで把握していた。
劇中では182cmとミシェルに次ぐ長身。GⅠ未勝利と戦績自体はあまり目立たず、記者団にも大して注目されていなかったのだが…?
「Hehehe…I just thought of something gooooood.(クク…イィ~コト思い付いたぞ)」
アメリカ出身のレコード持ちウマ娘。やはり本作のアメリカウマ娘らしく身長188cmもの巨体を誇る。その野生児のようなルックス通りの唯我独尊な性格で他人からは反感を買いやすいが、その実力自体はそれを補って余りある本物。一人称は「私様」。オベイとは一応対戦経験があるのだが、シーフ本人は大して興味が湧かなかったのかあまり会話はなかったらしい(一応誰かに似ていることはなんとなく記憶していたようだが)。
顔には星、左肩には鷹のタトゥー、指には何個も指輪を付けたりととにかくド派手な勝負服を着ている。本人もこれを大層気に入っているらしく、普段着としてもしょっちゅう勝負服を着ているそうな。元馬はホークスター号と思われ、ペイザバトラー号、イージーゴア、サンデーサイレンスなどなどの様々な競走馬と対決している。
- スクールロード
(私服・勝負服)
こちらもミシェルと同じくアメリカ出身のウマ娘で、勝負服には「CAUTION KEEP」と書かれたベルトを巻いている。元ネタは恐らくセーラムドライブ。アメリカには実際にSalem Drive Schoolという小学校が存在するので、スクールロードの"スクール"はこれが由来と思われる。ちなみに史実のセーラムドライブはジャパンカップの約二週間前に富士ステークスに出走している。
- サティアス
「I race,l win! I'll crush them all!(出るからにゃ一位だ、全員ぶっ潰す!)」
三章に登場するアメリカ代表ウマ娘の一人。見た目はギラギラと目付きの悪い猫目のギザ歯が特徴。一応アメリカの代表のはず…なのだが、何故か勝負服は日本の古典的なヤンキー風スタイル。服には漢字で「天下無双」、「最速最強」「亜米利加代表砂帝阿栖」と書かれている。
元になったのはアサティス号とされる。実は上記のようにサティアスはアメリカ代表として描かれているようにアサティス号はアメリカ生まれなのだが、イギリスで調教を受けた競走馬でもある。キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは当時の柴田政人騎手とと共に3着と好走したことがあり、オリジナルの産駒成績とも絡めてこの辺りが日本被れな所としてデザインされたものと思われる。
なお、後にアサティス号は種牡馬として日本に来日し、後にダートGⅠレースであるフェブラリーステークスやジャパンカップダートを制するウイングアロー、かしわ記念や帝王賞を勝利したボンビネルレコードなどを儲けている(アサティス本人はダート走ったことないけど)。
「I'll let the world know New Zealand has me.(ニュージーランドに私がいるということを世界に教えてあげるわ)」
「誇り高き美貌」の名を持つニュージーランド出身のウマ娘。戦績は37戦18勝と数多くの戦いを潜り抜けてきたベテランで、ジャパンカップを「世界に実力を見せる千載一遇のチャンス」と捉えているクールビューティー。言動の端々に祖国や自身の名を知らしめようとする野心が見え隠れするが、来日直後に神社(花園神社)へ参拝している辺り、他国へのリスペクトが皆無な訳でもないようだ(余談だが、アプリ版『ウマ娘』では、「お出かけ」で神社に行くと確率でバッドコンディションが解消できる)。
モデルは恐らくボーンクラッシャー号(彼が何度か勝利を収めているニュージーランドのエラズリー競馬場が名前のモチーフになっている)。2015年の没後にはエラズリーの地に埋葬され、彼の活躍を称えて現地では' Bonecrusher: The Pride of Ellerslie '(ボーンクラッシャーはエラズリーの誇り)という文言と共に銅像が建てられている。
また、彼女の頬にある傷跡はボーンクラッシャー号の肩に傷があったことに由来していると思われるが、傷があると言ってもただでさえ容姿端麗な者が多いウマ娘の中で伊達に「誇り高い美貌」の二つ名を持っているわけではなく、ベルノ目線から見てもすごい美人さんと記されている。裏設定ではシチーの大ファンであることが明かされており、第52Rでは実際に本人を「雑誌で見るより良い顔してる」と称した。
「世界で一番強いウマ娘はだぁれ?」
エラズリーと同じニュージーランド出身のウマ娘であり、ジャパンカップのために数ヶ月前から準備を重ねていたのか日本語もお達者。
エラズリーのことを「姉様」と呼び慕っていはいるが、心配性な彼女に少し不満も抱えている(耳飾りはエラズリーから貰った物である)。
他人につっけんどんな態度は取りがちだが、本質は他者に対し道案内をする優しさも持つ。やたらと温泉や酸素カプセルの知識に明るいのでオグリには「健康ランド師匠」と親しまれている。実は鏡がないと寝られないという一面もあるのだが、どうやら彼女にとってはそれ以上の意味があるらしく…?
