基本データ
概要
正式名称は「農林水産大臣賞典 全日本2歳優駿」。冬の川崎競馬場の主要重賞の一つ。
設定距離は初年が1,200mで、その後1951年の1,400m、1956年の1,500mへの変更を経て、1959年に現在の1,600mとなっている。
現在日本国内の2歳馬限定のダートレースとして唯一のGⅠ級競走であり、全国の地方競馬とJRAの所属馬による2歳ダート王決定戦となっている。
1950年に重賞「全日本三才優駿」として創設。
初年はJRA馬の招待も行われたが、翌年に南関東の所属馬限定となる。
1985年に全国の地方所属馬の参加が可能となり、1988年に「全日本3歳優駿」に改称。
1997年にはダートグレード競走として統一GⅡ化され、JRA馬の恒常的な参加が可能となった。
2001年に日本競馬界の馬齢表記変更を受けて現在の名称に改称。
2002年にGⅠに昇格し、2007年にJpnⅠ表記に変更となる。
2017年にアメリカ合衆国のGⅠ競走で、アメリカクラシック三冠一冠目であるケンタッキーダービーの日本馬向けの出走機会として設けられた選定試合シリーズ、「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の対象レースに指定。このシリーズでは指定された全競走の4着馬までに付与されるポイントの総数で1位になった馬は、先述したケンタッキーダービーへの挑戦が可能となる。
2018年からは国際交流競走となり、国内の地方競馬レースでは他に東京大賞典(GⅠ)があるのみである。
また一部で「めざせ!ケンタッキー」というサブタイトルが表記される事もあった。
2023年度より未来優駿シリーズの指定競走に加えられた。
二歳馬(デビューして数ヶ月)程度の地方と中央の育成施設等の差が大きく出にくい時点に行われるため、JpnⅠの中では地方馬が勝つ率が飛び抜けて高いレースでもある。
本レースを制した著名馬としては、アグネスデジタル、フリオーソ、ラブミーチャン、ルヴァンスレーヴなど。
直近では2022年に本レースを制したデルマソトガケが、翌2023年にUAEダービーを制した後、当年のBCクラシックでホワイトアバリオの2着に入るという大健闘を成し遂げている。また、翌2023年に無敗のまま本レースを制したJBC2歳優駿馬フォーエバーヤングも、翌2024年にサウジダービー・UAEダービーを連勝した後、ケンタッキーダービーで日本馬史上最先着となる3着に入った。
本競走への優先出走権が付与される地方重賞
競走名 | 格付 | 競馬場 | 成績条件 |
---|---|---|---|
JBC2歳優駿 | JpnⅢ | 門別競馬場 | 1着 |
兵庫ジュニアグランプリ | JpnⅡ | 園田競馬場 | 1着 |
鎌倉記念 | 南関東SⅡ | 川崎競馬場 | 2着以上 |
ハイセイコー記念 | 南関東SⅠ | 大井競馬場 | 1着 |
平和賞 | 南関東SⅢ | 船橋競馬場 | 1着 |
歴代優勝馬
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
---|---|---|---|
南関東重賞時代 | 1200m | ||
1950年(第1回) | サチフサ(大井) | 牡 | 大山末治 |
1400m | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
1951年(第2回) | シンタカラ(大井) | 牡 | 勝又衛 |
1952年(第3回) | ローズバツト(大井) | 牝 | 須田茂 |
1953年(第4回) | ネンタカラ(大井) | 牡 | 遠間波満行 |
1954年(第5回) | タジマオー(川崎) | 牡 | 井上宥蔵 |
1955年(第6回) | カブト(大井) | 牡 | 長沢忠夫 |
1500m | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
1956年(第7回) | エイシヨウ(大井) | 牝 | 須田茂 |
1957年(第8回) | ダイゴホマレ(大井) | 牡 | 小筆昌 |
1958年(第9回) | カチススム(大井) | 牡 | 内田秋造 |
1600m | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
1959年(第10回) | オンスロート(大井) | 牡 | 赤間清松 |
1960年(第11回) | ユキロウ(大井) | 牡 | 古野重孝 |
1961年(第12回) | セルコール(船橋) | 牡 | 須田茂 |
1962年(第13回) | テルチカラ(大井) | 牡 | 高岩隆 |
1963年(第14回) | ハロユウ(大井) | 牡 | 宮下哲朗 |
1964年(第15回) | タマノニシキ(大井) | 牝 | 佐々木竹見 |
1965年(第16回) | ニユーサカエ(大井) | 牡 | 小筆昌 |
1966年(第17回) | ヒカルタカイ(大井) | 牡 | 竹山隆 |
1967年(第18回) | バトラー(大井) | 牡 | 福永二三雄 |
1968年(第19回) | トウシユン(船橋) | 牡 | 渥美忠男 |
1969年(第20回) | タマプチー(大井) | 牡 | 赤間清松 |
1970年(第21回) | タニノカツヒメ(船橋) | 牝 | 宮下紀英 |
1971年(第22回) | ヤシマスウパー(船橋) | 牡 | 内野健二 |
1972年(第23回) | チヤイナホープ(船橋) | 牡 | 川島正行 |
