概要
1994年に生まれ、1997年に4歳(現3歳)を迎えた世代。
99世代・04世代・11世代と並ぶ中央平地GⅠ22勝は歴代7位タイ。
これまで海外に遅れをとりがちだった日本が本格的に海外に進出し始め、日本競馬史の一大転換期を作り上げた世代といえる。
史上初めて短距離馬として年度代表馬に選ばれ、日本馬として史上2頭目の海外GⅠ制覇を達成したタイキシャトルが代表格。稀代の大逃げと悲劇の最期で知られるサイレンススズカや「主な勝ち鞍:阿寒湖特別(900万下)」のまま古馬王道を走りまくったステイゴールドもこの世代である。
牝馬では日本馬史上初の海外G1制覇を成し遂げたシーキングザパール、G1を5勝したメジロドーベルを擁しており、短距離と牝馬では98世代をも上回る層の厚さを誇った。
クラシック戦線においては、皐月賞を制したサニーブライアンがフロック視を覆して東京優駿も勝利、二冠馬となった。秋の菊花賞は夏の上がり馬・マチカネフクキタルがトライアルからの3連勝で制覇。シルクジャスティスもクラシックは無冠だったものの、有馬記念を制した。しかしサニーブライアンは負傷から復帰できず引退、マチカネフクキタルやシルクジャスティスも裂蹄などに悩まされ古馬となってからは大きく成績を落とした。
しかしこの世代はさらに古馬になってからも、古馬王道路線でメジロブライト・サイレンススズカが活躍し、マイル短距離路線はタイキシャトルが制覇した。
国内外50戦を戦い抜いたステイゴールドをはじめ、2001年に7歳で安田記念を制したブラックホーク、3歳で桜花賞を制した後7歳まで重賞戦線で活躍したキョウエイマーチなど、息の長い活躍を見せた馬も多かった。
佐藤哲三騎手とマイネルマックス、吉田豊騎手とメジロドーベル、大西騎手とサニーブライアン、菅原騎手とメイセイオペラ、と騎手にとってGI初制覇のパートナーが多かった。
海外では90年代欧州最強馬パントルセレブルや、サイレンススズカの叔父(ただし同い年)でイギリスダービー馬のベニーザディップ、アメリカクラシック2冠馬でドバイワールドカップも制したシルヴァーチャームなどがいた。
勝利したG1
3歳~4歳
レース名 | 優勝馬 |
---|---|
朝日杯3歳S | マイネルマックス |
阪神3歳牝馬S | メジロドーベル |
皐月賞 | サニーブライアン |
日本ダービー | サニーブライアン |
菊花賞 | マチカネフクキタル |
桜花賞 | キョウエイマーチ |
オークス | メジロドーベル |
秋華賞 | メジロドーベル |
NHKマイルカップ | シーキングザパール |
ダービーグランプリ | テイエムメガトン |
古馬
短距離 | ダイタクヤマト/タイキシャトル |
---|---|
マイル | タイキシャトル |
中距離 | |
長距離 | メジロブライト |
エリザベス女王杯 | メジロドーベル |
グランプリ | サイレンススズカ/シルクジャスティス |
ダート | ファストフレンド/メイセイオペラ |
障害 | ゴッドスピード |
海外 | シーキングザパール/タイキシャトル/ステイゴールド |
代表的な競走馬
- 皐月賞を11番人気単勝51.8倍、ダービーを6番人気単勝13.6倍で制したサニーブライアン
- 最速の機能美・逃亡者サイレンススズカ
- マイル7戦7勝、大雨の中の無敵タイキシャトル
- 同期や後輩たちの栄枯盛衰を見届け、ラストランで内国産・日本調教馬初となる海外GⅠ制覇を達成した黄金旅程ステイゴールド
- 牝馬史上初のGⅠ5勝・史上2頭目の4年連続GⅠ制覇・史上初の4年連続JRA賞受賞したメジロドーベル
- 日本馬として史上初の海外GⅠ制覇を達成したシーキングザパール
- 父譲りの大逃げで史上二頭目の最低人気GⅠ制覇、ダイタクヤマト
- 親子3代GⅠ制覇を成し遂げたメジロブライト
