概要
アーモンドアイの18世代と牡牝W三冠馬の20世代の間ではあるが、谷間の世代という評価では収まらないほど、この世代も優秀な成績を残した。前世代に並ぶほど牝馬の活躍が目立ち、とくにクラシックホース3頭の実績は、他を抜きん出るほどの迫力があった。
国内牝馬
桜花賞馬グランアレグリアは、4歳安田記念でのアーモンドアイとの直接対決に勝利したことをきっかけに、一気に最強女王への階段を駆け上がった。ディープインパクト産駒に初めてのスプリントGIのタイトルを飾ったのもこの馬である。5歳シーズンでは大阪杯や、天皇賞・秋といった2000mのレースにも挑戦したが、距離延長で終いが甘くなるなど勝ち切れず。それでも得意のマイルGIで2勝をマークし、2年連続で最優秀短距離馬を受賞した。
オークス馬ラヴズオンリーユーは5歳の京都記念の復活を皮切りに、日本馬として初のブリーダーズカップ勝利を含む海外GⅠ年間3勝の活躍。同年のエクリプス賞(アメリカ競馬の年間表彰式)最優秀芝牝馬を受賞、これも日本馬初の快挙であった。
秋華賞馬クロノジェネシスは中長距離路線で牡馬相手に奮闘。ゴールドシップ以来の宝塚連覇&春秋グランプリ3連覇の活躍。父バゴも制した凱旋門賞にも挑戦(7着)した。
このように、牝馬三冠を分け合った3頭が各分野(グランアレグリアが短距離からマイル、クロノジェネシスが国内中長距離、ラヴズオンリーユーが海外中距離)でそれぞれ実績を残しており、いずれも牡牝混合戦においても牡馬と同等以上の実績を残したことから、ダイワスカーレットやウオッカを輩出した07世代と並ぶ牝馬最強世代の一角に数えられている。
ブリーダーズカップでは同世代でさらにもう一頭、ダート交流重賞路線で頭角を現していたマルシュロレーヌがBCディスタフを低人気(11頭立て・9番人気)で勝利し、日本調教馬で初めて海外の国際ダートGⅠ制覇を成し遂げた。ラヴズオンリーユーとは同厩の調教パートナーとしてセットで語られることが多い。
※過去にヴィクトワールピサ(10世代)がドバイWCを制しているが、当時のドバイWCはダートではなくオールウェザー。
重賞未勝利馬にも、強い世代の中にあって奮闘を続けてファンを沸かせ、根強い人気を博した馬が多い。第1回アイドルホースオーディションでメロディーレーンとカレンブーケドールが上位に入り、ぬいぐるみが商品化されたのはその表れと言えよう。
牝馬ながらステイヤー気質であるメロディーレーンは、非常に小柄な馬体をはじめとする愛らしい外見と、菊花賞5着を皮切りに重賞で善戦しオープン入りを果たした実力をあわせ持ち、長く現役を続けている。
カレンブーケドールは重賞未勝利の2勝馬ながら重賞2着7回3着2回(うちGⅠ2着3回3着1回)の戦績を残し、獲得賞金額はカレンチャンを抜いてカレン一門トップとなった。同様の戦績のサウンズオブアースとともに、稀代のシルバーコレクターとして並び称される。
また、1勝馬ながら桜花賞2着など重賞2着3回3着3回を記録した名脇役シゲルピンクダイヤは繁殖入り後、オーナーの死亡に伴う売却で繁殖セリに出された際、実績を買われて落札額1.5億円に達した。
国内牡馬
牡馬では2-3歳のマイルGⅠを2勝したアドマイヤマーズが3歳で香港マイルを制した。3歳馬の勝利は香港マイル史上初であるとともに、3歳での海外混合古馬GⅠ勝利は日本調教馬初であった。
また、安田記念でグランアレグリアや2世代下のシュネルマイスターを下したダノンキングリー、菊花賞・天皇賞(春)優勝と長距離路線で実績を残したワールドプレミアが長期間活躍し、存在感を示した。
ダートはクリソベリルが3-4歳時にGⅠ4勝の活躍をみせ、クリソベリルが現役を退いた後はカジノフォンテン、ミューチャリーと地方馬の活躍が目立った。短距離ではJBCスプリントで勝ちドバイゴールデンシャヒーン2年連続2着のレッドルゼルや、地方から出戻って本格化しリヤドダートスプリントを勝ったダンシングプリンスが存在感を示した。
ちなみにクリソベリルを含め、ダート王を多数輩出してきたゴールドアリュール産駒だが、6歳シーズンでナランフレグが高松宮記念を制覇、父に初の芝GⅠタイトルを届けた。奇しくも数日前に母ニキーヤが夭逝したばかりであった。
高松宮記念は続く7歳でもファストフォースが戴冠。同レースで7歳馬が優勝するのは3度目(キンシャサノキセキ、エアロヴェロシティ)のことであった。
一方、牡馬クラシック戦線は皐月賞馬サートゥルナーリア、ダービー馬ロジャーバローズが早くに現役を退き、そのことも牝馬の存在感をより高める一因となった。
障害戦線では、短距離が主戦場のホッコーメヴィウスと、長距離が主戦場のニシノデイジーが代表格。ともに6歳で悲願を達成したのみならず、7歳で低迷と復調を経験したという共通点も持つ。
ホッコーメヴィウスは6歳春までに重賞5戦で2着3回3着1回とカレンブーケドールにもなぞらえられるシルバーコレクターであったが、6歳夏には圧倒的な強さで重賞3勝のゴールドコレクターへ雄飛を遂げた。
ニシノデイジーは牡馬クラシック戦線を皆勤したのち疾病に苦しみ低迷したが、6歳で障害競走に挑戦すると才能が開花。障害4戦目、初の重賞挑戦となった中山大障害を制し、一気に玉座まで跳び上がった。
ホッコーメヴィウスのほかマーニやジェミニキングと、騎手にとっての重賞初優勝をもたらした馬が多いのも特徴である。
海外
海外では、欧州はBCターフを勝つなど米仏で活躍した女傑タルナワや、凱旋門賞馬ソットサス、BCF&Mターフを勝ち引退後日本へ輸入されたイリデッサ、ドバイターフを連覇したロードノースなどが活躍。日本人共同所有馬のブルームとジャパンはともにJC出走を果たしている。
