いるじゃねぇか…ここに…!
CV:中村章吾
概要
メディアミックス作品『ウマ娘プリティーダービー』シリーズの漫画版の一つである、『ウマ娘シンデレラグレイ』の主要人物の一人。
岐阜県のカサマツトレセン学園に所属する長身の男性トレーナーで、年齢は設定画では40歳くらい?とのこと。
身内からの愛称は「ジョー」で、常にハンチング帽を着用(過去に六平が使っていたものと同じ。譲り受けたものかは不明)。
オグリキャップからは「キタハラ」とカタカナ表記で呼ばれ、後に「北原」に変わる。
※ これより先、ネタバレに注意。
作中での動向
閑古鳥気味である地方を沸かす原石になるようなウマ娘もおらず、育成していたウマ娘たちも熱意に欠けていたため惰性で仕事をする日々を送っていたが、ゲート試験にてオグリと遭遇。共に東海ダービーを目指せる逸材だとしてスカウトし、彼女の育成に情熱を燃やす。
またこの時、のちのオグリのサポーターとなるベルノライトもスカウトしている。
最初の時点ではオグリからの印象は、あくまでレースに出してくれる人程度の認識でしかなかったが、スカウト後はペース配分や砂での走り方等、オグリキャップの資質を活かす数々の指導を行い、その結果自身の走りを適切に指導してくれる存在として、次第に彼女から自身のトレーナーと認められるだけの信頼を得ていく。
オグリと共に破竹の勢いで勝利していく北原だったが、叔父の六平の忠告を無視し中京盃に参加させたことでシンボリルドルフの前で見せてしまった結果、オグリに中央へのスカウトが舞い込んでしまい状況は一変。凄まじい才能を有するオグリの将来性を鑑み、中央に送り出すという道が提示されたのだが、それは中央のトレーナーライセンスを持っていない自身ではオグリとのコンビを続けることが出来ない事を意味しており、また自分の夢である東海ダービー制覇もあきらめなければならないという選択を迫られてしまう。
自分は三流、彼女は一流のトレーナーの元で戦うべきウマ娘だと思いつつも、ベルノライトからのアドバイスから、まずはオグリの意思を確認すべきだと中央からのスカウトが来たことを伝えるが、中央に共に来てくれるのかという問いに中央のライセンスを持っていないことを伝えた結果、オグリは中央への移動を拒否。東海ダービーこそが互いの夢だと伝えられ、自身の夢が彼女を縛り付けてしまっていると思い込んでしまう。
そして葛藤した結果、ゴールドジュニアにて勝てば中央、負ければ東海ダービーを目指すという二択をオグリに迫ってしまい、それを聞いたルドルフからは自分のウマ娘の勝利のみを信じられない以上、彼女のトレーナーとして相応しくないと断言されてしまう。
そして迎えたゴールドジュニア当日、苦しさからオグリの走るレースに目を背けてしまうが六平によりオグリのレースを見せつけられたことで、自分が悩んだ結果押し付けてしまった選択のせいで走ることが大好きであったオグリキャップが苦悩して走る姿を目の当たりにしてしまう。
それを見て自分の悩みよりも、一番大事なのはパートナーであるオグリキャップを見るべきだったという事に遂に気が付く。
自身の迷いを吹っ切った彼はオグリの元へ駆け、勝利のために走るよう言葉を投げ掛ける。
誰よりもトレーナーである彼自身が勝利を望むことで、オグリの本来の走りを取り戻させる。
最後のゴール直前、それでも勝つことに迷いを覚え涙を流すオグリの背を、同じく涙を流しつつ強く押した。
そしてレースのウイニングライブ中、スカウトを提案した時に会ったルドルフとまた再度対面し、東海ダービーという夢を奪われたことには本音では憎らしく思っていたこと言いつつも、今度は新しい夢ができたことを伝える。
そのライブ後に中央への移籍を公表したオグリに対し様々な声が上がる中、共にステージに登壇。
演説にて会場全体を大きく盛り上げ、中央に行くというオグリの新たな門出を祝福させることに成功させた。
カサマツでの最後のレースが終わり、オグリと共にレース場を見つめる中、彼女に中央のトレーナーライセンス獲得への挑戦を決意。オグリに見合うトレーナーになることこそが新たな目標と称し、カサマツでの戦いは終わりを告げた。
中央移籍後のオグリに関しては六平にトレーナーとなるよう懇願しており、トレーナーは六平に交代した(六平曰く、北原が中央に来るまでの代役)。
北原自身は中央ライセンス獲得に向け勉強し、再びオグリキャップのトレーナーとして共に歩む事を目指し日々努力をしている。
2章では秋の天皇賞に向けてトレーニングをしているオグリ達の前にカサマツの面々から預かった荷物と共に再登場し、オグリへの贈り物として彼女を模した手作りのブードゥー人形を渡す。最後に「中央は楽しいか」と問いかけ、肯定されたことで喜びを見せた。
