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概要編集

麻雀の役の中で最も頻繁に見るであろう役。門前限定1翻。


門前で聴牌した時に「リーチ」を宣言した上で和了すると無条件で付く役。配牌1巡目であればダブル立直となり、2翻になる。宣言した際は捨て牌を横向きにして置き、これが宣言牌となる。その牌が副露(ポン、チー、カン)された際は次の番で捨て牌を代わりの宣言牌として置く。


牌姿などは一切役の成否に影響しないため初心者が最も覚えやすい役であり、上級者同士になってくると、使い方が非常に重要になる役でもある。


本場中国の麻雀や台湾麻雀などには存在しない概念であり、このためこれを取り入れた日本の麻雀は「リーチ麻雀」とも言われている。


特徴編集

供託料編集

リーチを宣言した場合には場に供託料として千点棒(立直棒、リー棒と言われる事が多い)を一つ出す事になる。つまり点を1,000点預けなければならず、持ち点が1,000点未満だと立直は不可能となる。麻雀で供託料を出すのは、他には誤ポンなどのペナルティとしてだけであるため、自分から供託料を出すのはリーチを宣言した時のみである。

この供託料は、その局で和了したプレイヤーが獲得する。つまり立直して和了できれば預けた1,000点が帰ってくるが、他のプレイヤーに和了されてしまうと預けた1,000点を支払う事になる。誰も和了できずに流局(荒牌流局)した場合は次局へ持ち越される。言わば立直は「1,000点を賭けて高得点を狙う役」と言っていい。

ダブロン・トリロンありのルールでは、「頭ハネ(上家取り)」に則って放銃したプレイヤーに一番ツモ順が近いプレイヤーが供託料を獲得するルールになる事が多い。

なお、立直宣言した時の捨て牌でロンされた場合は、供託料は払わなくて良いが、一部のローカルルールでは払わねばならない場合もあり、立直の際の順番に準拠している事が多い。(前者(従来)は『発声→牌を横に置く(ここでロンがあると立直不成立)→1,000点棒を出す』で、後者は『発声→1,000点棒を出す(立直成立)→牌を横に置く』)


長所と短所編集

リーチを宣言するとそれ以降は和了牌以外のツモ牌はそのままツモ切りしかできない

その為、危険牌をツモったり、待ちが多くなったり、得点が高くなったりする牌をツモったりしても入れ替えは不可。

つまり一度リーチを宣言したら、もうその時の形で勝負に行くしかなく、取り消しはできない

門前で聴牌しても立直するかどうかは自由なので、もう少し手牌を整えてから立直するのも、あえて立直しない戦術(いわゆるダマテン)を選ぶもよし。逆に聴牌したらすぐ立直するのは「テンパイ即リー」と通称される。


このように良くも悪くも守りを捨てて真っ向から勝負に行くのが立直であるが、メリットも多い。

一番は、立直すれば打点が伸びる可能性が生まれる事

立直単独では大した打点にならないものの、一般ルールでは立直をした上で和了すると、裏ドラをめくる事ができるため、運が良ければドラを増やす事ができる。

「リーチ」を宣言した後次の自分のツモ番までに誰も副露せずに和了すると一発もつくし、門前なのでツモ和了できれば門前清自摸和もつく

これら不確定要素が絡む故に、相手からすれば打点が読みにくく、役なしで立直したとしても全く油断できないのも強み。

そして、リーチの宣言は「聴牌した事を周囲に知らせる」という面にも大きな意味があり、出遅れた他プレイヤーは放銃のプレッシャーに晒され、押すか降りるかの選択を迫られる事になる。

逆に言えば、相手を警戒させロン和了しにくくなるので、(捨てられやすいヤオ九牌で待ったりスジ引っ掛けを狙ったりと、立直でロン和了を狙う戦術がない訳ではないが)後述する理由も含めて基本的にツモ和了向きと言える。ただし、役なしで門前聴牌した場合は、河底撈魚槍槓のような偶発役でもなければロン和了が不可能になるので、立直により少しでも和了の可能性を増やす事ができる。


よって、シンプルながらも強力な役であり、「リーチは7~8割正解」「迷ったらリーチ」とよく言われる。


逆に、「こちらが大きくリードしていてリスクを取ってまで高得点を取りに行く必要がない」「ドラがたくさんあるなどわざわざ立直しなくても高得点が狙える」「点差が僅差などの理由で1,000点預けて和了できなかった時のリスクが大きい」といった場面ではダマテンをして低リスクで和了を狙う事が多い。