1973年(第24回) | スピードパーシア(船橋) | 牡 | 内野健二 |
1974年(第25回) | シタヤロープ(船橋) | 牡 | 佐々木竹見 |
1975年(第26回) | カツフアーム(大井) | 牡 | 高橋三郎 |
1976年(第27回) | カシキユネ(浦和) | 牡 | 本間茂 |
1977年(第28回) | ヒダカホーリユウ(船橋) | 牡 | 岡島茂 |
1978年(第29回) | マイリマンド(大井) | 牡 | 高橋三郎 |
1979年(第30回) | スーパーヤマト(船橋) | 牡 | 桑島孝春 |
1980年(第31回) | シゲノカマダ(船橋) | 牡 | 佐藤隆 |
1981年(第32回) | ヒノデスター(船橋) | 牡 | 桑島孝春 |
1982年(第33回) | ヨネタロウ(川崎) | 牡 | 本間茂 |
1983年(第34回) | ヨシマサボーイ(船橋) | 牡 | 石崎隆之 |
1984年(第35回) | ロングタイシヨー(川崎) | 牡 | 佐々木竹見 |
地方交流競走時代 | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
1985年(第36回) | ミハマシヤーク(川崎) | 牡 | 山崎尋美 |
1986年(第37回) | ダイカツラモーヌ(浦和) | 牝 | 石崎隆之 |
1987年(第38回) | リユウコウキング(川崎) | 牡 | 本間茂 |
1988年(第39回) | ミルユージ(船橋) | 牡 | 桑島孝春 |
1989年(第40回) | ハセノトライアン(船橋) | 牡 | 石崎隆之 |
1990年(第41回) | ユウユウサンボーイ(川崎) | 牡 | 森下博 |
1991年(第42回) | ヤマニンロード(川崎) | 牡 | 石崎隆之 |
1992年(第43回) | キタサンテイオー(船橋) | 牡 | 石崎隆之 |
1993年(第44回) | キタノジライ(北海道) | 牡 | 大城剛 |
1994年(第45回) | ヒカリルーファス(浦和) | 牡 | 佐々木竹見 |
1995年(第46回) | ホウシュウサルーン(川崎) | 牡 | 石崎隆之 |
1996年(第47回) | オグリダンディ(大井) | 牡 | 佐宗応和 |
GⅡ時代 | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
1997年(第48回) | アグネスワールド | 牡 | 武豊 |
1998年(第49回) | アドマイヤマンボ | 牡 | 田中勝春 |
1999年(第50回) | アグネスデジタル | 牡 | 的場均 |
2000年(第51回) | トーシンブリザード(船橋) | 牡 | 石崎隆之 |
2001年(第52回) | プリンシパルリバー(北海道) | 牡 | 五十嵐冬樹 |
GI/JpnI時代 | |||
西暦(回次) | 馬名(地方所属) | 性別 | 騎手 |
2002年(第53回) | ユートピア | 牡 | 河内洋 |
2003年(第54回) | アドマイヤホープ | 牡 | 武豊 |
2004年(第55回) | プライドキム | 牡 | 池添謙一 |
2005年(第56回) | グレイスティアラ | 牝 | 田中勝春 |
2006年(第57回) | フリオーソ(船橋) | 牡 | 内田博幸 |
2007年(第58回) | イイデケンシン | 牡 | 藤田伸二 |
2008年(第59回) | スーニ | 牡 | 内田博幸 |
2009年(第60回) | ラブミーチャン(笠松) | 牝 | 濱口楠彦 |
2010年(第61回) | ビッグロマンス | 牡 | 田中勝春 |
2011年(第62回) | オーブルチェフ | 牡 | 中舘英二 |
2012年(第63回) | サマリーズ | 牝 | 藤岡佑介 |
2013年(第64回) | ハッピースプリント(北海道) | 牡 | 宮崎光行 |
2014年(第65回) | ディアドムス | 牡 | 三浦皇成 |
2015年(第66回) | サウンドスカイ | 牡 | 戸崎圭太 |
2016年(第67回) | リエノテソーロ | 牝 | 吉田隼人 |
2017年(第68回) | ルヴァンスレーヴ | 牡 | M.デムーロ |
2018年(第69回) | ノーヴァレンダ | 牡 | 北村友一 |
2019年(第70回) | ヴァケーション(川崎) | 牡 | 吉原寛人 |
2020年(第71回) | アランバローズ(船橋) | 牡 | 左海誠二 |
2021年(第72回) | ドライスタウト | 牡 | 戸崎圭太 |
2022年(第73回) | デルマソトガケ | 牡 | 松若風馬 |
2023年(第74回) | フォーエバーヤング | 牡 | 坂井瑠星 |
2024年(第75回) | ミリアットラヴ | 牝 | 西村淳也 |
その他
日本競馬と実在競走馬をモデルにして作られたアプリゲーム『ウマ娘プリティーダービー』では、2022年8月の大規模アップデートにより開催される川崎競馬場(ゲーム内では「川崎レース場」の名称)が実装され、本レースも「全日本ジュニア優駿」という名称で実装された。ちなみに名称変更の理由は、ゲーム内では出走条件を馬齢ではなくデビュー時からの年数経過で表しているためで、2歳は「ジュニア級」という区分になっている。
余談として、育成モードのシナリオ目標において当レースに臨んだ結果、対策不足あるいは運要素の事故によってリタイアやリセットを余儀なくされる初心者も少なくない模様。