ジャパンカップ終了後、オグリの有馬記念へ向けた調整期間に六平の頼みを引き受ける形でカサマツの面々を引き連れ再登場。オグリからは試験を合格したと勘違いをされたが、中央試験の結果が不合格であったことが判明。不合格についてノルンエース等になじられたが、例え何度落ちようと諦めずに挑戦し続けることを口にしたことで、タマモクロスへの敗北が続くオグリの支えの一つとなった。
4章では中央試験を合格し、ライセンスを取得する。装いも若干変化し、サマーセーターの上にジャケットを羽織るようになった。中央移籍後は六平のチームでサブトレーナーとなり、オグリが出走する次のレースに向けたトレーニングを担当する。オグリの有馬記念での敗因を見直す中、自分がオグリを任された理由を悟り、安田記念への出走を決める。オグリのトレーニングを担当したことでメディア、ファンのみならず、師範代や英人といったトレーナー達からの注目を集めた。
安田記念本番では再び共にレースの舞台に立てたことをオグリと喜び合いレースへと送り出したが、裏では嘔吐を繰り返すなどG1のプレッシャーに潰されており、六平に怯えを指摘される。これを素直に肯定し、今すぐ逃げ出したい本音を零したが、同時にこの感覚が嫌いではないことも語り笑みを浮かべた。
なんだ ビビってんのか?
! …ええ 正直ビビってます
…できることなら今すぐ逃げ出したいくらいに…
…けど
嫌いじゃないですよ この感じ
…フン 生意気な…
だったら お手並み拝見といこうか 小僧
オグリがレース以前の課題をいくつも抱えていることを理解しており、中でも連闘による速度感覚の麻痺、これに伴うオーバーペースを急務とし、これを活かせるレースであるマイルG1への出走を決断していたことが判明。オグリにはレース開始直後から三番手を確保すること、これを最終直線までキープし続けることのみを伝えていたが、意識をさせすぎないようあえて目的を不透明にし続けていた。六平からは理屈過ぎるが悪くはないと評価を受けるが、速度感覚の矯正をあえて選ばなかった意図を問われた際、オグリが自分の失敗により敗北したと思い詰めていたことから矯正することで追い打ちをかけてしまうことを危惧したこと、失敗を矯正するのではなく活かして成功に繋げるべきという持論を語ったことで無自覚ながらも連闘による悔恨を抱く六平を救う一助となり、英人からは敗因を利用するその胆力を認められ、同時に気に入らない存在としての印象を与えるに至った。
レース終盤にて追い縋るヤエノムテキの存在やオグリの新たな変調など不穏な要素こそ孕みつつも、勝敗自体はレコードを更新した上でオグリの一着に終わる。中央移籍後の初戦にてG1勝利を飾ったこと、尚且つオグリがレコードを更新したことでマスコミの輪に巻き込まれ、オグリと共に雑誌の表紙を飾るようになるなど世間の注目を大きく集めることになる。
トレーナーとしての実力
あくまで地方のトレーナーである為か天才的な才覚があるわけではなく靴の損傷などの小さな見落としなど詰めの甘い部分があるものの、オグリキャップの優れた柔らかさなど彼女の才能を見抜き、コースのペース配分や砂の走り方の指導を行う等、アドバイスそのものは的確である。
今までただ才能のままに走るだけであったオグリキャップにレースでの走りを指導し成長させたという結果を見るにトレーナーとしての一定の実力はあるものの、流石に中央ではなく地方の著名な結果を出したことがないためか自己評価もあまり高いとは言えず、それが原因となってオグリキャップの心情を見落としてしまうなどメンタル的な欠点も存在する。作中でも自分を三流と自嘲する場面もあり、自分自身への軽視が何よりの問題点と言える。
しかし、ウマ娘とトレーナーの関係性の構築という最も大事な点では他のトレーナーに引けを取らず、僅かな時間でありながらオグリとの親和性を深いものに育て上げるなど、その点においては非常に有能といえる。後にカサマツでは実績と人望に優れたトレーナーであることが中央試験時の面接官から語られており、六平からは唯一自分が見出したトレーナーとして評価されていることが判明した。
中央移籍後は実力が大きく向上。オグリの現状把握から課題の認識、その解決までをスムーズに実行した他、過去の敗因をあえて作戦に組み込むなど胆力を練り上げている。六平のみならず、英人などの実力者からも一目置かれるようになり、特に英人からは気に入らない存在という形で評価された。
安田記念を制覇したことでG1トレーナーの一人となる。
