「 君を主役(シンデレラ)にしてみせるよ 」
概要
大学を飛び級で卒業し、「魔術師」と呼ばれた名トレーナーである父・奈瀬英人の背中を追うように中央トレセン学園のトレーナーとなった才女。現在はスーパークリークを始めとして複数のウマ娘からなるチームを指導している。
クールな佇まいと中性的な美貌で女性人気を集めており、付いた二つ名は「王子様」。若くして既に実績を出していることから周囲の期待も厚い。
一人称は「僕」。身長は150cmと小柄で、指導中に本格化を迎えたスーパークリークにはあっという間に体格差をつけられてしまった(ゲームアプリ版ではレース勝利時に歩み寄ってくるクリークの姿を、150㎝程度の人物の視野で捉えているという考察がある)。
髪色はピンクに近い紫と黒髪の二層になっており、瞳は赤色(設定画)。
趣味はレース観戦、好きな食べ物は寿司。苦手なものはにんじんと注射(公式4コマより)。
犬を飼っており、写真で登場した「大トロ」の他にも「中トロ」「マグロ」がいるらしい。
オグリキャップを担当する六平トレーナーとは父を通じて面識があり、幼少期には「ビビって」隠れたりしていたらしい。何かと父を引き合いに出される中央にあって、対等なトレーナーとして向き合ってくれる彼には敬意と共にある種の信頼を置いている節もある。
歳が近い事もあってか、小宮山トレーナー(タマモクロス担当)とも交流があり、自室にはツーショットの写真も飾られている。
父に対する思いは複雑なようで、自身を「奈瀬英人の娘」と評する声には不快感を隠さない。
クリークとは本格化前に出会っており、走り方の癖を見てほしいと請われた事をきっかけに彼女のトレーニングに付き添うようになった。やがて選抜レースで結果を残せるようになったクリークの正式な担当契約の邪魔をしないよう身を引こうとするも、彼女に引き留められ、担当トレーナーとして“逆指名”を受ける。
父の残した栄光に人知れず苦しんでいた文乃にとっては、一人のトレーナーとして信頼を寄せてくれるクリークとの日々が少なからず救いとなっており、彼女への感謝と親愛は見かけ以上に大きなものである様子。
作中での活躍
初登場時には、重賞で勝ちきれないスーパークリークのステイヤーとしての素質を信じ、とうに出走枠の埋まっている菊花賞へ向けての調整を続けていた。ほどなくして出走回避が出たために空いた枠へクリークが滑り込むと、京都レース場・外回りコースの攻略による必勝を期して臨む。クリークは抜きん出た持久力を武器に、コース終盤の特徴を的確に突いて先頭へ抜け出すと後続を突き放して圧勝。二人は一躍トゥインクル・シリーズの最前線へと躍り出る。
ジャパンカップ編ではクリークと共にテレビでレースを観戦。一緒にレースの分析やシミュレーションをする傍ら、オベイユアマスターの位置取りに注目していた。
菊花賞の勢いのままに有マ記念へ進むと、攻めの姿勢を見せる文乃に応えようと意気込むクリークは中団で機を窺う。しかし先行するオグリキャップを目掛けて後方から猛追するタマモクロスの気迫に圧倒され、先頭を目指す焦りから斜行。
渾身の競り合いを繰り広げる二人になおも食らいつこうとするクリークを沈痛な面持ちで見守った文乃は、レース終了後の「失格」処分を粛々と受け入れ、クリークを勝ちに急がせてしまった事を詫びる。
翌春はクリークの不調を鑑みて全休という決断を下し、調整を重ねながら天皇賞(秋)を集大成の場と見据える。最高潮へと達しつつあるクリークは、復帰レースに当てた京都大賞典をレコードタイムで勝利。
天皇賞(秋)では大外の8枠14番からの出走となるが、中距離戦を制するために文乃はクリークへ先行策を指示。精密なロングスパートで競走相手のスタミナを徐々に削る消耗戦を展開し、競りかけるオグリキャップを僅かに退けてGⅠ2勝目を飾る。中継には観客席へと駆け寄るクリークを抱き留める文乃の姿が映し出された。
続く有マ記念ではクリーク共々万全の態勢で臨み余裕の勝利…と思われたが心身ともに覚醒したイナリワンに敗北してしまう。その後は歩み寄りの姿勢を見せた(今までも見せていたのだが天然の為、娘からはそうは見えなかった)父と渋々久々に食事に行くことに。
モチーフ
言わずもがな、「天才を天才にした」のフレーズでスーパークリーク号と共に語られる競馬界のレジェンド、武豊その人。
- 五十音表の上で「なせ」をそれぞれ右にずらすと「たけ」になる
- 「豊」の一字で「ぶん」と読める(ぶん→文)
- 「魔術師」の異名をとった元騎手・元調教師の武邦彦を父に持つ業界の二世
- 一人称が「僕」
- 注射が苦手
- 幼い頃から人参=馬の餌と刷り込まれてしまい、人の食べ物と思えず苦手
などの要素を悉く拾い上げたキャラクターとなっている(「寿司好き」や「競馬観戦が趣味」も同様)。
また、走る西松屋の記事にもあるように、クリークの馬房の前で、彼が武の袖をくわえ、離さなかったという「逆指名」のエピソードがあり、武自身も
- 「初めて僕が惚れ込んだ馬です。誰にも渡したくありません」
- 「この馬に出会っていなかったら、僕はこんなに多くのGⅠに乗れる騎手になれていなかった」
と語っていたこともあり、「スーパークリークの担当トレーナー」のモデルとして、彼以上にふさわしい人物はいないだろう。
なお、武には武幸四郎という調教師の弟がいるが、そのポジションの人物が今後登場するかは不明。ちなみに、武幸四郎師はサイバーエージェント社長である藤田晋の持ち馬ドーブネ号などを管理している。
また、武一族は本来騎手としては不利とされる長身の家系だが、文乃は上述の通り女性としても小柄な方である。
(武豊騎手自身は170ある)
ちなみに、馬の鞍上でレース展開を操作する騎手とは違い、トレーナーはあくまでレースになれば観戦することしか出来ないのだが、史実における菊花賞での武マジックは普通に(というか申し分ないぐらいの再現度で)描写されるので、史実以上に『武豊の想いが愛馬に伝わった!』と言う他ない状況となっている。
また武は若い頃は厳しい父ではなく父の旧知の人間にかわいがられ懐いていたという点が文乃と銀次郎の関係に一致する。