Eclipse first, the rest nowhere.
概要
漫画:S.濃すぎ
原作:Cygames
アプリやアニメの公開に先立ちCygamesが運営するウェブコミック誌「サイコミ」から2017年3月より連載された、『ウマ娘』シリーズにおける初期の漫画作品。一応『ハルウララがんばる!』に次いで二作目のコミカライズ。
良くも悪くも後続の漫画作品である『うまよん』や『ウマ娘シンデレラグレイ』があまりにも有名になりすぎてしまったこともあって若干陰が薄くなりがちではあるものの、まだまだ設定やゲームも出来上がっていない状況かつアニメ版一期の放送前の中で細々とコンテンツを繋げた、ぱかチューブっ!とはまた違った意味の功労者でもある。
そのまま「STARTING GATE!」表記だとシンプルに名前が長いので、一応ファンからは単に「漫画版」か略称で「スタゲ」と呼ばれることが多い。
2019年11月に全40話で完結し、コミックスは電子書籍で全6巻。第5巻と第6巻のみ大人の事情で連載終了後も長らく発売されていなかったが、2021年6月になってようやく発売された。小学館による紙版コミックスとしても2021年11月より新装版全6巻が刊行された。
作風
登場人物同士の関係性は後のアニメ版と共通する部分も多い一方、ストーリー部分は一人ひとりの機微の描写に重点が置かれた群像劇がメインとなっているのが特徴。端的に言うなら学園青春モノ。
キャラクター自体はいわゆるゲーム版の初期から登場しているお馴染みの面々が登場している…のだが、いかんせんまだ『ウマ娘』シリーズでも設定が固まっていない頃の作品故にキャラクター設定や性格・トレセン学園のしきたりなどが大きく変わっている点もある。
中でもゲーム版をプレイしたトレーナー諸兄の観点から見ると、良くも悪くも微妙なキャラの違いに驚くことだろう。
良い意味で捉えるならゲームやアニメとの性格の違いによるギャップが本作の醍醐味となっているので、読みながら別の世界の彼女たちと比較してみるのも一興かもしれない。
あらすじ
一人ぼっちだった田舎娘・スペシャルウィークと、最速を追い求める天才・サイレンススズカ。トレセン学園で出会った二人と、個性的なウマ娘たちが繰り広げる青春学園ストーリー。
登場人物
「全力のスズカさんの背中を見てみたいんですっ!」
皆さんご存知我らがスペちゃん。本作の主人公にして、ある意味一番キャラが変わってない人でもある。母と約束した「日本一のウマ娘」を目指して、遠路遥々北海道から上京してきた。その夢に恥じない才能とポテンシャルを併せ持つが、今はまだまだ半人前のけっぱり娘。
なお、「二人のお母ちゃん」の設定や北海道出身であることの強調など、アニメ版の放送前であるこの時点で主役として粗方現在と同じキャラ造形になっているのも興味深い。
「……周囲の雑音には興味ありません」
走ることをこよなく愛する孤高の逃亡者。以降のスズカと比べるとこちらでは割と口が悪めで、周囲から誤解を招きやすい性格だった(スペと出会うまで同期はおろか上級生にすら嫌われているほど)。それでも根っこの優しい部分は変わっていないのか、次第に雰囲気が変わり始めていく。
「ボクね、カイチョーみたいになりたいんだ。それがボクの夢…目標なんだ!」
無敗の三冠ウマ娘を目指す天真爛漫な少女。こっちも珍しく性格はあんまり変わってないので、スペの良き友人として結構出番も多い。こっちの世界でもルドルフとは仲良し。
「アタシはこんなところでつまずくようなウマ娘じゃないの!」
何事もまず「1番」に拘るストイックなツンケン娘。おおよその性格はゲーム版に準拠しているが、ウオッカに対する強いライバル心故にメンタルが不安定な部分も見られる。何気にボケ担当も務めたりと4~5巻辺りは準主役クラスの出番がある。
「お前はもう少し…オレのこと分かってくれるって思ってたんだけどな…」
カッコヨサを追い求める不良(?)系ガール。性格は割と他の媒体と大差ないが、前述の通り相方が若干ボケ寄りなので本作ではツッコミ担当でもある。同室で強い素質を持つスカーレットをかなり意識しており、とある試験での彼女の行動が思わぬ誤解を生んでしまい…?
