概要
麻雀は何かとギャンブルの道具として利用される事が多い一方、プロの麻雀界ではリーグ内で何節かに渡って点数・順位を競う競技麻雀が行われている。ルールとしては、一発なし、ドラは1種のみ(赤牌もなし)、ノーテン罰符なし、和了連荘、切り上げ満貫なし、オカ(トップ賞)なし、積み場なし、チョンボは単なる減点(他家には支払われない)…等ストイックな調整がなされている事が多い(特に後述の101競技連盟ルールと純麻雀にWSOM(世界麻雀大会)ルール)。
また、マナー重視の団体も多く(そもそもマナー無視の団体があるのだろうか)、それもやはり後述の賭け麻雀からの脱却や競技人口の確保に直結していると言っていいだろう。
近年では、大手プロ麻雀団体もアマチュアに対してノーレートの競技麻雀の場を提供しており、大抵は『ワンデー大会』『プロアマ合同対局』等という形で開催され、プロとアマチュア間の交流も兼ね、賭け麻雀からの脱却に一役買っている。
ただ、アマチュアの多くは打点派で、満貫以上が出にくい前述のストイックな競技ルールを好まない者も多く、彼らに配慮して一発・裏ドラ(槓裏含む)あり、ノーテン罰符あり、聴牌連荘、切り上げ満貫あり、積み場あり、オカあり…等従来とほぼ同じルールにしてある事が多い。
アマチュア競技麻雀団体の中には高段者等麻雀に精通した会員を対象とした麻雀講師の講習会を実施する等、麻雀の競技人口の確保を図る団体もある。
競技麻雀団体
どの団体もノーレート&マナー重視は共通だが、各団体様々な特色(規模、年齢層、基本ルール、活動手法等)があり、その中でも大きな特徴を持つ団体をいくつか列挙。
Mリーグ
各大手プロ麻雀団体から抜擢された若手麻雀プロが各チームのユニフォームを着用して対局するアトラクション兼競技麻雀。
従来のルールに加え、赤牌あり…と打点特化のインフレルールで逆転劇等のアトラクション溢れる対局が展開される。
詳しくは上のリンクより。
日本プロ麻雀連盟
大手プロ麻雀団体の一つで、下と似た名前だが、『日本プロ麻雀「連盟」』で、略して『連盟』と呼ばれている。
公式ルールは一発なし、ドラは1種のみ…等ストイックなルールだが、従来とほぼ同じルール『WRCルール』で対局する場合もある。
詳しくは上のリンクより。
日本プロ麻雀協会
大手プロ麻雀団体の一つで、活動拠点は東京、大阪、宮崎。
公式ルールは一発・裏ドラ(槓裏含む)あり、オカ20にウマ10-30でトップに50Pのボーナスで、ラスとの差は最低80P…と打点派の多いアマチュアからの支持も高い。
本団体主催の『日本オープン』『チャンピオンロード』はアマチュアも参加対象となっており、後者は赤牌使用のインフレルール。
女流プロ関連グッズ(写真等)も多く、女流寄りの団体とも言える。
また、上も下も似た名前の団体(~連盟、最高位戦~)もあり、略称の『協会』はこちらの団体を指す。
最高位戦日本プロ麻雀協会
大手プロ麻雀団体の一つで、上と似たような名前だが、『「最高位戦」日本プロ麻雀協会』で、略して『最高位戦』と呼ばれている。代表は新津潔氏。
設立初期の公式ルールは一発なし、ドラは1種のみ、ノーテン罰符なし、和了連荘…と典型的競技ルール(現在の『Classicルール』)だったが、近年では従来とほぼ同じ(オカはいずれもなし)になっている。
また、全国各地でプロとアマチュアが合同対局を行う『プロアマリーグ』(ルールは通常・Classicの2種類)も定期的に開催されている。
当団体永世最高位である故・飯田正人氏の名を冠したタイトル戦『飯田正人杯』は他団体プロも交えてClassicルールで対局する。