- 競走馬としては気性最悪だが、その名に恥じぬ正義感の持ち主シルクジャスティス
- 中央GⅠを制覇した唯一の地方所属馬メイセイオペラ
- 伝説の末脚を持つ芝・ダート兼用の短距離追い込み馬ブロードアピール
- 障害グレード制導入後、初の平地&障害重賞両制覇・ゴッドスピード
……と、何気にキャラの濃いメンバーが多かった世代。
馬名 | 性別 | 主な勝利レース | 備考 |
---|---|---|---|
タイキシャトル(USA) | 牡 | 97'スプリンターズS/マイルCS/安田記念など | |
サイレンススズカ | 牡 | 宝塚記念 | |
メジロドーベル | 牝 | 阪神3歳牝馬S/オークス/秋華賞/エリザベス女王杯 | |
メジロブライト | 牡 | 天皇賞(春) | |
ステイゴールド | 牡 | ドバイSC(当時国際GⅡ)/香港ヴァーズ | |
シルクジャスティス | 牡 | 有馬記念 | |
マチカネフクキタル | 牡 | 菊花賞 | |
キョウエイマーチ | 牝 | 桜花賞 | |
シーキングザパール(USA) | 牝 | NHKマイルC/モーリス・ド・ゲスト賞 | |
サニーブライアン | 牡 | 皐月賞/日本ダービー | |
ダイタクヤマト | 牡 | 00'スプリンターズステークス | |
ブラックホーク | 牡 | 99'スプリンターズステークス/安田記念 | |
ゴッドスピード | 牡 | 中山大障害 | |
メイセイオペラ(岩手) | 牡 | 帝王賞/フェブラリーS | (カク地) |
ファストフレンド | 牝 | 帝王賞/東京大賞典 | |
テイエムメガトン | 牡 | ダービーグランプリ/グランシャリオカップ | |
ブロードアピール(USA) | 牝 | 根岸Sなど | |
ミッドナイトベット(USA) | 牡 | 京都記念/香港国際カップ/金鯱賞(いずれもGⅡ) | |
シャコーテスコ | 牡 | セントライト記念 |
種牡馬・繁殖牝馬
種牡馬
タイキシャトルはメイショウボーラー、母父でストレイトガールやワンアンドオンリーを出したほか、ひ孫世代でもG1馬が出た。
ステイゴールドはドリームジャーニー・オルフェーヴル兄弟やゴールドシップなどの強馬を出した。他にも海外で結果を出したナカヤマフェスタやウインブライト、障害王オジュウチョウサンなどがいる。
種牡馬 | 主な産駒 | 母父 | 父父・ひ孫 |
---|---|---|---|
タイキシャトル | |||
ステイゴールド |
繁殖牝馬
キョウエイマーチが孫の代で海外G1馬マルシュロレーヌを出し(ちなみに父父ステイゴールドでもある)、ブロードアピールも孫の代でダービー馬ワグネリアンを出した。
ウマ娘プリティーダービーにて
以下の競走馬がウマ娘として登場している。97世代(ウマ娘)も参照。
ウマ娘では、コンテンツの顔的存在であり、アニメSeason 1でも、主人公の一人であるスペシャルウィークをはじめとした98世代の方が目立つが、サイレンススズカがスペシャルウィークの先輩としての存在感を示している。
またアニメにおいては、ステイゴールドを元にしたと思われるやたら出番の多いモブキンイロリョテイが登場し、ゲームではドリームジャーニーの育成イベントにて姿こそ出さなかったものの、実名表記と台詞付きで登場している。
なお、この世代は全員が学年は高等部という設定であり、明言はされていないが98世代以外で「史実で同世代で、ウマ娘世界でも同学年」とされる世代の可能性がある。
ただし、シーキングザパールはエルコンドルパサーの育成シナリオでエアグルーヴから先輩と呼ばれているため、彼女のみ学年が違うと思われる。
関連項目
サカノタイソン:サラブレッドではなく輓馬だが生まれ年は同じ。ばんえい競馬で史上初の19連勝を達成した。