また、役満の場合はその性質上、一部の例外を除いて立直する意味がほぼないが、少しでも読まれないようにするためのブラフとしてあえて立直する戦術もある。


フリテン立直・カラテン立直編集

フリテン状態で立直する事はフリテン立直と呼ばれる。本来なら好ましいものではないが、門前清自摸和で和了できる可能性はあるので、清一色のような染め手の多面待ちなどフリテンを解消しにくいが高打点を狙える場合、特定の相手からロン和了したくない(持ち点が低く飛ばしかねない相手がおり、より高い順位を目指すには飛ばして対局を終わらせてしまうのが好ましくないケースなど)などの理由からあえて行われる場合もある。


また、既にカラテンの状態で立直する事はカラテン立直と呼ばれる(立直後に待ち牌が副露されてカラテンになってしまう事もあるが、この場合はカラテン立直に当たらない)。要するに、和了できる可能性が全くない待ちなのに立直するという本末転倒な行為であり、意図的に行われるのは相手を降ろすためのブラフとして程度。


どちらもルールによっては禁止される場合があり、その場合判明すれば故意かどうかに関わらず罰符が課せられる。


特殊なルール編集

立直後にも暗槓は認めるというケースもある

ドラ・裏ドラを増やす、自分のツモの回数を増やす、嶺上開花のチャンスが生じる、和了した際の符数を増やせるなどのメリットがある。

ただし『暗槓しても待ち牌が変わらないこと』『引いてきた牌で暗槓すること(345555と牌を持っている場合、2を引いて5をカンするのは不可)』が条件となる。

立直後暗槓をした場合は後で手牌を公開して、待ち牌が変わっていないかチェックするのがいいだろう(待ち牌が変わっていた場合はチョンボとする)。


一般的にはプレイヤー4人全員が立直しても誰もロン和了できなければ四家立直となり、流局となる。理由としては、「四」の読みが「死」と同じで縁起が悪いからと言われ、そのためか三人麻雀においてはこれに相当するルールがない。

全員聴牌しているかどうかを確認し、1人でもノーテン立直をしている場合は対象者はチョンボとなりその局のやり直しとなる。


一発・裏ドラは、プロが対象の競技ルールでは採用されない事が多い(但し、Mリーグでは採用されている)が、アマチュアが対象の同ルールでは採用される事が多い。


各ルールにおける立直の特徴編集

一発・槓裏・赤牌ありルールでは、立直かけずあるいは副露でも満貫になりやすい事から同じ赤牌なしルールに比べて立直の頻度が下がる


一発なし・ドラ一種のみの場合、メリットが1翻増えるのみにて1,000失点等のデメリットが大きく、門前で聴牌するも立直かけずの頻度が多いので比較的守りにくくなる


後付けなしルールでは、副露する際、副露する順番(まず役牌から晒す等)や方法(カンチャンやペンチャンでチーする等)を意識する必要がある為、副露の頻度が減少し、また、門前で聴牌しても、役牌とのシャンポン待ちだと片あがりとしてロン出来ない(自摸なら門前清自摸和で和了可にて、後付けありなら片あがりも可)等もある事から比較的頻度が高くなる


三人麻雀においては、萬子の中張牌が抜かれており、使用する牌が少ないため、門前でも比較的早く聴牌しやすく、四人麻雀よりも比較的頻度が高い


立直は天才を凡夫に変える編集

麻雀漫画『アカギ〜闇に降り立った天才〜』に登場する矢木圭次のセリフではあるが、実際に立直という役は後の状況変化に対して全くの無力であり、作中でもアカギは立直後に行われたイカサマの応酬を看破していながら何もできず、倍満に振り込んでしまっている。


安易な立直は相手に付け入る隙を与えることになり、終盤や接戦であるほど仕掛けるタイミングが非常に重要となる。しかも局の中盤以降となると、誰が聴牌してもおかしくない状況になるため、愚形待ちで聴牌に達したとしても良形に手牌を整える余裕はほとんどない。

よって、既に他のプレイヤーから立直されている状態で立直をかける「追っかけ立直」は、よりリスクが高くなり慎重な状況判断が求められる。


麻雀は押し引きの判断が重要なゲームである。

「1,000点預けて守りを捨てるリスクを背負ってまで勝負に行く価値があるかどうか」をしっかり見極めた上で、立直するか否かを判断していきたい


麻雀以外でも…編集

物事が最後の局面になったり、完成直前になった時に「リーチが掛かる」と良く表現されるように、麻雀を知らない人でも使っている麻雀用語の代表格でもある。余談だが、英語のreachとは直接的に関係は無い。

他にも「面子」「対面」「安全牌(安牌)」「チョンボ」などなど…。


関連タグ編集

麻雀 一発 ダブル立直 リーチ

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