平成後期から設けられた当団体プロ限定のタイトル戦『新輝戦』(ネーミングは当団体の筆頭格である『新』津潔氏と金子正『輝』氏から)では、前述の二種のルールに加え、赤牌あり&オカ20のインフレルールの三種類が各ステージ毎に採用されており、トライアスロンの如き総合力が求められる。
101競技連盟
順位重視のプロ競技麻雀団体で、『トップは1P、ラスは-1P、それ以外は0P』…すなわち「101」の由来でもある。
和了の際、ツモアガリも「ロン」と発声する。
点数計算において、子のツモアガリでの子の支払い点を基準(単位点の二桁を切り上げる)としており、3翻30符(場ゾロ込み)の単位点は『240→300』で、ツモアガリは子『300・600(計1,200)』、親『600オール(計1,800)』(ロンアガリだと子1,200・親1,800)となる。つまり、ツモアガリとロンアガリの僅かな差が解消されているが、4翻30符『500』を1局あがるよりも3翻30符を2局あがる方が効率良いという事態が起きやすくなっている。
また、一発なし、ドラは1種のみ、ノーテン罰符なし、和了連荘は勿論、積み場なし、混一色常時2翻、清一色常時5翻、二盃口2翻、倍満止まり…等デフレ特化のルールが特徴。
なお、全国各地で定期的にアマチュアにも本ルールでの対局の場を設けている。
麻将連合μ
最高位戦から独立する形で井出洋介氏によって設立された、大手プロ麻雀団体の一つ。代表は永世将王の忍田幸夫氏。
プロテストにあたる試験に合格したからと言ってすぐにプロとして採用される訳ではなく、ツアー選手として経験を積む過程を経て初めてプロに認定される。
全国各地に道場を設けており、アマチュアに対しても競技麻雀の場を提供している団体。
公式ルールは一発なし、ドラは1種のみ、切り上げ満貫なし、積み場なし、リーチ後の槓は和了放棄…等で、アマチュアもプロとほぼ共通の競技ルールが特徴。
RMU
『「R」eal「M」ahjong「U」nit』の略称で、大手プロ麻雀団体の一つで、代表は多井隆晴氏。
活動拠点は東京と長崎だが、後者は2021年4月6日に解散。
詳しくは上のリンクより。
麻雀共同体WW
関西より西日本で展開されているプロ麻雀団体。西日本各地に『道場』という形でアマチュアにも競技麻雀の場を提供している。
公式ルールは従来の『スタンダードルール』『東風戦ルール』、一発なし・ドラ1種のみの『プレミアムルール』の3種類。
東風戦ルールは積み場1,500になった代わりに馬がスタンダードより小さくなり(10-30→5-15)、オーラスの親は自分の和了か聴牌流局時に連荘するかしないかが選択可能となっている。
アマチュアも参加可能のワンデー大会やプロアマ混成リーグも積極的に行っており、前者は三人麻雀も行う場合もある。
全日本麻雀協会
数多いプロ麻雀団体の中では珍しく、赤牌を採用している団体。公式ルールも従来とほぼ同じ。
選手層も結構若手が多く、活動内容も『麻雀=アトラクション』を意識した感じで、他の団体と一線を画している。
日本麻雀連盟
全競技麻雀団体の中で最も歴史ある団体で、昭和初期以前のアルシーアル麻雀を採用している。
なお、上の『日本「プロ」麻雀連盟』と呼び方が似ているが別の団体で、こちらはアマチュアの団体。
近年ではデファクトスタンダードのルール『リーチ麻雀』で対局を行う事もある。
その際のルールは従来のルールとほぼ同じだが、オカなし・変動ウマ(原点以上にプラス、それ以下はマイナス)、チョンボは親流れ(積み棒を増やす)、誤和了は発声の時点でチョンボとなっている。
日本麻雀道連盟
上と似たような名称だが、『日本麻雀「道」連盟』と別物の団体。
