麻雀
まーじゃん
麻雀とは、中国発祥のテーブルゲーム。4人で対戦するゲームで、計34種類136牌を使い、各々が所有する牌を入れ替えることを繰り返し、和了(あがり)の形を作ることを競う。
麻雀のルールには複数の流儀があり、ゲーム性が大きく異なる。日本でポピュラーなのは「リーチ麻雀」ルールで、その名の通りリーチという役を設けていることなどに特徴がある。日本で単に「麻雀」と呼ぶときは、基本的にリーチ麻雀を指す。地域や雀荘ごとのローカルルールも非常に多い。
「実力6割運4割」と表現されるほど運要素が強く、賭博としても遊ばれている。もちろん、金銭を掛けず純粋に点数を競うのが基本であり、賭け麻雀は金額や規模によっては賭博罪の対象となりうるので注意。詳しくは後述するが、公務員による賭け麻雀事件は過去にいくつか起こっており、2021年には高等検察庁の元検事長が賭け麻雀により起訴された(のちに不起訴処分となっている)。
大前提として、金銭が直接絡むものについてはその大小に関わらず賭博罪が成立する可能性が高いと見られている。
8月1日は日本記念日協会認定による麻雀の日となっている。ちなみに、オンライン麻雀の日も制定されており、こちらは4月26日。
中国語で「麻雀」はスズメそのものを意味し、牌の音が雀の鳴き声に似ていたことが語源という説がある。ただし中国では雀の字に「ジャン」という読み方はない(強いて日本語で記すなら「チュエ」といった発音である)。
このゲームにはもともと地域ごと、ルールごとにさまざまな呼び方があり、中国では「麻将(こちらはマージャンと読む。ちなみに、日本のプロ団体の一つに『麻将連合-μ-』という団体がある)」が定着した。
一方欧米(ロシア連邦も含む(2009年のアニメの関係))では「麻雀」の表記が広まった。それが日本に伝わる過程で欧米での表記と中国での発音がごっちゃになってしまい、麻雀と書いて「マージャン」と読むようになった。
将棋や囲碁と同様に競技としてのプロがあり、いくつかのプロ団体によって認定試験が実施されている。このうち、日本で最も大規模な団体の一つである「日本プロ麻雀連盟」などは、段位制度を採用しており、アマチュアの打ち手に対しても、オフィシャルネット対戦サイト『ロン2』を通じて段位・級位の授与が行われている。
各プロ団体に所属(加盟)して専門的に活動する打ち手は「プロ雀士」と呼ばれる。ただ、プロとは言っても収入は決して高いとは言えず、副業(雀荘のスタッフ等)をこなす傍ら…の者も少なくない。
しかし、近年のMリーグ発足によりプロ競技としての麻雀が整備され、リーグに抜擢されたプロ雀士には年俸が支給されるようになった。これにより実力を活かして高い収入を安定して得ることができるようになった雀士も増えている。
また、プロとなれば大会以外にもテレビ番組等への出演やコンピューターゲーム、書籍等での監修、ネット配信などさまざまな方面で名前を前面に出して活動することが可能となる。
将棋や囲碁のようにプロになるための年齢制限はなく将棋の奨励会のような育成機関もないため他の分野での有名人(主に芸能界から)がプロ資格を得て参戦することも多い(萩原聖人、熊切あさ美、児嶋一哉、田口淳之介、大亀あすか(2022年引退)、浅香唯、勝間和代、神崎ちろ、小林未沙、伊達朱里紗、中田花奈etc...)。2023年5月には将棋棋士の鈴木大介が日本プロ麻雀連盟に入会して史上初となる棋士と雀士の二刀流となった。
- 萬子、筒子、索子、字牌の計34種類136牌を使う
- まずは席順を決める。字牌の東南西北を裏向きに置きそれぞれのプレイヤーが取り、取った牌が自分の仮の家となる(この時に東を取ったプレイヤーを仮東という)
- その後サイコロで開始時の親を決める
- サイコロを振り、山を開く場所を決め、そこからルールに従って、牌を取り、手牌を作る
- 王牌の牌をめくりドラを決める
- 親から順に山牌から牌を取り(自摸)和了でなければ捨てるを繰り返す
- 和了の際、1翻以上の役が必要。(1翻縛りで、ルールによっては積み場が多いと2翻縛りになる場合も)
- 和了(ロンかツモ)が宣言されたら成立役、符・翻を元に点数の享受を行う(詳しくは後述)
- 王牌14枚が残った状態で和了者がいないと流局し、テンパイしている者とそうでない者との間でノーテン罰符として全員で計3,000点のやり取りを行う(後者はルールによってはなし)。
- 規定局(東風戦なら東4局、半荘戦なら南4局(※中国や台湾等を始めとした場合に見られる1荘戦も稀に存在し、此の際は北4局))が終わるか、誰かの点数が無くなった(規程によっては払い切れない)時点で勝負終了(後者の場合続けるルールもある)
ポン/チー