元ネタは恐らくホーリックス号。
- クラリッザ
ドイツ出身のウマ娘で、勝負服は所々に迷彩柄を取り入れたデザインとなっているが、一部の読者には世界で初めて迷彩服を運用したのはドイツの武装親衛隊が初だからではと考察されている(厳密に書くと最古の迷彩はイギリスのカーキ色とも言われているが、一応現在の観点でいう迷彩が初めて使われたのはドイツである)。
モデル馬はコンドルだと推測される。なお、紛らわしいが日本にもトウショウボーイ産駒にクラリッサという馬が実在する(勿論コンドル及びクラリッザとは無関係だが)。
- ラントゥザトップ
「Soyez fiers de votre pays en that que représentant de la Francey!(フランス代表として、祖国に誇れる走りを!)」
そばかすと笑顔が映えるフランス代表のウマ娘。久住氏の情報によれば身長は177cmとのこと。勝負服はテニスプレイヤーにも似たスポーティーなものとなっている。おでこには「U」の文字が描かれたヘアバンドを装着している。
元ネタはロワイヤルオーク賞などを勝利したトップサンライズ号か。
その他ウマ娘関係者
- オグリキャップの母
「よく食べてよく走る 立派なウマ娘になるのよ」
生まれつき膝の悪かったオグリにマッサージを施し続け、彼女の大きな武器となる柔軟性を育む。デビュー戦を控えたオグリに、自身の現役時代の髪飾りを贈った。誕生日は6月17日らしい。
誕生日の一致から、元ネタは実際のオグリキャップの母であるホワイトナルビー号と推定されている。競走馬としてはそれほど目立った成績はないものの、15頭もの仔を産み、そのすべてが競走馬として勝ち上がり仔の総勝利数133というとてつもない記録を残しており、繁殖牝馬として初めてNARグランプリ特別表彰馬に選ばれたスーパー母ちゃんである。ちなみに読者から勘違いされやすいが劇中では存命でバリバリ元気だとか。カサマツ編では娘のデビューをラジオで聞いていた。実は幼少期のタマモクロス(とその母)を見たことがある。
ゲーム版『ウマ娘』でも登場。漫画版と同じ柄の服を着ていた。
- タマモクロスの母
「できるだけ走るのにいい環境で生活させたくて」
劇中の回想では幼少期のタマモと共に住居を転々としていたようで、走ることが好きなタマモクロスのためになるべくレース環境を整えるよう努力していた様子。元ネタはタマモクロスの母であるグリーンシャトー号と思われ、こちらも錦野牧場の経営難による倒産からあちこちの牧場を転々として生活していた。劇中の時代が現在となってからは登場していないが、元ネタの史実とタマモクロスの活躍年代を考えると…。
- おっちゃん(仮称)
「流石ワシが見込んだウマ娘や!」
幼少期のタマモクロスに走り方を教えていた人物であり、喋り方からも察せる通り大阪出身。タマモクロスには現在でも「ウチが今こうしておるんはおっちゃんのお陰」と語られる程に慕われており、彼女の人生に大きな影響を与えたことは想像に難くない。しかし、既に現在の時間軸では病床に伏しているようで…。
- 天利サキ(アマリ サキ)
メジロ家に仕えるメイド。そそっかしいところがあるがアルダンのよき理解者。元自衛官。
- オベイユアマスターのトレーナー
オベイユアマスターの担当トレーナーを務める壮年の男性。
アメリカでなかなか結果を出せないオベイユアマスターをジャパンカップに誘う。
檮原太郎やシンボリルドルフとも面識がある模様。
モデルとなったのはクリス・マッキャロンと思われる。
- 獅堂
URAの幹部職員と思わしき人物。オグリキャップのクラシック三冠出走の署名を今回は却下するもいずれ来るであろうウマ娘の為に検討した。北原の中央のトレーナーの面接にも参加し彼を激励した。