公式ルールは28,000点持ち30,000点返し、ツモ切りリーチなし、喰い直し(捨てた牌と同じ牌を仕掛ける事)なし、切り上げ満貫なし、連風牌アタマ4符、チョンボについて対象者が親の場合は親流れで、子の場合は連荘(いずれも積み棒を増やす)。
高段者の会員に対して講師の資格認定(試験あり)を実施している団体でもある。
全国麻雀段位審査会
老年以上が対象の『ねんりんピック』や、定期的に各地で開催される『国民文化祭』における競技麻雀主催団体。
基本ルールはオカなし・変動ウマ、チョンボが発生した場合も連荘扱い(積み棒を増やす)。
また、四段以上の会員には麻雀講師の資格が授与される(但し、講習会を受ける必要あり)。
日本麻将体育協会
国際ルールである中国麻雀ルールを採用している団体。
海外の大会に参加する等海外への活動も行われている。
日本健康麻将協会
年配の方々の認知症予防のための『賭けない・吸わない・飲まない』のノーレートフリー麻雀『健康麻「将」』を全国各地に展開している団体。ルールは従来とほぼ同じ。
ノーレートのため、年配のみならず、賭け麻雀を好まない若手の麻雀愛好家からも支持されている。
レッスンプロの講習会等、麻雀講師の育成にも力を入れている。
もう一つのルール『健「幸」麻将』こと「ウエルネス・マージャン・ルール」では賽不使用、符計算なし、明槓2組1翻・暗槓1組1翻(いずれも1翻縛りを満たさない)等、点数計算が苦手な人でも対局しやすいように調整されている。
雀鬼会
麻雀において『20年間無敗の雀鬼』こと桜井章一氏によって設立された麻雀団体。麻雀そのものではなく、麻雀を通じて様々な物事といかに向き合うか等に重点が置かれている。
ルールは『第一打で字牌を捨てない』、『ドラを捨てるのは聴牌した時のみ』、『長考禁止』…等他団体と一線を画している内容が多い。
前述の長考禁止の影響か対局スピードが結構速い。
GPC
『「G」ood「P」layer's「C」lub』の略で、漫画家・片山まさゆき氏と馬場裕一氏によって設立されたアマチュア競技麻雀団体。全国各地にリーグが展開されており、アマチュア枠は勿論、著名人枠(東京・大阪にていずれも一般の参加不可)もあり、著名人の中には設立者ご本人や、元プロ野球選手等他方面で活躍している人物も多く、他のGPC系列のアマチュアリーグにゲスト参戦する等アマチュアとの交流も盛んに行われている。
公式ルールは従来とほぼ同じで、クライアントは必ずGPC系列の1つのリーグに所属し、自分の所属リーグは勿論、他のGPCリーグでの成績も公式サイトに記録され、自分の実力をチャート等で確認可能。
純麻雀
麻雀研究家・浅見了氏が生前に考案した変則競技麻雀ルール。
基本ルールとして、
積み場なし、ノーテン罰符なし、役満確定に対する責任払いなし、喰い替え自由、途中流局なし、オカなし
特殊ルールでは…
賽不使用、王牌なしに伴いドラなし、槓なし、役無し和了可、各偶然役なし、点数の統一(親子の概念なし)、点数は翻のみ(べき乗ではなく比例計算)、場ゾロなし、チョンボなし(相当する行為は全て和了放棄&ツモ切り)、連荘なし
…と偶然性の撤廃と技量重視の調整がなされている。
現在は本ルールで対局出来る機会は極めて少なく、ローカルルールの一つとなっている。
世界麻雀大会
全世界対象の競技麻雀大会『世界麻雀大会(World Series of MAHJONG)』、通称「WSOM」ではリーチ麻雀とも中国麻雀とも似ても似つかない変則ルールで対局が行われる。
ルールについて。
- 点の単位は1。(中国麻雀寄り)