※序章にて靴の損傷を見落としていたが、これについてはオグリの僅かな走り方の違和感を見つけ新たな走り方を提案する程に脚を注視していた筈が、何故か誰が見ても明らかな靴の損傷を見落とすという矛盾が発生してしまっている。これはオグリキャップの厩務員であった川瀬友光が蹄叉腐乱を発見したという要素をベルノライトに組み込んでしまった際に出来たミスと思われる。
関連人物
トレーナーとしての相棒であるウマ娘であり本作における主人公。
当初オグリの才能の片鱗を見つけた事でスカウトしに来た彼に対して「レースに出る為に必要なトレーナー」ぐらいの認識でしかなかったが、彼の指導を受けて練習していくことで自身の実力が高くなっている事をレースで実感したことで徐々に信頼し始める。
最終的に彼の夢である「東海ダービーの制覇」を叶えてあげたいと思い、共に目標とするなどコンビとしての絆を深めていった。
そのため彼とのコンビが消える事になる中央行きを最初は拒否し、勝利することで中央に行くことになってしまうゴールドジュニアの勝利を苦悩したものの、最終的に彼の後押しもあって新たなステージである中央行きを決意した。
中央の舞台に立ってからも北原のことを相棒として待ち続け、後に約束は果たされた。
オグリキャップと共にスカウトしたウマ娘。
残念ながら彼女を指導することで走りの面で大成をさせることは出来なかったものの、元から資質があったサポーターという立場でのオグリキャップを共に支える仲間としての関係性を構築しているが、北原に対し辛辣な態度をとることもある。ちなみに北原はベルノが資産家の娘という事を知らなかったようで知った際は六平らとともに呆然としていた。
叔父にしてトレーナーとしての先輩でもある。
本来の名字の呼び方は「ムサカ」だが北原自身は「ロッペイ」と呼んで毎回怒られている(そしてオグリにも癖がうつった)
定職にもつかなかった自分をトレーナーにしてくれた恩人なので基本的に頭が上がらない。
後に中央に行く事になったオグリキャップを中央のトレーナーである彼に託した。
北原の頼みを真摯に受け止めトレーナーとしてオグリを大きく成長させてきたが、ある時期を境にオグリに勝利よりも敗北を意識させてしまったことを皮切りとして、北原がサブトレーナーに就任してからは実質的にオグリを任せることになるが、決して妥協ではなくあくまで勝つための選択であり、北原のことは唯一自分が見出したトレーナーとして評価し認めている。
モデル?(一部ユーザーの私見あり)
一部読者の間では笠松時代の馬主・小栗孝一、主戦騎手・安藤勝己、管理調教師・鷲見昌勇が主なモデルではないかと言う説が上がっており、複数の人物を合わせたキャラクター造形になっている。その為、奈瀬のような特定の人物のみをモデルとしている訳ではない非常に特殊なトレーナーであることから、以下のような考え方も出来てしまう。
例)安藤勝己の中央試験の不合格と二度目の試験での合格と中央参戦時の年齢+小栗孝一の1989年の中央資格取得=北原は1989年に二度目の試験で合格する
こういった特徴から他の明確なモデルが存在するトレーナーやウマ娘と違い、年代に合わせた考察が出来ないという問題を抱えており、北原の今後については予測が非常に難解な状態である。
以下はモデルとなった可能性の高い人物達。
小栗孝一
言わずと知れたオグリキャップの元馬主。中京盃後に中央よりオグリキャップの移籍に関する話を持ち込まれる・当時は中央馬主としての資格を所持していない・オグリキャップの名誉のためには早めに中央入りさせた方がいいという判断を下した点・最終的にオグリキャップを手放す等のエピソードから、モデルの一人である可能性は高い。
特に興味深いのは、1989年7月に中央競馬の馬主資格も取得していることか。下記の安藤勝己の一度試験に落ちているが二度目には合格しているというエピソードと相まって、二度目の試験で北原が合格するのではないかという考察も上がっていたこともある。
安藤勝己
安藤勝己騎手の旧姓が「北浦」であり、誕生日が同じ3月28日で共通しているという要素がある。
安藤勝己騎手もオグリキャップと同じく地方から中央にわたって活躍した騎手として有名な人物であり、
彼自身が地方から中央へ移籍する騎手のはしりとも言われる騎手でもある。
中央の騎手免許を持たない安藤騎手は中央で再度オグリに乗ることはなかったが、オグリの後を追って中央を目指す北原との境遇とも共通する部分が存在する。
中央のトレーナー試験不合格は、安藤騎手が中央免許の1次試験で不合格になったエピソードがモチーフか。
(なお「これだけ実績があるジョッキーの不合格はおかしい」とJRAに抗議が殺到し、実績による試験免除規定、通称「アンカツルール」が出来た。オグリキャップ同様、笠松から来て中央のルールを変えてしまった人)