「私はあなたのことをライバルとしては見ていません。見ている景色が違いますので」
名門・メジロ家の令嬢にして生粋のステイヤー。一応新装版の表紙には登場しているが、トータルでの出番は割と少ない(旧版ではハブられていた)。こちらでも一応ゴルシとは腐れ縁な様子。最終巻ではアニメと同様テイオーと長距離対決をするのだが…。
「オッスアタシゴールドシップ!シャコをガレージって呼ぶセンス大事にしてる!」
ウマ娘世界のハジケリスト。噴水で釣りをしたりランニングマシーンに寿司を置いて疑似回転寿司を握ったりと相変わらずだが、意外にも初登場は4巻頃と遅め(その前の3巻の終盤で台詞や出番は少ないながらも登場はしていたが)。というか本作だとマックイーン並みにあんまり出番がなかったりもする。
「レースに必要なのは潜在能力だけではない。目指すべきところがどこなのかが大事なんだ」
ルドルフも認める怪物にして、地方・カサマツからやって来た芦毛の転入生。一応地元から上京して1年が経過しているとのことなので、『シンデレラグレイ』でいうところの6巻以降の頃辺り(あちらとは世界観が別なので厳密には関係ないが)。本作の人前でご飯をおかわりするのを恥ずかしがる姿は語り草の一つ。本作ではタマや永世三強メンバーがいないので、ツッコミするオグリという貴重な場面も。
「お前は状況を理解しているのか…?」
トレセン学園の生徒会長にして絶対なる皇帝。この世界では大体の設定はアニメなどの媒体と共通であまり性格も変わっていない。何気に『シンデレラグレイ』以上にダジャレも言わない(というかダジャレを言っているのはゴルシやヒシアマの方であった)。
「お前たちにどんな結果が待っていようが容赦はしない」
生徒会の副会長にして女帝の名を冠するウマ娘。こちらの世界ではスズカとは作中で初対面だったりもするが、その他の人間関係はほぼゲーム版と共通。入寮テストによる寮対抗特別レースでルドルフの強い推薦からスズカと対決することになる。
「来いよ…可愛がってやる」
同じく生徒会の副会長にして三冠ウマ娘の一人。こちらでは何気に業務は結構真面目にこなしている常識人で、なんなら喧嘩を仲裁しようとして水を掛けられたりとあんまりロクな目に遭ってない。ただ、生徒会室にお菓子を隠くというお茶目な所もあるようだ。本作では姉貴ことビワハヤヒデがほぼ出番がないので、もっぱら絡むのはエアグルーヴかヒシアマゾン相手。
「……いや誤解じゃない。これはスペにとって必要だって思ったんだ」
美浦寮の寮長。こちらの世界では割と規則にはルーズだが、真面目にレース場を掃除したりとゲーム版の面影もある。フジキセキには結構こっぴどく叱られることもある腐れ縁。
学業面の成績はよろしくないのか、補習の常連扱いになっているようだ…。
「さっきから何を調子に乗ってるのかな…?」
栗東寮の寮長。こちらの世界では所謂仕事人気質な堅物で、よく軽口を叩いたり規則に反することをしでかすヒシアマには「お前」呼びで割と辛辣な対応。ゲーム版の彼女を知っている人からするとギャップを感じるキャラ付けかもしれない。
「キラキラウマ娘はずっとキラキラしててもらわなきゃ困るの!元気出しなさいよね!」
素質自体は決して低くないものの、中々勝ちを拾えないちょっぴり卑屈になりがちな少女。本作では中盤以降にテイオーと顔見知りになった。本作ではチームカノープスの面々がいないが、おおまかなキャラ付けはアニメ版2期やゲーム版に準拠している。
「ラヴかね?」
ウマ娘をこよなく愛するウマ娘オタク。出番自体は割と少ないが、スカーレットを心配するウオッカにグイグイ話しかけたり校内マラソン大会にも積極的に参加したりと、他のウマ娘に話しかけられるだけでビビり倒すアプリの彼女に比べるとオープンなタイプのオタク。
その他にも扉絵などで登場するキャラクターは数多い。
設定
- チーム選抜選考会
ゲーム版で言うところの選抜レース。それぞれ一次試験、二次試験と選抜試験を合格しなければならない狭き門で、それぞれタイムや走る際のフォーム、加速や減速といった様々な部分を審査される。
本作のウマ娘たちは基本的にまず入学後はこの選考会で結果を出しトレーナーの目に止まる走りを見せることを目標にしている。
また、トレーナー推薦枠、生徒会推薦枠などはそれぞれ10名前後しかいない(場合によっては候補から外されることもままある)。
関連項目
同じウマ娘のコミカライズ作品
・『ウマ娘 プリティーダービー -ハルウララがんばる!-』・・・同じサイコミで連載していたハルウララが主人公のゆるめな作風のコミカライズ作品……なのだが、正直スタゲよりも更に影が薄く、性格が今と少し違った程度しか覚えていないトレーナーも多い。
・『うまよん』・・・2018年3月よりサイコミで連載されていた、デフォルメ・ミニキャラ化されたウマ娘たちの日常生活をコミカルに描く日常4コマ漫画。2020年夏にTOKYOMXとBS11にて放送時間6分のミニアニメという格好で放送された。
・『ウマ娘シンデレラグレイ』・・・ヤングジャンプで連載されている、オグリキャップが主人公のコミカライズ作品。オリジナルキャラクターや多数のオリジナルウマ娘が登場するなど、独自色が強い。「次に来るマンガ大賞2021」コミックス部門において2位を受賞した。
・『ウマ娘 プリティーダービー スターブロッサム』・・・少年ジャンプ+で2023年春から連載予定のサクラローレルを主人公に据えたコミカライズ作品。
・『ウマ娘 ピスピス☆スピスピ ゴルシちゃん』・・・WEBサイト『週間コロコロコミック』で連載のギャグ漫画作品。タイトル通りゴルシことゴールドシップが主役且つ幼稚園児にし、ゴルシ+コロコロの時点で大体お察しと思われるが、予測不能の破天荒なトンデモギャグのオンパレードで、更にはメタネタは当たり前で、挙げ句にはシンデレラグレイ版のオグリが意外すぎる形で突然の登場や映画公開記念でジャングルポケットが登場したりと、他のウマ娘作品とのコラボや便乗?も多々ある。