- リーチ、ドラ共になし並びに花牌も使わず計136枚の牌を使用する。(アルシーアル麻雀寄り)
- 一荘戦で、場風、連荘共になし(前者は自風はあり)にて計16局行う。(中国麻雀寄り)
- 役無し和了可(1点。アルシーアル麻雀が近い)。
- 面前和了は5点加算。(但し上限は320点まで(後述)で、国士無双と七対子には加算されない)
- 役の複合による満貫は320点で、それ以上の配点の役はその役のみ採用(480点役『一色四順』等)。(リーチ麻雀寄り)
- 和了の際、「和(フー)」と発声し、25点以下はロンアガリでも全員払い(つまりツモアガリと同じ)だが、25点を超えると放銃者は和了点の3倍に50を引いた分を和了者に支払い、放銃していない者も25点を和了者に支払う。(中国麻雀寄り)
- 複数ロンは上家優先(頭ハネ)。
- 馬、オカ共になし。
- フリテンの概念なしで、喰い替えも自由。(中国麻雀寄り)
- 王牌14残しで流局にて不聴罰符なし。(アルシーアル麻雀寄り)
- 配牌中に手牌を見ると和了放棄。
- 評価点は16局終了時の点の平方根で、浮き重視である。(同じ合計300点でも、3回とも100点(10)と、400点(20)・0点(0)・-100点(-10)では前者の方がポイントが高い((10×3=30)>(20+0-10=10)))
また、役の配点も他の麻雀ルールと比べて極めて妥当な待遇と言える(頻出するタンヤオやピンフが5点役で、一枚でも河に残れば揃えられない一色四順が全役中最高配点等)。その妥当な待遇故か、リーチ麻雀では役満役として扱われている役も320点に満たない配点になっている。(特に役満の中で頻出する四暗刻、大三元、国士無双等)
各競技麻雀団体の競技ルール一覧
喰い断・後付けあり、複数ロン頭ハネ、和了終了なし、オカなし、途中流局なし、国士無双聴牌時の暗槓への槍槓和了なしは全団体共通なので割愛。一発なし、ドラ一種のみだけを網羅。
団体 | 連盟(公式ルール) | 最高位戦(classicルール) | 麻将連合μ | 101 |
---|---|---|---|---|
順位点 | 一人浮き+12,△1,△3,△8、二人浮き+8,+4,△4,△8、三人浮き+8,+3,+1,△12 | 4-12 | 同左 | 点に関係なくトップ+1、ラス△1 |
喰い替え | × | 〇 | 〇 | 〇 |
ノーテン罰符 | あり | なし | あり(なしの場合も) | なし |
ノーテン立直 | 流局時チョンボ | 和了放棄 | 流局時チョンボ | 和了放棄 |
連荘条件 | 聴牌 | 和了 | 聴牌 | 和了 |
積み場(点/本) | 300 | 300 | なし | なし |
立直後の暗槓 | 〇 | × | × | × |
役満の包 | あり | なし | あり(四槓子以外) | なし |
誤和了 | 即チョンボ | 倒牌でチョンボ | 同左 | 同左 |
切り上げ満貫 | なし | なし | なし | あり |
備考 | 役満の複合あり | チョンボ△16P | 不聴罰符なしは団体内のみ | チョンボ△20P&局流れ |
競技ルールと得点
ルール毎の満貫の頻度並びに点の価値について比較。
基本ルール | 立直 | 門前 | 副露 | 点の価値 |
---|---|---|---|---|
一発・裏ドラあり(槓裏含む)・赤牌あり | 高い | やや高い | 普通 | 低い |
一発・裏ドラあり(槓裏含む)・赤牌なし | やや高い | 普通 | やや低い | 普通 |
一発なし・ドラ一種のみ | 普通 | やや低い | 低い | 高い |