米国ではマイルと中距離でBC2階級制覇を果たした芦毛馬ニックスゴー、ノーブルミッション産駒のコードオブオナー、牝馬ではデビュー当初メキシコで使われ、その後アメリカに移籍して良績を続けているレトルースカが代表格、芝でカフェファラオの半姉リーガルグローリーなどが活躍している。
勝利したGⅠ
前の18世代とは対照的で牝馬限定や短距離・中距離が前後世代の台頭で手薄、マイルやグランプリで好結果を出している。
2~3歳GⅠ(中央)
レース名 | 2018年(2歳) | 2019年(3歳) |
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阪神JF | ダノンファンタジー | |
朝日杯FS | アドマイヤマーズ | |
ホープフルS | サートゥルナーリア | |
皐月賞 | サートゥルナーリア | |
日本ダービー | ロジャーバローズ | |
菊花賞 | ワールドプレミア | |
桜花賞 | グランアレグリア | |
オークス | ラヴズオンリーユー | |
秋華賞 | クロノジェネシス | |
NHKマイルC | アドマイヤマーズ |
2~3歳JpnⅠ(地方)
レース名 | 2018年(2歳) | 2019年(3歳) |
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全日本2歳優駿 | ノーヴァレンダ | |
ジャパンダートダービー | クリソベリル |
古馬GⅠ(中央)
レース分類 | レース名 | 2019年(3歳) | 2020年(4歳) | 2021年(5歳) | 2022年(6歳) | 2023年(7歳) |
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芝短距離 | 高松宮記念 | ナランフレグ | ファストフォース | |||
スプリンターズS | グランアレグリア | |||||
芝マイル | 安田記念 | グランアレグリア | ダノンキングリー | |||
マイルCS | グランアレグリア | グランアレグリア | ||||
芝中距離 | 大阪杯 | |||||
天皇賞(秋) | ||||||
芝長距離 | 天皇賞(春) | ワールドプレミア | ||||
ジャパンC | ||||||
牝馬限定 | ヴィクトリアマイル | グランアレグリア | ||||
エリザベス女王杯 | ||||||
グランプリ | 宝塚記念 | クロノジェネシス | クロノジェネシス | |||
有馬記念 | クロノジェネシス | |||||
ダート | フェブラリーS | |||||
チャンピオンズC | クリソベリル | |||||
障害 | 中山グランドジャンプ | |||||
中山大障害 | ニシノデイジー |
古馬GⅠ・JpnⅠ(地方)
レース名 | 2019年(3歳) | 2020年(4歳) | 2021年(5歳) | 2022年(6歳) |
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川崎記念 | カジノフォンテン | |||
かしわ記念 | ワイドファラオ | カジノフォンテン | ||
帝王賞 | クリソベリル | |||
マイルCS南部杯 | ||||
JBCレディスクラシック | テオレーマ | |||
JBCスプリント | レッドルゼル | ダンシングプリンス | ||
JBCクラシック | クリソベリル | ミューチャリー | ||
東京大賞典 |
海外GⅠ
レース名 | 2019年(3歳) | 2021年(5歳) |
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香港マイル | アドマイヤマーズ | |
QE2世C | ラヴズオンリーユー | |
BCF&Mターフ | ラヴズオンリーユー | |
香港カップ | ラヴズオンリーユー | |
BCディスタフ | マルシュロレーヌ |
代表的な馬
海外馬
馬 | 性別 | 調教国 | レース |
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タルナワ(IRE) | 牝 | IRE | ヴェルメイユ賞/オペラ賞/BCターフ |
ブルーム(IRE)(※現役) | 牡 | IRE | サンクルー大賞 |
ジャパン(GB) | 牡 | IRE | パリ大賞典/インターナショナルS |
ソットサス(FR) | 牡 | FR | 凱旋門賞など |
グランドグローリー(GB) | 牝 | FR | ジャンロマネ賞 |
イリデッサ(IRE) | 牝 | IRE | BCF&Mターフなど |
ロードノース(IRE)(※現役) | セ | GB | ドバイターフ/プリンスオブウェールズS |
ニックスゴー(USA) | 牡 | USA | BCダートマイル/BCクラシックなど |
コードオブオナー(USA)(※現役) | 牡 | USA | |
レトルースカ(USA) | 牝 | USA | |
リーガルグローリー(USA)(※現役) | 牝 | USA | ペガサスWCF&Mターフなど |
国内での種牡馬入り
馬 | 供用開始 | 繋養先 |
---|---|---|
ロジャーバローズ | ||
アドマイヤマーズ | 2021 | 社台SS/アローフィールドS(AUS) |
サートゥルナーリア | 2021 | 社台SS |
クリソベリル | 2022 | 社台SS |
ダノンキングリー | 2022 | |
ダンシングプリンス | 2024 | |
ナランフレグ | 2024 | |
ファストフォース | 2024 | |
ユニコーンライオン | 2024 |