他のプレイヤーの捨て牌に対し、一定の条件を満たす場合、その牌をもらって面子を作る事が可能である。ポンは捨て牌を使って刻子を、チーは捨て牌を使って順子を作る際に宣言する。チーは自身の前のプレイヤー(上家)の捨て牌に対してのみ行える他、チーとポンが被った場合にはポンが優先される。
ポンもチーも行った場合、手牌の該当する牌を晒す(副露と呼ばれる)ことになり、その面子はその局の間放棄したり、組合せを変更することは一切出来ない。何より、晒す事で相手に狙いを絞られやすくなると同時に放銃しやすくなる欠点もある。
カン
上述のように面子構成は3種類の牌を1つの組合せとするが、同一牌4枚を使って面子を構成することも可能であり、4枚で面子を作る時にはカンを宣言する。カンを宣言した場合、同一牌4枚を1面子として扱う事が出来る。この時事実上、手牌が1枚少なくなってしまう為、嶺上牌をツモって補充を行う。
また、他のプレイヤーの捨て牌をカンすることも可能であり、これは大明槓と呼ばれる。既にポンしている面子の牌がある場合もカンが可能で、これは小明槓と呼ばれるが、相手にロンされる場合もある(槍槓)。また、手牌に同じ牌が4枚ある状態でカンをすることも可能。こちらも牌を晒すことになるが、副露にはならない。ちなみにこのカンを暗槓と呼ぶ。
リーチ
面前で聴牌すると1,000点を場に供託してリーチをかける事が可能。リーチをかけると、1翻増え、一巡目和了で一発、和了時に裏ドラのチャンスも出てくるため高得点が期待できる。但し、入れ替えが出来ないだけでなく、相手に自分の聴牌を知らせる事になるためアガリ牌が出にくい欠点もある。また、暗刻と同じ牌をツモった場合、待ちが変わらない場合のみカン可能(ルールによっては和了放棄になる場合もある)。なお、初心者が目指すのは勿論だが、一発・裏ドラなしのルールだとリーチのかけどころがより重要になってくる。
ドラ
麻雀で役のボーナスがつく牌のことをドラと呼ぶ。各局毎に1種類の牌がドラになる他、カンを行うことでドラを意図的に増やす事も出来る(前述のプロのルールでは採用されない事が多い)。また、赤ドラと呼ばれる常時ドラになる牌を使う場合もある。役がプラスされるため点数が高くなるものの、ドラのみは役として認められない。
フリテン
聴牌時、自分の捨て牌に待ち牌と同じ牌が1枚でもあったり、立直後にアガリ牌を一度でも見逃してしまったりするとロンできないという制約がある。また、立直をしていない状態で見逃がした場合、その巡目では他のアガリ牌が出てもロンできないが、自分のツモ番の後だとロンが可能(同巡フリテン)。
なお、マークしている相手の捨てた牌や、ロンされなかった牌と同じ牌を捨てるという相手のフリテンを利用した守備のテクニックも存在。
点数
和了が発生すると和了者と他の対局者(ロンの場合放銃者)間で点数のやり取りが行われるが、この点数計算が麻雀での重要な要素であると同時に初心者の難関でもある。
符は基本符20符に面子では刻子・槓子の揃え方(2(明刻(ロン含む))・4(暗刻)・8(明槓)・16(暗槓)、ヤオ九牌は中張牌の2倍)・待ちの状態(1種のみだと2符だが、複数ある場合でも1種あるようにとれる場合(ノベタン等)も2符)・アタマに使われている牌(役牌2符(ルールによっては連風牌4符))・和了方法(ツモ2符、但し平和自摸や七対子にはつかない)や状態(面前ロン・喰い平和10符、平和自摸20符固定)の総和の1桁を切り上げ(但し、七対子は25符として扱う)、翻数は『場ゾロ2翻+役の翻数(複合含む)+ドラの数(1枚につき1翻)』で計算し、基本的に単位点は『符×2^(翻数)』に2桁以下の数値を切り上げて計算(但しこの計算式での上限は2,000(満貫))されるが、7翻以上だと翻数のみで計算(満貫(7翻2,000)・跳満(8~9翻3,000)・倍満(10~12翻4,000)・三倍満(13~14翻6,000)・数え役満(15翻以上8,000(ルールによっては三倍満どまり)))し、役満だと無条件で8,000点(ルールによっては役満同士の複合は16,000)になり、子のツモは子1倍・親2倍(満貫だと2,000・4,000)でロンは4倍となり、親のツモは2倍オールでロンは6倍(前述の1.5倍)となる。
なお、親の和了連荘や流局等で積み場がある場合、1本場につき300点加算される(ツモで各100点、ロンで300点)(ルールによっては積み場が1,500(通称『場千五』)だったり、積み場そのものがなかったりする場合もある)。
一部のローカルルールでは符計算をしない場合もあり、その場合、30符統一で計算される。
ご祝儀
フリー雀荘等ではあがりの際に、一発等の偶然役(1枚)・裏ドラ(1つにつき1枚)・赤牌(同左)・役満(基本的に5枚)等だと対局者からチップが貰え、ロンあがりは放銃者から、ツモあがりは全員から貰える。