マスコミ
- 藤井泉助(フジイ センスケ)
「挑戦する機会さえ与えられんままで!!」
関西弁にメガネが特徴的な、ウマ娘レース新聞の記者。オグリの中央初戦・ペガサスステークスでの走りに惚れ込み、クラシック登録を逃した彼女を日本ダービーに出走させようと、特例の許可を求めて奔走する。方々を走り回っているらしく、前のめりな取材スタイルで顔を覚えられたりしている。しかし、熱意故に強引で取材や興味の対象への配慮は些か欠けている部分も散見される。
当時の競馬評論で活躍していた大橋巨泉がモデルという説も。(※但し大橋は東京出身)
オグリに入れ込んでおり休暇中のオグリとベルノにデート中なのに話しかけて彼女からフラれてしまった。日本ダービー関連かその他の理由か、六平には個人的にものすごく嫌われている。
具体的には塩持ってこいと言われてベルノが用意したのが岩塩でそれに殴られてゴミ捨て場に捨てられた。
- 遊佐よし子(ユサ ヨシコ)
藤井の後輩。暴走しがちな藤井に引き気味。
もともとはファッション関連の文化系ジャンルを志望していたためウマ娘レースについては予備知識がないズブの素人だったが、劇中2回目のジャパンカップでは藤井に連れられ、出走するウマ娘やレースそのものを共に取材することに。名前が嫌いなのか、それとも呼ばれるほど親しくないからか名前で呼ばれることを嫌がっている。徐々にオグリのファンになっていってる描写が見れる。
舞台設定
- ローカルシリーズ
全国15箇所の開催地で行われているエンターテインメントレースの総称。カサマツレース場が主戦場となるカサマツの競走ウマ娘にとっては、SP(スーパープレステージ)Ⅰに位置付けられている東海ダービーへの出走が大きな目標となっている。
現実における地方競馬が元になっている。
- カサマツトレセン学園
岐阜ウマ娘カサマツトレーニングセンター学園。生徒数は400名弱。学園の近くに私鉄が通っている。座学や練習等でレースへの知識を深め、本格的な指導や出走するレースの選定については学園に所属するトレーナーに任せられている。レベルが段違いとなる中央(トゥインクルシリーズ)に関する諸々については「気にしなくていい」事とされているが……。
学園が別なので当然のことながら中央のトレセンとは制服・ジャージ・ライブ衣装は共にデザインが大きく変えられており、久住氏によれば中央の制服やオグリの勝負服をブレザー化するイメージでデザインしたとのことで、漫画が元々モノクロなことを踏まえてカサマツの制服も白黒のカラーリングにしている。
ノルンのように制服を自己流にアレンジしている者も多いが、良くも悪くも中央より緩い校風もあってかこの辺りの服装はある程度自由らしい(オグリに至っては入学初日からジャージで登校しているが、そもそも制服を持っていない疑惑もある)。
なお、食堂の料理は食べ放題である。凄まじい大食漢であるオグリキャップの入学により食堂のオバちゃん達の苦難が始まった。
日本ウマ娘トレーニングセンター学園。東京・府中に広大な敷地をもつ、日本のウマ娘にとっての最高学府。トゥインクルシリーズで鎬を削る2000名ちかいエリートたちの戦場であり、最高格のグレードレース・GⅠの頂点に辿り着く者はその中のほんの一握りである。レースを支える側のスタッフ研修生として学籍をおくウマ娘もおり、そちらもレース研究に血道をあげる強者揃い。食堂もやはり食べ放題であるが、料理主任のオバちゃんは「足りないとは言わせないよ」と不敵な笑みを浮かべ、オグリと火花を散らすなどこちらも強者である。
果たしてトレセン学園の食料庫は、オグリの食欲に持ちこたえられるのか…?