安藤騎手自身も数々の名馬で勝利した経験があり、ウマ娘ではダイワスカーレットにデビューから引退まで全レース騎乗している点から「北原はオグリキャップとコンビを組むことはなく、オグリキャップ引退後にダイワスカーレットと共に中央へ参戦する」と予想するファンも存在する。
逆に、オグリキャップ&北原のコンビ再結成が実現すれば「安藤勝己がオグリキャップに騎乗して中央で戦う」というある種実現しなかった夢の展開になる、とも言える。
余談ではあるが安藤勝己が騎乗した馬にフェートノーザンが存在する。これは漫画に登場したフェイスノーモアのモデルの馬であり、勝己が主戦騎手となっていた。にもかかわらずフェイスノーモアは安藤勝己がモデルの一人と思われる北原ではなく、後輩である柴崎が担当している。これについては1989年11月23日に行われた全日本サラブレッドカップにて、フェートノーザンは左前種子骨骨折を発症し、その後安楽死処分が取られることになったという点が関係していると思われる。
上記の流れを基に、仮に北原にフェイスノーモアを担当させた場合、大きな負傷を負った担当ウマ娘をカサマツに放置して中央に参戦するという問題のある展開となってしまう(※)。これを避ける為にフェイスノーモアは柴崎の担当ウマ娘となった可能性が考えられる。
(※)詳しくは「ウマ娘」の記事に書いてあるため割愛するが、骨折が死活問題となるのは「競走馬という種族故のままならない事情」という部分が強い。そのため、擬人化され人間同然な生活や治療ができる本世界ではスズカのように重度の骨折でも長いリハビリを経て復活するのが普通なため。
鷲見昌勇
笠松時代のオグリキャップを管理していた地方調教師で、東海ダービー制覇が夢だという北原の設定の中に要素が垣間見える。
夢は管理馬による東海ダービー制覇。オグリキャップの活躍で悲願達成は目前に来ていたが、中央移籍の決定で御破算。笠松ラストラン「ゴールドジュニア」後に馬主・小栗孝一氏が誘った記念撮影を、怒りのあまり拒否してしまっている(ただし北原は写真撮影時にしっかりと姿がある)。
ただ中央移籍後もオグリキャップのことはずっと気にかけており、ペガサスステークス以外の全レースで現地まで応援に駆けつけていた。
武豊
「穣」という字が訓読みで「ゆたか」と読める事から、オグリキャップの引退レース第35回有馬記念に騎乗した天才・武豊もモデルの一人ではないかと言う説もある。
ただ、武豊のオグリキャップ騎乗は安田記念および上述した有馬記念の2回だけ。当時はスーパークリーク、イナリワン、バンブーメモリーなど、むしろライバル馬に騎乗してオグリキャップに挑む側だった。
ファンの中ではスーパークリークと組むという予想もあったが、後にクリーク担当トレーナーとして明確に武豊モチーフとわかる奈瀬文乃が登場している(逆に彼女という存在が描かれたことで、上述の『北原=アンカツ』という説を強めることともなったが)。
とはいえ、史実では武豊がイナリワンに騎乗し、父の武邦彦が19度挑戦しても届かなかった天皇賞を初挑戦で優勝したというエピソードを残しているが、イナリワンのトレーナーとしては檮原太郎が既に登場していることから武豊の要素を含んだトレーナーは奈瀬以外にも存在する可能性はある模様。
実際に武豊が騎乗した安田記念では北原が実質的なオグリのトレーナーとして六平の代わりにトレーニングを担当しているなどそれらしき要素は見受けられる。
北原=シリウス先代トレーナー説
アプリ版メインストーリーに登場するチームシリウスを作った引退した先代の「ベテラントレーナー」は、「オグリキャップのトレーナーである」「トレードマークであるハンチング帽を被っている」という点から
・先に漫画から登場していた北原穣がモチーフではないか?
・アプリ版の世界線の北原穣本人ではないか?
という考察もある。
ただし、2022年7月20日に公開された第一部最終章後編にてシリウストレーナーのCVは西村知道と発表され、「いくら歳を取ったとはいえ中村章吾から交代するのか?」という疑問も出ている。
余談
・作中で身に付けている衣服や装飾品は六平が過去に使用していた、または現在も使用しているものと同じものを使用している。帽子は過去に六平が使用していたものと同じであり、中央合格後は同じジャケットを身に纏うなど、作中時間が進むごとに六平と恰好が似てきている。他にも過去にピアスを身に付け煙草を吸う姿が描写されているが、過去の六平もピアスを身に付けており、煙草を嗜んでいたなど共通点が多い。
・中央合格者として写真が載った際、両隣にはアニメ版のトレーナーであるスピカのトレーナーおよび東条ハナらしき人物の写真がある。ただのファンサービスである可能性も高く、同じ世界線であると明言された訳ではないため注意。