暗黙のルール
麻雀ではマナー遵守の徹底・イカサマ禁止は勿論(近年は自動化で廃れつつある)、『競技性を損ねる行為をしない』という暗黙のルールがあり、以下の行為をすると他のプレイヤーの反発を招く事も少なくない。
- オーラスで4位のプレイヤーが4位のままになる和了をはじめ、トップ以外のプレイヤーが順位の変わらない和了(親の場合は和了止めなければ連荘になるため除外)。
- カンドラありでテンパイしていないのにカン(他家の明刻や槓子に新ドラが乗った日にゃ…ドラポンと同じ戦慄)。
- ダントツのプレイヤーが満貫確定リーチをかける(立直して3翻どまり(一発・裏ドラ除く)は除外として、1位と2位以下の差が大きくなりかねない)。
- トビありで故意に相手をマイナスにする和了(役満や裏ドラでの加算は除外)。
- 故意にチョンボを犯す(対象者がパオの場合、役満払いにするルールもある)。
等
金銭を賭したギャンブルの対象とされる事も多いが、日本では違法行為である。ちなみに国会議員が仲間うちで賭け賭博をしていたのではという疑惑が出た際、国会でどのくらい賭けたら違法かと質問が出たが、サラリーマンの食事代くらいは黙認という答えが当時の法務大臣から出ている。
また、とある重大な事件が発覚した際に報告を受けた警察幹部が、報告を放置して賭け麻雀を続けていた疑惑が出た際には「賭けていたのは商品券だから問題ない」と弁明した例もある。
どの道違法に変わりは無いので、言い訳には使わない方が身のためである。
また、このギャンブルの対象というイメージが強いためか、後述する漫画やドラマ等の創作作品で麻雀が取り上げられる場合、しばしば金銭に留まらず生命や身体そのものを賭けの対象とされたり、その展開においてもイカサマ行為が横行したりと言った「闇ゲーム」扱いの描写となることが少なくないなど、麻雀のイメージを下げる様な悪影響がある(例えば「アカギ」の「鷲巣麻雀」や、アーケードゲームの脱衣麻雀作品など)。そういった創作作品の悪影響以外にも、一時期大学生等がタバコを吹かしたりしながら徹夜で延々と麻雀に明け暮れる(所謂徹マン)という姿が有名になったこともあり、不健康で退廃的な印象が非常に強い。
こういった悪印象を打ち払うため、「賭けない・吸わない・飲まない」を標榜し、純粋な思考型テーブルゲームとしての麻雀を推奨する「健康麻将」を提唱するNPO団体やそれに賛同するプロ雀士も存在する。また「咲-Saki-」は麻雀を題材にした漫画作品でありながら賭け事や裏社会をテーマとして取り扱わないという方向性で話題を呼んだ作品であるが、一方で麻雀専門誌や麻雀大会を開催するCS局などはむしろ積極的に裏社会をテーマにした作品を流し続けており、その風評被害のせいで社会的な印象としても未だ純粋なテーブルゲームの座には戻れていないのが現状である。
ビデオゲームにおいては、かつては脱衣麻雀と呼ばれる一種のアダルトゲームが主流であった。その後規制の進行に伴ってアーケードシーン等で見ることは殆ど無くなり、また「なぜエロシーンを見るのにわざわざ麻雀をする必要があるのか」「なぜエロゲーのために麻雀のプログラムを組む必要があるのか」という点からPC用エロゲーとしてもほぼ消滅した。
プロ雀士の打ち筋を再現するCPUルーチンを持った作品も出てきたが、脱衣麻雀や初期麻雀ゲームの劣悪な(あるいはインカムを重視し極端に偏った)洗牌ルーチンによる、特に相手方の役満が極端に出やすいという異常な調整が行われた時代が長かったためか、コンピューター対戦のみならず、現代のオンライン麻雀ゲームにおいても洗牌に偏りがある、開局時点で誰が勝ち誰が負けるか決められていてそれに沿った形でツモの内容が決められている、等とする、いわゆるイカサマが横行しているという噂は絶えない(いずれにせよコンピューターは数学的に乱数を苦手とする)。このためタイトルによってはそう言った意図的な調整をしていないことを証明するために、牌山の内容を後から確認できるようになっていることもある。
麻雀漫画 - 麻雀以外のゲームで賭け事や勝負が行われている事もある。
中川翔子 - 自動雀卓を購入し、スタッフ一同と大興奮しながら組み立てる動画をYouTubeにアップした。
児嶋一哉 - 日本プロ麻雀協会認定のプロ雀士の資格を持つ。
アンジェリカ・グラズノワ - 色々な意味でも麻雀に関係した要素を持っている人物。
麻雀漫画wiki - 麻雀をテーマにした、または作中に麻雀が登場した漫画を網羅した百科事典型サイト。
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