授業や寮生活といった学園生活的な描写は少なく、強力なライバルとして描いているオグリとタマモが同室になってしまうとストーリー上ややこしくなるためか、30Rでの描写を見るとアプリ版などとは寮の部屋割りが異なっている様子がある。
- URA(Umamusume Racing Association)
いわゆる「中央」。トゥインクル・シリーズを主催する組織で、トレセン学園の運営母体。トレーナーに対しても高い資質を求めるため、超難関の採用試験を突破した数少ないエリートのみが配属される。
採用試験の内容はあまり明かされていない(一応劇中ではマークシートらしきものも確認できる)が、試験の難易度は名門大学の入試以上という凄まじいもので、ミニー曰く「合格者0の年もある」らしい。
無論推薦などで学園に入る者や代々トレーナー業が家業の家、引退後にトレーナーに復帰する例もあるので必ずしもこれらのパターンを含めての「合格者0」な訳ではないだろうが、どちらにせよ相当な狭き門であることは想像に難くない。
劇中では中央諮問委員会が登場しており、ルドルフのとある行動を受け、本人を呼び寄せて真意を問い質している。
時代を作りうる限られたウマ娘が到達する本人さえ知らない剛脚であり、ルドルフ曰く「限界の先の先」。"領域"という呼称自体は第2章で初めて使われているが、それを匂わせる台詞が最序盤にて明かされている。超集中、フロー状態とも呼ばれる没入の境地で、レース中のウマ娘の身に起こるそれは、時に伝説となって人々の記憶に刻まれてきた。また、場所や状況によっては不完全ながらも一時的に領域に覚醒する場合があるとも言及されている。
ウマ娘のポテンシャルが極限まで発揮される極集中状態であり、普段とは次元を違える圧倒的なパフォーマンスを発揮できるようになる。
ただし、あくまでも感覚の話であり、”領域”に入ったからといって元のステータスが突然パワーアップするわけではない。
第41Rの描写も相まってか、一部の読者にはゲーム版における固有スキルに当たるものでは?とも推測されている(じゃあゲームの薙刀とかお茶会の演出はなんなんだという疑問は残るが気にしてはいけない)。
見た目にはウマ娘の目が発光したり、稲妻を纏ったりと個人差があるようで、通常のウマ娘のそれを遥かに凌駕する能力を発揮するとされる。本編内では既にルドルフ、マルゼン、シービーらが"領域"に到達しているらしいが…?
テレビアニメ版
2024年8月23日、「ぱかライブTV Vol.44 3.5 周年記念 サマーパーティー!」内でテレビアニメ化が発表された。2025年放送予定。制作はRoad_to_the_Topや新時代の扉を手掛けたCygamespicturesが務める。
PV
連載告知
上記動画の実況中継はオグリキャップ中央デビューのペガサスS(実況:杉本清氏)。
ヤングジャンプ版
この単行本第1巻発売を記念した冠協賛レースが笠松競馬場にて2021年1月19日(発売当日)に開催される予定だったが、笠松競馬場を巡る一連の競馬法違反事件に関する新たな報道が開催当日に朝日新聞より報じられた事を受け中止になっている(開催された場合でも、新型コロナウイルス緊急事態宣言により無観客での開催が予定されていた)。
その後、正式なコラボイベントは『シンデレラグレイ賞』として2022年より開催、2023年からは声優が来場しトークショーも行われている。
アニメティザーPV
関連タグ・外部リンク
ハルウララ(ウマ娘):北原の「ローカルレースにおけるスター不在」を嘆く声を聞いた読者のうち結構な数が連想した"常敗の偶像(アイドル)"。スターでは無いが"地方"の盛り上げに一役買ってくれた。
ゴールドシップ(ウマ娘):モチーフ馬が同じく「芦毛の怪物」の異名で呼ばれることがある芦毛のウマ娘。その縁もあってか『ウマ娘シンデレラグレイ』との公式コラボ(?)が度々組まれている模様。2022年5月、公式パロディ漫画『ウマ娘シンデレラゴールド』がシングレ作画担当の久住氏の手で作られ、YouTubeで公開中。また本編に登場する焼きそば屋「金船」はゴールドシップがらみと思われる(元々プリティーな方のオグリキャップはゴールドシップが作る屋台風焼きそばが好きという設定がある)。2023年、テレビアニメ『ウマ娘Season3』第3話のゴールドシップ主役回では、久住氏がゴールドシップの応援イラスト(ゴールドシップの後ろで、本作シングレのオグリキャップが大盛りのご飯を頬張りながら構える親子かめはめ波のパロディ)を寄稿。2024年5月、幼児のゴールドシップが主役の公式スピンオフの児童向けギャグ漫画『ウマ娘ピスピス☆スピスピゴルシちゃん』第20話に久住氏作画の本作シングレのオグリキャップが乱入、それを受けて『シングレ』第151Rの方にもピスゴル作者作画のゴルシちゃんが数コマこっそり登場している。ちなみに史実では流石にオグリキャップ現役時にゴールドシップは産まれてはいない(ゴールドシップが産まれた翌年にオグリキャップが亡くなっている)ものの、作中の登場人物ロードロイヤル(モチーフ馬はレジェンドテイオー)とは生産牧場つながり、北原の一部モデルとされる安藤勝己とは2歳時に2度騎乗していた縁がある。